中華電影(含む香港電影)の、明日はどっちだ!
フィルメックスツアーに出ていた連休の日曜、某大河の最終回に続いて、NHKスペシャル『チャイナパワー』の第1回「“電影革命”の衝撃」を観た。
番組では、ピーター・チャンプロデュース&テディ・チャン監督の《十月圍城》の撮影現場を中心に、ピーターさんやドニーさんのみならず、彼らのライバルとなるユンファ主演の《孔子》の制作現場(制作はIT企業!)や、大陸電影の状況に危機感を抱く、かつてピーターさんがいた香港の映画製作現場なども交えた構成。主として、ピーターさんを中心に、映画の完成を追いながら、いかに中国映画が様変わりしたか、そしていかにこれから世界に打って出るかをまとめたという印象。
かつて、金枝玉葉2部作や『月夜の願い』で香港人のささやかな暮らしを優しい視線で描き、『ラヴソング』で返還への想いを描いたピーターさんが、まさか大陸で大作を手掛けるようになるとは、10年前にはだれが思ったのだろうか。それは、張藝謀がアクション映画を手掛けることだって予想もしなかったし、そもそも大陸電影自体がこんなになることだって誰も思わなかったことかもしれない。
もちろん、これは国家がもろに映画製作にかかわっているわけじゃないだろう。そのへんは別にして考えた方がいいのかも。
ピーターさんたちも、もちろんビジネスとして大陸の現場に入り込んでいるに違いない。彼のブレーンとしてアンドリューさんやヴィンセントさんがいて(字幕で紹介されなかったけど)、広東語であれこれ作戦を練っているのを見て、彼らが割り切ってやっているのかな、という印象もちょっと抱かされたところもある。ただ、この映画が大陸で成功しちゃったら、今後はどんどんイケイケになるのだろう。そうなるとやっぱり、昔のピーターさんの作ってきたような作品にはもう出会えないのかな、という寂しさもあるのは確か。
先週、ベテランの香港電影迷らしき方(あくまで推測です)が朝日新聞テレビ解説面の「はがき通信」に、ピーターさんの今後の動向で、中国映画の小品(含む香港ローカル映画?)が駆逐されてしまうのではないか心配だという投稿をされていたけど、それにはもちろん同意する次第。
しかし、この番組を観て気になったことが二つ。
ひとつは、《十月圍城》の本来の監督である、テディさんがまったく登場してこなかったこと。もうひとつは、香港側の人間としてはトンシンさんと同格なくらいゴッドファーザー的存在のジョニーさんが登場しなかったこと。
これって、単にインタビューが取れなかったってことだけなんだろうか?
大陸に活路を開きたい香港映画人と、映画製作に力を入れたい政府の思惑が一致しているような今の大陸電影界。この蜜月、中国が力を持っている間はずっと続くんだろうか。そして、今後の香港電影界は、大陸電影界とどのように影響しあうのだろうか?それは前から気になっていることであり、今後も大いに気になるところ。
政府がらみだと、陰でやたらと文句を言われる中国ものだけど、ワタシはあくまで客観的な視点で、この動向を見守っていきたいと思うのであった。
さて、その動向を見守るためにも、近日中に《葉問》と『コネクテッド』(結局地元上映がなかったので、香港で買ったVCDでの鑑賞)をしっかり観なくちゃね。
今年はただでさえ、中華電影を観る機会が少なかったのだからね(泣)。
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