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《家有[喜喜]事2009》(2009/香港)

 たとえ中華圏&華人コミュニティだけだとはいえ、ただいま旧正月真っ盛りである。
 ワタシはきちんと新暦の正月を祝う民族の生まれではあるけど、新年が2回祝えるというのは誠にめでたいことではないか、と思う次第。
 そんなわけで、この季節だからこそ賀歳片(旧正月映画)を観たくなり、昨年香港で買ってきた《家有[喜喜]事2009》を観た。

 出版社に勤める余寶(ロナチェン)には二つの悩みがあった。一つは自分が恋した女性がみんな不幸な目にあってしまうので、恋が成就させられないこと。もう一つは彼の姉で同じ会社のライターである余珠(サンドラ)のこと。彼女はベストセラーのエッセイ『独身は罪ですか』の著者であり、男性に見向きもせずにバリバリと働いてきたキャリアウーマン。「長女が結婚しないと弟も結婚できない、これ即ち家族に災いが起きる」という言い伝えを恐れている余寶は、まずは独身主義の姉を結婚させたいと思い、同僚に紹介してもらった自称恋愛セラピストのディック・チョウ(古天楽)を訪ねる。
 ディックは出版社に社員として潜り込み、早速余珠と出会うが、彼女はハンサムなディックにすっかり夢中になってしまい、社長(グオ・タオ)から依頼があった「独身主義七部作」のエッセイが書き上げられなくなる。ディックもまた、彼女の熱意に驚き、それから逃れようとして、社長から命令された杭州の観光地のガイドブックの取材旅行へ、余寶とともに出かけることになる。
 ところが、ディックは杭州でオープンカフェを経営する小敏(沈麗君)という女性と出会い、恋に落ちてしまう。余珠が彼を追いかけてここまで来ていることも知らず、二人は熱い仲になる。また、余寶は歯を矯正中でガサツな性格の、ガイドのジェーン(姚晨)と出会う。反発しあいながらも気持ちが近づいていく二人だが、例のジンクスがジェーンを襲う…?
 杭州でディックと小敏が仲睦まじくしているところを目撃した余珠は嫉妬に駆られるが、ここで小敏を尾行しているという怪しげな探偵L(レイモンド)に出会う。彼は何かと事あるごとに金を要求するうさんくさい探偵だが、両親(夏春秋&李香琴)に杭州で恋人のディックを紹介すると言っていたことに気づき、Lにその代役を依頼するのだが、それを聞きつけたディックと余寶も現場に駆けつけてさあ大変!

 この映画のプロデューサーにして俳優の黄百鳴は、中華電影データブックによるとシネマシティを経て東方電影集団を設立し、『キラーウルフ』や『セブンソード』、そして《葉問》を製作したヒットメーカー。その彼が90年代始めにレスリーや星仔など、当代の明星たちを総出演させて大ヒットを飛ばした賀歳片シリーズが《家有[喜喜]事》である。当時はまさに香港電影の黄金期だったのはいうまでもない。
 だけど、そんな黄金期もすでに昔の話。レスリーは去り、星仔は映画の製作を始め、当時は新進気鋭の男優達も今は大御所と化し、女優達は結婚して引退する。それとともに香港映画も、今までさんざん書いているのでその経過は省略するけど、かつての勢いを失ってしまった。
 しかし、それであっても同じことはできる。なぜなら往年の俳優達を出せなくても、サンドラはでてくれるから(爆)。それに加えて今香港映画界でもっとものってる男優古天楽を持ってきて、コメディには欠かせないロナチェンと、いろんな人たちをカメオ出演させればいいし、時代の流れで中国市場に持っていくため、中国ロケと現地の新人女優もいればもう完璧、ヒット間違いなし!ってノリで作ったんじゃないかなんて思っちゃったよ。実際、この映画も大陸ではかなりヒットしたらしい。ベタな映画の力ってすごいな。

 サンドラは昔、「香港の山田邦子」と例えられていたけど、今で言うなら友近かねぇ?友近もコント番組でイタい妙齢の女性をよく演じるけど、サンドラが演じる女性はイタいに加えてガサツ極まりなし。こういうキャラが脇役にいる分には別に構わないけど、主演になっちゃうとなんとも言いがたいな。実際の彼女はピーター・チャンというパートナーと彼との間にできた子供がいるわけだけど(入籍はしてないんだっけ?)、そんな風にプライベートで変わってもそれが芸風に反映されないのは…まあそれだけ彼女はプロなんだってことだろうけどね。しかし、古天楽とそのまま恋に落ちてハッピーエンドになると思いきや…、という展開にはちょっと驚かされた。まー、この二人だとと死の問題もあるのかねー。
 その古天楽は最初イケイケ、そのうち結構トホホになりながらもっていう、賀歳片お約束な二枚目演技。ここしばらく古天楽を観てきた中で、これが一番二枚目ってのはどーゆーことかな(笑)。ロナチェンは、まああんな感じでいいんでしょうね。彼らと恋に落ちる二人の女の子、発音が南方っぽい(台湾國語っぽくも聴こえた)んだけど、あまり見ない顔だから大陸の新進女優さんなんだよね。この手の映画に基本的にブスメイク+眼鏡の女の子が欠かせないのは伝統だけど、それを引き受けたのが姚晨という女の子。捨て身の演技ですごかったなー。後でフィルモグラフィを調べておこう。
 あ、肝心のレイモンドさんだが。…この人はいつもこういうおいしい役なの?

 最後に、賀歳片の伝統として欠かせない明星カメオ出演だけど、やっぱり厳しいところがあったのか、人数が少なかったような気がする。うーん残念。中国から招かれたグオ・タオさんはおいといても、ワタシが見つけられたのはディック初登場シーンで美人と恋に落ちるサーファー君のジーチョン、ベストセラー作家余珠のインタビュー番組を仕切るディレクターのコンロイ、そして余家の両親に保険の加入を勧める外交員の阿Saくらい。他に誰がでていたか、見つけられた人はいるかしら?

英題:All's well end's well
製作&原作&出演:レイモンド・ウォン 監督&脚本:ヴィンセント・コック 製作総指揮:クリフトン・コウ
出演:サンドラ・ン ルイス・クー ロナルド・チェン 夏春秋 李香琴 グオ・タオ 姚晨 沈麗君 ラム・ジーチョン コンロイ・チャン シャーリーン・チョイ

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コメント

いつも楽しく読ませて頂いています。

この映画大好きな映画です。沈麗君がかわいいので(笑)

カメオ出演ですが、インタビュー番組のインタビュアーが鄭希怡、あと最後のウェディングシーンで甄子丹がサングラスかけて出てますよ。

投稿: こーじ | 2010.02.16 21:14

こーじさん、コメント&カメオ出演者情報ありがとうございます。
インタビュアーが誰だかは妙に気になっていたのだけど、そうか、ユミコでしたか!そして、確かに最後の「甄なんとか」もドニーさん?と気にしてはいたんですが、ご本人だったんですね。そういえば《七剣》&《葉問》でのつながりを考えれば、ドニーさんが出ないはずはないですもんね。

投稿: もとはし | 2010.02.16 21:59

最近の<<孔子>>を観ましたか。どういう感覚ですか。

投稿: りゅうしょうこん | 2010.02.18 18:11

りゅうしょうこんさん、こんにちは。
ごめんなさい、《孔子》は観ていません。
いずれ観る機会があると思うので、
その時に感想を書きますね。

投稿: もとはし | 2010.02.18 21:18

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