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《生日快楽》(2006/香港)

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いつもなら2月の連休は多少なりとも春節の後にあたるので、この時期には賀歳片(旧正月映画)が見放題になる。7年前は『東京攻略』『電脳警察サイバースパイ』(同行の友人はそれに加えて『決戦・紫禁城』)を観たし、3年前は『マジックキッチン』『シルバーホーク』が終わっていたので、後半戦の『ツインローズ』 『新世紀Mr.Boo!』 《花好月圓》を観た。今年は春節の元旦が遅かったということもあって、映画もちょっと淋しい状態。《傷城》はとっくに終わっていたし、《黄金甲》は郊外の映画館で1日1回上映。両作ともまだDVDは出ていなかった。他に中国映画まで手を広げれば張楊監督の新作があったけど、この監督だからどーせ日本に来るだろうし、エリック兄貴やケン出演で話題の抗日(?)映画《東京審判》も、さすがにちょっとどーかと思って触手が伸びず(出ている日本人俳優もほとんど無名だし、思いっきり反日な内容だったらこっちも観ていられないような気がして…)。あ、去年の東京国際で上映された台湾映画『永遠の夏』もブロードウェイシネマテークでやっていたみたいだけど、これはチェックし忘れていた。
そんな冬枯れ状態の中、《生日快楽》この時期の港産片としては比較的頑張っていると知ったので、日本語字幕なしで香港映画を観た経験のない友人の零食皇后に「ラブストーリーならわかりやすいから観ても大丈夫だよねー」と言って、一緒に観ることにしたのである。

1996年7月6日、音大生の小米(レネ)の誕生日。彼女はボーイフレンドの港大生小南(古天樂)とプレゼント交換をする約束をするが、どういうわけかすれ違ってしまい、お互いに祝うことはなかった。それもあって、二人はお互いの誕生日にカードを贈りあうことになり、カードがメールになってもずーっとそれを続けていた。しかし2006年の7月6日、小米が小南に逢うことはできなかった…。
96年のある日、香港大学で法律を学ぶ小南は、友人のダニー(ローレンス)に誘われて参加した合コンで小米と出会った。二人はたちまち意気投合し、付き合うようになる。彼女は小南が女の子にもてることがちょっと気になるが、小南は父(リチャード・ン)と祖母ともいい関係になり、家族のような存在になった。音大でピアノを学ぶ小米には、ピアノのレッスンで母親に怒られ、そのまま家を出て行かれたというトラウマがあって、そうしても克服できないミスを冒すクセがあったが、彼女のピアノを聴いた小南の励ましでそれを克服し、いずれはウィーンで音楽を勉強するという夢を持つ。そして小南にも、大学卒業後はアメリカに留学してMBA(多分)を獲るという目標があった。そんな二人は急接近するが、恋愛関係に発展するのを恐れた小米は、彼に「ワタシたちはいいお友達でいましょう」と告げる。驚く小南。そして、ギクシャクしたまま彼はアメリカに渡るが、しばらくして彼の姉の一人が食道ガンで他界したことがきっかけで一時帰国し、小米の祖母の葬式で再会する。小南は帰国して不動産のセールスマンになり、入れ替わりに小米が日本の音大に留学する。再びはなれても二人の友人関係は穏やかに続くが、回りの誰もが「なぜあの二人は結婚しないのだろう?」と不思議に思うほど、親密な関係を続けていた。
日本留学を終えた小米はピアノ教師をしながらウィーン留学を目指していたが、留学を果たした時に二人で思いを確認しあおうと決意をしていた。しかしある夜、携帯電話の留守電に入っていたのは、小南からの、結婚をしたという知らせであった。実は小南も、彼女と結婚できないある秘密を抱えていたのだった…。

ちょっと疑問に思うことがある。香港映画って、十年愛ものが妙に好きだよねーってこと。その代表的な作品としてはピーターさんの『ラブソング』に『ウィンターソング』の2作品、さらに20年以上にわたるものも含めれば『玻璃の城』や『君のいた永遠』も。日本と同じように、香港人も銀幕では純愛志向で、特に長きに渡って愛を育んだり迷ったりする物語が好みなのか、それとも10年くらいの長さでも、実年齢よりルックスが若い人が多い中華明星なら、その長さをうまく演じられると思われているからそうなるのか、そのへんはよーく知らんのだが。しかし、愛の期間があまり長すぎるのも困ったもんで、二十年愛の『玻璃』のリヨンとすーちーの40代スタイルはあまりにも若すぎるぞってツッコミしたし、それより長い三十年愛だった『君のいた…』では、10代から20代まで金城くんとジジが演じた二人が、40代になっていきなりダイ・リーレン(レオン・ダイ)とシルヴィア・チャンにグレードアップしちゃうので、おいおいって感じだったし。…もっとも、日本の映画セカチューでも、30代半ばの大沢くんが10代の頃の回想でいきなり森山未来になっていたわけだから、30代の俳優が一人で演じる時間の限界はやっぱり10年なんだなぁってことで(それを考えたら、韓国版セカチューリメイクはやっちゃいけないことを平気でやっていたってことだな。30代俳優が高校生やってたっていうし)。

シルヴィアさんの名前が出たところで話を元に戻すが、この映画は台湾の女優兼歌手であるレネ・リウが書いた小説を原作としていて、これを読んだ彼女が映画化を決意してレネ自身に主演させ、ジングルさんに監督を依頼して香港で作ったってことになる。シルヴィアさんも台湾人だけど、香港で積極的に映画を作っているわけだし、30代前後(になったよね?)のレネにつりあうのは、台湾の華流スターよりもやはり30代半ばの古天樂だ(しかも今彼はノリにのっているし)と狙ってキャスティングしたのはお見事だなーと思った次第。事実、香港ではこうやってそこそこヒットしているわけだし(ワタシが観た時点ではすでに3週目くらいだったけど、劇場数も減っていなかったし、土曜の夜ってこともあってかお客さんも半分くらい入っていたし)。

しかし、ラブストーリーだからいいのか、ヒットしているからいいのか、といえば…。個人的にはちょっと辛かったかな。あー、きっと結末はこーなるんだろうなぁと思ったとおりの結末になったわけだし。もしかしたら東京国際で上映されちゃったりしそうなので(笑)あえて書かないけど、観終わったあと、気分的には沢田知可子の『会いたい』を歌いたくなってしまった(いや、歌っていないし、単に思っただけで誰にも言っていないんだけどね)といえば、わかってくれる人はわかってくれるか。
もしワタシがまだ20代で、恋愛もセックスも結婚もまだまだ生々しいって思っちゃうし、それで気になっている人といい関係に行くのが怖かったら、やっぱり小米みたいに言っちゃうだろうなって共感するんだろうけど、さすがに年齢を重ねちゃっているから、オマエ青いよっていう気分もちらほら感じていたもんで。もっともあそこでつきあっちゃおう!と言っちゃえば映画は終わっちまうわけだよな。わーははは。
…もっとも、小米の場合は夢の実現が第一目標になってしまったために、それを応援してくれる小南は彼女のよき理解者でもあるし絶対大切にしてくれるはずなのだから、付き合っても結婚してもきっとうまく行くはずなのに、決して彼女がそう思わなかったという気持ちの違いが原因だったんだろうなぁ。
ちなみに零食皇后様は鑑賞後えらい勢いで怒っておりました。彼女はすっごくずるい、自分が傷つきたくないからああいうことを言って逃げたってーのはどーよ、ついでにレネ自身のキャラやルックスも苦手だと(笑)。あ、そうか、その気持ちもわかると同意しつつも、でも古天樂はええ男だったでしょ?というと、そのへんはなんとか納得してもらえましたが。
まーつまりは、これって女子のドリーム的な恋愛なのかなってことですね。要するに日本で男子のドリーム的恋愛を具現化したようなセカチューやいま会いが受けたのと同じなんじゃないだろうかって思った次第ざんす。って暴言かしら?

友人に大不評のレネだけど、そーいえばワタシは彼女の演技を見るのはこれが初めて。だからなんかそっちのほうばかり気になってしまって、批判するには至らなかったわ。今まで香港映画には出た経験あるのかなぁ?大陸映画なら、アンディと共演して日本公開も決まった『イノセントワールド(天下無賊)』に出ているし、大陸ドラマへの出演も多いんだよね。個人的には同じ台湾女優でも、『部屋においでよ』や『父子』のヴァレン・スーの方が好みかな。
しかしローレンス・チョウは化けるなぁー(笑)。ロン毛に無精ひげで数年前のリッチーにも似ている雰囲気のヘアスタイリスト、ダニーを見たときに、えー『The EYE』『AV』の彼とホントに同一人物?眼鏡かけてねーじゃんって思ったもんで。この個性のなさ、というかどんなキャラにも化ける変幻自在さに、オマエは香港の大森南朋か?と問いたくなった。歳も同じくらいかな?ははは。
古天樂はラブストーリーもこなすねぇ。黒ルイスだったけど(笑)。大学生スタイルはなんか濃い目だったけど、まー許そう。しかし、茶髪で優しげな彼が、ラスト近くでダニーに髪を切ってもらった後、思いっきり《門徒》モードに変身していたのに大爆笑しました。ちょうど《門徒》のポスターが街中にあふれていたから、なおさらね。

あ、『無間道』好きの皆様に小ネタ情報。この映画には、あの港威戯院が登場します。ってーかワタシたちがもろにそこでこの映画を観ていたこともあって、思わず爆笑してしまったのはいうまでもないさぁ。(って大したことじゃねーな、スマン)

監督:ジングル・マー 製作:エリック・ツァン 原作:レネ・リウ 脚本:シルヴィア・チャン
出演:ルイス・クー レネ・リウ ローレンス・チョウ リチャード・ン リッチー・レン 工藤夕弥

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コメント

ちょっと聞きたいのですが・・・

その映画に登場する無名の日本人俳優の工藤夕弥さんについてですが、
その人の特徴は、背が高く痩せ型の顔が小さい人ですか?
知り合いのような気がしています。
覚えている限り教えてもらえませんか?
そして、香港では彼は活躍していますか???
以前は、香港でモデルをしていたんですが・・・

投稿: ひろせ | 2007.03.30 10:31

ひろせさん、レス遅くなりまして申し訳ありませんです。
この映画で工藤夕弥さんはヒロインの留学先の友人を演じていましたが、確かにモデル体型のハンサムさんだったと思います。後は…すみません、これくらいしかわからないのです。映画の公式サイトにもプロフィールが詳しく載っていませんでしたし…。

香港映画では、日本の有名な俳優よりも現地の事務所に所属している日本人俳優の方がよく登場します。現在日本で活動している俳優のRIKIYAさんも、香港でモデルをしていて、それが香港人監督に注目されて映画に出演したこともあるので、工藤さんも案外同じパターンで映画出演となったのかもしれません。

この映画がきっかけで彼が注目されれば、お友だちとしても嬉しいですよね。(でも日本公開は未定のようです…)

投稿: もとはし | 2007.04.02 19:03

彼の活躍が認められて私は嬉しいです。
この映画も見たいと思ったのですが
中国語ですよね。
また彼のことで「映画の主役に抜擢!」なんて
ことがありましたら、ご報告願いたいものです。

ありがとうございました。

投稿: ひろせ | 2007.04.04 19:26

もとはしさんが言われている彼は香港のトップモデルとして活躍されている工藤夕弥さんです。ELITE HONGKONGに所属されているようです。

リーバイスの広告やCANONのCMなどいろいろと活躍されているようですよ。日本では知花くららさんとメイべリンのCMで共演されています。

まだ公開されていませんが、日本の漫画原作の香港映画、軍鶏にも出演されているようです。
私は原作がとても好きなので、公開がとても楽しみです。どなたか情報を持っている方いらっしゃったらお待ちしてます。

彼はモデルとしても有名らしいですが、ファッションがとてもおしゃれということで有名みたいです。

同じ日本人としてもっと有名になって日本に帰ってきてほしいですね。

投稿: とん | 2007.10.09 01:33

 とんさん、工藤夕弥さんの情報ありがとうございました。とんさんはもしかして香港在住のお方でしょうか?
 《軍鶏》は『ドッグ・バイト・ドッグ(狗咬狗)』のスタッフの最新作ですよね。昨年の東京国際映画祭で少し話題が出たくらいしか情報がないのですが、これも楽しみですね。

投稿: もとはし | 2007.10.09 23:05

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