旗靡かず 風無し 揺らぐは人の心なり
まずは旅行記よりも先に、やはりこれを書いておかなければね。4月1日だし。
この記事の続きになります。
3月30日、香港国際映画祭にて上映された、『楽園の瑕』のファイナルカット版とでもいうべき、《東邪西毒:終極版》を観た。チケット発売当日に即ソールドアウトと聞いていたので、観るのを諦めていたのだけど、運よくチケットを分けていただいたので、わーい♪香港国際映画祭に初参加だ~、と嬉しくなった。
しかも上映前にはプレミアイベントもあるとは。イベントには入れなくても、入り待ちくらいはいいよね、というわけで文化中心入口の特設ステージの前にあった柵の前で、必死に身を乗り出していたのだが、香港人トニー迷の皆様と合流したら、いつの間にか会場の中に入っていたわけで…(苦笑)。
なぜかステージのほぼ前に陣取ってしまったワタクシ。いいのか、こんなところにいて。ただの日本のとーほぐから来たお地味なトニー迷だというのに。周りの香港人は正装、アタクシはくたびれたパーカーにジーンズ。正装でと言いながらも実は頓着しなくてもいいってどーよ。これが香港国際映画祭クオリティらしいとか。
スクリーンでは予告編が流され、会場に響くBGMは耳慣れたものとはちょっと違うアレンジ。ほー、これが馬友友先生が手がけたという新音楽か。
さらに近くにいた上品な初老の女性がトニーママ、トニーによく似た目もとのすらっとした女性がトニー妹だと知りかなりビックリ。こんなところで梁家の皆様と同席できるとは!妹さんの近くには旦那様もいたようですが、これまたステキな方でした。しかし妹さん、えらく若く見えたのですが、聞けばお兄様とは一つしか違わないとのこと。兄妹そろって見た目が若いのか、梁家は!
待つことだいたい40分くらい、会場のむこうがざわめきだし、いよいよゲストがレッドカーペット・アライビング。うわっ、王家衛でかっ!奥方はライブで見てもかわいらしい。うわ―ブリジットブリジット、初めて観たよ!チャーリー、頭ちっちゃい!
そしてそして、トニカリ来たー!
ごめん!カリーナが切れた!胸しか映ってない!スマン!
ゲストが一度文化中心の中に入ってすぐ、ステージの映像が変わった。
予告編映像が流され、レスリーに贈る香港&大陸の映画人のコメントが流される。さすがに全部は把握できなかったが、一番印象的なのがリヨンの「真、善、美」。
続いてビデオメッセージも流された。レスリーゆかりの人々がメッセージを寄せ、デビュー間もないころに彼と音楽電影で共演したセシリアは、なんと息子ちゃんのルーカスくんと登場。初めて見たルーカスくん、額がパパによく似ているよ。ビデオメッセージのラストを締めくくったのはウーさん。彼のメッセージもまた、胸にしみた。そして、最後には文化中心入口に飾られた「In Memory of Leslie Cheung」の字が大写しになった。
いよいよゲストの登場。登壇したのは王家衛、ブリジット、トニカリ、チャーリー、そして久々に王家衛組として登場のアンドリューさん。アンドリューさん、痩せたねぇ~。最初誰だかわからなかったよ。
夢中になって写真を撮りまくっていたので、コメントはほとんど聞きとれず。詳しくはご一緒したnancixさんの記事をご参照くださいませ。
映画は、オリジナルより4分ほど短くなっている。でも、短くなってはいても、濃度は全く変わらない。むしろ、深くなっている印象。翌日の蘋果日報に、原版と終極版の比較が掲載されていたので、以下に書き出してみる。
・ブリジット演じる慕容兄妹を象徴する水影の揺らめき、桃の花の林など、イメージカットの追加
・冒頭とラストにあったアクションシーンが大幅にカット。また、黄薬師と無名の剣士、洪七とその妻の場面が少し短くなっている。
・慕容兄妹は燕国人という設定なので、登場人物の大多数を占める中原の人間とは言葉が違う。ゆえにブリジットは北京語で台詞を話していたが、オリジナルでは広東語に吹き替えたとか。終極版では元に戻し、北京語のセリフを生かした。
・デジタル技術による色彩の調節
・馬友友による音楽を新録し、もとの音楽と併用。
・オープニング&エンドクレジットを一新。
もともと、王家衛は10年前にこの映画を新編集しようとしたらしいが、97年の経済危機で受けたダメージがあまりにも大きく、未編集のオリジナルフィルムの傷みもひどかったとのこと。そして、ようやく着手しようと思った矢先にレスリーが亡くなり、新編集よりもオリジナルの修復をすることを決断した、と新聞にあった。
もし、その新編集版が実現していたら、どんな作品がワタシたちの前に現れていたのだろうか。それもまた、観てみたかった。
会場では、レスリー迷のみなさんが多く集まっていた。
そして、彼の姿に惜しみない拍手を送っていた。
ほんの少し前までは、彼はここにいたのに、もういないんだ…。
レスリー迷でははいワタシだけど、やっぱり彼の不在は心にずしっと来てしまうなぁ。
そんな思いをかみしめる、6回目の4月1日だった。
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