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ラッシュアワー3(2007/アメリカ)

 ディパこと『無間道風雲』のようなリメイクばかりでなく、今年はやたらと人気シリーズのパート3か続編ものばかり上映されているのは、まさに今のハリウッドがネタ切れ状態であり、お手軽に銭を稼ごうとしているかがよくわかる。パンピー観客はハリウッド至上主義だから、ディパを誉めてもなかなか元ネタまで行ってくれないし、約15年前に完結したと思われていたあのボクシング映画や、バツイチになって娘が大きくなって頭髪がすっかり寂しくなっても相変わらず運の悪い刑事の映画が復活して、しっかりヒットしてしまうとはどーゆーことだか。そんな「パート3」ブームに乗って6年ぶり(だった気がする)に帰ってきた『ラッシュアワー3』を観た。
 ストーリーは説明しても意味ないので省略(笑)。冒頭は1と同じロサンゼルスから始まるので、中国大使のハンさん(御馴染ヘンリー・Oさん)も登場。でも1からかれこれ8年も経っているので、ハン大使の娘スーヤンも成長。なんとビックリ、張静初になって帰ってきたよ!いやーかわいかったなー。『七剣』の彼女しか知らなかったからなおさらそう思っちゃったよ。

 やっぱりさー、成龍さんがいいのは香港で映画を撮るときであって…なーんて思うんだけど、日本ではプロジェクトBBよりこのシリーズの方が断然人気ってーのは、それは単にこの国のエンタメ嗜好が未だに欧米至上主義だからなのか?なんてひねくれてスマン。あれ?成龍さんってハリウッドに見切りつけて帰ってきたと思ったら…あ、もしかして出演契約結んでいたからか。
 確か、最初はゲストにイーキンが決まっていたんだよね?それが相方(クリス・タッカーだ)がギャラでゴネて製作が延び、いつの間にかイーキンの出演も消えたと思ったら、いきなり真田さんかよーとさらに驚く。話は香港編の2よりヘコヘコなのに、敵役はかなりグレードアップしてる。

 さすがJAC出身だけあって、真田さんのアクションは相変わらずシャープだなー。『無極』では鎧を着ていたので、それほどすごいとは思わなかったけど、今回は最初から飛ばし気味なので、成龍さんとの勝負は久々にわくわくしちゃいました。そのぶんカーター(相方)は邪魔だったー。どうも日本では謙さんのハリウッドでの健闘ばかり注目されちゃって、同世代の真田さんの海外での仕事はあまり評価されていないみたいだけど、ハリウッド大作ばかり出るからいいってわけじゃないし(注・別に謙さんを批判してはいません。だって好きだもん)、ヨーロッパやアジア映画にも軽いフットワークで出て、将軍も宇宙船の船長も悪役もゲイもやれるってことは、役者としてかなりすごいことじゃない?もっとそこに注目しようよ、マスコミさん!
 真田さん演じるケンジは幼少時に親をヤクザに殺されて中国に送られ、そこの孤児院で成龍さん演じるリーと出会って兄弟として育つけど、仲は決裂して違う道を行くことになったという、この話だけで香港ノワールが1本できそうな設定なのだが、まず始めはなぜ日本人なのに中国の孤児院で育つ?というツッコミができるな。まーリーの年齢設定がだいたい40代半ばでケンジも同年代とすれば、彼らの幼少時は文革真っ最中、だから大陸で暮してもものすごく過酷だったかも。そうなるとやっぱり香港育ちってことになるか。で、ケンジは新宿でブイブイいわせたヤクザの息子で、親を殺されて香港に売られて危うく少年愛の愛好者に買われるところを救われて孤児院に…と考えれば(妄想すれば?)とりあえず設定に合点がいく。ってホントかよ。で、リーと決別した後はヤクザの血筋を生かしてアジアンマフィアの世界に身を投じて、ついでに米国留学で箔をつけてパリに本拠地を構えたってことになるのか?ってかなり妄想し過ぎだよな。
 英語の発音もいいし、ところどころで光っていたケンジだけど、クレジットに比べて本編での立ち位置がラスボス前のキャラってーのはどーよ。キミはピーター・ホーか?(詳しくはこれこれを参照あれ)
 工藤夕貴は…、これって2のツーイーと同じじゃーん。こんなのでいいの?なんか、ますますかわいそうな気がするよ。 

 しかし、観ていて一番気になったことはこの一つ。

 クリス・タッカー、いらんわ。

 …って、それをいっちゃぁおしめぇよ!
 以上。とりとめもなくてホントにスマン。

監督:ブレット・ラトナー 音楽:ラロ・シフリン
出演:ジャッキー・チェン クリス・タッカー 真田広之 チャン・チンチュー イヴァン・アタル 工藤夕貴 ヘンリー・オー ロマン・ポランスキー マックス・フォン・シドー

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コメント

行きたいのになかなか行けず、今週で終わってしまうのでは?と危ぶんでいます。そう、ジャッキーが見たいというより真田さんが見たいからです!

もとはしさんの妄想あれこれを拝読して、なかば本気にしながら「やっぱ見に行かねば!」と思いを新たにしています。

投稿: 藍*ai | 2007.09.13 00:03

 ストーリーは雑だし、クリス・タッカーはでっかくなってもただうるさいだけだし、結構頭を抱えたくなるところも多かったのですが、真田さん&成龍さんのアクションだけでも楽しめるかと思います。サンシャインではアクションどころか途中退場だったしなー(苦笑)。記事内妄想では、なんかここまで妄想して補わないと元が取れないわ、なんて思った次第です。

投稿: もとはし | 2007.09.13 23:41

偶然にも同じフレーズを(それをいっちゃぁおしめぇよ)使っていたので、笑てしまいました。
本当にクリス・タッカー要りませんでしたね。
もとはしさんの考えた妄想の設定で映画化希望。

投稿: KEI | 2007.09.14 02:21

 うわーKEIさん、そちらの記事は先に読んでいたのですが、思わず無意識に使ってしまいました。パクってしまったような状態でホントに申し訳ないです。お詫びにTBしますので。
 クリス・タッカーって2以降の6年間で、これ以外の映画になにか出ていましたっけ?観た記憶がまったくないのでホントにいらんと思いましたよ。
 この次の成龍作品になる《新宿事件》で妄想したようなこの手の設定が出たらうれしいこと限りなしですが、どーなることやら。

投稿: もとはし | 2007.09.14 22:18

いえいえ、とんでもない。
みんな同じこと思うんだなぁ、と嬉しくなってしまっただけのことで、お気になさらず〜
《新宿事件》の舞台になるはずの歌舞伎町近辺は、私の通勤経路なので、万が一ロケ隊に遭遇したらどうしよう?仕事そっちのけで追っかける?と、捕らぬ狸の皮算用で悩む日々です。

投稿: KEI | 2007.09.15 00:35

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