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武侠怪盗英雄剣 楚留香(1976/香港)

 ヒーローもの好きであるワタシだが、最近は徹頭徹尾シリアスなものよりも、むしろ軽妙なキャラの主人公が、荒唐無稽な大冒険を繰り広げてくれるものが面白く感じる。日本のマンガで例を挙げれば、御馴染の『ルパン三世』、それから今年再アニメ化されるという『コブラ』といったところか。彼らは世界や銀河を股にかけたお尋ね者だけど、傍らに美女、または信頼のおける仲間と共に大冒険に繰り出す。
 そういうノリを香港に持ってきて、さらに予想不可能なストーリーを展開させ、思わず唖然茫然となり荒唐無稽にもほどがあるだろ!とツッコミたくなるオチの映画が、この『楚留香』だった。
 ちなみに古龍の原作は未読。小説でもこんなノリ…じゃないよね、さすがに。

 楚留香(ティ・ロン)は天下に名を轟かす風流怪盗。3人の美女を従えて、船上で楽しく暮らしてはあちこちを旅している。友人の南宮霊(田青)と無花大師(岳華)を船に招き、宴を催していたところを、神水宮の女剣士宮南燕(ノラ・ミャオ)に襲撃される。巷では、武林に名だたる3人の幇主が神水宮にある毒薬「天一神水」によって殺害されており、その犯人が楚留香であると噂されていたのだ。楚は真相を突き止めるべく動き出す。

 いやさー、これ、最初はパスしようかどうかって悩んでたんだよ。日曜最初の上映だし、『男と女』もパスして星仔の映画だけでもいいか、なんて一時期思ったんだけど、観てよかったわ!楽しかった!
楚留香っていえば古龍が生んだ“東洋のアルセーヌ・ルパン”だもんな、原書で読んだ弟がかなり面白かったって言ってたのを覚えていたので、映画も面白いに違いない!それに若きティ・ロン兄さんも観られるしさ、ってなわけでチケを取ったのだ。旧作群ではこれが一番楽しかったですよ。 

 自由と風流を愛し、自らが親がわりとなって育てた(!)3人の女性と共に、江湖を気ままに闊歩する盗帥楚留香。剣の腕でも立つし、女性にもモテモテ。それを演じるのがいわゆる“一昔前のオトコマエ”であるティ・ロン兄さんなのだが、ちゃんと役柄に見合った軽妙さを出してくれているのが嬉しい。今の兄さんはかなり渋々キャラになってしまったけど、この頃はホントにオトコマエで(一昔、を取ってもね)観ていて楽しい。楚留香以外だと、まるでテンガロンハットをかぶっているように見える(爆)中原一点紅の、いかにも中華の殺し屋的な登場も面白かったなぁ。
 もちろん女子陣もかわいい。ワタシはいわゆる李小龍の“ドラゴン”系作品をほとんどスルーして育ってきたんので(しょうがないだろ、女子だからな)、ノラ・ミャオやベティ・ペイ・ティといった往年の女優の皆さんのノリノリな頃を観たのはこれが初めて。キャピキャピしている“楚留香エンジェル”から敵役っぽい存在感の陰姫公主も、だれもがかわいい。

 …とまぁここまでは絶賛するんだが、しかしあの「うぞーーーーー!」としかいえないラストって、いったいどーよ。そして、ガンガン腕や脚をもいで(脚はもいでないだろ脚は)投げまくるってのもいったいどーよ。ま、それもまたB級映画としての香港映画の魅力には違いなんだろうけど、「それでいいのかよぉーーーーー!」と心の中で叫んで唖然としちまいましたよ。昔の映画だから、仕方ないのだろうけど、さすがに今の香港映画でも、あれはできないよね。

 ティ・ロン主演の“楚留香シリーズ”はこれを含めて3本作られたそうで、12月にこれと一緒にソフト化されるという『多情剣客無情剣』がそのひとつになるのかな?なんとか観る機会を作ろうっと。

英題:Clans of intrigue
監督:チョー・ユン 原作:古龍 脚本:ニー・クワン
出演:ティ・ロン ユエ・ホア ノラ・ミャオ クー・フェン ベティ・ペイ・ティ

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