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恋の紫煙2(2012/香港)

 TIFFアジアの風名物、パン・ホーチョンが2年ぶりに帰ってきた…と言いたかったものの、今年はもうきな臭いことばっかり起こっているので(説明するのは野暮だからしないけど)、ゲストとしては来なかった。しかーし、昨年も上映作品がないにもかかわらず来ていたんだから、今年もひょっとして来てたんじゃないの?なんかヒルズのどこかで見かけたような気がしたぞ、ホーチョンよ。

 まあ、それは置いといても、映画祭の要は映画である。《浮城》のように出品取り消しにならなかっただけホッとしたアルよ、『恋の紫煙2』。…しかし、喫煙が縁で出会って恋に落ち、一緒に禁煙したあの志明と春嬌のカップルの話、どう考えても続くってことはないんじゃない?と思ってたら、なんとまあホーチョン自らの監督作品としては初の続編が誕生していたのだった。あの姉さん上位バカップル(誉めてます)のその後、いったいどうなるんだか?

Loveinthebuff

 見事に禁煙を成功させ、同居してラブラブな春嬌(ミリアム)と志明(ショーン)だが、些細なことがきっかけで、なんと別れてしまう。志明は代理店の元上司に勧められて、北京に行くことになるが、行きの機上で知り合ったCAのヨウヨウ(ヤン・ミー)と恋仲になる。
 一方、春嬌の勤めている化粧品店が香港から撤退することになり、リストラが実施される。彼女は首を切られることはなかったものの、店長に昇格。しかし新たな勤務先はなんと北京!当然、春嬌と志明は顔合わせすることになる。それでもやっぱり気まずくなるのは言うまでもない。志明に新たな恋人ができたことを知った春嬌は、北京在住の従姉妹と一緒に婚活に励む。
 そしてある日、従姉妹と共にお見合いに出向いた春嬌は北京のホテルのトイレに閉じ込められ、助けを求めて使おうとした携帯までも便器に落とすという失態をしでかす。助けを求める彼女の叫びを聞いてドアを開放し、なんと携帯まで取り出してあげたのはマレー系華人ビジネスマンのサム(シュー・チェン)。これがきっかけで二人は親しくなるが、その一方で彼女も志明もお互いが再び気になってきて逢瀬を繰り返すようになるのだが…。

 腐れ縁の恋人たちは、どこにおいてもめぐり会っては同じことを繰り返す。香港でも北京でもブエノスアイレスでも(笑)。ああ、まったくねー。だからこそ面白い。
 そして、普段あまり恋愛ものに感情移入しない自分はなぜかうんうんと首を振ってしまい、ついでに春嬌に思いっきり感情移入してしまったのである。なんかねーわかるのよねー、その気持ちが。twitterで誰かが「パンちゃんはどうしてこんなに女性の気持ちがわかるんだろう?」というようなことを言ってた気がしたけど、それはホントに全面的同意。年下で会えばケンカばかりだけど一緒にいれば安心感のある志明とよりを戻したいと思いつつも、年上で安定した職業でしかも優しくてハンサムなサムにもひかれてしまう。いやー、さすがのワタシも惚れそうになったもんなー、あの王子さまに。まあ、光頭だけど(笑)。そんなこんなで最後まで「どうなるのー!?」って思っちゃったよ…とは言ってもどちらにしろよりを戻すんだろうというのは予想できたけどね。
 
 しかし、恋人たちはどこに行っても変わらない…というより、香港人は北京に行っても変わらんな(笑)。大陸人とは北京語を話すけど、悪口は広東語で言っちゃうってのはまさに「香港人あるある」だろうな。ホーチョン自身が北京で仕事場を持っていたので、多分事実も交じってるかも。これはご本人が来日してたら、是非とも聞きたかったという人は多いかもしれんな。、こんなことを思うと、香港の映画人は大陸に魂を売ってるわけじゃないのねー…ってそこまでいえば暴言になるかね。しかしそれでも大陸では大ヒットなんだから面白いもんだよ。自虐的なのか大陸の電影迷は?そのへん誰か教えてほしいわ。

 さて、前作はシモネタの応酬で三級指定くらったけど、今作はそれも控えめ。その代わりにアクセントとなっているのが、実在の芸能人ネタだったりなんだりのお遊び。ご本人ご登場もあるし、一番笑ったのが春嬌の従姉妹が彼女の代わりにお見合いした「黄暁明似の男性」を実際にシャオミンが演じてたこと。この前に春嬌が自称「梁朝偉似の男性」に会ったところ、全く似ていないっていうくだりを見せられたからなおさらおかしかったんだよね。
 そして、物語のキーとなるのがこの曲。

 

 あらほーである春嬌の青春の曲であるわけなのだが、さすがに初めて聴いたのであった(笑)。これを歌うリンダ・ウォンはなんとあのド兄パパ@武侠としても有名な王羽さんの娘さんだとのことで、そこでまず驚いたのであった。それは後で知ったことだけど、劇中でPVの一部が流されてからラスト近くのご本人登場で一度驚き、そしてクライマックスで志明が春嬌にささげたこれ(あえてリンクだけはる。比較版だけどね)を観てさらに衝撃…いや大爆笑したのであった。いやー、これは香港映画史上に残る愛の告白シーンであろう。ホーチョン以外には誰も考え付かんよ、こんなことは。

原題&英題:春嬌與志明(Love in the buff)
監督&脚本:パン・ホーチョン
出演:ミリアム・ヨン ショーン・ユー シュー・チェン ヤン・ミー ヴィンセント・コック ホアン・シャオミン リンダ・ウォン

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