旅行・地域

春光乍洩九龍縦横記(その4)

3月28日(金)

起床して気づいたのは、朝なのに暗いこと。香港の日の出は日本より少し遅いと感じているのだが、晴天だった先の2日とは明らかに違う。若者女子たちは今日も皆寝ていて、人によっては8時まで寝ているくらいだから、毎日夜遊びしているのだろうかなどと思いながら寝不足なのに早く起きてしまう高年女子である(自分で書いててアホっぽいと思うが気にするな)

バスタオル共々、前日分の衣類を洗濯機にかけ、ランドリー隣接のキッチンの冷蔵庫から前日入れた叉焼雞扒飯のパックを出し、電子レンジで温めた。パックはジップロックコンテナより少し薄いくらいのプラスチックだったので、容器ごと温められたのは有難かった(実は出先の餐廳で食事もお菓子も食べ残すかもしれないと思って、外出時には日本から持ってきたコンテナを持ち歩いていたのだが、ほとんど使わなかった)
台湾でもよく使われるジャスミンライスは、冷えると美味しくないけど、温めると食感が復活して美味しい。出来立てじゃないけど、肉の触感もいい具合。このお米を食べて、香港や台湾に来たと実感できる。

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この日は実質最終日。
もしかして雨が降るかもしれないので、午前中から昼は近場から回って、雨に当たらないように街中メインの移動にした。まずはホステルの裏にあるガーデンヒルを攻略。
ホステルの前に立つ香港を代表するベーカリー、嘉頓(ガーデンベーカリー)の本社ビルを初めて見た時は感動した。その名の由来が、後ろに控える嘉頓山(ガーデンヒル)であったことを今さらながら知ったので、諸々の施設が開く前に踏破してみた。といっても標高は大したことはない。

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丘の途中から見る美荷樓。H型の建物がユースホステルのHにもMei HoのHにも見える

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屋上はちょっとした公園になってる

下山するとちょうど10時。泊まっていながらこれまでなかなか見る時間がなかった美荷樓生活館が開館していたので見学。もともとは団地だったこの建物は、50年代の石硤尾の大火事を受けて被災者を収容する目的で建てられたといい、広東省から移民したジョン・ウー監督が少年〜青年期を過ごし『桃さんのしあわせ』の桃姐もここで過ごしたという設定を原案のロジャー・リーさんが明かしているとか。
50年代から80年代くらいまでの暮らしが展示されている。九龍の東側の生活は九龍城砦展で体験したが、同時期の西九龍の様子もよくわかる。2000年に入って、牛頭角や観塘などにある古い団地群が解体されて再開発され、フォトスポットにもなっている彩虹の団地もそろそろ取り壊しの話もあるという。返還前後は「借り住まいの地」と呼ばれていた香港だが、返還10年を過ぎたあたりから団地や地域の再開発を機に古いものを残そうとする運動やそれにまつわる思い出を残す試みが目立っている。借り物から故郷へと香港のアイデンティティが変わっていることを改めて強く意識した。

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ウーさんのコメント

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こちらはロジャー・リー氏のコメント

続いてMTRで旺角へ向かう。インスタで見かけてチェックしていたレスリー・チャンのアルバム『為妳鐘情』発売40周年の記念展示が行われるというインテリアショップGiormaniを訪問。春休みに香港へ行くとレスリー関連イベントがいつも行われているが、日程がこちらのスケジュールと合わないことが多くて、これまではなかなか足を運べなかったし、数日後は彼の命日…と考えるとどうしても切なくなるのであった。でも九龍城砦でも80年代のアイコンとしてレスリーの「Monica」が使われるので、今年のイベントは気軽に行けそうかも、と早速行ってみた。そしたら気合を入れすぎて開店15分前に着いてしまった。なぜだ、熱烈なファンじゃないはずなのに。しかもコーナーに入れるようになっても設営はまだ続いている。これは香港では別に珍しいことではないが、私が初日一番乗り客で本当にいいのか?と自問自答しながらライヴのパネルやアナログレコード展示をじっくりと見た。2000年の春に北京(だったと思う)で開催されたライヴの映像も流れていて、新旧取り混ぜた曲の数々に聴き入った。この後のワールドツアーの東京ライヴに行った時のことも思い出したなあ…

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展示を楽しみ、係の人に撮影してもらってただのレスリーファンと化した後は一息つきたくなってショップ付属のカフェでホットの正山小種を飲んでしばし休息。ああ、この旅で初めて温かい無糖の飲み物を飲んだよ…

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外に出ると予報が変わったようですっかり晴天。この天気なら遠出できる!と思いつき、まずは資金の両替の為に尖沙咀の重慶大廈へ。残していた日本円を両替したら2日前より円安が進んでいて寂しい金額になっておりタメイキ。しかし、以前弟から20年以上前の中国留学中に使っていたという人民元をもらっていて、両替できるかもしれないと持ってきていたのを思い出したので、一番高額の100元札を2枚出したら受け取ってもらえ、なんと200元が212ドルになって返ってきた。人民元の強さを改めて思い知った(こらこら)

そこから歩いて半島先端にあるK11 MUSEAへ行き、映画館のアートハウスで座席予約をして、再び啓徳へ。AIRSIDEの城砦展に再び行き、ショップでお土産としてグッズを購入。見たら実景写真集が入荷していたのだけど、この先の遠出で持って歩くのはきついし、誠品書店や油麻地のKubrickで購入できるかと思ってその場では購入せず。屯馬線から観塘線に乗り換え、車窓から懐かしき裕民坊の跡地を眺めて悲しくなりながら、数駅先の油塘で下車。そこから海沿いにある茶果嶺道を北方向から逆に歩いた。

今では東九龍もMTRが開通して便利になったが、海沿いに面し、低層の住宅で構成される茶果嶺村は、香港最後の村といわれるくらいであり、九龍城砦のような三不管ではないにしろ、近代化からは取り残されたまま時が過ぎ、近年再開発が始まったので(参考:デイリー新潮) 村自体が大きく変わろうとしているところ。映画のロケ地にもよく使われる場所で、以前から言ったみたいと思っていた。今回行かないと次はもうないかも…というところなので、思い切って行き、小さな村の路地を迷惑にならないようにそっと歩いた。

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午後の日差しにばてそうになり、開いていた冰室に入って凍檸檬茶を注文。街中のそれとは違う、時代感漂うインテリアにラジオから流れるレスリーの曲が80年代のムードを盛り上げる。
この店は茶果嶺の老舗である榮華冰室。数年前からご主人が体調を崩されて休業していたので、それを心配していた人がSNSで多かったとのことだが、今年になって再開したそうでよかった。午餐を取っていないのに、空腹ではなかったので飲み物だけにしたのだが、今思えばもっとゆっくりしたかった。次のスケジュールと夕方からの映画の予約を入れてしまったので、そこは致し方なかったか。

行きとは逆のルートで尖沙咀に戻り、この旅でやっと行けたのが文化中心と星光大道。
今年の香港国際映画祭は4月開催で、ビジュアルの展示が少なく、探しきれなかったのが本当に残念。プログラムは英皇戯院で入手できたし、今年の映画祭アンバサダーだったアンジェラ・ユン、特集上映があったルイス・クーのビジュアル掲出は香港島側にあったのは知っていたのだけど、今回の旅では全く港島側に行かなかった(!)ので出会えなかったのよ。

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代わりに文化中心に展示されていた香港コメディ映画特集のサイネージを。『月夜の願い』『新世紀Mr.Boo!』『プロジェクトBB』など

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6年前に行ったときは表示もすり減っていて悲しく感じた星光大道も、ちゃんとリニューアルされていたようで安心。城砦関係人物の手形をどうぞ。

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古天樂(&サイン:通称トルネードポテト)

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アーロン

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サモハン

その後、K11アートハウスに行き、ニック・チョン監督&主演、テレンス・ラウ共演の『贖罪の悪夢』を鑑賞。

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映画が終わるともうすっかり夜。では星光行の誠品で写真集を…と歩いて行ってみたら、在庫はなし。ではKubrickは?と油麻地まで行き、水果市場を通り過ぎて行ってみたらここにもなし。ではまたAIRSIDEに戻らなきゃいけないのか!と啓徳まで行って購入。日本円で7,000円ほどしたが後悔はしなかった…それから約1か月後、日本語版の発売を知る前までは(いやそれでも買いますよ、はい)

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夜の果欄。まだ幾つか店は開いていた

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香港に来るといつも通ってしまうブロードウェイシネマテークも、行ったのはこの晩だけだった

最後の晩餐はここでだな、と思い、城砦展隣接のフードコーナーで注文したが、叉焼飯はすでになく、スープがあったのでいただいた。寂しい晩餐となった。なぜAIRSIDEのフードコートに行かなかったのだ、自分よ。

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スープの名前を聞き忘れた。多分メニューの一番左…

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この日の昼撮影した駄菓子コーナー

帰りはホステルの反対側にある石硤尾で下車。帰り道に惠康があったので、思い出して叉焼醤と祝君早安タオルを購入。安くてなぜかホッとし、帰宿。カフェで凍檸檬茶を頼み、最後の夜をしみじみ過ごす。

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名残惜しさを覚えながらドミトリーに戻ってパッキング。

大して買い物をしていなかったのでキャリーは重くもならなかったのだが、ここである選択ミスをしたことにより、翌日に大きなやらかしが発生したのであった…

3月29日(土)

起床5時半。まだ寝ている女子たちの迷惑にならないように着替えて最終パッキングをし、6時になってドミを退室し、チェックアウト。帰りはエアポートバスに乗りたくてフロントでバス停を教えてもらい、7時ころのバスに乗ればいいかなとか余裕かましていたが、その余裕がその後いろいろやらかしにつながった。

まずバスに乗る前に早餐用のフードを買いたかったのだが店を探しきれず。ホステルに戻ってキャリーを引き取り、バス停のあるらしい通りにいってもエアポートバスの表記はなく。結局MTR駅沿いにあるエアポートバスのバス停でしばし待ったところ7時半になっても全く捕まらず。これなヤバいと思って駅に駆け込み、AELで空港にたどり着いたのが9時前。チェックインカウンターでキャリーを預け、すぐさま出国検査に行ったが、手荷物検査で引っかかった。割れるのが不安で手荷物にした叉焼醤が持込の限度を超えていたのでチェックインで預けてもらえと言われたのだ。しかし再びチェックインカウンターに行くと無問題だからそのまま通れと言われ、再検査したらまた引っかかる。実は以前SNSで「瓶の叉焼醤は機内持ち込み限度を超えるので厳重にパッキングしてチェックイン荷物に預けるべし」と見かけていたのだが、それをすっかり忘れていたのた。怒りの講義も空しく瓶は取り上げられた。職員さんに対してキレた自分も大人げなかった。反省。

そんなこんなで悲しみに暮れながら搭乗口までの遠い道を行き、たどり着いたのは予定時刻ギリギリ。どこかで何か食べる余裕もなく搭乗した。飛行機は定刻の10時05分に離陸。

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この旅最大のやらかしにやさぐれまくり、それなら最後の午餐になる機内食は贅沢してもいいよね?と思って、残していた香港ドルで荷葉飯(機内食のため蓮の葉なし)とプーアール熟茶を購入していただいたら、いくらか怒りと悲しみはおさまった。

帰りに観たのはアンディ&ルイス主演の『ホワイト・ストーム(掃毒2)』。往路はヤバいルイスだったが復路はゲスいルイスか…となり、ああ信一と同じ手をしているとか、お姉ちゃん侍らせてるの違和感あるとか、かつての黒社会の師弟が反目しあってからの怒涛の展開に目が点になったり、ルイスを追いかける警官たちの一人に『ラスト・ダンス』のミシェル・ワイがいて手を振ったのに…といろいろ言ってたら、監督がハーマン・ヤウだったことに気づいて全て腑に落ちたのだった。

仙台空港には予定通り14時20分に到着。ほぼ同じ時間に着いていた香港航空と荷物の受け取りがダブったけど、なんとかキャリーを受け取って仙台駅に向かう。
その間にチェックしたSNSに、こんなpostがあった。

盛岡ルミエールにトワイライト・ウォリアーズ観に来たら、行列ができてて非常階段口に並んで今待ってる!」

この前日からわが地元では城砦の上映が始まったのだが、土曜の1回目の上映はなんとほぼ満席だったとのこと。
この知らせによって朝からのやさぐれ気分は吹っ飛び、とっても嬉しくなったのは言うまでもなく、仙台駅近くの書店で城砦キャスト来日時のインタビューとグラビアが掲載されたananを買って、盛岡に帰還したのだった。

旅を終えて

思えば前回の旅(残念ながらこちらで記事にはできなかった。一部は有料だけどnoteにあり)から2カ月後、反送中運動からのデモが始まり、全く予想もつかない方向に進んでいき、コロナ禍の中で国安法が施行されるなど、この6年間の香港は激動した。ネオンも9割ほど取り外され、それでも夜の街はなんとか歩けたけど、あの華やかさがなくなったのは寂しかった。街全体も人は多くともどこか雰囲気が違う。尖沙咀には行ったけど、島には全く行かなかったので、全体を見たわけではない。今後もあれこれと変わっていきそうだ。変わってしまうからこそ、行ける時にはなるべく行こう、と思ったのだった。まあ、物価は高いのだけど…というわけで、

次の旅への備忘録

・バス路線を把握する
・甘いものを摂りすぎない
・食事はスーパーの惣菜コーナーやコンビニのホットスナックをチェックせよ
・ドミトリーは至れり尽せりではない、特に熱に強いカップ的な物は持ってけ
・暑くなければ食べきれないフードは打包して持ち帰って翌日レンチンしよう
・衣服は乾燥機に耐えられる種のものを少なめに持っていく
・歩きすぎない
・歩きすぎない
・歩きすぎない

…って結局歩いてしまうので本当に気をつけよう。寝られなくなるし。

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☆この旅行記を再構成したZINEを製作します。詳細は後ほど。

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春光乍洩九龍縦横記(その3)

3月27日(木)

起床6時。曇り空のまま明るくなってきたが、同宿する若者女子たちは今日もまだ眠っている。
そっと起きだしてテラスに行き、ここ数年の朝の習慣になっているストレッチをして、プロテインを飲んで部屋に帰ろうとしたら客室エリアに入るために使うタッチ式のルームキーがない。通りかかったスタッフに事情を話して開けてもらい、フロントで新しいキーをもらってドミに戻ったら、あらまあ枕元にキーが置きっぱなしだったよ。

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この日は昼に《破・地獄(ラスト・ダンス)》を観に行くので朝はゆっくりめの行動。前日はかなり汗もかいたので、洗濯機を回してから早餐を取ることにした。あらかじめオクトパス支払い(洗濯・乾燥各30ドル)を確認していたのだが、説明をよく読まなかったために洗濯物を入れる前にタッチ支払いをして空洗いさせた(泣)仕方なく隣のマシンに入れて支払いなおし、仕上がる間に美荷・時光でサテビーフヌードルセットをいただく。その後、乾燥機を45分にセットしてドミに戻ったが、実際の乾燥所要時間は45分以上かかった。

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こちらがそのサテビーフヌードルセット。飲み物は凍檸檬茶。

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諸々片付いて10時に出発。前日に続いて尖沙咀のiSQUAREで《破・地獄》。
HKMovie6アプリで確認するとThe CORONETという座席数が少ないスクリーンが出てくるのだが、行ってみて座席を取ると、なんと190ドルで一瞬驚く。でもよく聞くとフードセット込みで「何にする?」と聞かれたので、アボカドドッグとポップコーン、アイスオレンジティーをチョイス。

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ポップコーンバケットは香港国際映画祭仕様。今年は映画の名セリフがちりばめられていて、「もう一度やり直そう(広東語/ブエノスアイレス)」や「私は海より深く人を好きなことなんて…(日本語/海よりもまだ深く)」はわかった。

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そしてシートはクッションとブランケット付きだし、スクリーンはでかい。これならあの値段も納得。しかし日本でもプレミアムスクリーンに入ったことなかったので、香港でデビューというのはありがたい。おかげでずったりのめり込んで観られた。

映画の後は尖東まで出て、屯馬線で錦田へ。
ここには客家式邸宅が並ぶ吉慶園がある、とセサミスペースMさんの『Hong Kong 旅歩き』というエッセイで読んでいたのだが、そのことはすっかり忘れていて(すみません)昨年の香港映画祭で観たサミー主演の『流水落花』の舞台及びロケ地であり、その風景が岩手にあまりにも似ていたことで「香港の岩手!香港に岩手があった!」と勝手に騒ぎ(しかもカー・シンフォン監督にもわざわざ言うくらいだった。何かわかりにくくてすみません監督ってここで謝るな)一度行ってみようと思ったのだった。

錦上路駅で下車し、マップで中心街を調べてバスに乗車。駅の反対側は高層マンション群の建設が進んでいるが、駅を離れたら低層の建物が並び、台湾の地方のロードサイドを彷彿とさせる。中心街で降り、川を渡って山の見える方向へと歩いてみる。

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目の前に見える山は香港街道地方指南によると雞公嶺(圭角山)という山。さすがに山に登る気にはなれなかったが、周辺なら回れるかと思ってしばし散歩。わき道に入ってずんずん進むとあたりはすっかり農地で、どこも有機野菜農園と書いてある。これではますます岩手ではないか、と思って歩いてた。しかし、川に戻ってふと遠くの橋を見ればずらっと並んでた五星紅旗……街のあちこちでは「中華人員共和国建国75周年」という過去のイベントポスターも見かけた。それは決して間違いではないことなのだが…と心でため息をつく。

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歩いているとよく見かけた看板なので書店なの?と思って行ったら休みだった。

帰りは駅まで歩き、やはり香港というより台湾っぽい街並みを感じ(多分吉慶園の近くも通っているが気づかなかったようだ)1回乗り換えて深水埗へ。まだ早い時間に戻れたし、久々に甜品を食べたくなったので、緑林甜品でマンゴープリンの楊枝甘露かけをいただいた。いつもの流れなら豆腐花なのだが、久々に楊枝甘露を食べたかったのでまあいいか。

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帰宿してストレッチしながら少し休憩。昼に映画を観たので、夜は深水埗を歩くことにした。夕闇に沈んでいく街は美しいなあと思いながら、晩餐のいただける店を探し、華園冰室という茶餐廳に入って、叉焼雞扒飯を注文した。この旅で初めての米飯であった。

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しかし!完食できなかった。これで残して帰るのもなんか悔しいので、店員さんに「打包(テイクアウト)」とお願いして持ち帰り用のパックをもらい(有料・2ドル)残したご飯と叉焼と雞扒をつめ、セットの凍檸檬茶は全部飲んで店を出た。日本でも食べ切れなかったらテイクアウトしているので(例えば地元の某有名そば店のカツ丼。美味しいし好きだけどボリュームが半端ない…)特に抵抗はないのだ。

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途中西九龍中心にもふらっと寄ったけど、疲れてもいたのでまっすぐ帰宿し、宿の売店で大紅袍のペットボトルを買ってテラスで飲んだ。
気温は高くて外で過ごせるのは良いのだが、疲れている時だからこそ、とにかく、熱いお茶が飲みたかった…。

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深水埗の夕方をどうぞ

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春光乍洩九龍縦横記(その2)

3月26日(水・承前)

MTRで尖沙咀まで出て、重慶大厦で両替。複数の両替店を回り、複数の店がつけてた515ドルより高い店がなかったので、そのうちの1店で両替。6年前の春は620ドルくらいだった記憶があるのだが…
尖沙咀東まで歩いてMRT屯馬線に乗って啓徳へ。5年前に開通したばかりの路線で、かつてのKCR東線が延長して名称変更したもの。もちろん初めて乗る路線。
AIRSIDEは駅直結。九龍城砦展は1階(日本で言う2階)なのでエスカレーターで上る。

確かにそこにあった。新しいショッピングモールの一角に、九龍城砦への入り口があった。

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龍城髪廊と名付けられた龍捲風の理髪店。丸刈りからパーマまであらゆる髪型に対応可能。鏡周りが楽しいことになってる。

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さすがにここに座って写真を撮る勇気はなかった…というかもしかして座るの禁止?

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フードコート部分にあった水槽。フィギュアの並べ方がかわいい

香港上映後の昨年秋くらいに空港で展示された再現セットを移転し、劇中で使用された衣裳や小道具の展示、メイキング動画の上映やエクストラな装飾もあって楽しい。春休みなので日本人客も少なくなかったが、おそらく漫画版キャラのコスプレしてた華人女子コンビがポーズをつけて写真を撮りまくってたのが印象的であった。

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生活感あふれまくり、信一の部屋の一部。

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「それどこで買ったんだ?」「シート―」でお馴染み、士多(売店)

物販ではソフトはもちろんのこと、作品をモチーフにした地元作家によるグッズがたくさんあり、噂になっていたキャラクターイメージの香水もあった。もちろん全部テイスティングして、一番華やかな信一(ピオニー&フリージア)にした。ミーハーで申し訳ない。
また、メインキャラを日本語入りでイラスト化したステッカーとマグネット(香港映画のイラストグッズを多く手掛けるデザインユニットMIBOROCKによるもの)があり、どれでも2種から購入できるというので、「龍兄貴を…」といったところ、販売員さんに「龍兄貴はセット購入でゲットできる」といわれたため、全種類購入したのであった。いい商売方法だな、と思ったが、ある意味それでよかったのかもしれない。

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こうして並べると、まるで私が信一推しみたいに思われるじゃないか。箱推しだぞ箱推し。ウケを狙ってもいいじゃないかにんげんだもの。

AIRSIDEを後にして向かったのは九龍寨城公園。16年前の春に友人と一緒に訪ねて以来だ。当時の印象はこんな感じ
公園化されてからまだ10年くらいだったから、薄いと感じるのは致し方ないのかもしれない。そろそろ30年、ともなると木々はしっかりと生い茂り、花々も見事に咲いている。あの城砦は姿を消してしまっても、そこには確かにあった、というところまで定着したのだろうな。一部改修が進んでいて、アートフェンスが並んでいた。

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公園脇の日本城でバスタオルとゴムサンダルを買い(理由は後述)腹も減ってきたので九龍城廣場に入り、雲風堂という餐廳に入る。下午茶メニューの西多士がアレンジバリバリでなんか甘すぎかも…と思っていたら、水餃があったので注文。

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水餃というより雲吞っぽい…openriceによればベトナム料理がメインのお店だったらしい

最寄りの宋皇臺駅(南宋最後の王の幼い兄弟が逃亡して休息を取った地として知られ、石碑が啓徳空港内にあったそうだが、第二次大戦時に日本軍が破壊したそうだ。ひどいし申し訳ない)から尖沙咀に戻ってiSQUARE英皇戯院に寄って映画のチケットを購入し、一旦深水埗に戻る。

美荷樓はユースホステルなので、タオル類がないのは予想がついていて、フェイスタオルとアウトドア用のクイックタオル(髪を乾かす時などに使用)を持ってきていたのだが、持っていくつもりだったバスタオルを忘れていた。そしてもう一つの誤算は、室内履きを忘れていたこと。それもスリッパではなく、館内やバスルームでも使えるビーチサンダルかゴムサンダルが必要であった。それらがなかったので、1日目の入浴はなかなか大変であった。そんなわけで、出かけた時に買ってきておいた。
食事に関しては1階の美荷・時光で食べるか、テラスをはさんだ向かいにあるキッチンで調理するというようになっていて、お茶用の熱湯も供給されていたのだが、お茶の葉やティーバッグがあってもカップがないので(皿などの食器はあるのに)温かいお茶が飲めないという事態になっていて、せっかくプーアール茶葉を持ってきていたのに飲めず、がっかりであった。
ここしばらくの台湾旅でドミトリーを利用していたが、設備が割と至れり尽くせりだったので、それになれてしまったのが油断のつきだったようだ。次に香港のドミトリーを利用する時には、携帯茶器セットかシエラカップを持っていかねば。

夕方に美荷樓に戻ってストレッチなどをして少し休み、再び尖沙咀に《今天看我怎麼說(私たちの話し方)》 を観に行く。平日のイブニングショーだからか、劇場は若者が多い。晩餐の時間にかかるので、ホットドッグと温かいお茶を注文して鑑賞のお供にする。

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美荷樓に戻ったのは22時頃。部屋が暗かったので、夜更かしもせずにさっさと入浴して寝る前のストレッチをし、24時前に就寝。だけど、久々の街歩きだったからか、なかなか眠れずに困ったのであった。

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春光乍洩九龍縦横記(その1)

3月25日から29日までの5日間、6年ぶりに香港へ行ってきた。

本来ならば台湾に行くつもりだったのだが、花巻はもとより仙台発のエアチケットがなかなか安くならずにずっと様子を見ていたところ、昨年末より仙台に就航した香港の3路線(香港航空、香港エクスプレス、大湾區航空)が台湾よりも安く、それに加えて啓徳空港跡地の再開発によって2年前にオープンしたショッピングモールAIRSIDEで『トワイライト・ウォリアーズ(以下九龍城砦or城砦)』ロケセットの再現展示が行われているということを知り、乗るしかない、このビッグウェーブに!という気持ちを起こしてチケットと宿を押さえたのであった。
エアは大湾區(グレーターベイ、以下GBA)航空。香港・マカオ・珠江をひとくくりにしたこの呼称がなんかひっかかるのだが、一番安かったので致し方ない。

宿は初めての深水埗。かつての団地をリノベしたユースホステル美荷樓のドミトリーがバーゲンセールしていたので予約。近年の台湾ではドミトリーに泊まることが多くなったが、香港の旅では初。いろいろ不安もあったが、行けばまあ何とかなるだろうと思った。

そんなわけで、久々すぎる私の香港の旅が始まった。

3月25日(火)

現在は国際空港となった仙台から出国するのは、7年前の2月の台湾以来だが、実は仙台からの香港行きは25年前に経験している。当時はドラゴン航空が仙台に就航しており、安価なパッケージツアーがあったので、地元の香港映画サークルの友人と共に行ったことがあった。しかし2003年のSARS流行がきっかけで路線は撤退し、数年後にチャーター便で復活しかけたものの、東日本大震災で中断され、その間にドラゴン航空はキャセイに吸収されて消滅し…という状態であった。もう二度と香港便は就航しないのではないか、とまで考えていたが、東京まで出ずに出国できることは、インバウンド効果でも実に嬉しい。

※しかし日本で数年前ベストセラーになった予言コミック『私が見た未来』が最近香港で翻訳出版され「今年の7月に日本で大地震が起こる」という噂が広まり旅行のキャンセルがあったなどの理由でGBAは現在減便、香港航空は休航。全くなんなんだか。

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昼に地元を出発し、空港アクセス線経由で仙台空港に着いたのは14時。すぐにGBAのカウンターに並んでチェックイン。Wi-Fiルータを受け取ってさっさと出国検査をすます。しかし早く入りすぎて出国ロビーでは暇を持て余した。
初めて見る白×ライトブルーの機体がGBA機。家族旅行の日本人グループや私のような個人旅客も多少いたが、ほぼ満席の機内を占めるのは圧倒的に香港人旅客。空港内の華語アナウンスは普通話のみだったが、搭乗すると広東語メインで安堵。

定時にテイクオフ。LCCはモニターがないので、アマプラからDLした『狼たちの処刑台』を観た。6年前の香港旅でも機内で観たのだが、九龍城砦大ヒット記念でルイス・クー出演作を何か観ようと思っての久しぶりの再見。感想は省略。
LCCでは飲食物の持ち込みができず(ミネラルウォーターの配布はある)なんとか頑張って空腹に耐えようとしていたが、それでも腹減ったーとなったので、合味道(カップヌードル)海鮮味を注文。フードサービスは有料なのでカード支払い。普段食べないだけあってこういう空腹時のカップヌードルは美味であった。

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こんな感じでサーブされる

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機窓から見る黄昏時があまりに美しかったので撮ってみた

定時の20時50分に香港着陸。荷物も早く受け取れたけど、手持ちの香港ドルが少なかったのでロビーに出る前に空港で両替。…しかし1万円出して受け取った額が500ドル切っていて大ショックであった。財布の中にはそれこそ400元ほどあったので、ここで換えなければよかった。ああ後悔役立たず。

ホステルの最寄りの深水埗まではAEL→青衣乗換でMTR東涌線荔景乗換→荃灣線で向かうことに。では早速オクトパスを…と改札をタッチしたら無反応。MTRカウンターに行かないとどうにもならないので、まずは切符を買って青衣へ。行けなかった6年間でオクトパスが切り替わって使えなくなってしまったので再発行してもらい、デポジット分を引いた残金を全て移してもらえた。ありがたい。

駅からは待ち合わせた友人に助けてもらいながら徒歩でホステルまで向かう。深水埗といってもいつも歩く問屋街の反対側で、ガーデンベーカリーの本社を越えて少し坂道を上ったところに、美荷樓はあった。
23時頃にチェックインして入ったドミトリーは女性専用の8人部屋、入ったら部屋は半分暗く、空いてた2段ベッドはどこも上段、そして私以外は皆普通話を話す華人若者女子(大陸か台湾か区別がつかなかったので一応こう言う)後からチェックインしてきた女子と相談してベッドを決め、暗くてどこに何を置いていいのかと思案しながら荷を解き、シャワーを浴びたらもう消灯されてしまったので、つまずかないよう注意してベッドに上って多分1時くらいに就寝。

3月26日(水)

起床7時。
今回の旅では多くの友人たちがほぼ同じ目的で同じ時期に来ていたため、何人かナンパ(違)して逢うことができたのだが、その中でも同じ宿に投宿している人が実に多かったので、待ち合わせは楽であった。というわけで、同宿の友人にあらかじめ一緒に早餐しませんかとアポを取ってロビーで待ち合わせて、街へ出かけた。

欽州街を下って西九龍中心近辺を歩き、汝州街にある鴻昌茶餐廳に入ってこの旅最初のごはん。

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まだ気温に慣れていなかったので熱檸檬茶。

おじさんと相席しながら(茶餐廳のお約束)あれこれ情報交換をし、短い時間だったけど、いろいろな話を楽しくできた。

ホステルに戻ったのは10時過ぎ、私と他1名を除いて全てチェックアウトしていて、ルームクリーニングが始まっていた。ここで思い立ってルームメイドさんにお願いをして、下段の空いていたベッドに自分のシーツを敷いてもらって寝床を交換してもらった。もちろんフロントにも事後報告。

昼はやはり同宿の別の友人とそのご家族に、美荷樓の中にあるカフェ美荷・時光で逢う。こちらは80年代エンタメをテーマにした内装が楽しい。こちらでも楽しくお話をして、午後からはいよいよ街へ向かう。

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お約束だが床がいい

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yesカードもこのように並べて飾るとオサレである。レスリーとアーロンになぜか目がいった

その2に続く

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恭喜新年 萬事如意@2025

  題名通り、あけましておめでとうございます。
今年初の記事ですが、まさか元宵節まで全然書けなかったとは…
昨年も多忙のため年間10本も書けませんでしたので、今年はもう少し頑張ります。

さて、本blogでもここしばらくTOPで告知をしておりました台カルシアター『赤い糸 輪廻のひみつ』上映会@岩手県公会堂ですが、先日無事に終了いたしました。ご来場いただいた皆様、サポートしていただいた皆様、誠にありがとうございました。

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当日会場に飾った紅聯。3年前のものなので年号変えました。

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この上映会については、noteに書きました。読んでいただければ幸いです。
台カルシアターは今後も続けていきます。これまで地元で上映できなかった台湾映画を少しでも多くの人に観てもらえるように頑張ります。

そして、昨年の東京国際映画祭で観てから、なんとか感想を書こうと思いつつもここまで来てしまった『トワイライト・ウォリアーズ』ですが、予想を超えるヒットで驚いております。まさか応援上映まで行われるとは…

 

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シネコンメインの上映展開なので、地元映画館での上映はもう少し先(3/28~2週間限定)でも待ちきれなかったので、隣県のシネコンまで観に行ってしまったのでした。ああもう面白かった…

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映画を観た後には食べたくなる叉焼飯。
自作してみたがなんか叉焼飯には見えない…

そしてついでに仙台で『ゴールドフィンガー』も鑑賞。

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この2作品の感想はいずれ。
次の香港映画ZINEに先行して書き、ダイジェストをこちらに掲載します。
はい、昨年に引き続き、今年もZINEを作ります。    

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そして今年もこの季節がやってまいりました、盛岡台湾Happyフェス
今年度は盛岡市と花蓮市が友好都市提携5周年ということで、様々な実践がありました。こちらもできれば書く予定。

以上、近況報告&予告的にまとめましたが、中華圏の本も読んでいるし、今年もいろんな中華ネタについて楽しく書いていきたいです。
とりあえず、来月のZINEマーケットに向かって新作のZINEを頑張ります。以上。

 

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新寶島見聞録【3】台南編

高鐵台南駅から市街地へ

ここまでのミッション
①新しい茶楼に行く
②熱炒で三杯小巻を食べる
はクリア。

そして次のミッションは
③台南へ行く

もうこれだけでミッションは完遂であった。

…いいのか、それで。

高鐵台南駅には6時前に到着。台南の天気はあまりよくないと聞いていたので、車窓をずっと眺めていたが、南下するにつれて雲が立ち込め、雨だれが落ちてきた。
いつもならそのまま台鐵に乗り換えてしまうのだが、今回は市街地までの高鐡シャトルバスH31を利用。
高鐵駅からは市街地を経由する台北市政府までのバスがあるのだが、前回と今回の宿泊地である艸祭Book innはこのバスが泊まる孔子廟の近くにある(バス停名は建興國中)
バスだとだいたい35~40分ほどかかるが、高鐵→台鐵(25分)でも台鐵台南駅からタクシーを使う距離なので、待ち時間を考慮してもバスの方が利便性がよいと、前回の帰りで利用して気づいたのであった。

高鐵駅のバスターミナルを6時に出発し、先ごろ亡くなった許文龍氏が創業した奇美食品公司の美術館、奇美博物館や台南空港(空軍台南基地兼用)等を経由して、6時半過ぎに宿に到着してチェックイン。

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3度目の投宿で、今回初めて女性専用フロアに宿泊。奥のギャラリーに面した階段から登って3階にあるため、キャリーをもって上るには少し難儀するが、奥にこんなに広くて天井が高いスペースがあったのか!と驚いた。ただ、宿泊客は思ったより少ない。複数のベッドのある個室には、家族旅行らしいグループが泊まっているのを見かけたが、それ以外の女性のドミトリー客も多くなかった。もちろん多くても諸々のリスクは上がるし、私自身も他の客とは必要最小限のコミュニケーションを取ればいいと思うタイプなので、少ない方がいいのだけど、それでも寂しいなあ…。

台南で香港を見つける(1)秘氏珈琲

何度も来ているのでわかってはいるが、台南の夜は早い。
そして8時には主要なお店はみんな閉まってしまい、後は熱炒やバーなどフード以外のお店の営業だけになってしまう。
この4年間、健康上の理由で酒を飲むのをやめたので、バー系のお店にはもう行けない。でもお腹は空いているから…と、ぽつぽつ雨の降る中、台南の台所である國華街を目指して歩いた。
案の定、主要なお店はもう閉店の準備をしていた。それでもここに来たのは、永楽市場の2階にあるカフェ、秘氏珈琲に行きたかったからだ。
この店は4年前から約1年台南に留学していた台カル研のIさんに紹介してもらったのだが、それまで何度も足を運んだ場所なのに、さすがに2階まで行くことがなかったので、まったく知ることがなかった。ああ、なんともったいない…

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カウンター席は満席だったので、2階(実質上3階)席に上がると、見覚えのある壁紙やら赤いランプシェードやら。撮影に失敗したから載せられないけど、花様年華のソフトも置いてあってテンションが上がる。

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そう、この雰囲気は古い香港。ここは台北の師範大学の近辺にある秘氏珈琲の支店でもある。

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例によってコーヒーは飲めないので、それ以外でメニューを探したら、プーアール茶があったのでオーダー。しばらく経つと、マスターがサーバーに並々と注がれたプーアール茶とガトーショコラを持ってきてくれた。ガトーショコラは全然甘くないので、おそらくビターカカオを使っていた様子。プーアール茶は黒く濃かったが、香港の飲茶レストランで飲めるあの味を思い出させるので、とにかくうれしくて何杯も飲めたし、残すのももったいなくてタンブラーにも詰めた(!)

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カウンターに下がってマスターにプーアール茶の美味しさを褒め、お礼を言ったら、そのお茶を分けてもらえた。これは予想外で嬉しかった。看板猫もいた。今回はゆっくりできなかったけど、次回はカウンターでマスターともっとお話ができたらいいな…と思い、店を後にした。

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市場を出たところでも猫さんに遭遇。台湾各地の街には犬が落ちていると言われるくらいだが、最近は猫を見かける方が多い。

そんなふうにしみじみしながら宿に戻ったが、やはりお茶とケーキだけでは空腹は収まらず、宿近くのセブンイレブンでレトルト粥を買って宿のキッチンで食べることに。
帰宿して、フロントスタッフさんに「晩餐何食べたの?」と言われて粥を見せたらものすごく気の毒がられてしまった…。でも、この4年間ずっと戻りたくて仕方がなかったので、食事よりもここにいられることがまずは嬉しかった。
ドミトリーの消灯は10時とこちらも早め。疲れもあるので、それに合わせて早く寝ることにした。

8月8日(火・4日目)

目覚めたのは朝の5時。
まだ夜は明けていない。
いや、明けていないどころか、窓の外からは明らかに激しく降る雨音が。

この時期は、大型の台風が台湾付近に停滞していたころ。だから旅の最中におそらく一度は大雨にあたるだろうという嫌な予感があった。そしてその予感は的中した。
もともと4日目は予定もちゃんと立てておらず、天候次第で動くつもりであった。雨の降り方も降ったりやんだりの亜熱帯気候特有の降り方。この時期の香港でもお馴染み、いやそれ以上に激しく降っていたので、午前中は宿に滞在してこれまで汗を書いてきた衣類を洗濯しながら、映画を見て過ごすことにした。

かつて宿では早餐のサービスがあったのだが、コロナ禍もあったのだろうか、そのサービスもなくなっていた。ということは宿泊客は自前で早餐を取らねばならない。
かつて素泊まりのホステルに投宿した際は、近隣に牛肉湯の店があり、サバヒー粥を食べに行ったりしたが、雨の降りがひどいので近場で済ませたかった。ということで、宿の並びになる克林台包で肉包とペットボトルの烏龍茶を買い、キッチンでフリーフードのクラッカーをもらって食べた。件の家族連れは大きな肉包を蒸し器で温めなおして家族で分け合って食べていた。うらやましかった…。

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宿では洗濯機が9時半から使えるので、屋上のランドリースペースに上がって、これまで着ていた衣類をすべて洗う。使い慣れない液体洗剤やコインの入れ方に戸惑ったが、スタッフさんをつかまえて両替してもらってなんとか起動。2回に分けて洗ったのでトータルは1時間半くらい。
待ち時間は映画を観ようと思ってプライムビデオのアプリを起動したが、DLしたはずの無料作品が再生できない。ああ、そうか。無料作品は各国で異なるから、国境をまたぐとそれが無効になるのか!でも有料でレンタルしていた『運命のマッチアップ』は生きていたので、それを観ることにした。

王家衛プロデュースで『共犯』『光にふれる』を撮ったチャン・ロンジー監督作品。いずれも青春ものだけど、この2作とは趣を異にしていて面白い。バスケットボール台湾代表になった実在の兄弟選手をモデルにストレートな青春映画。中学でのトラブルと父親の失踪がもとで進学とバスケを諦めた二人がそれぞれ別の高校にスカウトされ、高校リーグで勝ち上がっていく筋書きはあまりにもオーソドックスだけど、耳の障害を抱えながら弱小校で頭角を現す兄と強豪校で実力を発揮する弟のコントラストとそれでも強く結びつく兄弟愛がとてもよろしい。
音楽もカッコいいよ。

私はまだまだ台南を知らない

昼近くになって雨が小やみになったので、外に出た。
ここ数年台湾に来ればだいたい台南に寄っているし、赤崁樓や安平等主な名所には行ってしまっている。あと行ってみたかったのは遠方の國立台湾歴史博物館や玉井などだが、どちらも行くのには時間がかかる。だからまだ足を運んでいない知事官邸生活館に行き、ついでに成功大学方面を散策することにした。

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ここはかつて昭和天皇が皇太子時代に台湾を訪問されたときに宿泊された建物である旧台南州庁。
かなり年季の入った木造建築で、階段を歩く時にも注意が必要だったが、20世紀初頭からの歴史を感じさせる建物である。
2階はギャラリーになっていて、多分期間限定で陶器の展示販売が行われていた。

そのまま成功大学を目指したが、天気は好転し暑さと日差しが戻ってきたので、学内の散策は諦めた。次行けるかな…

台南で香港を見つける(2)檀島香港茶餐廳

調子に乗って成功大学からずんずんと歩き、1時間経ってたどり着いたのが巨大ショッピングモール、南紡購物中心
ここは台南最大のショッピングモールで、もちろん誠品生活も入っている。
時間も午後2時を過ぎ、午餐というよりおやつになってしまうな…と思いつつショップリストを眺めていると、「檀島」という懐かしさを感じる文字に出会った。香港でよく入った檀島珈琲の海外展開店(多分)、檀島香港茶餐廳である。新光三越等デパートやショッピングモールに多く出店しているらしい。

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ここに来て注文するのはもうこれしかない。既にカロリーやコレステロール値を心配する年頃になってしまったが、それでも食べたい菠蘿油。
重ねて言うが、これは決して台湾メロンパンではない。香港メロンパンとも呼ばないでほしい。
飲み物はもちろん冰檸檬茶。
これだけでは当然足りないので、蝦餃も注文した。こういう点心があるのが海外展開店の強みだよね。

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台南は既に私の心のご近所と化しているが、もちろん香港にだって心は置いている。今はあんな状況になっているし、私の愛した風景も失われつつあるのは承知だが、好きな街(台南)で好きな街(香港)のことを思いながら久々の味を堪能した。
そういえば、数年前のことだけど、台南には香港から移住した人が割と多いという話を聞いた。
実際に香港出身の人たちと知り合いになる機会はなかったけど、もし出会えたら台南のどこが気に入ってるのかというのを聞いてみたいところ。

そしていつもの街角へ

南紡のエントランスからタクシーを呼んでもらって、今度は林百貨へ。やはりいつもの場所に行かねば。
ここでお土産等を購入し、これまたいつもの街角である正興街を目指す。

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4年前に訪れた時はリノベ工事が始まったばかりだった西市場。外見はだいぶ復元されていたけど、この時点では完全復活という感じではなかった様子。内部の布市場は通常営業だったので少し冷やかす。
この近辺ではかつての佳佳西市場旅店(2018年夏閉館)が新しいホテルへと改装されつつあったのと、特有種商行の台南店が閉店していたのを確認。

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全美戯院のアドトラックは李安監督の作品の看板で飾られていた。
全美の看板職人さんの仕事にも今注目が集まっているらしい(その一人、顔振發さんについての記事はこれ

いつまでもここにいたい、台南の夜

陽も傾いてきたので帰宿することに。でもその前に、喉も乾いたので宿近くの莉莉水果店で果物を買った。

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ここは宿のロビー(飲食可)
ブックカフェな雰囲気を楽しみながら味わった。
めったに食べない黄色いスイカはテンション上がるよ。

晩餐はテイクアウトすることにして、ガイドブックで見つけた肉伯火鶏肉飯まで歩いて買いに行った。

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うん、これは失敗がないチョイス!
でも帰宿してこれを見せたら、スタッフさんに「あそこはチェーンだよ。聞いてくれたらもっと美味しいお店が近くにあったら教えてあげたのに」と言われてしまった…先に聞けばよかったのかー!
でも鶏肉飯も美味しかったからいいか。今度は必ず教えてもらおう。

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晩餐の後はしばし散歩。
その後は宿に戻ってラウンジでお茶を飲み、ジャーナルをまとめながらベランダから外を眺めていた。

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光って見えるのは、4年前にオープンした台南市美術館2館。

私が台湾で一番好きな街である台南。来る前はあそこに行って買い物して食べて云々といろいろ考えるのだが、こうして来てしまうと、ただ来られただけでもう満足してしまうし、今回のように雨に降られてどこにも行けなくなってしまってもそれほど不満に思ってない。明日帰国するのは本当に残念だけど、できることならいつまでもここにいたい。

そんなふうにぼんやり考えながら熱風にあてられてたら、ドミの消灯時間が近づいてきた。7時台の高鐡を予約しているので、朝6時のシャトルバスに乗らなければならない。急いで戻って荷物整理をし、11時に寝た。

8月9日(水・5日目)

前日の夜から雨は降りだしてはいたが、5時に目覚めた時には大きな音を立てて激しく降っていた。
同じ時期の香港でも見られる短時間のスコールのような雨。これはタイミングを見て出ていかなければならない。

そして出発の朝

シャトルバスは6時10分発。雨が小降りになったので、6時前にチェックアウト。

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また泊まりに来るよ、艸祭。それまでまだここにあってほしい。

高鐡台南站に着き、バスから一歩降りたら猛烈な雨が降ってきた。咄嗟に傘を差したけど、足元は当然びしょ濡れ。建物に入って間もなくすぐ止んだので、タイミングが悪かったとしかいえない。
早餐は駅でテイクアウトして高鐡で食べよう、と1階のモスバーガーに並び、ここはやっぱり台湾オリジナルの朝モスメニューだよねーとオーダーしたら、バーガー類は時間がかかると言われたのですぐ出してもらえるエビかつサンドイッチにした(これも日本では食べられない台湾オリジナルではあるはず)薬も飲むのでセブンでミネラルウォーターも購入。

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曇ってはいるが、北上していくと空は明るくなる。もう雨の心配はなさそうだ。
定刻に桃園に着き、MRTに乗り換えてフライトの2時間半前に空港に入り、いざチェックイン…とカウンターのボードを見て気が遠くなった。

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フライト時間が1時間遅くなっている…。荷物は多いし、何して待っていればいいのだオレよ…あ、充電すればいいのか。
と、カウンター前のバッテリーチャージができるベンチに陣取って1時間待った。
荷物を預けて軽くなったら、到着ロビー地下の7-11まで行ってWi-Fiを返却し、すぐ戻って保安検査を受けて出国。
そして街中では買えなかったお土産を買いに、搭乗開始時間を気にしながら搭乗口よりかなり離れた売店までダッシュしたのであった…。

飛行機は定時より1時間遅れ、13:30くらいに離陸。
午餐は虎航機内食の定番、焦がし鶏肉飯。
プライムビデオも観られなかったので、持ってきた文庫本を読みつつウトウトしながら過ごしていた。

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花巻には6時40分くらいに到着。ちょうど陽も暮れた頃。
土曜日に昼にデッキの反対側から見た風景を、今度は機内から見た。
歓迎ありがとうございます、花巻温泉の皆さん。

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盛岡行きのバスは19時30分発というので、乗車して待っていたところ、バスの前で台湾人家族が困っているようだったのでどこへ行きたいか聞いたところ、花巻の市街地に行きたかったらしく、このバスで花巻空港駅前で降りて一関行の東北本線に乗れば市街地まで行けることを中国語で教えてあげた。台湾人旅客はほとんど団体だったようだが、個人客でも来る人がいるのはなぜか嬉しく感じた。
盛岡に着き、晩餐して帰宅したのは21時過ぎ。自宅にたどり着いて4年半ぶりの台湾旅行はこれで完結。

離れても、私の心は台湾に

4年ぶりに訪れた台湾。変わっていないようで変わったし、以前ほど気楽に行けるわけではなくなったというのがこの旅での総括である。
特にエアチケットの高騰がなんといっても痛かった。日本では物価も高騰し、サラリーも上がらずと家計に打撃を与える要素はやはり多く、加えて円安と戦争による燃料費の高騰等も要因ではある。来年の春にまた行けるかどうかと思い、虎航とよく使っていたANAで3月下旬のエアチケットを調べてみたら、今までではもう信じられない価格が出てきて絶句した…。台湾人旅行客の日本人気は相変わらず、むしろコロナ禍以前よりも来日は増加しているのは実感できるのだけど、日本からの来台客は逆に少なくなったそうで台湾側は来て来て!とアピールしているそうだ。でもさ、こんなにエアチケットが高ければ気軽に行けないですよ、ホント…。

そんなわけで、今度行くとしたらまた来年になるか、あるいは再来年になるかという具合である。
その間、また何か世界的に大きな事件があったりしたら困る。もちろん俗にいう「台湾有事」なんていうのも御免だ(ただ、日本の一部のいわゆる「識者」たちは中台間のこれまでの歴史やスタンス等をあまり深く考えずに台湾有事云々と言っているように感じて複雑な気持ちになる)安心して海外に出られるように願うし、そのためにはやはり戦争なんかやってはいけない。もちろん台湾有事をあおってはいけない。

せっかく自由に行けるようになっても、こんな感じでまた物理的に離れてしまいそうだが、それでも私の心は台湾に置いておきたい。
というわけで、台湾旅行記はこれにて完結。

(近日、この記事を基にして台湾旅行記ZINEを作成。
詳細は後日UP)

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新寶島見聞録【2】台北編

8月6日(日・2日目)

5年ぶりの台北の朝。
暑そうだった。
当然である。

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合星青年旅館(以下ホステル)では朝食が提供される。朝8時と比較的遅めだが、さすがに外出してどこかの早餐店で食べてもう一度…とかいう元気も暑さで喪失気味なので、時間まで待ってiPhoneとプロテインシェイカーを携えてロビーに降りた。

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早餐はビュッフェスタイルで、主食(この日はミニハンバーガー)タマゴ・ミニ焼き芋・サラダ・フルーツ。お茶は当然天仁茗茶の烏龍茶ティーバッグ。

小隱茶庵で猫とともに

この日は中部に住む弟と会う日。
ここしばらくは台南まで来てもらっていたのだが、本人の希望で久しぶりに台北で会うことに。ホステル近くのスタバで待ち合わせし、お茶等の持ち帰り荷物と依頼されて持ってきた荷物を引き換え、一度ホステルに置いてきてから予約していた小隱茶庵の信義店へ移動。

ここは今年発行されたブルータスやhanakoの特集号で紹介された新しい茶楼。
東門にある本店が有名だけど、宿に近いし象山公園も散歩できるかな…と思った(だが、日象山は高低差が大きい場所だから酷暑に散歩は自殺行為だぞと弟に言われて散歩はギブアップ)googleマップでルートを調べたら、現在地からバスでの乗り継ぎが便利とあってそれに従ったが大失敗。降車場所を間違えて散々歩き、予約時間に遅れてのチェックインとなった。MRT板南線で忠孝復興→文湖線で大安→淡水信義線で象山(終点)のルートを使った方が、地上でバテることなく快適に行けたのに…

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お茶は金萱茶をチョイス。フードメニューもあったので、炸醬麵を注文した。
レトロな内装でいい雰囲気だけど、BGMがJ-POPだったね…まあ好みはそれぞれですが。
自分のペースでお茶が飲めるのがありがたかった。

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ソファーでは看板猫さんがのんびりまどろむ。おとなしくて人馴れしててかわいかった。

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楊德昌(エドワード・ヤン)との邂逅

制限時間いっぱいまで弟と近況をあれこれ語り合って、2時過ぎに店を出た。次は象山駅から淡水線に乗り台北市立美術館へ。エドワード・ヤン(以下ヤンちゃん)の回顧展《一一重構:楊徳昌》を見た(内容はこちらのレポートをご参照あれ)。
2007年に彼が亡くなって15年以上が過ぎ、日本でも作品がなかなか観られなかったけど、牯嶺街のリバイバルのヒットから旧作のリマスター版が次々に公開され、『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督が敬愛する監督の一人としても知られることになり、ヤンちゃんの再評価が高まったのは本当に喜ばしいこと。監督作品に関わる資料がほぼ全て展示され、日本公開時のポスターやプレスや雑誌まであって、非常に見ごたえのある企画。いろいろ見入っては観た当時のことも思い出したし、それに夢中で写真はあまり撮れなかった…。

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数少ない写真。牯嶺街の国際版ポスターその1

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牯嶺街国際版ポスターその2。両方ともフランス版か。

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『恐怖分子』のあの場面の再現

一方、台湾生活トータル10年とはいえ、連れの弟は台湾映画には親しくない様子。ホウちゃんは知っているしついでに王家衛作品は『花様年華』が好き(姉とはことごとく好みが違うのにこれだけはなぜか一致)だけど、映画はもちろんヤンちゃんの名前すらも知らなかった…まあ、そんなものか。
でも、ヤンちゃんが手塚治虫ファンで漫画家を目指していたという点で興味をひかれたようで、各作品の絵コンテやイメージスケッチ、『エドワード・ヤンの恋愛時代』のために描いた各キャラのスケッチや自画像にはしっかり注目して「かわいい!上手い!キャラクターグッズにしたら売れるよね?」と感心していた。

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これは美術館でもらった、新北の國家電影及視聴文化中心で同時期開催のレトロスペクティブのプログラム。
このイラストを使用した特製グッズもあったのだが購入せず。台北滞在時にも上映がなかったので行けなかったし。

日曜夜の遼寧街で

ホステルに戻り、ドミトリーに入ろうとしてカードキーをドアにかざしたら、開かない。不思議に思ってロビーにある受付に行ったところで、ちゃんとチェックインしてなかったことを思い出した…。宿代を払ってキーを有効化してもらい、やっとドミに入れた。

今回の旅のミッション①は「新しい茶楼に行くこと」だったので、昼でクリア。次なるミッションは「熱炒で本場の三杯小巻を食べること」。
3年間に渡る渡航自粛期間の影響で台湾料理を作ることにハマり、フレッシュバジルが手に入る夏場には三杯雞や三杯菇を作るのが定番になった。しかし、残念なことに、私は台湾で三杯雞や三杯菇を食べたことがなかった。つまり、本場の味を知らずに作っていたってわけ。それなら次の台湾行きで三杯料理を何か食べよう!と思い立った。というわけでミッションその②に取り掛かる。
目指すは我が心の遼寧街!(BGMはもちろん「Happy Together」)

遼寧街の夜市は日曜休業の店が多いのだが、日程の都合上これは仕方がない…と思ってたら、海鮮を専門とする来来活海鮮を見つけ、店先のメニューに三杯小巻があったので、ここで食べることにした。

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三杯料理に使う九層塔(台湾バジル)は日本のそれとは明らかに違う味わいことが分かった。
そしてこれ以外は頼まなかった。他に食べたらお腹いっぱいで帰れなくなりそうだったので(笑)

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でもデザートは何か欲しいと思い、開いてた豆花と芋圓の店で緑豆豆花をテイクアウトしてホステルで食べた。

帰りがけ、東區地下街のドラッグストアで買い物した帰り、いきなり「あなたのバッグ可愛いわね」と若いカップルに声をかけられた。中国語で返したら妙に盛り上がり、なぜかLINEを交換する羽目に。その二人は新竹から台北まで遊びに来ていたそうで、これは今度新竹に行った時に声を掛けて遊びに行けばいいのかな?と思った(その後勝手に変なグループLINEに追加されたが、よくわからなかったのでさすがに拒否したけど。その後、彼らはたまーにメッセージくれます)

8月7日(月・3日目)

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早餐はトースト、蛋餅とソーセージ、そしてサラダとフルーツ。

この日は午後から台南へ移動と決めていた。当初は貓空に行く予定を立てていたが、説明不要の酷暑のため、これまであまり歩いてこなかった街中の散策に切り替え、松山文創園區(以下松菸)へ行った。

國父紀念館でMRTを降りるとすぐ、当時建設中の台北ドームに行き当たった。そこから少し歩くと松菸の入り口に行き当たる。
実は当初、ブルータスで見た不只是圖書館に行きたかったのだが、あいにく月曜が定休日とのことで結局かなわず。とりあえず外から眺めて次回の再訪を決意。隣接する誠品生活松菸店ものぞいてたらあっという間に正午に。
午餐どうしよう…と悩んで赤峰街に向かった

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しばらく歩き回って選んだのはMiss V Bakery Cafe
チキンパニーニのセットをいただいた。

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お茶は水出しの烏龍茶。一般的なカフェにもこういうメニューがあるのは嬉しい。

その後、弟から教えてもらった蘑菇の店舗に初めて行き、あれこれお買い物。
これでだいたい満足したので、ホステルに戻った。

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ホステルのロビー。個室風スペースもあって居心地が良い。ビジターも面会等でここまでは入れる。

高鐡3日パスの旅

ここしばらくの私の台湾旅は台南がメインになるので、必然的に高鐡を使うことになる。今回は後半2泊が台南なので、外国人旅客向けの台湾高鐡3日パスにトライしてみた。取り方は出発前日にSNSに流れてきたこちらのページを参考にした。オンラインで乗る高鐡の予約までしようかと思ったけど、窓口引き換えを体験したかったので、窓口で予約して発券してもらった。平日で混雑していなかったこともあり、すぐ取れてよかった…のだけど、3列席の真ん中だったので、キャリーの置き場に困ったことを記しておく。

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台北駅にて。日立の家電の代言人を務めてた五月天。街中で見かけたらそりゃ撮るよねー(笑)

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というわけで五月天に見送られ(嘘)天仁茗茶のスタンドで四季春を買い、それを持って台北を後にしたのであった。

(続く。次回で完結)

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新寶島見聞録【1】準備~台北到着編

8月5日(土)から9日(水)に、実に4年半ぶりに台湾に行ってきた。

blogを始めてこの方、毎年香港か台湾には行っていたのだが、この3年間、海外どころか長期の帰省もまともにできない状態だった。それほどまでにコロナの打撃を受けたのだが、幸い何とか感染せずにここまで来た。5類引き下げを前にした今年の春くらいから関東にも行けるようになったので、マスクをつけての行動やこまめな手洗いや消毒などに気をつければ海外にも行かれる。だから行くことにした。

2020年2月末から運休していたタイガーエアの花巻台湾便が5月から復活し、先だって2月下旬にバーゲンセールを行っていた。当然喜び勇んでバーゲンでチケットを買おうと思ったら、あっという間にバーゲン終了。それにもめげずに上記の日程のチケットを予約したのだが、LCCなのに定額の購入金額がフルキャリアとほぼ同額というのはいったい何なんだ。それは円安だからだ。まあ、成田や羽田へ向かう往復の新幹線の運賃を合わせた金額だと思ってあきらめ、その分宿代は節約してドミトリーにした。
当初20年3月に台湾行きを予定していたときは、初日と離台前日に台北に泊まり、真ん中は台南に2泊するつもりだった。しかし今回は前半に台北2泊、後半に台南2泊で、最終日は早朝に台南から桃園を目指すこととなり、駆け足のスケジュールを組む羽目になった。それでもよかった。とにかく台湾に行ければよかった。

そんなわけで、史上稀にみる猛暑の日本を脱出し、猛暑から豪雨まで目まぐるしく変わる天気の台湾を北から南まで旅し、見て聞いた記録を始めよう。

旅の前に用意したこと

まずは移動中のエンターテインメント。
私の旅には本が欠かせない。旅先に合わせて本を選ぶということもあったが、今回は積読していた文庫本をお供にした。いずれも日本の小説。
タイガーエアはLCCなので、座席にモニターはない。フライト時間は約4時間なので、1時間半の映画なら2本は観られる。というわけで、手持ちのiPadにprimevideoから台湾映画をダウンロード。選んだのは次の4作品。

 ・悲しみより、もっと悲しい物語
 ・狂獣
 ・High Flash 引火点
 ・運命のマッチアップ

このうち上の3作品はprime会員は無料鑑賞&DL可で、友人にお勧めされた『運命の…』は有料レンタル。
長時間移動が多いこの旅で、果たして全作品観られたかどうか?結果はまた後ほど。

さて、荷物はどうするか。
LCCの荷物預け入れは有料。以前行きだけ預けないケースで行くことを試みたが、持っていったキャリーが機内持ち込みサイズを超えてしまったので、約5,000円の追加料金を払った経験がある。今回は毎回恒例の弟からの荷物持ち帰りミッションを受けていたので、往復共に預け入れ料金を払った。
持っていくキャリーはここ10年ほど香港や台湾に持っていっている1週間程度の旅の荷物が入るもの。弟からは冬物の衣類やお茶類の持ち帰りを頼まれることが多いが、その量もこちらの予想以上なので、半分以上はその荷物で占められることを予想した。だから、キャリーの半分以下に自分の荷物を抑えることが課題となる。では、いかに荷物を少なくするかといえば、滞在先で洗濯できるように衣類を減らすのが一番。加えて夏場なので、ノースリーブ数枚に軽いブラウスという組み合わせにした。冷房も厳しいのでカーディガンも持った。
移動時はリュックサックにiPadを詰め、貴重品は街歩き用の軽いショルダーバッグに。足元はビルケンシュトックのサンダルのみ。

私のiPhoneはまだsimフリーではないので、これまでは日本でWi-Fiルータをレンタルしていった。しかしサイトで試算したら、やはりレンタル金額は高くなっていた。ここ最近は海外のパケット放題も定着したとは言うけど、やはりポータブルWi-Fiがあった方が安心する。そんな時、台北ナビで現地レンタルのiVideo割引キャンペーンを行っており、プランを確認したら日本で借りて出るよりもずっと安かったので予約して申し込み。空港内のセブンイレブンを引き取り場所に指定した。

そして今回はTHSRの移動のために、今まで申し込んだことのなかった台湾高鐡3日パスも予約してみた。

以上のように準備をして、出発日を迎えた。

8月5日(土・1日目)

自宅から一番近い空港はいわて花巻空港。ここから出国して台湾に行くのは、5年前(2018年)の夏以来2回目。
この空港自体は飛ばない時でも仕事で何度か来たことがあったし、9年前の冬の台湾と4年前の春の香港でそれぞれ関空からフライトする時の出発で使ったことがあるので、もうすっかり馴染みの空港である。

地方空港からの出国

盛岡からのアクセスは鉄道と直通バスがあるが、バスも駅に寄ること、各フライトに合わせたダイヤが組まれていることからバスを選択。台湾便は団体利用が多いせいか、公共交通を利用する個人旅客は少ない。でも盛岡から花巻までは東北道を利用するので、快適に移動できる。

到着して団体に交じってチェックインカウンターに並ぶが、ここでトラブル発生。予約時に申し込んだ名前のアルファベット表記がパスポートと逆だった。以前エクスペディアからエアチケットを購入した時も同じトラブルで訂正されたことがあったが(それ以降エクスペディアを使わなくなった)どうやら久々の予約で入力し間違えたらしい。ここで30分ほど時間を食ったが、何とか訂正してもらえた。LCCはフライト2時間半前に空港に来ることとよく言われているが、こういうこともあるからか。これが国際空港だとここからボディチェックや出国審査でさらに時間が取られ、焦りながら搭乗することになるが、ここは小さな地方空港なので施設は小さいし、多少時間を取られても大丈夫。
無事チェックインと手荷物の預け入れが済んで移動。売店をのぞく用事もないので、暑い中(!)展望ロビーに行って外を眺めたりしていた。

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展望ロビーの階から、待機場と反対側にある山々を眺める。多分花巻温泉のある側

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台湾便の到着時にはいつもお出迎えしている花巻温泉の皆さん。5年前の夏にもお見かけした。

面白かったのは、出発ロビーでボランティアの若者から手荷物に入れる液体物袋を渡されるときに、中国語で話しかけられたこと。時間帯的に台湾便の旅客が多かったからかもしれないが、個人旅の台湾人客に思われたのかな。この頃は地元のさんさ踊りから青森ねぶた・弘前ねぷた・秋田の竿灯など、東北の夏祭りシーズンのピーク期で台湾人ツアー客が多かったが、同じ便に乗る日本人は家族連ればかりでソロはどうやら自分だけだった様子。

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飛行機は定刻通り18時前に離陸。

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予約していた機内食はベジタリアンのキノコ炒め。味はまあまあ。

行きの機内で観た映画は『悲しみより、もっと悲しい物語』。韓国映画のリメイクだけどオリジナルは未見。
高校時代からひかれあいながらも恋愛関係ではなく良きパートナーとして関係を築いてきたK(劉以豪)とクリーム(アイビー・チェン)の、お互いを思いやるあまりに自らの気持ちを抑え込んで取った各々の行動とその顛末に悲しくなった。だからこの題名なんですか(泣)オリジナルではさらに悲しいのだろうか。

 

桃園MRTで台北へ→ホステルへチェックイン

21時に桃園に着陸。真夏の台湾は5年前に続いて二度目だが、なんとなく暑さの質が違うように感じる。
予約していた合星青年旅館(スターホステル台北イースト)はチェックイン対応が22時30分まで、それ以降にインするならDMしてほしいと言われていたので、到着後すぐDMを送ってセルフチェックインの手続きをしてもらった。

桃園空港は広い。もし自分が若くて手荷物だけだったら、降機後ダッシュして入国審査を速攻でパスし、預け荷物受取場を華麗にスルーして1階のセブンイレブンに寄ってルーターを受け取り、すぐさま桃園MRT(以下空港線)ターミナルに行って直達車(以下快速)に乗れたら、なんとか22時30分のチェックインに間に合ったのだろうけど、果たして現実は厳しかった。入国審査は激混みだし、預けた荷物はなかなか出てこないし、セブンイレブンでは並んだし、悠遊卡のチャージも忘れてたし、開き直ってチャレンジしたこのキャンペーンはやっぱり外れたし、挙句の果てにやっとのことでたどり着いたプラットホームではタッチの差で快速に乗り遅れた…この時点で21時50分くらい。
はい、これはもうのんびり行けってことですね…というわけで10分後にやってきた普通車に乗り、50分かけて台北まで行った。

空港線の台北駅ホームは、駅の北側にある。開業当初、他のMRTに乗り換えるのに距離があって不便というのをよく聞いていたのだが、東京駅や大阪駅で乗り換えに歩くのに慣れていることもあって(地方暮らしももう30年なのに!)言われているほど不便には感じなかった。ホステルがある東區までは板南線で移動し、忠孝敦化で下車。忠孝東路の路地を入ればすぐ場所が分かったし、セルフチェックインも難しくなかったので、寝床であるドミトリーまでは容易にたどり着けた。よかった。
消灯後で暗かったので、寝ている人に注意して荷物を片付け、ロビーに降りて翌日の準備をあれこれしてから就寝。

(続く)

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【ZINE新作】『台カルZINE Vol.2』ほか

岩手と台湾をカルチャーで結び、台湾カルチャーを深掘りする楽しみを伝える目的で2021年に結成された台湾カルチャー研究会のZINE「台カルZINE」の最新号が発行され、盛岡市内の各ブックイベントで販売しました。

【新刊】台カルZINE Vol.2 特集:NO MUSIC,NO TAIWAN(台湾カルチャー研究会)

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1号が映画なら2号は音楽!という理由での音楽特集。とはいえ台湾音楽も実に幅広く、すべてを網羅することは不可能なので、メンバー3人の偏愛音楽エッセイを中心に構成。日本でも放映された2000年代の台湾ドラマを彩ったテーマソング集があれば、台湾での村上春樹の受容を追っていたら出会った文青ポップスもあり。私はかつてこのblogでも書いてきたジェイ五月天の日本ライヴレポートのダイジェスト版と、自分が初めて触れた1990年代前半の台湾ポップスの思い出について書き下ろしました。
また、このZINEで紹介した曲を中心にしたプレイリストもspotifyでつくりました。よろしければ聴いてみてください。

 

【新刊】『このまちで えいがをみること』書局やさぐれ

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表紙はこの4月に営業を終了した、岩手県盛岡市の映画館通りにあるニッカツゴールデンビル。
かつては日活の映画館が入っていたビルで、日活撤退後も長年映画館が入っていました。
このビル自体の営業終了により映画館が閉館したことがきっかけで作ったZINEです。

11年前に香港映画の、5年前に台湾映画のZINEをそれぞれ作ってきたので、3冊目の映画ZINEはそれ以外…となるはずなのだけど、それでもここで紹介するのは、ええ、それでも入っているのですよ、香港映画+αが(^_^;)。
このZINEでは、自分が昨年観て気に入ったり気になった映画を洋邦各5作品、映画館で観た旧作5作品、そして今年上半期観た映画5作品のTwitterで書いてきた感想に加筆してまとめた感想集なのですが、このblog的な作品として『レイジング・ファイア』『時代革命』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』そして王家衛4K作品集について取り上げております。ここで書いた長文感想のダイジェスト的にシンプルにまとめました。
長年映画好きやっておりますが、もうすでに香港映画も分かちがたく、香港・台湾映画を除いて映画の感想をまとめることって自分にとっては結構厳しいのだと改めて思いました。なお、いろいろな人に読んでもらえることを目的に作りましたので、毒は控えめです。

この新刊2作を引っ提げてまず参加したのが、6月18日(日)に岩手教育会館で開催された文学フリマ岩手8
東北唯一の文学フリマです。

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当日のブースの様子。今年は書局やさぐれと台カル研のダブルネームで参加しました。

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当日のセットリスト。既刊ZINEもまだまだ在庫あります(笑)

昨年から会場が変わったのと、出店者も一般参加者も過去最高を記録したとのことで、会場内の熱気は実に半端なかった。お隣が旅の写真集を出されていた方でお話しできたり、思わぬ出会いがあったりと忙しいながらも実りあるイベントでした。
文学フリマ岩手には初回からずっと参加していますが、実は一般でも出店でも東京は未経験。3年前の春のイベントに出店の申し込みをしたことがあるのだけどコロナ禍で中止。岩手の文フリも2年連続で中止になりました。秋は映画祭シーズンと重なるので行けないだろうけど、来年の春の東京は出店を検討しております。

その1週間後、6月25日(日)にもりおか町家物語館で開催された浜藤の酒蔵ブックマーケット2023-Summer-にも出店いたしました。

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こちらは古本市からスタートしたブックイベントで、市のアート系団体の主催です。
古本屋を経営されている方から、フリマ感覚で自宅の本を持って販売する方まで出店者は様々でZINEや読書グッズの販売のみでもOKと間口が広いイベントでいつも楽しく参加しています。
会場が住宅地にあるので来場者に子供たちも多く、今回ワンオペ故店番を手伝ってもらったOPENちゃん(写真)が人気でした。

今後のイベント参加は秋までありませんが、ZINEイベントにも出品しております。
また、新刊発行にあわせて通販も近日再開いたしますので、ご興味がありましたらよろしくお願いいたします。

そして次の新作ZINEも秋発行を目指して現在計画中。
次作は旅行記の予定です!ふふふ

 

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熱烈歓迎!盛岡台湾Happyフェス

このblogでもこれまでたびたび紹介してきた盛岡台湾Happy project
昨年12月から正式に協議会として組織され、これからは通年で盛岡と台湾の交流イベント事業等行っていくようです。

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このプロジェクトのメインイベントであり、今年で3回めとなる盛岡台湾Happyフェスは1月28日と29日に開催されました。

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大都市圏で行われるような台湾祭や台湾フェスのような大規模イベントではなく、地元の事業者による出店とトークで構成されるのはいつも通り。今年は盛岡と友好都市である花蓮から、花蓮縣政府青年發展中心が参加してパネル展示と物販を行いました。3回目にして初めて台湾からの参加!

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今回は物販が大人気。毎年恒例の東家特製盛岡台湾弁当は2日とも即完売。
(私も買えなかったので友人が購入した弁当を撮影しました)

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今年は魯肉飯と蒸し魚がメイン。

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こちらはパイカ(軟骨)の豆鼓煮込み弁当。市内の台湾料理店ふぉん特製。
お店は夜のみ営業ですが、市内のお弁当イベント等にも時々参加しています。

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「楽しみながら学ぶ盛岡台湾交流DAY」と銘打った土曜日のイベントは教育がテーマ。
今年始め話題になったニューヨークタイムス紙の「2023年に行くべき52カ所」に盛岡が(実は台北も)選出されたことを受けるように、台湾の高校生に盛岡のいいところをおすすめするプランを即興で作ったり、盛岡や台湾を題材にしたクイズを作成するなどの高校生たちの取り組みが発表されていました。
その中でひときわ興味深かったのが、市内で食品業を営む方の台湾留学レポート。ご両親が台湾から日本に移住し、日本で生まれた2世の方なのですが、日本語を母語として育ったので、中国語はビジネスで使うくらいだったそうです。両親の故郷で学ぶことを長年夢見ていたそうで、2年前の秋から昨年の夏までの1年間、65歳にして悲願を叶えたとのこと。しかも留学されていたのが、私がここしばらく心の近所として通っている台南の成功大学。課題の多さ(これは誰でもいうことだけど)に加え、一人暮らしでの食生活の工夫や体力作りなど、参考にしたい話もたくさん聞けました。
私も今後仕事を首にされるか、運よく定年を迎えた後に、親に不測の事態が万が一起こらなければ、また留学したいかなと思うようになったのですよ。自分の頃と比べても留学しやすくなってきたし、実際高校でも米国より台湾への留学案内も増えてきているとのこと。
若者たちにとっても、いろいろと学べることも多いし、有意義だと思います。

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2日目の日曜日のイベントテーマは「ディープにデュアルトーク盛岡台湾DAY」。
盛岡出身の新渡戸稲造を始めとして、後藤新平や伊能嘉矩、三田定則など台湾統治時代に活躍した岩手県人についてや、市内の森林公園できのこアドバイザーを務めるきのこ王子さんによるきのこ話などが展開する中、私と友人たちで結成した台湾カルチャー研究会(以下台カル研)も「おいでよ、台湾映画沼 わたしたちはこうしてハマった」という題名で、台湾トークしてきました。
昨年12月、協議会に関わる友人の某氏より「台カル研で台湾映画トークやらない?」と打診があり、昨年出した台カルZINEを基に、これまであまり意識して台湾映画を観たことがない方々が多いことを想定して、現在観られる映画を中心に紹介しました。
キーワードとしては青春映画、台湾ニューシネマ、LGBTQ+、ホラー、社会と歴史、そしてリメイクなど。個別の作品では『幸福路のチー』『あの頃、君を追いかけた』『1秒先の彼女』を紹介しました。
あわせて、配信で観られる作品もリーフレットにまとめました。(写真の右下に写ってます)

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私自身は、4年前の『藍色夏恋』上映会でトークは経験済みなのですが、あの時はほぼ準備してなかったのでいろいろ大変だったっけ…なんて思い出していましたが、その時よりスペースはオープンだしどんな人が聞いてくれるかわからなかったし、退かれたらどうしよう…などとオタク的ないらぬ心配までしてしまいましたが、メンバー3人の好きなことをあれこれ話せて本当に良かったです。聞いてくださった皆様、本当にありがとうございました。

今年は『藍色』や『あの頃』を始め『海角七号』『KANO』など21世紀に入ってからの傑作台湾映画の配給権が次々と切れていくそうで、国内で上映される作品が少なくなるのが残念ですが、それでも今後様々な台湾映画が広く観られて、観光やグルメと共に台湾を知るきっかけになってほしいと思うのでした。
今年は何か上映会が企画できるといいなあ。

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今年はステージトークがあったのでいろいろ時間が取られ、合わせて本業の仕事等も大変で、プレウィークで行われた市内各所の展示等もじっくり見られなかったので、スタンプラリーを回るのもなかなか大変でした。
今年のデザインはこんな感じ。
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今年のコンプリ特典は昨年とちょっとデザイン違いの美麗!台湾コラボステッカーと、昨年秋に行われたボンネットバスツアーの特製ポストカード。(ちなみにこのボンネットバス、バリバリの現役です。Suicaやpasmoで乗車できます)
スタンプとスタンプカードは今月いっぱい、ポノブックスさんに設置してあります。

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パンデミックの始まりから3年が経ち、まだまだ感染は収まらないけど、経済や往来は元に戻していこうとしているこの頃。
定期便も観光も復活しつつあるけど、当地の国際線はまだ復活せず。まだまだ状況が厳しいのはわかるけど、今年はなんとか行けることを願うばかりだし、このフェスで台湾に興味を持ってくださった方が、気軽に地元の空港から旅立てるようになってくれたらということもあわせて願うところです。イベントも毎年ながら楽しく充実しているし、こんなに楽しいのなら台湾自体もっと楽しいのは言うまでもないですしね。

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サークルとしても、もちろん個人でも、今後もこのプロジェクトには積極的に協力していきます。
何かイベントがあったらこちらでも紹介しますので、今後ともご注目をお願いしますね。

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