ベスト・キッド(2010/アメリカ)
武侠ものが好きだからという以前に、師弟ものが好きである。
中華もの以外の日本ドラマでも、心身の鍛錬により魑魅魍魎に対抗できる力を得た人々の話とか、落語に魅せられてかつての名門に弟子入りした少女の話などを好んで観ていたので、そう言い切ってしまっていいのかもしれない。
学校で教師から教えてもらうより、1対1で学ぶことから、技や伝統を受け継ぐだけでなく、師匠の想いを知って、それを自分の心に加えて心も体も成長する。師弟ものにはそういう魅力を感じてしまう。だから好きなのかもしれない。
さて、『ベスト・キッド』。実はなぜかオリジナルをスルーしちゃってます、すいません。
一応、オリジナル公開時は青春まっただ中(死語?)だったのに、ほんとに見事なまでにスルーしちゃってるんですよ。あはははは。ラルフ・マッチオ、元気かなあ。
だから、成龍さんとウィル・スミスの息子ジェイデンくん主演でリメイクされると知った時も、うっかりスルーしそうに…ってすいませんすいません、さっさと本題いきます。
デトロイトで育ったドレ・パーカー(ジェイデン)は、格闘技が大好きな12歳。父親を亡くし、母親のシェリー(タラジ・P・ヘンソン)に育てられたが、シェリーが北京の自動車工場に転勤することになり、未知の国・中国へとやってくる。北京中学に転校したドレは、中国人ばかりの環境に馴染めない。彼はヴァイオリンを弾く少女メイイン(漢字がわかりません…)に心ひかれるが、カンフーを学ぶ近所の鐘少年たちにいじめられる。
そんなドレを助けたのが、マンションの管理人をしているカンフーの使い手、韓(成龍)。彼らは鐘の通うカンフー学校に行くが、そこの師範(于榮光)が強さのみを追求していることを知って驚く。そして、ドレがカンフートーナメントに出場し、鐘と勝負を決めるということになってしまう。
ドレは韓に弟子入りするが、韓は彼にひたすらジャージの脱ぎ着を練習させるばかり。単調な訓練をこなしながら日々を過ごすドレだが、彼は韓のことを何も知らなかった。なぜ一人暮らしなのか、なぜ、家の中にポンコツ車を持ち込んで、せっせと改装しているのか。やがて、彼は韓が抱えていた悲しみを知ることになる…。
王道ですな。あまりに王道だからこそ、ついハマって燃えてしまう物語。
中華趣味としてはおかしいと思う場面は多少あるんだけど(例:北京中学ってインターナショナルスクールかよ!とか、韓の修行した場所って…とか、挙げればきりなし)、まあそれはしょうがないでしょう。米国映画だから。そもそもドレが学ぶのはカンフーなのに、なんで原題がオリジナルと同じ「カラテ・キッド」なんだかってのが最大の疑問よね。ま、物語の最初の方で、ドレがTVでカラテのレッスンを観てトレーニングしているので、そこだけ観てむりやり原題に納得するしかないかの。
確かに主役はあくまでもドレなので、成龍さんの役どころはあれで問題ないでしょう。しかし、あそこまでの老け役は珍しいねえ。オリジナルのノリユキ・パット・モリタさんとは似ているようで全く違う。それは本人も意識したみたいだし(from朝日新聞インタビュー)。本来はこういう役どころがどんどん回ってきてもおかしくない年頃なので、こういう役ならどんどん観たい。
ジェイデンくんも頑張っていたよねー。本気で特訓したらしいし、身体感覚もよかった。やっぱり、身体がでかくなる前に撮れたのが一番いいのかな。欧米人やアフリカンアメリカンの皆さんも大柄だから、成長しちゃったら「動きおせーよ」と言いたくなるに違いないので。
そんなわけで意外と楽しんだ次第。あとは、ま、観ていただきたいかなってことで。
ここはすっきりとまとめて撤収しますよ。また何か思い出したら追記するかもしれないけど。
原題(香港題):The Karate Kid/功夫夢
製作:ウィル・スミス&ジェイダ・ピンケット・スミス他 製作総指揮:ハン・サンピン他 監督:ハラルド・ズワルト 脚本:クリストファー・マーフィー
出演:ジェイデン・スミス ジャッキー・チェン タラジ・P・ヘンソン ユー・ロングアン
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コメント
ご無沙汰してます。沖野@八戸です。
ベスト・キッドはフォーラム八戸で見て大笑いしてきました。細かい突っ込みどころは多々ありすぎて省略しますが、一番笑ってしまったのはトーナメント開始の前と後でガラリとスタイルが変わってしまったこと。70年代のジャッキー作品で展開された修行シーンが次々と出てきて懐かしく思ってたら、トーナメントになった途端にブルース・リーの「ジークンドー」スタイルの闘い方に変わりました。おまけにジークンドーのシンボルマークが描かれたマット上で試合してるし・・・。 それまでのジャッキーの指導はどこへ行った?って感じです。これじゃぁジャッキーに失礼だよねぇ。まぁブルースとは格が違うんだからその辺は特にジャッキーもこだわってないのかもしれません。よく見ると往年のショウ・ブラザーズ作品群やジョン・ウー作品のテイストもしっかり入ってるし、とにかく笑えた2時間半でした。
さて、明日(10日)はフォーラム・グループの社長や常務が八戸に来て飲み会です。仙台フォーラム止まりの香港映画作品を盛岡・八戸でももっと上映するよう懲りずに働きかけてきます。11日からは『冷たい雨…』がようやく八戸でも上映されるので、もう1度見てきます。
投稿: 沖野 雅之 | 2010.09.09 17:35
沖野さま、コメント遅くなり申し訳ございません。
ベスト・キッド、ツッコミどころは満載ですね。
まあ、思えば日本の空手を扱ったオリジナルでも同じだったと聞いたので、そのへんは文句言わずに笑っておくようにします。
このところ多忙なので、『ダブル・ミッション』を見逃してしまったのですが、盛岡でもいよいよ10月9日から『冷たい雨(後略)』の上映が始まります。このところのフォーラムの上映状況を見る限り、スケジュールがかなりきつくなるのを覚悟してますが、連休期間中の上映なので頑張って観に行きたいと思います。
投稿: もとはし | 2010.09.23 21:32