ターゲット・ブルー(1994/香港)
うう、この映画『霍元甲』の前に観ていたのに、なぜか今まで感想が書けなかったのよ…。というわけで、今さらながら『霍元甲』公開記念、リンチェイ過去作品鑑賞の感想。
学生時代は、中華映画以上にハリウッド映画を観ていたのだが、その頃全盛期だったスターがケヴィン・コスナーだった。90年半ばに出演した超大作が大コケして以来、急激に凋落してしまって今や3年に1本くらいのペースで地味ーに主演を張っているみたいだが、そのケヴィン絶頂時のエンタメ系代表作といえば、やっぱり『ボディガード』だったように思う。(ワタシの個人的好みは『さよならゲーム』や『フィールド・オブ・ドリームス』の野球映画系なんだが)
3度目の台湾旅行に行った頃、ちょうど台北でこの映画が上映されていた。中文題は《終極保[金票]》。「終極」は究極って意味だというのはわかっていたけど、「保[金票]」を辞書で調べたら「用心棒」と出ていて、なるほどと納得。そういえば金庸の小説にも運送業と用心棒を兼ねた職業を束ねる場所として「[金票]局」っていうのが出てきたもんなぁ。
でも、真の意味での“究極の用心棒”は、実はケヴィンじゃない。ケヴィンより断然強い(大笑)『ターゲット・ブルー』でリンチェイ演じる許正陽こそが、その名に値する人物ではないか。
許正陽(リンチェイ)は、要人警護を担当する腕利きのSP。彼に与えられた任務は、中国政府に多大な貢献をしている香港人実業家ジェームズ・ソンの恋人、ミシェル・ヨン(クリスティ)の身辺警護だった。ミシェルは企業の不正取引に絡んだ殺人を目撃してしまい、その実行犯から命を狙われていた。彼女と同居しているその甥には、香港警察のポー(ケント・チェン)とケンが護衛についていたが、正陽は彼女の住む豪邸の警備を厳重にする。彼の持つ中国大陸の軍人らしい石頭で堅物の気質にミシェルは苛立つ。しかし、お忍びで出かけたショッピングモールで襲撃され、そのときに彼が身体を張って自分を救おうとした姿を見て、ミシェルは考えを改め、正陽に惹かれていく。
ミシェルは正陽を誘惑するが、任務が一番の彼はまったく取り合わない。そんなある日、実行犯が放った、中国特殊部隊出身の殺し屋ウォン(コリン・チョウ)率いる刺客の一味がミシェル邸を襲う…!
えーと、いうまでもなく元ネタは『ボディガード』で、話もそのまんまなわけだけど、これはリンチェイの記念すべき初現代劇だそーで、(そっか、これ以前のリンチェイって少林寺と黄飛鴻と令孤冲…)そう言われれば人民解放軍の軍服…じゃなくて公安の制服はメチャクチャ似合うのに、どことなく洋服の着こなしがどっか不自然。(こらこら!)しかもこの当時はカジュアルスタイルがイマイチのような…。ま、決してカジュアルが似合わないわけじゃなく、最近は細身カットソーにワークパンツも難なく着こなすんだけどさ。
しかしこの映画、黄飛鴻から始まってハリウッド経由で霍元甲にたどり着いたリンチェイの現在を思えば(それでも見逃している映画は多い。だいたい自分は『少林寺』を観ていないし)、リンチェイの基本映画(特に現代劇)じゃないかなーって思うほど、お約束ネタがつまっている。簡単に言えばこんな感じ。
1)大陸から来た功夫の達人。
2)正義感が強すぎてくそマジメ。ジョークも通じない。
3)女性に迫られてもキスすらしないし、そもそも相手にしない。
4)ボコボコにされながらも立ち上がる雄姿。
他には思いつかないなぁ。リンチェイの現代劇って話は違えども、みんなこんな感じのような気がする。
でもさー、確かに惚れるよ、この映画のリンチェイには。だって「仕事するオトコのかっこよさ」がバシバシ出ているもの。本人は恋愛なんか抜きで「要人だから」ミシェルを守っているっていうのはよくわかるんだけどね。これぞまさしく“究極の用心棒”なんだよね。
…まぁ、ワタシは観ても惚れませんでしたが。すみません。
クリスティはその唇同様(笑)、おいしい役だなぁ。といってもその愛は一方的ではあるんだけど。あと、寝間着姿の悩ましいボディライン(コットンだから下に着ているキャミソールが透けている)がたまりません…なに書いているんだ自分(爆)。
ポー刑事のケント・チェンは最近姿を観なくなったせいか、なんか懐かしかったのはいうまでもない。彼のような役柄、今なら林雪かヴィンセントさんかシウハンさんだもんな。
正陽の宿敵を演じるのは霍元甲パパ、またはマトリックスのセラフことコリン・チョウさん(この映画での芸名は倪星)。…あれ?この3人はホントに同一人物?てゆーかマトリックス自体が忘却の彼方に行ってるんですが…。今度テレビで『リローデッド』あるから観てコリンさんを確認するか。
原題&英題:中南海保[金票](The bodyguard from Beijing)
監督:コーリー・ユン
出演:リー・リンチェイ(ジェット・リー) クリスティ・チョン ケント・チェン コリン・チョウ(ニー・シン)
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