Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀
台湾の伝統的人形劇・布袋戯については、『戯夢人生』でも少し書いたけど、それを現代的に発展させた霹靂布袋戯についてこれまで全く触れてきませんでした。すみません。ホテルのケーブルで多少観たことはあるという認識しかなかったのと、2002年に日本公開された映画『聖石傳説』(予告はこちらから)を観る機会に恵まれなかったからってのが大きな理由です、ハイ。
そんなわけで今年の冬、『まどか☆マギカ』を手がけ、『仮面ライダー鎧武』の脚本を書いたクリエイター・虚淵玄氏の新作が霹靂で製作されると聞いた時、うっかりスルーしかけて「え?」となったのでした。
いやまあ、ワタシかなり前にアニメファンやめてるから、まどマギって全然知らんし、特撮ドラマは観てても鎧武はキャスト的にも物語的にもなんかのれなかった。それでもよく話題に上がるし、この方の名前はネット界隈ではよく聞くので、へー虚淵さんって人気のクリエイターさんなんですねー(棒読み)、と思うくらい。
それが、この夏より日本で放映が始まった『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』。
こちらでは中文題から「東劍」と呼ばせていただきます。一般的には「サンファン」の略称を使うようですが。まあ、こちらは中華趣味blogですので、アニメや特撮絡みの感想には決してならないことを、先にお詫びしておきます>と検索でうっかりここに来ちゃった皆様へ
ここは中華blogなので、台湾版PVを。
ついでにこれも。主題歌はT.M.Revolution。かなりアガる。素晴らしい!
本編の音楽は朝ドラ『まれ』の澤野弘之さん。ヴォーカルをサントラに多用するという特徴があって、東劍でもメインテーマが英語詞(多分)コーラス。
物語は公式サイトを参考にしてもらうとして、さてどないなもんかとBS11で視聴してみたところ(関東だとTOKYO MXで観られる)、いやこれが予想以上に面白かった!霹靂って今こんなふうになっているのか!と感心しちゃいましたよ。
人形は普通の布袋戯よりかなり大きく、ワイヤーアクションやCG合成は当たり前で、日本のライヴアクション特撮とほぼ同じレベルにまで進化しているのに思わず目を見張ったけど、唇や目などの微妙な動きも巧みで、感情豊かな表現があっていい。そして、斬られたら流血する場面も思い切って見せるにも驚いた。いやそれだけではない、致命的な攻撃を受けて人体が爆発する場面まで!でも全然汚くない!まさに「散華」するように散っていく。それもすごい。
あとはね、人形ゆえに登場人物がことごとく美形で、それがまた嫌味にならないところもいい。ページではニトロプラスのデザイナーたちによる原案も一緒に見られるのだけど、いかにも日本ですぐアニメやゲームにできますよー的なデザインを、よくぞここまで自分たちの様式に落とし込んで美形にしたなと思ったもの。(ニトロファンの皆さんすいません)
主人公コンビである銀髪の美丈夫・鬼鳥こと凜雪鴉と無精髭に白髪交じりの剣客・殤不患を見るとこのへんはよくわかる。これはいい仕事だわ。あとは声優さんたちの熱演も相まって、キャラにそれぞれいい味がついてくるんだろうな。今のところまだ3話までしか観てないから断言はできないけど。
殤不患が典型的巻き込まれキャラで面白いね。彼をどんどん巻き込んでは焚き付け、それをニヤニヤ見てるような凜雪鴉のややドSな感じも楽しい。
物語世界もちゃんと作りこまれているようだし、武侠小説的な雰囲気もちゃんと尊重しているみたいなので、あれこれと研究して書いているのかもな。なにより虚淵氏がかなり霹靂に惚れ込んでいるようなので、それをうまく日本に紹介してもらえたことには感謝するなあ。もしかしたら今後どんどん悲劇的な展開になっていく予感もしないでもないが、1クール放映とのことなので最後まで見守りますか。
そして東劍をきっかけにして、日本のアニメ好き&特撮好きの皆さんが、他の霹靂布袋戯に触れたり(このスタイルの布袋戯は霹靂以外でも製作しているらしい)、金庸や古龍の武侠小説を読んでくれたり、その延長線上で中華圏の武侠電影にも興味を持ってくれたらと思うんだけど…うまく広げられるかなー、広がってくれるといいなあ。
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