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台湾メロンパン?なにそんなもん知らないよ #菠蘿油は香港発祥

今回も食べ物ネタです。

ここしばらくの台湾ブームは、いわゆる「美味しい、かわいい、ほっこり」的なものから、コロナウィルス防疫対策による感染者数の抑え込みから社会的や歴史的な面に関心が移り、お互いを知ることで将来の往来再開に希望を寄せることができそうで何よりだし、今後も引き続き台湾ファンが増えてくれそうなので、その点はとても喜ばしいです。

その一方、2年前の令和改元を機とするように突如沸き起こったタピオカドリンクブーム(参考までにこの記事貼っておきます)は、もう20年以上前に日本には上陸していたブラックタピオカのミルクティーが珍しくてインスタ映えするからという理由からか、春水堂や貢茶、一芳など台湾のティースタンドのフランチャイズ店では長蛇の行列ができ、それをビジネスチャンスと見た日本の外食業界の一部が乗っかってあちこちにタピオカスタンドを開店させてはやはり行列を作らせておりました。確かにタピオカミルクティーは好きだけど、そんなに行列までして飲みたいものでもないので、そのブームを客観的に見ては、そういえばこれが台湾発祥と謳って売り出しているところってあまりないのね…(聞いた話だが、貢茶は発祥こそ台湾だけど、海外展開は韓国の企業が担っているそうで、日本のお店の親会社もそうらしいとか)と思っていたのでした。

そして今年に入ってのコロナ禍。わが街にブームに遅れてやってきたタピオカスタンドも、何軒か閉店していったのを見届けました。
それからしばらくたった昨年秋から、妙に気になるニュースリリースをSNSで見かけることが増えました。例えばこれ。


写真にあるのは、どう見ても台湾では見かけたことのない、でも香港ではしょっちゅう見かけていて、何度も食べているあのパン。
それは「台湾メロンパン」という名前ではなく、菠蘿油、日本語を当てればパイナップルバターパンという名前のパンです。香港スタイルのパンが台湾にあるのは別段不思議なことではないのだけど、なぜこんな名前を付けられて売られているのか。それが理解できませんでした。
やがて、TVでもこの「台湾メロンパン」がたびたび取り上げられるようになった頃から、違和感は増してきました。TVでその情報を見なくても、SNSには流れてきます。だから流れてくるたびに「それは香港のパイナップルバターパンだ」とコメントし続けてきましたが、それでもその名前が改められることはなく、このまま異議を申し立てていても通じないのか、と空しくなってしまいました。

だけど今年の初め、かつて香港在住で現在は台湾でコーディネーターをしていらっしゃるmimiさんのこの記事がアップされて、本当にホッとしました。これまでパイナップルバターパンがいかに香港で愛され、ソウルフードとなっているのかが実に的確に、愛と尊重を持って紹介されており、説得力があって本当に嬉しかったです。
さらに、香港からはこの方のtweetも(今の状況はもちろん承知。どうかご無事を…と祈っています)

これに安心しても、それでも止まらない「台湾メロンパン」のゴリ推し。当のメロンパンはどう感じているのだろうかと思ったら、なんと日本メロンパン協会さんがアピールしてくれました。

ダメ押しでメロンパンbotによるこのまとめ もどうぞ。

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19年の香港旅でいただいた、佐敦の茶餐廳での波羅油。

しかし、いくら菠蘿油が香港発祥だと言うことを必死にアピールしても、それでも「台湾メロンパン」の呼称はなくならないし、発祥が香港だとわかっていても、マーケティングのためにその名を使うと言い切る業者もいて、やはりガッカリは続くのであった。 しかも、最近我が街に上陸してしまった某チェーンで販売されていたものを始め、「台湾メロンパン」の名を冠したパンは、ただのメロンパンに厚切りバターを挟んだだけだったり、常温で販売されて熱々じゃないし、その上さらにホイップクリームやあんやチーズがトッピングされていて、台湾どころか香港でも見かけることはない魔改造パンに進化してしまっているのだ。
twitterで「台湾メロンパン」を検索すると、そこに広がるのはガッカリの荒野。間違った食文化がこれ以上広がってほしくないので、こんなまやかしの「台湾グルメ」は定着などしてほしくないのです。

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ホカホカに温まった菠蘿包にバターを載せ、それがジュワっと溶けていくのを頬張って味わうのが、本来の香港の菠蘿油の楽しみ方。
かなりのハイカロリーなので、コレステロールを気にするお年頃としてはどうもためらってしまうのだけど、この辛い現状が改善されたなら、改めてちゃんと食べたいです。もちろん香港に行ければ一番ありがたいのだけど、東京でも飯田橋と吉祥寺にある香港贊記茶餐廳でいただくことができます(5年前のこの記事でも紹介しているけど、この他の2店はもう閉店してしまった…)


吉祥寺店は行ったことがないけど、こちらの本でも紹介されています。ちなみにこちらはお友達が書いている本です(^_-)

そして台湾の屋台で港式菠蘿油を食べて気に入ったから「台湾メロンパン」とか最初に言い出したという人には、その人の食べたそのパンがちゃんと温められていたものかどうか聞いてみたいですね。そして是非贊記の菠蘿油を食べに行って勉強してもらいたいものですよ。
なお現在、贊記では菠蘿油がかなり売れまくっているとのことです。これでもっと菠蘿油が香港発祥であることが広く知られてほしいものです。

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