書籍・雑誌

【ZINE新作】21世紀香港電影新潮流

前の記事で製作をお知らせした新作ZINEが完成しました。

【新刊】21世紀香港電影新潮流 funkin'for HONGKONG@zine 2024

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↑見本誌の画像なのでサークルアイコンが入っていますが、もちろん販売分にはついていません。

2016年以降に製作された新人映画監督作品のうち、自分が観ている作品を10本選んで紹介しています。
これまでblogやTwitterで書いてきたテキストに加筆しております。
ラインナップは次の通り。

・星くずの片隅で
・香港の流れ者たち
・毒舌弁護人
・白日の下
・淪落の人
・逆流大叔
・花椒の味
・ブルー・ムーン
・私のプリンス・エドワード
・ソロウェディング

加えて、このblogでは書いていなかった、17年と19年の香港ミニ旅行記などの散文も書き下ろし。
地元でも来月上映される『燈火は消えず』他、未見の作品にも簡単に触れました。

先日実施された浜藤の酒蔵ZINEマーケットで初頒布し、おかげ様で初版の半数をお買い上げいただけました。

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当日の様子

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季節に合わせて紅聯も飾ってみました。

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このチラシも、勝手に応援で飾りました。

もともと地元であまり上映されていない香港映画を知ってもらって、劇場で上映されたら観てほしいなーという気持ちから作ったZINEなので、現在のところ手売りでやっていますが、増刷も考えているので通販も予定しています。
通販の準備が整ったら、ここでもお知らせいたします。

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20周年を迎えました/新作ZINE出します

昨日の1月13日で本blogは開設20年になりました。
時間過得真快…
ここ5年ほどは公私共に多忙で、SNSはできても長文の感想等は全く書けなくなってしまい、更新も年数回となってしまいました。
でもSNSも過渡期を過ぎたようだし、これからどんな展開になるかわからないけど、どんなことがあってもblogは手放したくないと思い、少しずつであっても更新は続けてきました。
ここは居場所としてなんとか守っていきます。今後ともお付き合いいただければ嬉しいです。

そしてblog開設20周年を記念して、久々にfunkin'for HONGKONG名義のZINEを発行します。

その名も『21世紀香港電影新潮流』

2014年の雨傘運動後や19年の民主化運動、そしてコロナ禍を経ての2018年から昨年までに香港で製作された映画についての感想や散文をまとめたものです。『星くずの片隅で』の時にも書いたけど、地元では上映される機会が少ない香港映画の知名度を上げたくて作りました。
表紙(一部チラ見せ)はこんな感じ。

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現在製作も最終段階。
これは1月21日(日)に岩手県盛岡市のもりおか町家物語館浜藤ホールにて行われる浜藤の酒蔵ZINEマーケットにて初売します。

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以降は書局やさぐれとして参加する文学フリマ等各ブックイベントでも販売し、通信販売も予定しております。
今後は台湾旅行記や飲食関係本も製作する予定。
今年は中華エンタメのインプットとアウトプット、そしてZINEやフォトブック等の創作活動にも励んでいきたいです。

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【ZINE新作】『台カルZINE Vol.2』ほか

岩手と台湾をカルチャーで結び、台湾カルチャーを深掘りする楽しみを伝える目的で2021年に結成された台湾カルチャー研究会のZINE「台カルZINE」の最新号が発行され、盛岡市内の各ブックイベントで販売しました。

【新刊】台カルZINE Vol.2 特集:NO MUSIC,NO TAIWAN(台湾カルチャー研究会)

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1号が映画なら2号は音楽!という理由での音楽特集。とはいえ台湾音楽も実に幅広く、すべてを網羅することは不可能なので、メンバー3人の偏愛音楽エッセイを中心に構成。日本でも放映された2000年代の台湾ドラマを彩ったテーマソング集があれば、台湾での村上春樹の受容を追っていたら出会った文青ポップスもあり。私はかつてこのblogでも書いてきたジェイ五月天の日本ライヴレポートのダイジェスト版と、自分が初めて触れた1990年代前半の台湾ポップスの思い出について書き下ろしました。
また、このZINEで紹介した曲を中心にしたプレイリストもspotifyでつくりました。よろしければ聴いてみてください。

 

【新刊】『このまちで えいがをみること』書局やさぐれ

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表紙はこの4月に営業を終了した、岩手県盛岡市の映画館通りにあるニッカツゴールデンビル。
かつては日活の映画館が入っていたビルで、日活撤退後も長年映画館が入っていました。
このビル自体の営業終了により映画館が閉館したことがきっかけで作ったZINEです。

11年前に香港映画の、5年前に台湾映画のZINEをそれぞれ作ってきたので、3冊目の映画ZINEはそれ以外…となるはずなのだけど、それでもここで紹介するのは、ええ、それでも入っているのですよ、香港映画+αが(^_^;)。
このZINEでは、自分が昨年観て気に入ったり気になった映画を洋邦各5作品、映画館で観た旧作5作品、そして今年上半期観た映画5作品のTwitterで書いてきた感想に加筆してまとめた感想集なのですが、このblog的な作品として『レイジング・ファイア』『時代革命』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』そして王家衛4K作品集について取り上げております。ここで書いた長文感想のダイジェスト的にシンプルにまとめました。
長年映画好きやっておりますが、もうすでに香港映画も分かちがたく、香港・台湾映画を除いて映画の感想をまとめることって自分にとっては結構厳しいのだと改めて思いました。なお、いろいろな人に読んでもらえることを目的に作りましたので、毒は控えめです。

この新刊2作を引っ提げてまず参加したのが、6月18日(日)に岩手教育会館で開催された文学フリマ岩手8
東北唯一の文学フリマです。

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当日のブースの様子。今年は書局やさぐれと台カル研のダブルネームで参加しました。

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当日のセットリスト。既刊ZINEもまだまだ在庫あります(笑)

昨年から会場が変わったのと、出店者も一般参加者も過去最高を記録したとのことで、会場内の熱気は実に半端なかった。お隣が旅の写真集を出されていた方でお話しできたり、思わぬ出会いがあったりと忙しいながらも実りあるイベントでした。
文学フリマ岩手には初回からずっと参加していますが、実は一般でも出店でも東京は未経験。3年前の春のイベントに出店の申し込みをしたことがあるのだけどコロナ禍で中止。岩手の文フリも2年連続で中止になりました。秋は映画祭シーズンと重なるので行けないだろうけど、来年の春の東京は出店を検討しております。

その1週間後、6月25日(日)にもりおか町家物語館で開催された浜藤の酒蔵ブックマーケット2023-Summer-にも出店いたしました。

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こちらは古本市からスタートしたブックイベントで、市のアート系団体の主催です。
古本屋を経営されている方から、フリマ感覚で自宅の本を持って販売する方まで出店者は様々でZINEや読書グッズの販売のみでもOKと間口が広いイベントでいつも楽しく参加しています。
会場が住宅地にあるので来場者に子供たちも多く、今回ワンオペ故店番を手伝ってもらったOPENちゃん(写真)が人気でした。

今後のイベント参加は秋までありませんが、ZINEイベントにも出品しております。
また、新刊発行にあわせて通販も近日再開いたしますので、ご興味がありましたらよろしくお願いいたします。

そして次の新作ZINEも秋発行を目指して現在計画中。
次作は旅行記の予定です!ふふふ

 

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新年快樂!&イベント参加のお知らせ

新年快樂 

 

萬事如意

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あはははは(汗)
こちらの絨布揮春はHKストアで購入いたしました。

今年初の更新が旧正月になってしまいました。
香港や台湾との往来が再開しつつあるけど、行けるようになるのは当分先かな…

さて、このblogで度々取り上げてきた盛岡台湾Happyフェスが今年も開催されます。
過去2回のイベントについてはここここで書いています。

大規模イベントとは一味違う、地元の事業者さんや教育団体が集う盛台交流イベントですが、3年目の今年、ついにステージデビューとなりました!(笑)はい、台カル研のメンバー3人で台湾映画トークをします。題して「おいでよ、台湾映画沼 ~わたしたちはこうしてハマった~」

詳細はこちらをご覧ください。

 

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また、フェス会場に近い盛岡市大通3丁目のブックカフェpono books & timeさんでは、期間限定で台カル研の棚を作っております。
台カルZINEや私の台湾飯フォトブックの販売や、台カル研おすすめ本の展示を行っております。

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地元でのイベントかつ直近のお知らせになってしまい、遠方の皆様には申し訳ありませんが、地元の皆様はぜひよろしくお願いいたします。

そして今年、ニューヨークタイムスで「今年行くべき52都市」の一つに選ばれた我が盛岡市にも、皆様是非おいで下さいませ>となぜか中華blogで謎アピールいたしますが、どうか見逃してください(笑)。

 

ともあれ、今年もよろしくお願いいたします。

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【近況報告&お知らせ】通販部再開しました他

ご無沙汰しております。
月一度のUPを目標としていましたが、本業が忙しくなると記事を書く余裕もなくなってしまいます。
そんなわけで、まずは近況から。

この夏は、花巻の火鍋店に行ったり、

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夏休みは滞在先(といっても市内のゲストハウス)でお茶をじっくり味わったり、

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地元のカフェで西多士&奶茶をいただいたり、

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業務スーパーで売ってた蔥抓餅で蛋餅を作って早餐にしたり、

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微熱山丘李さんの月餅を中秋節にいただいたり、

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サークル結成1周年記念で火鍋食べてたりしました。

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…なんだよ、食べてばっかりかよ、とつっこまれそうですが、ちゃんと映画だって観てました。

東京では夏からロングラン上映となったあのWKW4K、我が街では思ったよりも早く9月末から2週間も上映されましたから、もう大喜びで観に行きましたよ、はい。当地では2K上映だったのだけど、音はクリアだし映像も美しくて見惚れてしまった。そして王家衛作品ではやっぱり『ブエノスアイレス』と『花様年華』が一番好きなのだなと改めて思った次第。もちろん、他の3作品も久々に観て初めて気がついたり、昔とは違う感想を抱いたりしたものであった。
来月は大館の御成座でも3週間上映されるので、また観たいなと思っているところ。

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ちょうど同じ時期に『時代革命』と『憂鬱之島』が来てしまって、しかも仕事も繁忙期で、いろいろスケジュールを合わせて全部観に行ったのでした。地元でこれほど一気に香港映画が上映されることは本当に珍しいことで、もう喜びながら映画館に通ったのだけど、おかげでこの時期は生活が荒れました(苦笑)
こちらで感想は書けなかったけど、いずれどこかで。

この秋から冬はMaking Wavesとリム・カーワイ監督のキュレーションによる香港映画祭2022の開催と、香港映画の特集上映が続いて嬉しいのだけど、東京(後者は東名阪5都市)のみの開催というのが非常に残念。ここで上映された作品に全て配給がついて全国公開されることを願います。
あと、現在公開中の『七人樂隊』も早く地元で公開してほしい…

というわけで近況はこのへんにして、お知らせです。
ここ2年で作ったZINEの通販を久々に再開しました。
今なら再開記念特典として、WKW4Kを観て考えて書いたテキストを収めたZINE「PLAYLIST 2022 Autumn」もプレゼントしております。
こちらから入れますので、是非是非どうぞ。

次はもうちょっと早めに更新します。

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わが心の台湾―『台湾の日々』『ブラックノイズ 荒聞』『台湾紀行』より

今回はジャンルちがいの台湾本3冊を読んでの大人の読書体験記です。小中高校生には全く参考にならないと思われますので、パクり等はなさらぬよう(誰もそんなことしません)

ここ数年、天野健太郎さんの遺志を継いだ太台本屋さんのご活躍や、クラウドファンディングの企画実現等で台湾本が出版ラッシュになっているので、この状況はとても喜ばしく思っています。喜ばしくはあるのですが、本当に出版ラッシュとなっているので、気がついたら買って読んではいるものの、長文の感想が追いつかないです。各々の本の感想はブクログには書いてはいるので、お暇な方はどうぞ。

台湾に行けなくなって2年半、最後に行ってから3年半。その間イベントがあったり料理を作ったり サークルで研究をやったりZINEを出したりと、台湾にふれる機会は多かったのですが、それが多くなるほど、自分はどれだけ台湾を「知って」いるのかということを考えるようになりました。
戒厳令が終了したとはいえ、まだまだ国民党独裁の色が濃かった90年代初頭に台湾に行って以来(途中の空白期も入れて)気づけば30年も台湾と関わってきました。小説ドラマの『路』では、90年代後半~2007年という時期を描いていたけど、その頃もはさんでの30年だから、自分が初めて住んだ頃を思い起こせば、変化も大きいようで意外と変わっていなかったり…とあれこれ考えてしまうのでした。
そんなことが頭にあったせいか、この夏たまたま続けて読んだ3冊の台湾本から、自分にとっての台湾への思いやそこからいろいろ派生してあれこれを考えてしまいました。

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『台湾の日々』(左)の著者、青木由香さんは私と同世代だけど、自分の方が多少上。そして初めて行った時期が10年違ったので、同世代でもやはり見ていたものも行った目的も全然違います。
当時は戒厳令が明けたばかりで、まだ日本語が公共の電波で禁止された頃に留学で初めて台湾の地を踏んだ身として、今思い返せば全体的に楽しい思い出が多かったのではあるが、抗日運動に巻き込まれたり、日本統治期のことに対して不勉強でいろいろ戸惑ってしまったことも思い出される。当時仲の良かった台湾人のルームメイトたちは、就職後日本に留学したりして会える機会もあったのだが、こちらが多忙で連絡できなくなったりして縁が途絶えてしまい、とてももったいないことをしてしまいました。
それでも、台湾には何度か岩手の友人たちと一緒に来ていたし、18年前から弟が南投縣の山の中の町で働きだして、親族訪問という名目で再び通い始めるようになり、さらには高鐡の開通で容易に南部へアクセスできるようになって、台南や懇丁などが「心のご近所」となりました。そして新しい台湾の友人も増えました。

青木さんはこの20年間での在住で台湾の急激な変化を身近でご覧になってきた方。その上で現地で本を出し、「一人台湾観光局」を務め、2010年代からの台湾ブームにおける日本への情報発信で大活躍されているが、実は彼女の本はあまり読んでこなかった。主に観光方面、特に女性向けの「おいしい、かわいい、ほっこり台湾」的な情報発信が多かったので、リピーター的にはね…と感じたからなんだけど、この20年様々な経験をされてきて、そこからあれこれ選び抜いての発信だったんだろうな、と今になって思うのでした。

雑貨やスイーツだけでなく台湾人の生活やスピリットに注目し、「台湾」を生活に取り入れようというテーマで抱えているこの本はコロナ禍を受けて刊行され、暮らしの図鑑というシリーズの1冊となっています。ここ10年ほどの「謝謝」から「朋友」として台湾に関心を持つためにはとてもよいテキストになっております。ここで紹介されている項目も暮らしに取り入れる知恵も興味深く読みました。でも、これを全部真似しなくても、それぞれできる範囲で取り入れて、あとは自分の経験や思い出から実践していけばオッケイでしょう。
例えば私だったら、日本でも人気のヂェン先生の日常着を買わなくても、手元には現地で買ったチャイナブラウスも伝統デザインのチャイナスーツがあるのでそれを着るし、赤が苦手なのでペパーミントグリーンを取り入れてみるし、台湾料理(上の写真右のレシピ集も最近重宝してます)も電鍋がなくても、手持ちの電気調理器で代用、等々。

まあ台湾に行けない日々が当分続くのは覚悟していますが、台湾がこっち来いよと思えば、たとえ身近に台湾カフェが少なかろうが、雑貨が容易に入手できなかろうが、自分なりの「台湾」を暮らしに取り入れてなんとか正気で生きていこうってことで。
というわけで、次へ。

最近、台湾ホラー映画が流行りと聞くけど、昨年公開の『返校』を始め、どうもビビりな自分はそれに食指が動かない。
ホラーといえば、数年前のTIFFでギデンズの『怪怪怪怪物!』を観たけど、主人公のいじめられっ子の復讐ものとして観たものの、観た直後の爽快感から劇中に描かれるいじめや人物の描写の残酷さや、主人公たちの前に現れる怪物姉妹の来歴が恐ろしく、これティーンホラーとして無邪気に楽しんじゃいけないんじゃないの?と頭を抱えたことがあった。そんなわけで台湾のホラー映画はいろいろな意味で容赦がない、というのが私のイメージ(※意見には個人差があります)

さて、では台湾のホラーノベルはどうなのか。
この『ブラックノイズ 荒聞』はホラーではあるけど、個人的にはそれほどホラー感は覚えなかった。
もちろん、主人公のタクシー運転手呉士盛の荒んだ生活を描いた冒頭から、彼の妻郭湘瑩が幻聴に悩まされて奇行に走った末に怪死を遂げるに至るまではいったいどう展開するのかわからないという意味で恐ろしかった。しかし、郭湘瑩を担当したソーシャルワーカーや呉士盛が事件の背景を調べ始めてからの展開には驚かされた。ここに絡んでくるのが道教に原住民族の言い伝え、日本統治時代に起きた怪事件、そして魔神仔(モシナ)と呼ばれる台湾の化け物。これらがミックスされた渾沌とした展開になるのだけど、それが実に興味深く、恐怖感なく面白く読み終えた。
貞子ならぬ「ミナコ」と呼ばれる謎の幽霊も登場するので、リング的なホラーを求めてこれを読むと、肩透かしを食らわされるのだろうけど、歴史的背景や他民族国家としての呪術や民俗的背景を盛り込んでくるのは面白い。台湾には怪談がないというわけではなく、中国語でいうところの「鬼」の話はいくつかあるし、それをモチーフとした小説もあるので(李昂短編集『海峡を渡る幽霊』にもあった)そういうつながりで読むことができる。
そういえばこの小説を含め、これまで読んだ「鬼」の話に登場する幽霊はだいたい女性。そして彼女たちは死ぬまでに酷く残酷な扱いを受けていたことが背景にあり、その受難が恨みのきっかけになることや、昔の女性の扱いの低さを改めて考えてしまった…(主人公の親は統治時代に大陸東北部に渡っていたことがあり、そこで雇われていた下女のくだりなど、これは実際にあったことだろうなと考えるとね。

 というわけで、そこからのつながりでいつか読みたいのがこの本。

台湾の妖怪といえば、かつて民俗学者の弟に「台湾にはこれまで土着の妖怪がいることはあまり伝えられてなくて、日本の妖怪伝説の面白さに影響されてキャラ化していったようなものだからね」といわれていたけど、果たしてこれはどんなものか。なお著者は水木しげる作品と『遠野物語』に関心があるとのことで、こういう面からも注目したい次第。

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そしてこの本。なんと今さら読みました。しかも我が人生初の司馬遼太郎です。祖母も両親も愛読していたのに、自分はこの歳までスルーしてきましたよ!
この『台湾紀行』のために、司馬遼太郎が台湾に渡ったのは1993年冬から数回にかけてのこと。
歴史小説家として多くの著書を著し、日本だけでなく中国史も押さえているからこそ書ける紀行文だと思ったのは、清朝以前からのこの島の歴史も統治時代のそれもフラットにとりあげ、それを示したうえで統治時代に育った自分と同世代の「老台北」たちに若者たち、そして当時は国民党総統だった李登輝氏と語らい、各地を旅して原住民族の集落をたずねたり日本統治の逸話など、さまざまな要素がうまくまとめられていたからだ。そして思ったほど政治的思想も感じられないと思うのだが、どうだろうか?
ともかく、あの頃の台湾ってそうだった、とか、そうかそうだったのか!と思い出させることが多い1冊でしたよ。

こんな感じで徒然に3冊の感想を書きましたが、一見テーマもアプローチもバラバラだけど、自分の中ではいろいろつながりも感じられた3冊で、今後の台湾カルチャー深掘りの参考図書となるし、ここから「わが心の台湾」をもっと広げていきたいなと思える本たちでした。

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第7回文学フリマ岩手に出店します【ZINE新作】『台カルZINE Vol.1』ほか

バタバタしている間に前日のお知らせとなりました。申し訳ございませぬ。
前回のエントリ通り、明日6月19日(日)に岩手県産業会館(産ビル)7階大ホールで開催される第7回文学フリマ岩手書局やさぐれ&透明度として出店いたします。
当日のセットリストは画像の通り。

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【新刊】『台カルZINE Vol.1 特集:台湾映画鑑賞指南』(発行:台湾カルチャー研究会

「台湾を深掘るともっと楽しいよ!」を合言葉に、岩手の3人の台湾好きが結成した同好会によるZINE。創刊号のテーマは台湾映画。

【新刊】『自宅台湾飯』

以前のblogエントリを元に、複数のレシピ本を参考にここ2年作り続けた台湾飯をまとめたフォトブック第2弾。
第1弾は昨年発行した『職場台湾便當』(関連記事はこちら)です。

【新刊】『日日是MAKE TEA NOT WAR』

中華色薄めですがこちらもご紹介。地元産のお茶から英国紅茶まで、全編「ああお茶うめぇ…」とだけ言って1冊まとまった(笑)エッセイ。題名が物騒ですが、一応戦争反対の思いを込めて作りました(真顔)

【既刊】『閱讀之旅2019之雙城故事』 『寶島電影院』

部数僅かですがこちらもあります。

以上の本は今後ZINEイベントやブックイベント参加時にも取り扱います。
また通販も検討しております。
ではでは、よろしくお願いいたします。
そして明日のイベント頑張ります。
(当日は台カル研メンバーも集合しますよ)

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台湾カルチャー研究会はじめました

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突然ですが、立ち上げました。略して「台カル研」

Facebookページはこちら→

6月19日(日)に岩手県産業会館(産ビル)で3年ぶりに開催される第7回文学フリマ岩手のB-27「書局やさぐれ&透明度」のブースにて、この台カル研発行のZINE「台カルZINE」第1号を頒布いたします。
詳細はまた後ほど。

そうそう、書局やさぐれとしても、現在新作のZINEを製作中です。こちらも完成しましたら後ほど紹介いたします。

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盛岡台湾Happyフェス2021

恭喜發財 萬事如意 身體健康 世界和平

世界的に感染拡大が続く中、旅行も気軽にできない日々が続き、悩ましいばかりですが、今年度も昨年に引き続き盛岡台湾Happy Project主催の盛岡台湾Happyフェスが開催されました。
今回は感染対策として、10月にプレイベント、12月にメインイベント、年明けの1月に物販メインのマーケットという3部構成となり、いずれもクロステラス盛岡を会場として行われました。

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10月のプレイベント。
プロジェクト参加団体によるポスター・パネル展示がメイン。

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当地でも上映された『台湾、街かどの人形劇』と布袋戲の人形たち。

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盛岡てがみ館では10月から「台湾と岩手の先人たち」という企画展が開催されていました。
昨年のイベントでトークをされた新渡戸財団の藤井茂さんによるトークも企画されていましたが、残念ながら中止に。
いずれどこかでお話を聞けることを願っております。

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イベント名物となったHappyランタン。

展示内容は昨年のフェスのおさらい的なものだったけど、クロステラスを経営する三田農林が発表報告と共にまとめていたレポートが一番読みやすかったです。

それから約2ヶ月後の12月3日からの週末で行われたのが、メインイベントのHappyフェス。

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昨年に続いてのメインビジュアルはkuromameによるもの。
このキャラクターたちには「もにょもにょ」という名がついているらしい。

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お出迎えはアミ族の衣装をまとったお嬢さん(!名前がついているらしいけど忘れましたすみません)
なぜアミ族?答えは次の写真をご覧あれ。

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以前もここで少し書いたのですが、我が盛岡市は2019年に花蓮市と友好都市提携を結びました。
この冬岩手公園の川沿いに記念碑が建てられました。

そして、花蓮といえば昨年話題を呼んだこの小説『リングサイド』の舞台ですね。

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花蓮を舞台にしたこのプロレス小説、地元の愛好者によるローカルプロレス団体が登場しますが、この街にも発祥のローカルプロレス団体のみちのくプロレスがあるので、親しみも感じながら読んだのでした(といいつつみちプロの試合は生で観たことはなかったりする)
作者の林育徳さんは花蓮の東華大学で『歩道橋の魔術師』の呉明益さんに師事したいわば直弟子。

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閑話休題。
今年のトークは、市内の高校生が開発に携わった甘酒ドリンク(台北にある拾糀商號を参考にしたとか)の話、台中のコーヒーショップと交流している盛岡を代表するコーヒーショップのひとつNagasawaCOFFEEによる台湾コーヒーの話、台湾の高校とオンライン交流会を実施した市内の私立高の交流報告、仙台出身のポンフーマスターさんによる膨湖の話、LGBTQをめぐる話(スピーカーのお一人は3年前の藍色夏恋上映会でトークをご一緒したかとうまいさん)そして恒例となった岩手観光アカデミーメンバーのミーティングなど、前回にもまして盛り沢山でした。
 個人的に印象深かったのがNagasawaCOFFEEさん。台中のコーヒーショップ樂咖さんと交流があり、数年前にイベントも開いています。台湾の珈琲文化は若者が中心であること、統治時代からの珈琲栽培の歴史等興味深いお話が聞けました。といいつつ実は私はコーヒーが飲めません(参考としてこれ
 

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昨年に引き続きの、サンファームさんのりんごディスプレイ。

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ここからは展示。
「岩手と台湾をつなぐキーパーソン 後藤新平をたずねて」というテーマで、市内の高校の写真部が撮影した後藤新平の像や出身地の水沢の風景。
水沢の後藤新平記念館には台湾赴任時代の資料も多数あり。

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こちらはイベント発表も行った市内の高校のオンライン交流会の展示。

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日本初公開となった(!)片倉佳史さんによる台湾の鳥の展示。

イベントでは物販もあり。
日本ドラマ特集の「秋刀魚」(『名作マンガの間取り』の著者、盛岡在住の影山明仁さん監修のドラマの間取りを収録)があったので購入。

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お馴染み東家さんの台湾弁当第3弾。
菜脯蛋が定番メニューとなりつつあるけど、実はだし巻き卵がお店の宴席料理でも定番。
現在はおそば屋さんとして知られていますが、開店当初は市内の老舗の料亭の分店だったそうです。

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昨年度に続いてのサンファーム特製りんごケーキ。
今回のはココナッツを加えたサクサク感のあるクッキーっぽい仕立て。
これはこれでアリ。

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ところで今回のフェスは12月開催ということで、こんなオリジナルグッズが登場していました。

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盛岡台湾Happyカレンダーは、旧暦併記(今年の農暦初一は2月1日)と台湾の年中行事に加え、盛岡の年中行事も記されているという、台湾好き&盛岡好きには非常に有り難い(マジで)カレンダー。A4サイズで携帯にも便利。
私は職場で旧暦話をしたり、イベント合わせで仕事をしたりもするので、このカレンダーを職場で使っているA4版の手帳に差し込んですぐ見られるようにして使っています。

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ところで今回は初めて県外からの企業がフェスに参加しました。
台湾グッズのECサイトや旅や留学のアレンジを行っている美麗!台湾です。
社長さん自らが来盛し、ものすごい熱量で台湾への愛を語っておりました。
↑はスタンプラリーのノベルティとして製作されたコラボステッカー。エアチケットのデザインです。

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こちらは登録特典としていただいた日本未発売のopenちゃんロンググミ。
フレーバーはこれまで日本でもレアなヤクルト味。

感染拡大期だったこともあって、前回より開会日程が短かったのは残念だったけど、引き続きイベントが行えたのが本当に良かったです。
参加はできなかったけど、トラベルリンクさんによる台湾華語で案内する街歩きツアーも行われ、台湾と共に地元を知り、そして楽しむという意義が感じられるものでした。サテライト企画としては後日、盛岡市内と小岩井農場などを華語ガイドで回るバスツアーなども行われていたとのことです。

そして年が明けて旧正月間近の1月29・30日に開催された盛岡台湾Happyマーケットでは、台湾に盛岡のテイストをミックスさせたフードとグッズを、フェス販売からヴァージョンアップして販売。甘酒ドリンクは1日のみの販売だったので買い逃してしまったけど、それ以外はだいたい押さえたのでご紹介。      

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東家の盛岡台湾ハッピー弁当 
新年快樂ver.先に挙げた写真と比べてみてくださいませ。

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花生仁湯(上)fu-daoの雪Q餅と台湾カステラ(中)サンファームのりんごケーキ(下)
カステラの中にはサンファームのりんご果実(旬の黄色りんご・きみとを使用)が練りこまれていて、瑞々しい食感。

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さわや書店のブースで昨年秋刊行の『味の台湾』を購入。

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これは来場者特典の新年卡。

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スタンプラリーで押してもらえるフェス入国スタンプ。
使用済みパスポートに押してもらいました。

先ほども書きましたが、昨年度に引き続き台湾イベントが行えたのは本当に良かったです。姉妹都市締結後2年経ちましたが、市内にも記念碑ができたし、往来再開後への期待もあるので、今後も続いていくのでしょう。
今回残念だったのは、やはり感染拡大期に入ったこともあってのイベントの縮小化。正直できるかどうかと心配していたので開催できたことは参加者としても嬉しかったのですが、来年も実施があるのなら、もう少し多方面に広げてもいいと思います。昨年は新作台湾映画もいくつか公開されたし、台湾本の発刊も多かったので、今後はフェスと連動した新作映画公開(いや、未上映作品の上映会でもいいんだ)やブックフェア、作者さんや訳者さんのオンライントーク等カルチャーイベントも実施できればいいし、できることなら協力していきたいです。台湾文化センターとの共催があってもいいし、地元在住の作家さんとのクロストークがあってもいい。ここ盛岡は映画の街にして本の街なので、文化的アプローチがもっとあってほしいです。そうそう、以前は滅火器や叮噹が市内でMVを収録していた縁もあるので、音楽に触れる機会もほしい。
あと、市内にもうちょっとだけ台湾スイーツが食べられるお店があってもいいかな。専門店じゃなくても、小さな豆花くらいでいいです。名物の寄せ豆腐をアレンジしたり、りんごのような季節のフルーツをトッピングしたり。
本当は早く台湾に行きたいけど、今年も防疫生活は続きそうです。

いま東京や大阪の大都市では正統派の台湾フード&スイーツ店も増えているけど、ここでも「台湾がこっちに来い」的な心意気で過ごし、フェスの時だけでなく台湾を身近に考え、文化や歴史に触れる機会が今年は多くなることを期待します。
そのためにこの一般人も、いろいろ行動していきたいです。

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『台湾のお弁当』で作る #職場台湾便當

クッキングネタが続きますが、今回は前回も紹介した『台湾のお弁当』です。

この本は10人の台湾の地元っ子が仕事や学校に持参する、家庭料理をベースにした手作り弁当を紹介したコラム&レシピ集。
先日はおきらく台湾研究所さん主催でオンラインイベントが開催され、参加いたしました。

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私事ながら近年、検診でコレステロール値が高く出てしまったことから食事に気を遣うようになり、昼食はなるべくお弁当を自作して持って行くことを試みています。しかし調理工程が複雑だったり、朝忙しい時期に作ることができなかったりで、どうしても長続きせずにいました。加えて今年はコロナ禍の影響もあって仕事が増えて辛く(仕事は対面業務メインなのでリモートワークにはならず)雪もよく降って運動もできずにストレスが溜まりまくっていたのです。そんな単調な日々の楽しみは、お弁当作りくらいでした。

では、これまでに作ったお弁当の画像を説明なしで上げていきます。

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だいたいこんな感じで作っています。この他にスープジャーで魚丸湯をアレンジした肉丸湯や麻油鶏を加えたり、飯糰を作ったりもしています。
お気づきかと思いますが、ローテーション入りのおかずが幾つかあります。炒青菜、炒花椰菜、菜脯蛋、滷蛋などですね。青菜炒めは普段から様々なレシピで試していましたが、最近は自分の好みに仕上がる確率も上がりました。菜脯はそのものを買い置きしていないので、秋田のいぶりがっこを刻んで加えています。

この本のレシピの特徴は、台湾で販売している調味料がなくても日本の調味料や食材を代用できるようにアレンジされていること。しかも簡単な工程で短時間で美味しく仕上げることができるのが有難いです。何よりも、ニンニクと酒と生姜で台湾の家庭料理が再現できるのが楽しくて、夢中になって作ってしまいます。これまでニンニクを使った料理をランチにするのに抵抗があったのですが、マスク生活のおかげでそれも気にならなくなったし(こらこら)
今や滷肉飯や牛肉麵も日本で食べられるようになったけど、こういう台湾の家庭料理も日本でもっとメジャーになってほしいなと思います。台湾の美味しいものの魅力は宴席料理や屋台料理だけではないし、健康を考えて味付けも濃くない食べ物も多いですからね。

お弁当の写真は、twitterとinstagramでそれぞれ#職場台湾便當 というタグをつけてUPしています。
また、この本のレシピでお弁当を作られてSNSにUPされている方がいたら是非教えてくださいませ。
見に行きます(^_-)

そうそう、美味しいもので思い出したけど、台湾屋台グルメが広く知られるようになり、飲食業者がタピオカドリンク(決してミルクティーではないところが残念)の次を狙って持ってきたものにワタシは絶句しました。それが台湾グルメではなかったからです。
それはこれです。

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はい、これは2年前の香港旅行で撮った波羅油(パイナップルバターパン)です。
これがよりによって「台湾屋台グルメ」として一部業者が売り出し始めたのです。
このことについては、次の記事で。

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