モーターウェイ(2012/香港)
へー、イニDの原作が完結か。イニDといえば映画しか思い浮かばないが、このニュースはやはりイニDが人気ある香港にも伝えられているんだろうな、と思う今日この頃。
そのイニDで共演した、ジェイの父親こと秋生さんと、ジェイのライバルだったショーン。この二人が今度はコンビを組んだのが、この『モーターウェイ』。製作は銀河映像、監督は『アクシデント』のソイ・チェンさん。これなら観たい!という気になる作品。
香港警察交通課に所属するショーン(阿翔/ショーン)は自らも天才的なドライビングテクニックを持っている。退職直前のベテラン、ロー(秋生さん)とコンビを組んで覆面パトカーで速度違反車を取り締まる任務に就いているが、血気盛んで先走りがちな性格が玉に瑕。
ある日、速度違反の常習犯にして、警察に別件逮捕されていたジャン・シン(グオ・シャオドン)が脱獄し、大陸から来たウォン(リー・ハイタオ)たちの強盗を手助けする。指揮官(ジョシー)のもと、ショーンは二人を追う。別行動していたローもショーンをサポートしながら追うが、観塘の狭い路地で巻かれてしまう。
過去の資料を調べていたショーンは、ローがかつて約20年前に逃走中のシンを追いつめたほどの超人的なドライバーテクニックを持っていることを知る。そこで彼に頼み込み、路地の追跡で失敗したスピンターンを教えてもらうのだが…。
日本じゃ「若者の車離れが深刻」だそうだが、モータリゼーションが発達した田舎(我が街みたいなところ)では車はまだまだ必要だし、未だに国道ぎゅんぎゅん突っ走ってるヤツいるぞー(笑)。
東京都の半分の面積しかない(でよかったっけ?)といわれ、市街地は常に渋滞している印象しかない香港だが、郊外の高架道路では結構びゅんびゅんと車が飛ばしているし、映画でも走り屋が登場する作品がいくつかある。かつてのトニーやレスリーやアンディの映画でもそういうのがあったよなあ。それゆえにイニDが香港で作れたんだろう。
この作品は交通課を舞台にした、銀河映像お得意の警察映画(『PTU』や『天使の眼、野獣の街』を例に挙げればわかりやすいか)であるのだけど、ショーンと秋生さんの豪快な走りっぷりには、そのイニDを彷彿とさせるのが楽しい。
秋生さんとショーンの気の合った掛け合いに、夜を鋭く切り裂くカーチェイスが交錯する。人間によるライブアクションばかり見ていたので、カーチェイスもなかなかいいなー、しかも決死のチェイスなのに、どこかに静けさも感じるんだよな。
チェイスの舞台も沙田から観塘の東九龍、新界方面とさまざまに転換し、クライマックスでは大胆にも深夜の中環で決死の追跡が繰り広げられる。90分足らずの短いランタイムにアクションもキャラクターもぎっちりと詰められていて、お得感がある。
ただ、これをTVのモニターで観ると、どうしても迫力と魅力が半減する。
ワタシはこの映画のWOWOWのワールドプレミアという未公開映画をTVで初放映するプログラムで観たのだが、暗闇の場面とカーアクションが多いから、黒味がつぶれて観づらいと感じたのよね。どうも最初はDVDスルーだったらしく、WOWOWが共同購入に入っただか何だかで、日本初公開がテレビ放映になってしまったとのこと。その後にやはり劇場公開しようということになって、8月17日からシネマート六本木で上映されるとのことだけど、その経緯にちょっと首をひねりたくなるようなことも聞いたので。
このところ地元で香港映画の上映がなくなってしまい、「あーあー東京いいわねー、いかない限り観られないし、話せないしなー」と不満に思うことが増えてきただけ、WOWOWであっても全国一斉に観られるのならそれはそれでむしろ喜ばしいんだけどね。こういう映画はやはり銀幕で観ることで興奮できると思うんだよ。
原題:車手
監督:ソイ・チェン 製作:ジョニー・トー 脚本:ジョーイ・オブライエン セト・カムユエン
出演:アンソニー・ウォン ショーン・ユー バーヴィー・スー グオ・シャオドン ラム・カートン ジョシー・ホー ミッシェル・イエ リー・ハイタオ
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