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三國之見龍卸甲(2008/香港・中国・韓国)

 たとえ赤壁二部作が“オリジナルと違う”と批判されても、いわゆる三国志と呼ばれるものにはさまざまなバリエーションがあるのだから、そこでブーブー言ってはいけないということは、以前から書いてきた。中華圏にも正史のほか、演義も平話もあるわけだし、日本だってゲームの三国無双があるし、パロディものだっていろいろあるじゃないか。だから、いろんなタイプの三国志があっていいし、赤壁だってひとつのバリエーションと認めたい。
 だから、アンディが趙雲を演じるこの『三国志』だって、バリエーションの一つと言いたいけど…。ああ、マジメな三国志マニアにはこりゃキッツイかもしれんなぁ…。

 あらすじはパス。とりあえず、赤壁で胡軍が印象的に演じた“単騎千里行”の場面はあるとはいえ、…そこでなんで二人とも殺しちゃうのよ、劉備(岳華)の奥さん!と最大のネタばれツッコミをさせていただく。いくらオリジナルストーリーだからと言っても、そりゃねーよダニエル・リー!ああ、だからやっぱりアタシは苦手なんだな、ダニエル・リー作品が。『星月』しかり、『スター・ランナー』しかり(『ドラゴン・スクワッド』は未見)。

 そんな文句はとりあえずおいといて、これは久々に、頭の先からつま先まで、見事なまでにThe☆アンディ先生映画だった。以前も書いた“チンピラ・ロン毛・流血”の三大条件のうち、チンピラ以外の条件は満たしている。最初の登場シーンでは髪をラフにまとめていたし、五虎将軍となってからは髪を後ろで三つ編みにしている。後ろだけなら今やってる某大河ドラマの某石田ミツナリかよ?と思わずつっこみたくなった(もちろんアンディの方が先だが)。恋人は出てくるけど(女優さんの名前失念)、死ぬ前にフェイドアウトしちゃうしなぁ。それがいいのか悪いのか、というのは、あえて言うまい。

 出番がちょっとだけでホントに惜しかったけど、ティ・ロン兄さんの関羽はカッコよかったねぇ。前半で趙雲と戦うくだりも、おお、さすが往年のアクションスター!と思わずグッときてしまったし。ただ、せっかくの美髯公なのだから、もーちょっと御髯のボリュームがあってもよかったのに。
 アクションといえば、趙雲の部下・鄧芝を演じたオンくん(アンディ・オン)もよかった。体にボリュームがあっても、身軽でどんどん動く!みんなあの帽子型兜(これ、なんとかしてほしかった…)をかぶっているのに、一人ドレッドヘアに唐草模様の上着を着て、どことなく個性を打ち出しているのもいい。彼に限らず、衣装のデザインはえらい個性的で、あれはあれで見ていて楽しかったかな。
 ヴァネスが演じた関興(関羽の息子)…。出番はあれでいいのか?

  そして、オリジナルキャラクターの二人、サモハン演じる羅平安とマギーQ演じる曹操の孫娘にして魏の都督曹嬰…。うーむ、はたしてあれは必要だったかどうか。物語の語り手でもある平安は、あれはあれで必要な存在だったけど、二人の関係をもう少し深く描いてくれてもよかったような気がした。描き方次第でいいキャラクターになったと思うんだけどなぁ。
 で、曹嬰は…。華に、華になってない~(泣)。祖父譲りの狡猾さとか、非情な感じはあったと思うけど、やっぱりそこに華があった方が断然いいに決まっている。顔色も悪そうだし、てゆーか悪いし。
 あ、一緒に観たひろみさん曰く、戦の場面の彼女はまるで某大河ドラマで某上杉ケンシンを演じていた某ガ○トのように見えたとのこと。ワタシも一票。

 うう、投げやりな感想になってしまった。スマンです。
 実は途中で集中力が切れたんです。なんでこれで集中力切れるかなー。
 近いうちにVCDでもう一度見直そうかしら。それとも『ウォーロード』を先に観て演技派アンディを堪能してこっちに戻った方がいいのか。

英題&邦題:Three Kingdoms Resurrection of the Dragon/三国志
監督:ダニエル・リー 製作:チョン・テウォン&スザンナ・ツァン 出演&アクション監督:サモ・ハン・キンポー 撮影:チャン・トンリョン 音楽:ヘンリー・ライ
出演:アンディ・ラウ マギーQ ヴァネス・ウー アンディ・オン プー・ツンシン ティ・ロン ユエ・ワー ユー・ロングアン ダミアン・ラウ

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