ボンクラ勇者ども、頂点を極めり!-香港電影金像奨の結果に思ふ。
昨日は、香港電影金像奨の授賞式でした。
結果は今年もまた、もにかるさんのblogをご覧くださいませ、と手を抜かせていただきます。
例によって、個人的な感想などを。
今年はRTHKのラジオ放送を聴きながら、シナコムのネット中継を観てました。某ちうぶにも動画がアップされているはず。
昨年、『孫文の義士団』が作品賞を受賞した時、「あーもー、何が獲っても文句は言わないよー」って感じでいたのだけど、実は今年も同じ気分だった。だけど、技術系で《狄仁傑之通天帝國》(実は観てます。感想は後ほど)が、助演俳優賞を『ギャランツ』が獲り始めたあたりから、もしかして今年の金像は、「香港電影黄金期を支えて復活したベテラン監督の娯楽作」対「往年の香港功夫電影に愛とリスペクトを捧げまくった若手監督コンビの実験作」の対決か!と思うようになってきた。
その結果、《狄仁傑》は監督賞と主演女優賞(カリーナ姐!)を始めとした6部門、『ギャランツ』が音楽、助演男女優賞(テディ・ロビン&シウ・ヤムヤム)、そして頂点の作品賞を極めて4部門を受賞。プロデューサーのカートン、ボンクラ勇者ども…もとい監督コンビを始め、製作陣が大騒ぎで登壇し、はしゃいでいたのが印象的。Twitterでのフォロワーさんも、ギャランツ好きが多かったので、みんなで大喜び。
よく考えれば、今年ノノミネート作は、狄仁傑やギャランツの他は『密告者』も観ていたし、脚本賞を受賞した『恋の紫煙』、助演女優賞にダブルノミネートされていた《月満軒尼詩》、諸事情につき感想が書けない《分手説愛你》と、観ていた作品が多かった。
今年の金像のキーワードは、やっぱり「新旧交替」かもしれない。
先に書いたように、ベテランの徐克さんが炎の復活を遂げ、同じく復活したテディさんと往年の名女優シウ・ヤムヤムさん(同じくデレクさん作品『野・良犬』で助演女優賞受賞のキャリアあり)が助演賞をアベック受賞はしたけれど、作品賞はギャランツ、新人監督賞に着実なキャリアを築いている無間道組のフェリックス・チョンさん、そして昨年の助演男優賞に続いて今度は主演男優賞を受賞したニコというメンツをみてみると、改めてそれを強く感じるのであった。
昨年の孫文、一昨年は『イップ・マン 序章』、3年前は『ウォーロード』と、内容がやや中国寄りの作品がここ数年の作品賞の受賞傾向だったけど(それゆえ大陸では“香港電影結束”なんてよく言われていた)、久々に香港ローカルな作品が賞をとったというのは、コテコテな香港映画好きとしては嬉しい限り。去年《歳月神偸》が数多く部門賞をとった時、もしかしてローカル作品が力を取り戻すのかもと思っていたけど、まさにそれが続いていたようで嬉しかった。この傾向は当分続いてほしいものである。
主演男女優賞はどちらも悲願の受賞といった感じで、非常に嬉しい。
ニコは新人賞を受賞しているわけだけど、デビュー当時の問題児っぷり、自分の道を行こうとしてトラブルを多く起こしてきたワルガキイメージが長く続いていて、当時はもったいないなあと少し思ったこともある。しかし、セシリアと結婚して父親になり、さらに例の事件を経て今の彼をみると、ここ十数年で大きく成長したものだと感慨深いものを感じる。
キミは確実に現在の香港映画を背負う明星となったのね、ニコ…。
カリーナ姐さんも初の主演女優賞。ノミネートは多かったんだけど、なかなか獲れなかったんだよね。女優業の傍らビジネスも手掛け、夫となった影帝トニーとともに人生を歩んでいる彼女だけど、これで夫婦ともに影帝&英后カップル。ちなみにニコ&セシも同じ。残念ながら相方と一緒の授賞式じゃなかったけど、豪快に笑いながら受賞のスピーチをし、「多謝、老公(ありがとね、ダンナ)」といった彼女の姿はすがすがしかった。
よっ、武則天!アナタは見事な女帝だ。(笑)
その他、ユンファがいい男になって帰ってきたり、名誉賞を受賞したウィリー・チャンさんが喧嘩別れしたと言われていた成龍さんと和解したかのような抱擁を見せたり、コンサート中の學友さんが生中継でウィリーさんに捧げて歌う『My Way』や、音楽賞プレゼンターのクリス・リーのロケンロールでラフすぎる衣裳や、主演男優賞のプレゼンターがらうちん&周迅の《大魔術師》(現在撮影中のトニー主演最新作!)コンビだったり、アジア映画賞のプレゼンターがホウちゃんとヴィッキーという珍しすぎるコンビだったりと、なかなか面白いものが見られて嬉しかった。
あ、そうそう、アジア映画賞なんだけど、てっきり『モンガに散る』が獲るもんだと思ってたんだよね。ちょうどこの日に観てきて、非常によかったので。でもねー、2年連続で日本映画が受賞したんだよ。それも『告白』だったんだよ…。
なんか、そこが個人的にはちょっとアレだったなーと思った次第。といっても、意見には個人差があります(笑)。
最後に思いっきし蛇足。
ところでもし、《狄仁傑》の日本公開が決定したら、いったいどんな題名になるのだろうか?『則天武后の名探偵』とかどうだろうか?それで歴史ファンを思いっきし釣る(笑)。
いかがでせうかね?是非ご検討を>配給会社の皆さま。
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