台湾映画

青春18×2 君へと続く道(2024/日本=台湾)

旅行記が好きだ。
自分もblogやZINEで書くこともあるし、他人の書いた旅行記も楽しい。
旅先の情報を旅行記から得るのも利点の一つではあるが、旅人自身のキャラクターや旅による思考の変化を読むのもまた楽しいからである。

ジミー・ライ(頼吉米)による旅行エッセイ《青春18×2 日本慢車流浪記》を原作に、我らが張震が製作総指揮を、『新聞記者』『余命10年』の藤井道人が監督を務めた日台合作の『青春18×2 君へと続く道』は、2006年夏ごろの台南と2024年春の福島への旅を重ねて描いた文字通りの青春映画。主演はドラマ『時をかける愛』でブレイクし、映画『ひとつの太陽』日台合作ドラマ『路~台湾エクスプレス』に出演した許光漢(シュー・グアンハン/グレッグ・ハン)と、藤井作品の常連でもある『一秒先の彼』の清原果耶。

F9f931037e9c4552b887b27e5b496c23 

 

台湾版予告編

原作者のジミー・ライは嘉義出身で、エッセイの舞台も嘉義だそうだが、映画では台南へ変更。
なお原作は未読。邦訳も出版されていないしね。

自ら設立したゲーム会社の取締役を解任され、取引先との引継ぎのために日本に渡ったジミー(許光漢)が、かつて送られてきた手紙の思い出に誘われて鉄道で旅に出る現在と、その送り主である4歳年上の日本人女性アミ(清原果耶)と故郷の台南で出逢う18年前が重ねられて語られる。彼は台南の高中でバスケットボールに打ち込んでいたものの、ケガで競技を断念した。台北の大学を受験した高校生最後の夏、バイト先のKTVに現れた彼女と出会ったジミーは、その夏の思い出をなぞるように、大好きな『SLAM DUNK』の聖地、鎌倉から旅を始める。

ジミーのスラダン好きがアミとの始まり。そして彼は早春の由比ガ浜に、彼女とバイト仲間と共に遊びに行った台南の海岸を重ねる。若者たちがはしゃぐその風景は『風櫃の少年』をオマージュしたような画であるので、観ているこちらもまたデジャヴュを抱く。
日本人監督が撮った台湾と言えばかつてここでも書いた『南風』や今関あきよし監督の『恋恋豆花』が思い出されるけど、どうしても観光目線で撮られがちになってしまうのが気になって仕方がない。九份が『千と千尋の神隠し』のモデルとか舞台とかなんていつまで言っているつもりなんだ、と本当にイラッとする(実際後者の作品では九份で登場人物がそのように言う場面があって頭を抱えた)
この映画も観光映画の側面を持ってはいるのだが、ほぼ台南を舞台に展開する台湾パートでは、赤崁樓や安平などの台南名所はあまり登場しない。その代わり、力を入れて描かれるのはジミーとアミの交流になるからか、『風櫃』を始めとした台湾青春映画のオマージュがふんだんに盛り込まれている。アミがジミーのバイクにタンデムして夜の台南を走る疾走感は、長年台湾映画を観ている観客なら感じ取れるものであろう。台南出身の祖父を持ち、自身も留学経験を持つ藤井監督の思いとこだわりは、台湾パートの方に強く表れているのがよくわかる。だから、ただの観光映画には収まらないと思っている(個人の意見)

ジミーの旅は鎌倉から品川・新宿を経由して中央本線で松本へ、そこから飯山線と上越線で長岡へと進み、そして只見線で新潟との県境に近いアミの故郷・福島の只見へとたどり着く。信越を経由する大回りのローカル鉄道旅で彼が出逢うのは、同郷出身の居酒屋店主劉(ジョセフ・チャン)、18歳年下のバックパッカー幸次(道枝駿佑)、長岡のネットカフェで働く由紀子(黒木華)只見の酒店主中里(松重豊)そしてアミの母裕子(黒木瞳)。劉とは台南の思い出を語り、幸次とは岩井俊二監督の『Love Letter』についての思い出をシェアし、由紀子の力を借りてジミーは長岡から新潟中部の津南で行われるランタンフェスティバルへと向かうが、それは全てアミとの思い出をなぞっての行動。とある批評で台湾パートに比べて日本パートは表面的になっているとあったけど、日本パートが観光映画の役割を担っていると考えてみればそれはもう致し方ないのではないか。実際、日本に先行して台湾で公開されたこの春以降、只見線を始め、この旅のルートを利用する台湾人旅客が増えてきたとも聞いている。

18歳のジミーと4歳年上のアミの、台南を舞台にした(ジミー曰く)恋愛以前の交流は結局成就せずに終わりを迎える。アミの現在は只見に着くまで明確に描かれないが、察することができるのなら彼女がもうこの世にいないことに早くから気づくのだろう。残り少ない命を精いっぱい生きる若者の恋愛ものは『世界の中心で愛をさけぶ』など日本映画で多く取り上げられ、藤井監督自身も難病に侵された女性の恋愛を描いた『余命10年』を撮っている。若い男女の叶えられない初恋の終わりにどちらか(特に女性)の死を持ってくるのはあまりにも残酷で安易に感じるし、実際21世紀初頭からの日本映画の恋愛ものはその手の展開があまりにも多すぎて、恋愛ものが好みではない身としてその手のネタはどうも食指がそそらない。この件について話し出すとキリがないし、ひたすら脱線していくので止めておく。

恋愛は成就しなかったものの、アミとの出会いは確実にジミーの将来を開いた。そして、二度と会えないことが明らかになったことも彼の人生に大きな傷を残し、冒頭で描かれる経営する役員解任の決議の場面の意味が明らかになる。アミは初恋の女性の範疇を超えた、ジミーの青春と希望のシンボルであった。そのことを悟り、只見から東京に戻って桜を見るジミーは18年かけてのアミとの思いを心に封印し、自分の青春期に終止符を打つ。そして故郷で新たな一歩を踏み出す。


ところでジミーが生まれたのは1988年の設定。台湾の戒厳令が解かれて間もなく生まれているということだ。
スラムダンクと言えば『あの頃、君を追いかけた』にも登場しているが、時代設定は90年代後半だから当時のジミーはまだ10歳になるかならないか。いかに息の長い人気を誇っていたのかというのがよくわかる。台南での主な舞台となるKTVでは日本の某アイドルの歌が流れるし、五月天と並んでミスチル(この映画の主題歌を担当している)にも言及される。台湾をよく知らない若者たちは、日本のコンテンツがほぼリアルタイムで入ってくることに驚くようだが(オンライン交流を見学する機会があったが、台湾の高校生の日本アニメの知識が日本の子より詳しかったりするので感心したことがある)ポップカルチャーからのつながりや共有から友情を深められる可能性をこの映画から感じ取ってもらえるかなと思った。
B2417c8f49644c37b6deb8f816c007d4

昨年日本で上映された(現在Netflixで視聴可能『僕が幽霊と家族になった件』ではゲイに無理解な堅物の刑事を演じたグレッグ(最新の表記に従って「グァンハン」で書くべきなのだが、こちらの呼び方が慣れているので)だが、この映画では36歳の現在と18歳の少年を見事に演じ分けていて、これまで観てきた作品での演技も含めての芸幅の広さに感心した。『あの頃』のチェンドンは17歳からの約10年間を演じていたし、彼に限らず台湾の俳優は30代近くなっても高校生の役を演じることが多いのだが、20歳近く年が離れている役を違和感なくメリハリをつけて演じているのは見事である。
13歳で俳優としてデビューした清原果耶は、約10年間のキャリアの中で様々な印象的な役を演じてきていることから、まだ20代前半であることをつい忘れてしまう。透明感あふれる佇まいのある俳優と称されることが多いが、オリジナルでの劉冠廷の役どころを演じた『一秒先の彼』でのコメディエンヌっぷりも記憶に新しいし、実年齢と同じ22歳のアミがジミーよりちゃんと大人びて見えたのがよかった。
日本編のキャストも豪華だったけど、台湾が気に入って住み着いた神戸出身のKTV店店主シマダを演じた北村豊晴監督はしっかり爪痕残してくれていたし、ジミーの大学時代の学友でビジネスパートナーになるアーロンを演じていたのが、日本のドラマへの出演経験もあるフィガロ・ツェンだったし、ジミーの仕事仲間たちもみんないい味出していたので日本でも彼らをちゃんと紹介してほしかった。

そして何より台湾はもとより、日本でもヒットしたのは本当にありがたかった。
私は関東・盛岡・宮古の3カ所の映画館に観に行ったのだが、いずれの館でも近くに鑑賞後に涙をぬぐう観客がいたし、この映画がきっかけで台湾をますます身近に感じてもらえると嬉しいと思っている。この夏、台鐡でミスチルを聴きながら乗る日本人の若者が何人いるだろうか。そう考えるとニコニコしてしまう。

あ、そうだ。台鐡といえば、この映画で最も疑問に思ったことを最後に書いて締めたい。

アミが帰国する直前に、ジミーは彼女を誘って十分に行くのだが、どういうルートでどのくらいの時間をかけて台南(それもターミナルではなくて普通車しか停まらない保安站)から十分まで行ったのだろうか。早朝に出て行って着いたらもう日が暮れていたから、10時間はかかっているってことか?

英題/中文題:18×2 Beyond Youthful Days/18×2 通往有你的旅程
監督&脚本:藤井道人 製作総指揮:チャン・チェン 製作:ロジャー・ホアン 前田浩子 瀬崎秀人 音楽:大間々昴 撮影:今村圭佑
出演:グレッグ・ハン(シュー・グァンハン) 清原果耶 北村豊晴 ジョセフ・チャン 道枝駿佑 黒木 華 山中 崇 フィガロ・ツェン 松重 豊 黒木 瞳

| |

赤い糸 輪廻のひみつ(2021/台湾)

昨年のTIFFで楽しく観たギデンズ監督最新作『ミス・シャンプー』Netflixでも配信中)の前作となる『赤い糸 輪廻のひみつ』
これも2021年の金馬奬にノミネートされており、視覚効果・メイク&コスチュームデザイン、音響効果の3部門で最優秀賞を受賞している。ここ数年、金馬奬をチェックすると面白そうな作品が多くノミネートされているので、これらに配給権がついて日本で公開されてほしいと常々願っていた。
しかし、ここ数年の話題作が日本の劇場で一般公開されることは少なくなった。台湾本国でも公開後すぐnetflixで全世界配信され、日本語字幕付きで気軽に観られるようになったとはいえ、劇場でかけてみんなで観られることを前提とした劇映画はやはり劇場で楽しく観たい。そう思っていた時にこの映画の日本公開が決まった。

この映画はこれまで『台北セブン・ラブ』や『赤い服の少女』を紹介してきた台湾映画社さんと『日常対話』を配給し、関連書籍の翻訳も手掛けてきた台湾映画同好会さんの共同配給。個人会社での配給で、権利の関係上劇場公開のみという(おそらく)異例のケース。台湾映画社代表の葉山さんが上映権獲得と劇場公開に関してのインタビューに答えており、こちらのnoteを読んだが、台湾ブームと言われても観光やグルメが定着してもt台湾エンタメがなかなか定着しない、シネフィルにも台湾映画といえばニューシネマは注目されるのにそれ以外は…と同じように歯痒く思ったことがあったので、大きく首を縦に振ったものだった。
公開に先立ってクラウドファンディングも行われていたのでもちろん参加した。現在のところ公開劇場も一部地域だが、全国で上映されてほしいと願っているので、その応援も兼ねての感想記事である。ネタバレは極力控えるようにする。

B827d728b30c4041b19eb65e7e53ffc8

原題でもある「月老」は台湾の縁結びの神様として知られる「月下老人」のこと。台北の霞海城隍廟や台南の大天后宮他多くの廟に祭られている神様だが、この映画に登場する月老は冥界にやってきた死者が徳を積むために従事する神職として設定されている。落雷で命を落とし、生前の記憶を失くした主人公の孝綸(クー・チェンドン)は元カレに殺されたピンキー(王淨)とバディとなり、現世で人々を赤い糸でつないでいく。
この冥界の世界観とデザインがユニーク。死神は黒いスーツと帽子にマント、という割と定番スタイルだけど、冥界の門番である牛頭(陸明君)と馬頭(ホンジュラス)はミリタリー風のスーツとマントをまとい、(死んだときの)年齢・性別がそれぞれバラバラな月老たちはグレーのセットアップを着ている。彼らを率いるリーダーの一人を演じる侯彥西はなぜか『ジョジョの奇妙な冒険』の東方仗助のようなリーゼントスタイルなので全体的に高校の制服感増し増し。死んだ人間が現世にやってくるといえば最近ネトフリで実写版が配信されている『幽☆遊☆白書』も思い出されて、この「わかる人にはわかりゃええ( ̄ー ̄)」ってところにはニヤリとする。

善行を行って徳を積む二人の前に老犬の阿魯が現れたことで、孝綸は生前の記憶を取り戻す。阿魯は彼と初恋の人である幼馴染の小咪(ビビアン・ソン)を結びつけた犬であり、寿命で命尽きようとしていた。その頃冥界では500年間牛頭を務めていた前世の盗賊・鬼頭成(馬志翔)が怨霊となって冥界を脱走し、前世で自分を裏切った仲間たちの生まれ変わりを探し出して復讐していた。その怨念は小咪にも向けられる…!

冥界ファンタジーの趣で開幕する物語は、この再会で見覚えのある展開に突入する。『あの頃、君を追いかけた』でお馴染み、ギデンズ名物ともいえる(?)おバカ男子の恋物語である。ああ、やっぱり男子っておバカ…と笑っていたら、鬼頭成の登場で前作『怪怪怪怪物!』的なホラー展開となる(『怪怪怪怪物!』といえば、鑑賞当初は爽快さと胸糞悪さが入り混じる何とも言えない気持ちを抱いたのだが、実は製作当時のギデンズが自らのスキャンダルにより激しいバッシングを受け、そこで生じた怨みを原動力として作ったという話を最近知った。だからあんなに胸糞悪いのか…)

このように先の読めない物語なのだが、テーマは生命賛歌といえる。台湾に根づく道教や仏教をベースに、笑ってドキドキして恐怖におののいて、気がついたら感動しているド直球のエンタメで謳われる生命賛歌。どんな命でも等しく、それを救えば善となる。世界で起こる戦争等で命が失われていく現状を見ているから、その大切さや生きることの尊さを感じたのかもしれない。邦題の由来となっている、韋禮安による主題歌《如果可以》もこのテーマを体現していてよい。これは藤井風が台湾ライヴで歌いたくなるのもわかる。


Weibird本人が歌う日本語ヴァージョンもあるのでこちらも是非。

映画監督デビューも果たしたチェンドンの安定したバカ男子っぷり(誉めてます)とギデンズ作品への登板が続くビビアンはそれぞれかわいらしく、『返校』のミステリアスさをかなぐり捨てた王淨のはじけっぷりも楽しい。他のキャストもギデンズ作品常連から、馬志翔と共に『セデック・バレ』に出演したセデック族のラカ・ウマウまで、台湾映画&ドラマに親しみのある人なら思わず手を振りたくなる面々が揃う。

現在の台湾映画の勢いを象徴するこの作品、台湾好きだけど映画は…という人にも、もちろん台湾に特段興味のない人にも観てもらいたい。
重ねて言うけど、日本では劇場でしか観られない作品なので、東京や大阪だけでなく、日本全国津々浦々で上映されてたくさんの人に観てほしい。東北では香港&台湾映画を必ず上映してくれるフォーラム仙台で2月上映が予定されているけど、我が岩手でも是非上映してほしい…

今年は日本全国で中華圏の映画がたくさん上映されますように…

原題:月老/Till We Meet Again
監督・原作・脚本:ギデンズ・コー
出演:クー・チェンドン ビビアン・ソン ワン・ジン マー・ジーシアン ホウ・イェンシー チェン・ユー ルー・ミンジュン ホンジュラス ユージェニー・リウ ラカ・ウマウ

☆本blogは今年で開設20年。
ここ数年記事もなかなか更新できませんでしたが、アニバーサリーイヤーなので、なるべく更新できるように頑張ります。

| |

【東京国際映画祭2023】Old Fox/白日の下

先の記事に続いて、今年の東京国際映画祭で観た映画の感想。

『Old Fox』2023/台湾

6a0d9fd3bbe74fd88ef67984af83da51

TIFFがワールドプレミアとなった『台北カフェストーリー』の簫雅全監督の新作。
オープニングタイトルに東映ビデオの名前を見つけておっ?となり、続いて出たエクゼクティブプロデューサーにホウちゃん(侯孝賢監督)と小坂史子さんのお名前を見て胸がいっぱいになった。ホウちゃんは先ごろ、認知症のために映画界からの引退を発表したからだ。この作品の他に幾つかの新作の製作に携わっていたようだが、もうお元気な姿を見られないのは寂しい限りである。お疲れさまでした。閑話休題。

日本がバブルの絶頂期を迎えていた1989年秋(といえば『悲情城市』がヴェネチアで金獅子賞を受賞した直後だ)一足先にバブル崩壊を経験していた台湾が舞台。レストランのマネジャーと仕立ての内職で生計を立てる父(劉冠廷)と暮らす小学生の廖界(『Mr.Long』の名子役白潤音)の夢は店舗を買い取って亡き母が経営していた理髪店を再開すること。家賃を集金している地主の秘書の“きれいなお姉さん”林(ユージェニー・リウ)から近隣の店舗が空いて手ごろな金額で買えると聞いた二人は喜んだが、その数日後に起こった株価変動の影響で地代が倍以上に膨れ上がり、買えなくなってしまう。失意の廖界に声をかけてきたのは、地主であり「腹黒キツネ(老狐狸)」と呼ばれている謝(アキオ・チェン)だった。謝は、世の中の金回りのことを廖界に教える。社会の強者となった謝と、彼に負け犬と呼ばれてしまう優しい父との間で揺れ動く廖界。

戒厳令が解かれてから民主化へと向かう台湾の80年代末から90年代初頭にちょうど留学していたのでなじみのある年代であるが、この時代を舞台にした映画となると90年春の野百合学運を描いた『BF*GF』に当時の複数の事件をモチーフに国民党政府の要人のフィクサーを描いた『血観音』とすぐ思い出せるものが多い。どの作品も切り口が違ってそれぞれ見ごたえがあるし、興味深い。
金をめぐって動物に例えられる職業といえばハゲタカとしばし称されるファンドマネージャーが思い浮かぶので、「世の中は金だ。金が悲劇を生む」とNHKドラマ映画『ハゲタカ』でお馴染みの台詞を心の中で呟きながら観たが、この腹黒キツネは土地を手に入れて成長した家主であるのでまた金を使う資質も異なる。その彼の半生も劇中で語られるが、当然統治時代からの話になるので、簡単に謝を悪役として見ることはできない。
彼との出会いとそこからの学び、そして愛する父への思いから、廖界が選んだ未来。映画のラストで描かれるそれはとても納得ができ、説得力のある姿であった。世の中の辛さや厳しさも描くけど、未来を見据えている。その静かで優しい描き方が胸にしみた。よい映画だった。

日本が資本を出しているのと合わせ、キャストで門脇麦が父のレストランの常連である楊夫人役で出演。台湾人役なので台詞は当然國語。変に浮いたところはなく、画面に馴染んでしっとりとした印象を残している。芸幅の広い劉冠廷が演ずる優しいお父さんもよい。謝さん役のアキオ・チェンさんは『熱帯魚』にも出演していたそうだ。
そして主演の潤音くん、成長したなあ…今後も俳優業は続けていくのだろうな。張震みたいになっていくのかな。

詳細な情報はまだ出てはいないものの、来年は日本でも公開される様子。金馬奬にも7部門ノミネートされているそうで、今から授賞式が楽しみ。

 

『白日の下』2023/香港

A780dd1ef12a4da398faf01bbe093cdb

ワールド・フォーカスの特集「アジアン・シネラマ-香港フォーカス」での上映作で、映画祭で観た唯一の香港映画。
監督はこれが長編2作目となるローレンス・カン。2015年と16年に香港で起こった高齢者介護施設での虐待事件と障害者施設での入所者変死事件を題材にした作品。古天樂率いる天下一電影公司の製作で、プロデューサーを務めるのはイー・トンシン。

高齢者と障害者が入所するケアハウスで虐待が行われているという情報を得て、A1新聞社の記者凌(ジェニファー・ユー)が認知症の入所者周(デビッド・チャン)の孫を装って施設に潜入する。そこで彼女は周の親友の水(今年91歳の大ベテラン歌手でもある胡楓)身体障害者でハウスの職員としても働いているサム(ピーター・チャン/チャン・チャームマン)、知的障害者の明仔(来年日本公開『燈火は消えず』のヘニック・チャウ)と小鈴(レイチェル・リョン)など様々な事情を抱えた入所者たちと出会う。この施設の院長で自らも障害を持つ章(ボウイ・ラム)によれば、民間施設ゆえ経営維持のために入所者を多く受け入れているとのことだが…。

観ていてどうしても思い出さずにいられなかったのは、現在公開中の日本映画『月』のモデルとなっている、2016年に起こった相模原障害者施設殺傷事件と、その事件が起こるきっかけとなった施設内で入所者の虐待が常態化していたという件。同じ実在の事件で似通っているとはいえ、大きな違いとしては、この『白日の下』では、調査報道としてこの事件が取り上げられたことである。調査報道といえばアカデミー賞受賞の『スポットライト 世紀のスクープ』、さわや書店が「文庫X」として売り出して注目された清水潔氏の調査報道をまとめたルポルタージュ『殺人者はそこにいる』、そしてその本を参考文献としたドラマ『エルピス』も思い出される。
調査報道の視点から描かれてはいるが、劣悪な施設の内部事情や職員が入所者に行う虐待行為等はかなり直接的に描かれるのでその残酷さはかなり強い。凌とその仲間たちはその事態を辛抱強く暴き出していくが、その経緯で何人かの入所者が命を落とす。虐待が常態化していても、その施設を拠り所とする入居者もいる。辛い日常があってもそこで友情を築く者もいる。故に結末で業務が停止され、それぞれ別々の施設に分かれていく入所者の中には、真実を暴き出した凌を責める者もいる。勧善懲悪ではないし、様々な人間模様を交えながら語られている。

辛い重い作品だが、香港映画的な人情ももちろんある。ジェニファーとデビッドさんは、偽りの孫と祖父としてそりが合わない関係から始まるが、物語が進むにつれ、どこかで通じ合うような関係に変化していく。凌とパウ・ヘイチンさん演じる母親との場面も印象的。
施設内でおぞましい行為に及ぶ章院長の複雑な人物造形も強烈であった。『毒舌弁護人』にも出演しているベテランのボウイさんが演じているが、よくぞこの役をお引き受けに…と思ってしまった。入所者を演じたチャームマン、ヘニック、レイチェルは近年の香港映画群で頭角を現しているという若手たち。コロナ禍のために映画祭に行けず、ここ数年の新作が追えてなかったので、ここで彼らの演技が見られてよかった。

香港ではTIFF上映後の11月2日に公開され、現在大ヒット上映中。台湾で行われる第60回金馬奬では、主演女優賞(ジェニファー)助演男優賞(ボウイさん)助演女優賞(レイチェル)他5部門でノミネート。

その他、観たかったけど観られず…な作品を。

1d8b2fddcd534abdae196b7dc01ce4ce

これも現在香港で大ヒット公開中『年少日記』

C7397781d8e04c00b8c238fc1dbd0215 

現在の香港映画を製作面からも背負って立つ古天樂主演の『バイタル・サイン』。共演はアンジェラ・ユン。
監督のヴィンシー・チェクはかつて芝see菇biという名前でDJや舞台でも活動していたマルチクリエイター。 

476d7a5171b64f7ba3cf709131b039f4

9646aaa8cadd4332ac30f12c3e4db5bb

4年ぶりのTIFF。2021年に会場を日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区に完全移転し、大きなホールからミニシアターまで揃うエンターテインメントの一大拠点のような場所で開催されるのは実に有難いこと。今年は日程が元に戻った東京フィルメックスが一貫して有楽町で開催されているし、国際映画祭の場所としてはこれまでの六本木よりもずっとこちらの方が適していると思っていた。私的なことを言えば実家から乗り換えなし約1時間くらいで来られるし、終映後すぐ有楽町駅から東京駅で新幹線に飛び乗ることもできるし、食事にも困らない。

5497af3e4c7944fc8a1f8aba8fc9a50e 

しかし、メイン会場の東京ミッドタウン日比谷には全く足を運べず、結局行けたのは最終日の上映前。
せっかく立派なシネコンがあるのに、スクリーンは2つしか使われてないとのことで、なんだかもったいなく感じた。六本木では全スクリーンを使っていたのに…。全スクリーン使ってもいいのよと映画祭側にはアンケートに書いて送っておいた。

本当に久しぶりの映画祭(及び東京)だったこともあって、観客も若い人が増えてきて、外国人も目につくようになった。中華電影だと華人観客が多いのはもちろんだが、欧米系観客もちらほらと見かけた。そんな観客層の変化もあってか、以前よりもっと気になるようになったのは上映中のスマートフォンの点灯だった。上映開始後入ってくる観客はほとんどスマホで座席を探していたし、ある映画の本編終了後は両隣の客がエンドクレジットでスマホを見ていたのにイライラさせられた。これは通常上映でもやられているが、一般観客入場可ではあっても国際映画祭は国際映画祭。これはしっかりとしたアナウンスで周知徹底してほしい。以前から要望があった上映前の英語アナウンスは録音で流されるようになったというけど、中国語や韓国語のアナウンスも作品によってでいいのであるといいのかも。

83a5282ff7b04c1ea8c80ef94eff993e

今年はTIFFの後に開催された香港映画祭2023 香港映画の新しい力 Making Wavesにも参加。
先行して一般上映された『毒舌弁護人』を含めて4作品鑑賞したので、こちらは次回の記事で。

| |

【東京国際映画祭2023】雪豹/ムービー・エンペラー/ミス・シャンプー

実に4年ぶりに参加した今年の東京国際映画祭

今年はトニー・レオンのマスタークラスが開催されたのだけど、残念ながら日程が合わずに断念。
ワールド・フォーカスではアジアン・シネラマ-香港フォーカス(上記のトニーのイベントもこの一環)台湾映画ルネッサンス2023と香港&台湾映画の特集でかなり充実していたのだが、日程と相談した結果、5作品(チベット、中国、台湾×2、香港)を鑑賞。
ここではまず3作品の感想を。

『雪豹』2023/中国・チベット

F38be7fed3a049edb29bdf6349afa7ef

 

中国で国家一級保護動物(=天然記念物)に指定されている雪豹が、チベットのある家畜業者の家の羊を襲って殺した。
一家の兄(ジンパ)は怒って雪豹を殺すと息巻くが、役人が到着するまで羊の柵に留まる雪豹を追い出せない。僧である弟(ツェテン・タシ)は「雪豹法師」とあだ名がつくほど雪豹を愛していて、当然兄とは対立する立場にある。弟の伝手でこの事件を取材しにやってきた県のTVクルーと役人も加わって騒動は堂々巡りに。雪豹を憎む者、愛して守りたい者、それを客観的に見る者それぞれの視点から物語が語られる。

これを観て真っ先に思い出したのが、現在全国各地で起こっている熊害。地元でも死者が出るほど深刻な問題になっているが、動物愛護の観点から殺すなというクレームも入り、なおかつ相手は凶暴でいつどこで出てくるか予想もつかないので、多方面で対応に苦慮している状況はよくわかる。もちろんこの物語の状況と完全に一致できるような状況ではないけど、人間の営みと自然の驚異が隣り合わせになっている現代社会のバランスの危うさを考えると、どの国にも同じような課題があるのかもしれない。

チベット族として初めて北京電影学院で映画を学び、チベット人によるチベット映画を確立させたペマツェテン監督は、自らが暮らすチベットを辺境のエキゾチックな地として捉えることなく、その地の人々の生き様を普遍的な視点で描いてきた。しかもシリアスになりずぎず、ユーモアも適度に交えてくるのもよい。今年53歳で亡くなったのは非常に残念だが、この映画の他にまだ多くの未発表作があり、息子さんやスタッフたちがその意志を引き継いで世に出してくれるだろうから、これから登場する新作にも期待する。
そして日本ではまだ『羊飼いと風船』のみの一般公開なので、今年の東京グランプリ受賞をよい機会に、東京フィルメックスで上映された過去作『オールド・ドッグ』 『タルロ』 『轢き殺された羊』なども合わせて作品が日本で公開されることを望んている(自分も先の2本が未見なもので)

(追記)フィルメックスの神谷ディレクターがインタビューで来年1月下旬から2月上旬にかけて、ヒューマントラストシネマ有楽町にてペマツェテン監督作品の特集上映を行うと答えているので、これがなんとか全国上映に結び付いてくれないかと期待している。

B43424d1198a4fc1800653d2f4df93fc

Q&Aにはジンパ(左)、TV局の若手クルーを演じた熊梓淇(ション・ズーチー)雪豹法師役のツェテン・タシが参加。

C206f6eb1ff349c9a8daeeac89684ab9

『ムービー・エンペラー』 2023/中国

893e08f234e5407d8edc31e67e11b775

今やもうベテランな、香港映画界を代表する俳優にしてプロデューサーのアンディが、かつてプロデュースした『クレイジー・ストーン』などのコメディを作り続けてきた中国の寧浩(ニン・ハオ)監督と今度は主演俳優としてコンビを組んだ「スターはつらいよ」物語。
近年の中国映画の勢いと政治的状況を見ると、どうしても中国映画に対して抵抗感を持ってしまうのだが、とりあえずその気持ちを横に置いて観ると、デリケートな部分をうまく避けて作られた良質のコメディであった。未知の仕事に悪戦苦闘する往年のスターの物語としてスタンダードなプロットだし、SNSでの炎上等アップトゥデイトなトピックもしっかり盛り込んでいて、自らの非をわかっていながらなかなか謝れない様などについつい笑ってしまう。

香港の大スターでありながら無冠の帝王、私生活でも崖っぷちな主人公ダニーが、中国の若手監督のインディペンデント映画に出演して映画祭出品の野心を抱くも、思う通りに事は進まず…。アンディ本人と重ねてみるときっとファンは怒るのかもしれないけど、中国映画の撮影あるあるを多分に盛り込み、40年に渡る彼のキャリアを基に、本人もきっとノリノリでスタッフにアイディアをたくさん提案して楽しんで作っていただろうことが伺える。さんざんな目にあってもその態度や行動を貶すこともないし、ちゃんと愛をもって主人公を描いている。
『クレイジー…』の感想を読み直すと「中国映画に洗練という語はない」などとかなりひどいことを言っているが、あれから16年も経てばそれは大きく変わるものである。海より深く反省せざるを得ない。

『ミス・シャンプー』2023/台湾

Ac9b3e6b084c48f6bbf1468028ee70c7

前作の『赤い糸 輪廻のひみつ(月老)』の日本公開を前にして上映されたギデンズ監督第4作は、「すいません、おかゆいところはありませんか?(請問,還有哪裡需要加強)」という原題が示す通り、美容室を舞台にしたラブコメディ。ここしばらくホラーテイストの作品が続いていたので、いろんな意味で原点に帰った感も覚えた。特に下ネタ方面で(笑)

組の頭をタイ人刺客に殺され、自らも命を狙われるヤクザのタイ(台湾のアーティスト、春風ことダニエル・ホン)が逃げ込んだ美容院で残業していた美容師見習のフェン(ビビアン・ソン)に一目ぼれ。シャンプーが得意だが絶望的もとい独創的なカットセンスの持ち主で、楽天モンキーズの野球選手鄭旭翔を熱烈に推すフェン会いたさにタイは美容院に通い、フェンも彼にひかれていく。
黙っていればなかなかハードボイルド感を持ってるタイが、フェンに出会ってとんでもないカットをされて恋に落ちてからの壊れっぷりがおかしく楽しい。男らしさの極致みたいなヤクザ稼業で女性関係も場数を踏んできたはずなのに、一気に高校生男子レベルまで幼稚化もとい純情化してしまうのが笑える。そうなると当然下ネタも過剰となるので、久々に「いやーホント男ってバカだよねー」と言いながら楽しく観られたのは言うまでもない。『あの頃』と比べると二人はお互い大人なので、ヤる前は下ネタ満々でも事は(もちろん)あっさり省略して描かれるので実にすがすがしい。タイの舎弟のひとりにはお馴染みクー・チェンドン、その他脇のキャストもかなり楽しい。そして近年のポストクレジット(エンドタイトルの後に映画が続くあのシステム)を意識したようなエンドタイトルの仕掛けには大爆笑。台湾や香港ではエンドタイトル時にさっさと場内が明るくなって追い出しを催促されることが多いのだが、台湾上映時に最後まで観た人ってどれくらいいるのだろうか…

(続く。次回は『Old Fox』『白日の下』の感想をUP)

| |

【ZINE新作】『台カルZINE Vol.2』ほか

岩手と台湾をカルチャーで結び、台湾カルチャーを深掘りする楽しみを伝える目的で2021年に結成された台湾カルチャー研究会のZINE「台カルZINE」の最新号が発行され、盛岡市内の各ブックイベントで販売しました。

【新刊】台カルZINE Vol.2 特集:NO MUSIC,NO TAIWAN(台湾カルチャー研究会)

Cc1f6c1e37c344b690278bd294ca3e19  

1号が映画なら2号は音楽!という理由での音楽特集。とはいえ台湾音楽も実に幅広く、すべてを網羅することは不可能なので、メンバー3人の偏愛音楽エッセイを中心に構成。日本でも放映された2000年代の台湾ドラマを彩ったテーマソング集があれば、台湾での村上春樹の受容を追っていたら出会った文青ポップスもあり。私はかつてこのblogでも書いてきたジェイ五月天の日本ライヴレポートのダイジェスト版と、自分が初めて触れた1990年代前半の台湾ポップスの思い出について書き下ろしました。
また、このZINEで紹介した曲を中心にしたプレイリストもspotifyでつくりました。よろしければ聴いてみてください。

 

【新刊】『このまちで えいがをみること』書局やさぐれ

A54a72288a014c26b4aab27c7940d45a

表紙はこの4月に営業を終了した、岩手県盛岡市の映画館通りにあるニッカツゴールデンビル。
かつては日活の映画館が入っていたビルで、日活撤退後も長年映画館が入っていました。
このビル自体の営業終了により映画館が閉館したことがきっかけで作ったZINEです。

11年前に香港映画の、5年前に台湾映画のZINEをそれぞれ作ってきたので、3冊目の映画ZINEはそれ以外…となるはずなのだけど、それでもここで紹介するのは、ええ、それでも入っているのですよ、香港映画+αが(^_^;)。
このZINEでは、自分が昨年観て気に入ったり気になった映画を洋邦各5作品、映画館で観た旧作5作品、そして今年上半期観た映画5作品のTwitterで書いてきた感想に加筆してまとめた感想集なのですが、このblog的な作品として『レイジング・ファイア』『時代革命』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』そして王家衛4K作品集について取り上げております。ここで書いた長文感想のダイジェスト的にシンプルにまとめました。
長年映画好きやっておりますが、もうすでに香港映画も分かちがたく、香港・台湾映画を除いて映画の感想をまとめることって自分にとっては結構厳しいのだと改めて思いました。なお、いろいろな人に読んでもらえることを目的に作りましたので、毒は控えめです。

この新刊2作を引っ提げてまず参加したのが、6月18日(日)に岩手教育会館で開催された文学フリマ岩手8
東北唯一の文学フリマです。

20ae4a3a50384e2291a5d1401754c37f

当日のブースの様子。今年は書局やさぐれと台カル研のダブルネームで参加しました。

48877b581a304d2ba403a04970bc6e07  

当日のセットリスト。既刊ZINEもまだまだ在庫あります(笑)

昨年から会場が変わったのと、出店者も一般参加者も過去最高を記録したとのことで、会場内の熱気は実に半端なかった。お隣が旅の写真集を出されていた方でお話しできたり、思わぬ出会いがあったりと忙しいながらも実りあるイベントでした。
文学フリマ岩手には初回からずっと参加していますが、実は一般でも出店でも東京は未経験。3年前の春のイベントに出店の申し込みをしたことがあるのだけどコロナ禍で中止。岩手の文フリも2年連続で中止になりました。秋は映画祭シーズンと重なるので行けないだろうけど、来年の春の東京は出店を検討しております。

その1週間後、6月25日(日)にもりおか町家物語館で開催された浜藤の酒蔵ブックマーケット2023-Summer-にも出店いたしました。

 34ae1f2116e641cc93d8773fac576273

1f08ee14321d462fbe9a9d5260dbd31a

こちらは古本市からスタートしたブックイベントで、市のアート系団体の主催です。
古本屋を経営されている方から、フリマ感覚で自宅の本を持って販売する方まで出店者は様々でZINEや読書グッズの販売のみでもOKと間口が広いイベントでいつも楽しく参加しています。
会場が住宅地にあるので来場者に子供たちも多く、今回ワンオペ故店番を手伝ってもらったOPENちゃん(写真)が人気でした。

今後のイベント参加は秋までありませんが、ZINEイベントにも出品しております。
また、新刊発行にあわせて通販も近日再開いたしますので、ご興味がありましたらよろしくお願いいたします。

そして次の新作ZINEも秋発行を目指して現在計画中。
次作は旅行記の予定です!ふふふ

 

| |

熱烈歓迎!盛岡台湾Happyフェス

このblogでもこれまでたびたび紹介してきた盛岡台湾Happy project
昨年12月から正式に協議会として組織され、これからは通年で盛岡と台湾の交流イベント事業等行っていくようです。

5aed5a1372034b6a94e37bfcdc4d9696

このプロジェクトのメインイベントであり、今年で3回めとなる盛岡台湾Happyフェスは1月28日と29日に開催されました。

B4df7447d5cc44e9a14b9eb076f339ec

大都市圏で行われるような台湾祭や台湾フェスのような大規模イベントではなく、地元の事業者による出店とトークで構成されるのはいつも通り。今年は盛岡と友好都市である花蓮から、花蓮縣政府青年發展中心が参加してパネル展示と物販を行いました。3回目にして初めて台湾からの参加!

C91a330c90084a37827a93083e3dcad5

2bc4e9050b844d06b2a5ca9c5ffc7c17

今回は物販が大人気。毎年恒例の東家特製盛岡台湾弁当は2日とも即完売。
(私も買えなかったので友人が購入した弁当を撮影しました)

0ba8a3e5cb0840a9a7deaf9c530627db

9fb889b903ad4e959e50f1cf40e1bd3a

今年は魯肉飯と蒸し魚がメイン。

169128bb809c44c7a791579c551fbcef
こちらはパイカ(軟骨)の豆鼓煮込み弁当。市内の台湾料理店ふぉん特製。
お店は夜のみ営業ですが、市内のお弁当イベント等にも時々参加しています。

F98444340f9c44a1a903cc16bba9f9b0

「楽しみながら学ぶ盛岡台湾交流DAY」と銘打った土曜日のイベントは教育がテーマ。
今年始め話題になったニューヨークタイムス紙の「2023年に行くべき52カ所」に盛岡が(実は台北も)選出されたことを受けるように、台湾の高校生に盛岡のいいところをおすすめするプランを即興で作ったり、盛岡や台湾を題材にしたクイズを作成するなどの高校生たちの取り組みが発表されていました。
その中でひときわ興味深かったのが、市内で食品業を営む方の台湾留学レポート。ご両親が台湾から日本に移住し、日本で生まれた2世の方なのですが、日本語を母語として育ったので、中国語はビジネスで使うくらいだったそうです。両親の故郷で学ぶことを長年夢見ていたそうで、2年前の秋から昨年の夏までの1年間、65歳にして悲願を叶えたとのこと。しかも留学されていたのが、私がここしばらく心の近所として通っている台南の成功大学。課題の多さ(これは誰でもいうことだけど)に加え、一人暮らしでの食生活の工夫や体力作りなど、参考にしたい話もたくさん聞けました。
私も今後仕事を首にされるか、運よく定年を迎えた後に、親に不測の事態が万が一起こらなければ、また留学したいかなと思うようになったのですよ。自分の頃と比べても留学しやすくなってきたし、実際高校でも米国より台湾への留学案内も増えてきているとのこと。
若者たちにとっても、いろいろと学べることも多いし、有意義だと思います。

060f06a32f8542309944fc8b159e1788

2日目の日曜日のイベントテーマは「ディープにデュアルトーク盛岡台湾DAY」。
盛岡出身の新渡戸稲造を始めとして、後藤新平や伊能嘉矩、三田定則など台湾統治時代に活躍した岩手県人についてや、市内の森林公園できのこアドバイザーを務めるきのこ王子さんによるきのこ話などが展開する中、私と友人たちで結成した台湾カルチャー研究会(以下台カル研)も「おいでよ、台湾映画沼 わたしたちはこうしてハマった」という題名で、台湾トークしてきました。
昨年12月、協議会に関わる友人の某氏より「台カル研で台湾映画トークやらない?」と打診があり、昨年出した台カルZINEを基に、これまであまり意識して台湾映画を観たことがない方々が多いことを想定して、現在観られる映画を中心に紹介しました。
キーワードとしては青春映画、台湾ニューシネマ、LGBTQ+、ホラー、社会と歴史、そしてリメイクなど。個別の作品では『幸福路のチー』『あの頃、君を追いかけた』『1秒先の彼女』を紹介しました。
あわせて、配信で観られる作品もリーフレットにまとめました。(写真の右下に写ってます)

94296de74b764962b60d82e1a1b8742a

私自身は、4年前の『藍色夏恋』上映会でトークは経験済みなのですが、あの時はほぼ準備してなかったのでいろいろ大変だったっけ…なんて思い出していましたが、その時よりスペースはオープンだしどんな人が聞いてくれるかわからなかったし、退かれたらどうしよう…などとオタク的ないらぬ心配までしてしまいましたが、メンバー3人の好きなことをあれこれ話せて本当に良かったです。聞いてくださった皆様、本当にありがとうございました。

今年は『藍色』や『あの頃』を始め『海角七号』『KANO』など21世紀に入ってからの傑作台湾映画の配給権が次々と切れていくそうで、国内で上映される作品が少なくなるのが残念ですが、それでも今後様々な台湾映画が広く観られて、観光やグルメと共に台湾を知るきっかけになってほしいと思うのでした。
今年は何か上映会が企画できるといいなあ。

F8136a0028dd4a0598ebba926375876b

今年はステージトークがあったのでいろいろ時間が取られ、合わせて本業の仕事等も大変で、プレウィークで行われた市内各所の展示等もじっくり見られなかったので、スタンプラリーを回るのもなかなか大変でした。
今年のデザインはこんな感じ。
De7edc527fa649a193651b92639bf394

Eee0d758ed0d4bf393fb156014555818

1e0b20f1dc344c228634b6475b5bee71

今年のコンプリ特典は昨年とちょっとデザイン違いの美麗!台湾コラボステッカーと、昨年秋に行われたボンネットバスツアーの特製ポストカード。(ちなみにこのボンネットバス、バリバリの現役です。Suicaやpasmoで乗車できます)
スタンプとスタンプカードは今月いっぱい、ポノブックスさんに設置してあります。

0b6425d665ee4a319d47eb63cce9b178 

パンデミックの始まりから3年が経ち、まだまだ感染は収まらないけど、経済や往来は元に戻していこうとしているこの頃。
定期便も観光も復活しつつあるけど、当地の国際線はまだ復活せず。まだまだ状況が厳しいのはわかるけど、今年はなんとか行けることを願うばかりだし、このフェスで台湾に興味を持ってくださった方が、気軽に地元の空港から旅立てるようになってくれたらということもあわせて願うところです。イベントも毎年ながら楽しく充実しているし、こんなに楽しいのなら台湾自体もっと楽しいのは言うまでもないですしね。

75d826e2691f454c80aeed35898e21a3

サークルとしても、もちろん個人でも、今後もこのプロジェクトには積極的に協力していきます。
何かイベントがあったらこちらでも紹介しますので、今後ともご注目をお願いしますね。

| |

第7回文学フリマ岩手に出店します【ZINE新作】『台カルZINE Vol.1』ほか

バタバタしている間に前日のお知らせとなりました。申し訳ございませぬ。
前回のエントリ通り、明日6月19日(日)に岩手県産業会館(産ビル)7階大ホールで開催される第7回文学フリマ岩手書局やさぐれ&透明度として出店いたします。
当日のセットリストは画像の通り。

Photo_20220618164301

【新刊】『台カルZINE Vol.1 特集:台湾映画鑑賞指南』(発行:台湾カルチャー研究会

「台湾を深掘るともっと楽しいよ!」を合言葉に、岩手の3人の台湾好きが結成した同好会によるZINE。創刊号のテーマは台湾映画。

【新刊】『自宅台湾飯』

以前のblogエントリを元に、複数のレシピ本を参考にここ2年作り続けた台湾飯をまとめたフォトブック第2弾。
第1弾は昨年発行した『職場台湾便當』(関連記事はこちら)です。

【新刊】『日日是MAKE TEA NOT WAR』

中華色薄めですがこちらもご紹介。地元産のお茶から英国紅茶まで、全編「ああお茶うめぇ…」とだけ言って1冊まとまった(笑)エッセイ。題名が物騒ですが、一応戦争反対の思いを込めて作りました(真顔)

【既刊】『閱讀之旅2019之雙城故事』 『寶島電影院』

部数僅かですがこちらもあります。

以上の本は今後ZINEイベントやブックイベント参加時にも取り扱います。
また通販も検討しております。
ではでは、よろしくお願いいたします。
そして明日のイベント頑張ります。
(当日は台カル研メンバーも集合しますよ)

| |

台湾カルチャー研究会はじめました

Photo_20220606220901 

突然ですが、立ち上げました。略して「台カル研」

Facebookページはこちら→

6月19日(日)に岩手県産業会館(産ビル)で3年ぶりに開催される第7回文学フリマ岩手のB-27「書局やさぐれ&透明度」のブースにて、この台カル研発行のZINE「台カルZINE」第1号を頒布いたします。
詳細はまた後ほど。

そうそう、書局やさぐれとしても、現在新作のZINEを製作中です。こちらも完成しましたら後ほど紹介いたします。

| |

大阪アジアン映画祭とこれからの中華電影上映

今年の第17回大阪アジアン映画祭(以下OAFF)では、昨年末に香港で公開されて話題になったアニタ・ムイの伝記映画『アニタ』がスペシャルメンションと観客賞を、昨年の香港亞洲電影節で上映された香港映画『はじめて好きになった人』が後日関西ローカルでTV放映されるABCテレビ賞をそれぞれ受賞したそうです。恭喜!

 

 

OAFFは、10年前に参加したのが最初で今のところ最後。そういえば4年前にもnoteこんな記事を書いていました。
この時期のTwitterのTLによく流れてくるのが「OAFF、東京でも開催すればいいのに」といったような東京近辺からのtweet。
すいません、大変申し訳ございませんが、田舎モンが以下太字にして言っていいですか?

「おめだづなに寝言ゆうとんだ、イベントは今のままでも東京一極集中しすぎてるでねーの。TIFFもフィルメックスも台湾巨匠傑作選もシネマート中華祭りも未体験ゾーンも国立映画アーカイヴ特集上映もあんのにはあ、ごだごだ贅沢ゆうでねえ!」

はい、失礼いたしました。正気に戻ります。

北東北の地方都市在住の映画ファンとして、地元で十分な映画館とスクリーンの数が揃っていても、小規模な配給会社によるアート館のみの上映が多い中華電影は滅多に映画館でかからないので、それがフラストレーションになっていました。地元で観られない映画は仙台に遠征したり、帰省中なら東京まで観に行ったりもしていました。だけど今はコロナ禍。昨年も一昨年も映画祭には行けてません。
もちろん、以前も書いた通り配信でカバーして観てはいるのですが、それだけではやはり物足りません。映画は映画館で観る習慣を25年以上続けているので、どうしても小さな画面での鑑賞に満足できません。

そんな不毛な状況ですが、それでも最近は少し希望を感じています。それはOAFF上映作の日本公開と、地方まで回ってくる作品が少しずつ増えていることです。

50f2f8d12906420dbd1d7aed6763d678

OAFF2020で上映されたサミー・チェン主演の香港映画『花椒の味』は、昨年11月に新宿武蔵野館で上映されましたが、そこから半年以上経った6月に中央映画劇場略して中劇で上映されます。やったあ!
(前回感想を書いたこれも中劇で上映。実はこの館のスタッフさんに熱烈なニコファンがいらして、上映時のblogが半端なく熱いのでぜひぜひご一読ください)昨年は同年上映の『少年の君』や『夕霧花園』も地元で上映がありましたし、さらに一昨年は2019年上映の『淪落の人』も上映されました。花椒と淪落は武蔵野館の配給部門武蔵野エンタテインメント配給。東京公開開始後半年でソフト化されることが多かった単館系作品が、時間をかけても全国公開で持ってきてもらえるのって本当にありがたいです。

映画祭でいち早く観て、みんなで盛り上がれることは楽しい。その場でしか上映できない映画を観られるのも本当に貴重な体験。
だけど、中華電影迷としての一番の願いは、イベントに参加したみんなが楽しんだ映画に配給がついて、それが日本全国の映画館にかかってくれることなんです。
私が住む北東北の地方都市に上映が回ってきて、地元の同好の士の皆様に観てね観てねとアピールしながら映画館に通い、鑑賞後は地元のカフェやレストランで食事しながら一人でかみしめたり、あるいは友人とあれこれ話し合ったりできることは本当に楽しいです。

これからも日本で中華電影が上映され続けてほしいので、地元で上映される映画はもちろん、できれば遠征でも観て、支えていきます。
あとはこちらに来なかった映画の上映会も行いたいです。そのためにはどうすればいいか、いろいろと策を練っています。

このコロナ禍が早く収束して、また映画祭で関東や関西の同好の士の皆様にお会いして一緒にもりあがれる日が来ますように。
そして、また香港や台湾に行けますように。

そうそう、これも言わなきゃね。
『アニタ』の日本公開を強く願います。

| | | コメント (0)

我的中華電影ベストテン2021

2016年まで「funkin'for HONGKONG十大電影」と銘打ってその年に観た中華電影のうち、気に入ったものを10作選んでいたのですが、17年以降は映画の長文の感想がなかなか書けなくなってしまいました(twitterには感想は書いているのですけどね)
ここ2年は県外の映画祭などには行けなくなり、鑑賞本数も減少気味ですが、配信で何本か観ることができたし、地元の上映も徐々に増えてきているので、今年は題名を改めて、久々にまとめてみました。
なお題名に、Twitterで書いた感想をリンクしておきます。

理大囲城

これまで25年以上東北で暮らしているのに、なぜか行く機会が全くなかった山形国際ドキュメンタリー映画祭でのオンライン上映で鑑賞。これに先立って、地元では上映がなかった『乱世備忘 僕らの雨傘運動』もオンラインでやっと鑑賞。
2019年の初夏から始まった反送中デモのうち、最も大きな動きとなった11月の香港理工大学ロックダウンでのデモ参加者と警察との攻防を記録したドキュメンタリーで、スタッフは全員匿名。かつてよく散歩した尖東の歩道橋や近くを通ったことがある理大キャンパスがこの攻防の舞台になっていることには衝撃を受けたし、大学内部に閉じ込められたデモ参加者(高校生もいた)の焦りや意見のすれ違い等も緊迫感をもって観た。当時は日本のSNSでも武力行使を是としない意見をよく見かけたけど、このデモが決して暴力に訴えたものではなかったことはよくわかるし、理解が及ぶところである。
3年前の春に行ったのが結局今のところ最後になる香港だが、新しい建物や普通話の会話がやたらと耳について気になってはいた(かくいう自分も一応普通話スピーカーだが、香港では片言の広東語か英語を使って過ごしている)直後に反送中デモが始まり、それを受けて政府や中央からのさまざまな締め付けがコロナ禍に乗じて始まってしまい、現在の状況になったことに非常に驚いている。この映画も『時代革命』も、現在香港では上映できなくなってしまった。現在の香港の状況については、近日別記事でも書いておきたいのだが、暗黒の時代に入った香港でも、決して自由を死なせてはいけないし絶望してはいけないという気持ちを持っていたいものだ。

1秒先の彼女

D2074fe89f4d4657810d6f0f0e0bfa67

《健忘村》を除くこれまでの陳玉勳作品はいずれも映画祭上映から一般公開になっていたので、今回も金馬受賞後にOAFFで上映されるのかと思っていたら、いきなり一般上映が決まって驚いた。幼いころに出会っていたアラサーで風変わりな二人のおかしな邂逅の物語。確かに初期作の『ラブゴーゴー』に通じるところは大きいけど、原点回帰というよりも進化だよね?と全ての陳玉勳作品が好きな自分は思うのであった。ついでに《健忘村》も今ならもうちょっと評価されてもいいと思うんだけどなあ…。

少年の君

7a9779d9dee94ae49798f0928711bdbd

アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート、そして20年の金像奬作品賞を受賞した香港映画。だけど舞台と俳優は中国、言語は普通話。10年代後半に『十年』や『大樹は風を招く』などに賞を与えていた金像奬がなぜ中国が舞台のこの映画に賞を与えたのか、疑問であった。香港映画で俳優としてキャリアを重ねてきたデレク・ツァン監督の作品は『恋人のディスクール』のみ観ている。この前作の『ソウルメイト/七月と安生』で単独監督デビューしているのだけど、これも舞台は中国。
これまで取り上げてきたテーマは友情やいじめと、普遍的なものである。そして鮮烈。中国製作なので、あの検閲済みの龍のマークはついているし、ラストには政府によるいじめ抑止対策の、クレジットもついていたのでプロパガンダ的にも見られそうだが、ここしばらくの中国映画が持つどこか忖度めいたものは感じられないし、制限のありそうな中でしっかり自分の描きたいことを描き切っている。周冬雨とジャクソン・イーの主演2人も、痛々しいほどの熱演を見せてくれた。
デレクの次回作はあの『三体』のnetflixドラマ版だそうで、これも楽しみである。第1話を担当とのことだが、そうするとあの場面から始めるのか…>あえてなにかは書かないでおく(読んだ人はわかっていると思うけど)

2b2571ddc2fe40c4899ce813f85257b8

↑これは公開時に劇場で掲出されていたスチール。地元の映画好きにも好評な作品でした。
それなら『七月と安生』も上映してほしかったなあ…配信で観るしかないのか。

日常対話

Dc540012ee10433aa54c5eb18140a6db

リンクはTV版の感想で失礼します。クラウドファンディング特典のトーク付き限定配信で観たのですが、なぜか感想をtweetしていなかった…

ホウちゃんのプロデュースでTV版が先行して製作され(NHKBS1で放映された『母と私』2015年製作)その後長編劇場版として製作。独立映像制作者の黃惠偵監督が、 葬儀業を営むレズビアンの母との修復を試みるためにカメラを回して自らと母の姿を撮ったドキュメンタリー。これまでの恋人たちが語る母の姿が興味深く、やがて語られる女性の抑圧に衝撃を受ける。今でこそLGBTQ+の権利を守り、多様性を重んじる台湾でも、かつての女性の扱いはやはりどこの国とも同じようなもの。監督が母との関係や彼女の過去を振り返ることで、台湾の個人史が現代史と重なるし、そこから知ることも大きいし、いろいろと考えられる。

血観音

JAIHOの配信で鑑賞。これも台湾の現代史に考えが及ぶ映画。舞台となる年代はちょうど自分が留学していた頃であった。戒厳令解除からしばらく経っていたが、まだ国民党が実権を握っていた頃だった。TVでたまたま観た省議会中継の議員の暴れっぷりにあきれた記憶がある。そして劇中での暗殺や怪死事件が当時実際にあった複数の事件を基にしているというのに闇を感じた…
JAIHOではOAFFやTIFFで上映された作品が観られてうれしいけど、だいたい期間限定配信なので、いつも最終日ギリギリに観てしまう癖を直したいところである。

私たちの青春、台湾

61be8e42313545ad910ee778be85e74e

先の記事でも触れたとおり、金馬奬で長編ドキュメンタリー賞を受賞した時の傅榆監督のスピーチが大陸側で物議を醸した作品。オードリー・タンのインタビュー本『オードリー・タンの思考』でもこの映画が紹介されていた。
14年の太陽花学運に参加した学生たちの栄光(と言っていいのか)と挫折、そして彼らを追った監督自身の心情も語られ、セルフドキュメンタリー的な面もあった。学生たちがジョシュアとアグネスに面会する場面があったが、二人の現在を思ってしまって胸が痛かった。2014年からの香港と台湾が現在こうなってしまうとは。そして今後はどう変わっていくのか。

羊飼いと風船

4c3d78a24229494b99fc7c0f0de00c40

祝、ペマツェテン作品日本初公開!
フィルメックスの常連で、ソンタルジャと共にチベット映画を確立した彼の作品が地元の映画館で観られるのは実に素晴らしきこと。
中国映枠に入れてはいけない気もするけど、王家衛が過去作をプロデュースしてるし、中華圏という枠で観られる作品だから、ということで。

坊やの人形

B62f9dfe6f2640df8415ce2729c3b354

風が踊る

D1a765a3b8dc49c2ab74e9aab2a05aee

今年はホウちゃんの過去作品をまとめて観られたのも実に有意義だった。

映画 真・三国無双

Df6ac1ee23244ba49b91ca92eec947c4

元ネタのゲームは全く知りません。ゲームだから三国の英雄たちがびしばし超能力を発揮するってことですよねそうですよね。
古天樂の呂布はいい感じの貫禄でカッコえかったけど、ハンギュンの関羽…それでいいのか、セクスィー関羽…
まあそれでも日本公開の意義はあったと思う。最近日本で作られた劉備がぼやきまくる某三国志映画に比べたら百倍も千倍もいい。
そして東京と大阪の他、唯一の地方公開を果たしてくれた地元の劇場・盛岡中央劇場には大いに感謝しております(なおこの劇場で近日『レイジング・ファイア』が上映されます。中劇のニコファンの方による熱いレコメン記事をみんな見てあげて)

番外 シャン・チー テン・リングスの伝説

52f6bbefd4544ce8949987ae0936e69f

はい、番外です。昨年唯一このblogで感想が書けた映画だけど、番外です。
中華電影へのリスペクトが込められていてもやっぱりマーベル映画だし、久々にトニーへの愛も激しく確認できたけど、まあいろいろあるし。(そして勢い余ってこんなファンフィクションまで書いてしまったので、よろしければ読んで脱力してくださいませ)
続編製作が決定したのは嬉しいけど、次のキャストには噂されているあの人よりも四大天王クラスを出してほしいなあ。

| | | コメント (0)

より以前の記事一覧