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グリーン・ホーネット(2011/アメリカ)

 ハリウッドの大作には興味がなくなってきたこの頃だが、それでもヒーローものが大好きなので、X-MENやアイアンマンなどのアメコミヒーローものが始まると観に行っている。日本の特撮ものが好きなこともあるので、その延長で観ているってのもあるのかな。久々に今期のライダーも途中参加だけど観ているし。

 さて、ヒーローといえばジェイ。
 ワタシは常々「ジェイが仮面ライダーやればいいのに」と言っているくらい、ジェイにはヒーローものが似合うと思っているのだが、本人もヒーローものが好きらしく、自ら企画・監督・出演した『パンダマン』なんてー特撮ドラマシリーズを作っちゃっている(ちなみに主演は宇豪&弾頭)。

 これももちろん観たいとは思っているのだが、やっぱりジェイ本人がヒーローになってほしいよなあ。 そんなことを思っていたら、思わぬところからオファーが来て、ヒーローになったジェイを見ることができちゃった、というのが、『グリーン・ホーネット』なのである。

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 ブリット・リード(セス・ローゲン)の父ジェームズ(トム・ウィルキンソン)は新聞社「デイリー・センチネル」の社長兼編集長。厳格な父に反して、彼は放蕩三昧を繰り広げていた。街は荒廃し、東欧系ギャングのチェドノフスキー(クリストフ・ヴァルツ)が頭角を現して支配しようとしていた。
 そんな時、父が蜂に刺されてアレルギー反応を起こして急死する。当然、センチネル社はブリットが継ぐことになった。突然のことに茫然とする彼のもとに、元父親の運転手をしていたカトーと名乗る男(ジェイ)がやってきて、ブリットに父親のことを話す。リード家の車のメンテナンスを担当していた彼はメカに強く、ブリットは彼の腕前にほれ込む。そこで彼はカトーを巻き込んでちょっとした悪巧みをするが、その最中に暴漢と遭遇。カトーは暴漢に立ち向かい、見事に撃退する。
 それに感心したブリットはあることを思いつく。この街の荒廃の原因はいったい何なのか。その諸悪の根源を叩き潰そうと。しかし、やるのなら正統派のヒーローではなく、悪人として振舞おうじゃないか。彼は「グリーン・ホーネット(緑のスズメバチ)」と名乗り、カトーの開発した高性能車「ブラック・ビューティー」に乗り、仮面に素顔を隠して夜な夜な街に出没する。そしてセンチネル社に新しく赴任した秘書レノア(キャメロン・ディアス)やたたき上げの副編集長アックスフォード(エドワード・ジェームズ・オルモス)らを巻き込み、ホーネットの悪名を喧伝してのし上がるのだが…。

 60年代にブルース・リーが出演して名声をなしたという同名のTVシリーズ&ラジオドラマがオリジナルというこの映画だが、もともと企画を立てたセスは星仔にカトー役としての出演と監督を依頼したそうだ。だけど、いろいろあって星仔が降板。やがてミシェル・ゴンドリーが監督に決定し、カトー役をSkypeでオーディションしたところ、ジェイが応募してその役を見事に射止め、結果としてこれが彼にとって初のハリウッド&英語映画となったというラッキーさ。
 いや、もちろん星仔のシニカルなカトーも観てみたかったなあ。なんてったって李小龍さんを敬愛する彼のことだから、ブリットに毒を吐きつつ、ピンチになると全部自分でおいしいところをさらっていったのかもしれない。

 監督がゴンドリーさんと聞いて、実はちょっと意外に思った。
フランス生まれの彼の映画は結構好きで、オスカーで注目された『エターナル・サンシャイン』に『恋愛睡眠のすすめ』『僕らのミライへ逆回転』が気に入っているし、レオス・カラックスやポン・ジュノとともに撮ったオムニバス映画『TOKYO!』の一編「インテリア・デザイン」もかわいくて好きだ(リンクのあるのは別blogで書いた感想)。
 ケミカルブラザーズのPV(個人的には「Star Guitar」がお気に入り)等を手がけ、劇映画ではオサレな恋愛ものやヒネったコメディを作ってきた彼がなぜいきなりアクション映画を?…でも、本編を観ると、ちゃんと彼らしい作品になっていたので、結構満足。

 この映画の主人公たちは根本的にバカ。これはセスがコメディアンだからというだけじゃなく、ヒーローものにしてはあまりにもおバカで大人げない。そもそもヒーローになる動機も変だし、その行動もバカっぽい。さらに高い運動能力を持つ発明の天才カトーに比べ、ブリットは頭脳も運動神経も圧倒的に劣る。勝っているのはカネだけ(笑)。これでは明らかにカトーのほうに目が行くものの、彼も結構子供っぽいところがあって、ささいなことでブリットと仲違いしちゃうことだってある。一人がダメダメでもう一人が優れている、というバディものの定型よりちょっとずれているところが、なんだかいい。
 ゴンドリー作品は定型よりちょっとすれてて、なおかつキャラクターがややオタクで意地っ張り(特に男性キャラ)なところが魅力かなと思っている。だから、この映画はアクションものの皮をかぶっていても、こういう持ち味はちゃーんと生きている。 
 アクション場面での、戦闘時のカトーの脳内を視覚化する“カトー・ビジョン”は面白かったけど、なんか『ロミオ・マスト・ダイ』の“X-rayバイオレンス”を思い出しちゃったのはワタシだけだろうか。いや、それ以前に、3Dじゃなくても十分面白かったんじゃないの?といった方がいいかもしれないな。そのへんは同意が多そう。

 さて、キャラクターについて。
中華趣味としてはやっぱりカトーだよねー(はぁと)。「歌で世界に認めてもらいたいから英語は勉強しないよ」と言ってたジェイだけど、こういう映画なら勉強せざるを得ないよね(笑)。でも、リズム感のおかげか、発音はよくて安心。ゴンドリーさんもジェイの持ち味を十分了解しているのか、歌ったりピアノを弾いたりする場面もあるのがファンにはたまらないかも。運転手という設定もイニDに通じるしね。ただ「イケてるお抱え運転手」というコピーを背負いながら、ジェイ自体はそれほどイケメンではないので、一緒に鑑賞した朋友(ジェイ出演作はあまり観ていないとのこと)はそれほどひかれるものがないと言っていた。が!なんと彼女は仮面姿には萌えていたそうだ(微笑)。
 セスは初めて観るんだけど、まー他の作品も機会があったらどっかで観られるかな、と思った次第。薄くてすんまそん。ただ、彼自身コメディアンであったら、同じくコメディを得意とする星仔とは相性がよくないかもしれないなあ、とちょっと思ったりする。
 キャメロンは…まああんな役どころでオッケイですね。『イングロリアス・バスターズ』の怪演が記憶に新しいヴァルツさんも頑張っていたけど、ラストはちょっともったいなかったかなー。そして、個人的には『ブレードランナー』やドラマ『バトルスター・ギャラクティカ』で知られるオルモスさんの存在感に手を振らせていただきました。もっと出番が多くてもよかったよー。

 この映画、全米公開から1週間後に日本で観られたけれど、台湾や香港では旧正月シーズンに合わせてこれから公開が始まる。賀歳片にも通じるノリも感じたので、台湾のお客さんがジェイの一挙一動にワーッと盛り上がってくれればいいのになあ、なんてね。

中文題:青蜂侠
監督:ミシェル・ゴンドリー 製作&脚本&出演:セス・ローゲン 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ジェイ・チョウ キャメロン・ディアス クリストフ・ヴァルツ エドワード・ジェームズ・オルモス トム・ウィルキンソン

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