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暗いところで待ち合わせ(2006/日本)

昨日でこのblogは3周年を迎えたのだが、さらに偶然なことに、一発目&二発目のレビュー(『最後の恋、初めての恋』『藍色夏恋』)と今回の『暗いところで待ち合わせ』は、すべてチェン・ボーリン出演という共通点がある。おやおやこいつぁ春から縁起がいいや(笑)。原作は乙一の同名小説。乙一、おついち…すまん読んだことねーよ!職業柄読んでいてもいいはずなのに今までずーっとスルーしてたよ!今度読んでおこう。
題名を聞いて思い出したのが、オードリー・ヘップバーンが盲目の女性を演じた(実は未見なんだけどね)『暗くなるまで待って』。この映画を受けてのこのタイトルなのかしらん。

暗いところで待ち合わせ
乙一〔著〕
幻冬舎 (2002.4)
通常24時間以内に発送します。

本間ミチル(田中麗奈)は3年前に交通事故で視力を失い、ロシア語通訳の父(岸部一徳)と私鉄の駅を見下ろす家で穏やかに暮していた。しかし、その父も突然死んでしまい、一人暮らしを始めたミチルはすっかり家に引きこもり、親友のカズエ(宮地真緒)と遊びに行く以外はほとんどを家で過ごしていた。
近くの駅でなにか事故がおきたらしいある冬の日、ミチルの目が見えないことを利用して、一人の男が彼女の家にそっと忍び込んだ。男は近くの印刷工場に勤める大石アキヒロ(ボーリン)。そして事故で死んだ印刷工松永トシオ(佐藤浩市)は彼の同僚だった。中国生まれのアキヒロは職場の人間関係に馴染めず、特にトシオとは折り合いが悪かったのだ。
アキヒロは駅の見える居間の窓の隅に陣取り、ミチルに気づかれないようにじっとしていた。腹が減ったら冷蔵庫の中のパンを拝借し、何かを見張るように身を潜めていた。そして、ミチルは自分の家に誰かがいるということを感じ取る…。

映画化に関してはアキヒロをボーリンに合わせて中国人の血が入っている(恐らく残留孤児子女の2世か3世?)設定にしたり、ミチルがピアノを弾くことを趣味にしているなどオリジナルが加わっているらしいけど、それらは映画的効果をあげているのでマイナスにはなっていない。台詞も極力抑えられている。しかし、決して退屈ではなく、一人ぼっちのミチルの生活の淋しさと、彼女に気づかれまいとするアキヒロの緊張感を伝える。
ストーリー的には“真犯人”の動機がイマイチ伝わらないとか、ミステリーとしてはどうかな?と感じたりで細かいところでいろいろつっこみたいんだけど、そのへんは目をつぶっていいんじゃないかな。ミチルとアキヒロの見つかりそうで見つからないスリリングな関係に絞ったから、その面白さでひきつけられたし。(原作でもそれが前面に出ているのか?)ここから思い出したのは『恋する惑星』のフェイとトニーのエピソード。ええ、異性の部屋に忍び込んでしまうという部分だけが共通しているんだけどね。
ともかく、邦画にしてはやかましくない、ゆったりしているささやかな小品(といっても上映時間2時間9分…)という印象。

ボーリンは意外と声が低いなぁ。日本語の台詞に苦心していたというのはよくわかる。
彼は数年前に日本に3ヵ月短期留学していたことから、香港(出演作は『ツインズ・エフェクト』《情癲大聖》『バグ・ミー・テンダー』…って全部観ていないわ)や台湾だけでなく日本での活躍も見込んでいたってことだよね。観るのをすっかり忘れていた、あの柳楽優弥くんと共演した『シュガー&スパイス』では日本語をしゃべっていたんだろうか?で、今やっている『東京タワー』ではどーか?ともかく、彼には今後も日本語を頑張って習得してもらって、中華俳優が日本で活躍できる基盤をせっせと作ってもらいたいような気がする。
しかし、実際3年ぶりに映画を観たってせいか…なんかステに似ているなぁと思ったのはワタシだけだろーか。
麗奈ちゃんは中国で初の連ドラに挑戦したり(日本じゃTVドラマに出ないもんね)、この映画の前にボーリンと共演したのが台湾映画『幻遊伝』など、密かに中華世界進出を試みていたのね。一度彼女の中国語を聞いてみたいんだが、『幻遊伝』は観るべき?そーいえば、ここではノーメイク…だったよね。もしそうなら、意外とお地味さんだったのねーなんてちょっと思ったのだが(苦笑)。
あとは脇役が無駄に豪華というか(誉め言葉です)。浩市さんの登場(それもいきなり死ぬし)にビックリした次第。杏ねーちゃんこと井川遙嬢の登場も同様。うーん、意外と井川です。しかし…それでいいのか井川、とちょっと端っこで呟いてみる。

監督の天願さんは昨年亡くなられた今村昌平監督の息子さんで、世界的に評価の高いお父様の数々の作品で脚本を務められているのですねー。あと、『アジアン・ビート』の一編で監督デビューしたとのことで、アジア方面と無関係ではなさそうな感じ。監督作は多くはないみたいだけど、今後のアジアンコラボで活躍してくれたら注目したいかな。

監督&脚本:天願大介 原作:乙一 音楽:めいなCo.
出演:田中麗奈 チェン・ボーリン 佐藤浩市 井川 遙 宮地真緒 岸部一徳

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