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アジア映画専門館のオープンに思ふ。

東京国際映画祭でもらった1枚のチラシ。そこには、「陽春、アジア映画専門シネコン、六本木にオープン!」と書かれていて、二つ折りチラシの内側にはそこで上映が予定される映画がずらりと並んでいた。そのほとんどが韓国映画だったので、「なんだよぅ、所詮アジアとか言いながら韓流映画館かよ」と心の中で暴言を吐いてしまったのだが、よくよく見ると上映候補作品にはステ監督の2本の映画などが挙がっていた。…なんだ、これでもちゃんと中華電影に配慮してくれているのか。申し訳ありませんねぇ、と先ほどの心の中での暴言をちょっとだけ恥じた自分であった。

多くの韓流ドラマや『流星花園・花より男子』などアジア関連メディアの販売やアジア映画の配給を手がけているエスピーオーが経営するアジア映画専門館「シネマート六本木」がいよいよ来週オープンする。また同様の専門館を大阪の心斎橋にもオープンする予定らしい。
これまでアジア映画専門館を名乗ってきたキネカ大森は別としても(ここはもともと東宝&西友系列の映画館なので、3スクリーンのうち2つは東宝チェーン系配給映画を上映していたし)、ユーロスペースやシネアミューズ、新宿武蔵野館などアジア映画を積極的に上映してくれた映画館は多かった。しかし、キネカを入れても完全なるアジア映画専門館というのは、ありそうでいてこれまでになかった。
「シネマート」誕生のきっかけとその意義は毎日インタラクティブの「アジア銀幕閑話」で紀平重成さんが詳しく書かれている。ちょっと長いけど、以下引用。

邦画を含めたアジア映画の専門館「シネマート六本木」が3月11日、東京の六本木にオープンする。映画の配給、DVDの制作・販売を手がけるSPOの直営館で、4シアターでスタート。4月15日に大阪の心斎橋にオープンする「シネマート心斎橋」は2シアターだ。専門館が東西の2大都市に誕生する意味は大きい。

 というのもドラマから始まった韓流が映画に飛び火して以来、香港や中国、台湾の映画は作っても日本に売れない、売れても上映する映画館が見つからないという状況が続いているからだ。ハリウッド映画以外の作品がかかる映画館が少しでも増えることは、多様な価値観を育み守っていくためには欠かせないと思う。

 このタイミングで開館した理由をSPOの経営企画室長、寺田節さんに聞いた。

 「昨年実施した韓流シネマ・フェスティバル2005は日本未公開の韓国映画22本上映が好評で、ある程度仕入れても入場が見込めるメドが立ちました。それだけでなく香港映画も7、8本は上映できそうです」。韓流というメーンになるコンテンツに手応えをつかんだことが決断を促したようだ。開館の情報を聞いて邦画をはじめタイなどアジア各国の映画関係者から早くも問い合わせが来ているという。

 収支の見通しがつけば理念も生きてくる。「もともと映画で異文化を紹介すれば世界平和に貢献できるのではという思いがありました。本当に相手の文化を知っているのかという疑問を持つことが第一歩ですね。そのとき映画が役立つ」。

 さらに寺田さんはこう強調する。「ブームが去った時こそ重要。上映できる場所がないからと倉庫にしまっている間にタイミングを失ってしまいます。幸い配給からDVD販売まで自分たちでコントロールできる会社なので、ブームに関係なく場を提供できます」

この記事を読んで、ちょっとだけホッとした。エスピーオーの担当さん、韓流映画だけじゃなくて、アジア映画全体の普及と地位の向上には本気で取り組むらしい。

ワタシが韓流をあまりよく思わないのは、次のような理由がある。
3年くらい前までは質のいい韓国映画が紹介されていたから観に行く気力もあったけど、某冬のなんちゃらとその主演俳優(のプロモーター側)が起こした大騒動と、それにあやかろうと次々来日する自称韓流スター、そしてそれをブームと言うマスコミ次々と高値でアイドル映画を買っては全国公開に持ち込む一部の映画会社や、どこか○○○主義が垣間見えるプロモーション側のビジネスの姿勢に疑問を覚え、さらに香港映画の製作本数減少(SARS流行もそうだけど、レスリーの自殺も悪いタイミングだった…泣)とそれと入れ替わりに韓国映画の怒涛の公開ラッシュが始まったために、日本における香港映画の印象が薄くなり、ついには一般人や一般映画評論家に「香港映画は終わった、やる気がない」などと思い込ませることとなった一因じゃないかと考えているからなのだ。

以前も書いたように、香港映画は製作本数こそ減ったものの、決して衰退しているわけではない。nancixさんのコメントにもあったように、中国や韓国との合作や、映画人および俳優が香港以外で活躍するようになって、逆に香港の現場に注目が集まっている。アジアンミックス作品も増えているが、香港に踏みとどまって国際的な注目を集める映画を作りつづけているジョニーさんやトンシンさんのようなベテランもいるし、ステ監督やホーチョンのような若手もいる。まさに現在の香港映画界は雌伏期なのかもしれない。いくらサモハンさんが来日時のインタビューで香港映画に苦言を呈しても、彼だって決して今の香港映画に絶望していないんだろうし、ましてや韓国映画なんて国家の保護という強力な後ろ盾がついているんだから、質や量の云々を比べる時点でおかしい(これは日本と韓国の映画を比べるときも同様)。今書いたことは、ちょっと語弊があって暴論かもしれないけど、ハリウッドの映画産業だって民間企業の集合体でしょ?

以下、ちょっとだけ話はわき道にそれる。
以前新聞で読んだ話だが、日本の大都市圏ほど世界各国の映画を観ることができる地域はないそうだ。それは東京のミニシアターが日本や欧米のインディーズ映画を始め、アジアや東欧、中近東の映画などを区別せずにセレクトして上映し、それにお客さんが集まっているからだということだった。最近は地方でシネコンが台頭し、一部の洋邦のメジャー映画ばかりが売れまくっている状況に対抗すべく、ミニシアターが独自チェーンを組んで映画を公開したという時期も続いたが、シネマートも含めて個性的なミニシアターが登場してきたということは、ヒット作だけでなくもっと個性的な映画を観たい/上映したいという希望が多く出てきたことからなのだろうか。
その恩恵が地方まで来てくれれば、うれしいに越したことはない。でも、ワタシの住む地域にはシネコンはなく、代わりに地元の映画館がシネコン状態になってしまって、同じ映画を何箇所でもやっているという、映画ファンにとってはあまり健全とは言えない状態にある。やはり「この映画をぜひやって!」とリクエストするのが一番の近道だろうか。

地方でアジア映画(特に中華圏)迷をやるのには大変だ。ワタシは田舎在住だから、キネカのアジア映画サポーターズには入らなかった。後からイベントの内容を聞き、「東京の人はうらやましいなぁ…」と思ったものだったけど。いっしょにサークル活動をしていた友人たちも、今ではほとんど香港から離れてしまったので、たまたま再会して「ジェイ・チョウのコンサートがよかった!」と話したくても、ひかれちゃうかなぁと心配したり、逆に韓国明星話に入れなくてちょっと淋しいなんて思うこともある(かといってハマるつもりはやっぱりないもの)。
そんな思いのためにネットがあるのは確かだけど、やっぱり一緒にスクリーンで映画を観て、飲茶しながら「『ブレイキングニュース』のリッチー、悪役でビックリしたねー」とか「『忘れえぬ想い』はよかった!セシリアは『無極』よりやっぱりこっちだよ」とか話し合える友人がそばにいたらうれしいもの。

人間、同じものばかり食べていたら体に悪い。ハンバーガーやお刺身やキムチばっかり食べたいわけじゃない。たまには肉まん食べたいし、エスカルゴもシェラスコも食べたい。映画だってそれと同じだと思うし、観たい映画は遠出するより自分の身近で観て、自信を持って人に薦めたいもの。
例えば、「『ドラゴン・プロジェクト』面白いよ!確かに『スパイキッズ』みたいだけど、アクションは八割がた本人がやっているんだってよ!監督もイケメンだしさぁ」って具合にね(笑)。

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