盛岡台湾Happyフェス
コロナ禍による海外の往来が難しい中、いち早く新型コロナウィルスの感染拡大を食い止めた台湾に学び、その台湾と様々な縁があり昨年秋に花蓮と友好都市提携を結んだここ盛岡で、今後の友好と交流を深めていこうと立ち上げられた盛岡台湾Happy project。9月5日にはスタートイベント、応援企画として開催された26日の盛岡かわとみどりのほしぞら映画祭での『祝宴!シェフ』上映を経て、10月30日から11月4日までの6日間、市内の商業施設クロステラス盛岡などを会場に盛岡台湾Happyフェスが開催されました。
クロステラスは立体駐車場併設の商業施設。産直やマツキヨ、100均のセリアや楽器店が入居しています。
メイン会場は施設中央の広場。ロゴ等のデザインは地元専門学校の学生デザインチームkuromameによるものです。
プロジェクト団体の一つ、いわてとたいわんは台湾留学&研修経験のある県内の大学生によるユニット。当日はリトルプレスの無料配布やホットタピオカの販売をしておりました。上のPRポスターもkuromameのデザインによるもの。
市内の高校による研究発表や写真作品の展示、台湾向けに製作された盛岡や岩手のプロモーションビデオやフェス開催においてのメッセージビデオ、後藤新平や新渡戸稲造の台湾での活動を取り上げたローカル局製作の番組ダイジェスト等のPRブースは連日公開。期間中の土日と祝日の3日間にわたって行われたトークイベントにも参加してきました。
1日目(10/31)は先のいわてとたいわんのメンバーが台湾を語り、統治時代に台湾で活動した新渡戸稲造を始めとする郷土の先人や地域貢献についての高校生の研究発表や、昨年秋にフィールドワークで台湾研修を行った高校生たちなどの報告がありました。台湾にはまだ行ったことがないという人から、台湾のイメージは九份?(はいはい千となんとかですねー、と軽く言ってみる)というところから始まり、一度行ったらすっかり魅了されてしまったという人まで、実に様々な若者たちの話を楽しく聞いてきました。
2日目(11/1)は歴史から食まで市内の専門家たちが集い、盛岡と台湾のつながりを多方面から語るレジェンドDAY。新渡戸基金の理事長さん、県の台湾同郷会の会長さん、さくらんぼやブルーベリーの観光農園をいち早く訪日客向けにPRしたサンファームやわんこそばの東家、そしてfu-daoが登場。実に濃ゆいトークが展開されました。
すっかり恒例となった東家のお弁当。これまでの2回のイベントで提供された盛岡台湾弁当の集大成のようなラインナップ。
わんこそばの他に仕出し弁当も手掛けていて、これまで『3月のライオン』や『カメラを止めるな!』などの市内の映画イベントにもお弁当を提供してきました。
サンファームはさくらんぼやブルーベリーの他、リンゴ農園も経営。
ジョナゴールドのような定番のほか、アップルパイなどの調理に適したすっぱいリンゴも作っています。
これは、イベント限定で販売されたリンゴパイナップルケーキ。微熱山丘にリンゴケーキのサンプルを提供した実績があり、そこから作ったそうです。台湾での日本のリンゴのシェアは圧倒的に青森が強いので、現在盛岡のリンゴを絶賛売り込み中とのこと。
このケーキ、おいしかったです。りんごの酸味も程よく効いてていい感じでした。
3日目(11/3)は観光をテーマに今後の盛岡と台湾の未来を探る日。
岩手県の観光に関わる企業による現状報告から、盛岡市都市戦略室によるプロジェクト「盛岡という星で」まで、こちらも様々な面々が揃う中、印象深かったのはクロステラスを経営する三田農林がかつて台湾に開いた農場を訪ねる目的で社員旅行に行ったという話。高雄郊外の田寮(月世界の付近だとか)にあり、土地もあまりよくなかったようで開墾にも苦労したとか。今も農場として使われており、楊桃やグァバなどが栽培されていたとのことです。
↑ふぉんさんの魯蛋いり油飯と胡瓜の漬物。3日のお昼にしました。
そして3日からはサテライト会場として、大通のシェアオフィス&ブックカフェのpono books&timeにて台湾書籍&雑貨フェアも開催されています。
古本から新刊まで幅広く揃っております。目をつけていた新刊があったので、今度買いに行きます。
最近文庫化された一青妙さんの『私の箱子』やっと読みました。
面白かったです。感想書かなきゃ(汗)
お馴染みの「秋刀魚」はponoの店主さん自らが台湾で買い付けてこられたもの。
ここに遊びに行くと、いつも店主さんと台湾話で盛り上がります。
高雄の独立書店、三餘書店が昨年発行した日本語ZINE「時行」。
編集を担当された陳瀅羽さんは盛岡に滞在した経験があります>実は知人でもあります(^^)
これまで全国各地で開かれていた台湾フェスに比べると規模もかなり小さく、本場のお店が出店するなどということもなかったのですが、それでもまるで文化祭のような手作り感もあり、参加していてとても楽しかったです。
コロナウィルス感染が全国で一番遅かった県といえども、春からは県も市も観光業は大打撃を受けていたわけだし、参加した業者さんには知り合いも多かったのでいろいろ話も聞いていたし、こちらもここ半年はどこにも行けない分、地元の経済や観光を盛り立てていこうと心がけていました。
最終トークイベントでは、プロジェクトメンバーが盛岡と台湾の未来に向けた前向きな発言が見られ、これがいずれ実現したら嬉しいなと思ったものです。特にクロステラスに台湾の店舗を誘致するっていくのはぜひお願いしたい!飲食でもいいけど、MITの雑貨などを扱ったお店が来てくれると嬉しいですよ。
↑イベント中に開催されたスタンプラリーのシートと、左は景品の「盛岡という星で」コンセプトブック、右はいわてとたいわんが製作したリトルプレス。実はこれで2冊めです。いずれ紹介しますね。
こちらのポストカードは市の観光課が作成したレアなもの。
イベントとしては初めての試みで、一体どんな感じになるのだろうと思っていましたが、先に書いたとおりとてもいい感じにまとまっていて、楽しかったです。主催者さん曰く、プロジェクト同様に今後もフェスは続けていきたいとのこと。
最近のニュースによると、台湾と海外の観光による往来が再開されるのは、早くても来年の秋以降という話が出ているそうです。あと1年となるとそれは長いのか短いのか。いずれにせよ、もう少し辛抱しなければならないようです。その間は、やはり国内や身近なところで台湾を楽しめる機会が増えた方がいいですよね。
今回のイベントは観光と食、若者の交流などを表に出していましたが、もし今後再びこのフェスが開催されるのなら、もっと広いジャンルで扱っても良いかと思います。例えばスポーツ交流も大いにアリでしょう。野球やホッケーやラグビーの交流試合があるといい。
あとはこちらの趣味的にはカルチャー方面の紹介があってもいい。台湾映画はもちろん観たいし(上映権が切れる前に観たい作品はたくさんある!)太台本屋さんによる台湾ブックトークに宮沢賢治から『影裏』まで、台湾で出版された岩手の文学を語ってもいい。こちらでも妄想をふくらませていけば、もうきりがない。次のイベントにも期待したいし、もしできれば協力もしたいものです。
数年前までは台湾を語る言葉は「おいしいかわいいほっこり、九份は千と千尋のモデル」的なものばかりで、そのようなアプローチを見るたびにとても複雑な気持ちになったものでした。だけど、今は昔と違います。交流が進むごとに台湾のスピリットも明確になってくるし、激変する世界の中で見えてくる台湾の姿は非常に興味深くあります。そんな台湾はワタシが学生時代を過ごした故郷と言える場所でもあるし、そこが現在の「地元」でもある我が街盛岡と結びつくことができたら、本当にうれしいし、前を向くことができます。
このプロジェクトもはじまったばかり。いつかまた花巻から飛び、海を越えて行けること、次のステップに行けることを期待します。
プロジェクトの皆様、お疲れさまでした。そして楽しいイベントの企画をありがとうございました。
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