フル・ブラッド(1994/香港)
今週、金曜ロードショーで『臥虎蔵龍(グリーン・デスティニー)』が久々にTV放映される。これはまだ感想を書いていないので、もしなんとか観られたらここに感想を書く予定。…カットバリバリで完全な作品じゃないってのは承知なんだけどね。これがいま放映されるのは昨日から公開の『SAYURI』に合わせて(ツーイー&ミシェル出演)だと思うけど、主演はユンファ兄貴ってーのはみんな忘れてないよね?てーわけで彼があのジェフ・ラウ(『黒薔薇対黒薔薇』『大英雄』 『天下無双』)と組んだ『フル・ブラッド』を観た。
大学で中国文学を教えている中華系アメリカ人のチャン・チン(ユンファ)は、実はCIAのエージェント。相棒のマイケル(マイケル)と共に、殺し屋(国村準)から日本ヤクザの保護に成功した彼は、特別任務につくことになる。それは少林寺に隠された中国の国宝を手に入れること。
チャンは中国に飛び、和尚(劉家輝)の協力を得て少林寺に滞在する。厳格な少林寺の掟に馴染めない彼は、ある日寺の奥に幽閉されている少女シウチン(シンリン)と知り合う。彼女は超能力者であり、何度か逢瀬を重ねるうちに、二人は恋に落ちていく。
しかし、チャンは自分が中国公安に狙われていることを知り、さらにシウチンにも重大な秘密が隠されていることを知る…!
とまーあらすじを書き出すと007風スパイアクション&ラブストーリーを想像してしまうけど、実はこれ、久々に観た“看板に偽りあり”作品。まー、ジェフ・ラウ作品と聞いた時点でそれは覚悟していたけどね(笑)。当然、お笑い度はかなり高い。『インディ・ジョーンズ』や『女人、四十』のロイ・チャオさん演じる叔父さんとの掛け合いは粋で、中国大陸上陸時ではタクシーのオッちゃん相手にベタな掛け合いを繰り広げる。さらにシンリンとのデートシーンでのギャグはもうアホ(暴言)としかいえない…。ま、ジェフ・ラウだもんねー。
でも、そんなヘナヘナなのに、ファーストシーンとクライマックスのアクションシーンは凄まじい。特に『月亮代表我的心』にのってチャンが火炎瓶片手にシウチンを取り戻しに行く場面はあのお笑いシーンはいったいどーしたんだ!と叫びたいくらいにエモーショナル。
あ、『月亮代表我的心』で思い出したけど、この曲がなぜ使われたのかは、「一緒に月を見よう」というセリフを受けたんだろうけど、中華民族も月が好きなんだなぁという単純な感想を抱いたのであった。ははは。すみません。いや、最近観た『同じ月を見ている』とかいろんなドラマや映画で「月」というのがよく出てくるので、ついつい。香港じゃ『月夜の願い』もあるし。
ユンファの演技は観ていて安心する。アクションはもちろんだけど、コメディも恋愛ものも難なくこなしてくれるから。ハリウッドに渡ってからは「う~ん…」とうなってしまう映画が続いてしまっているから余計そう感じるのかもしれないけどね。あ、『カリブの愉快な海賊たち』シリーズは楽しみっすよ、もちろん(苦笑)。
シンリン、若いねー(こらこら)。前編をほとんど北京語(ラストは広東語だったような…)で通していたけど、あの頃は可憐な少女とオトナっぽい女性の両方を演じることができたんだなぁ。
劉家輝さん。アクション俳優として説明不要な人だけど、実はきちんと観た覚えがなかったりする。なんでだ。劉嘉良さんなら多いのに。
あと秦漢さん…。こちらもあまり出演作品を観ていない人なので誰をやったんだか…。すみません、今後修業いたしますm(_ _)m。
しかしこの映画、スタッフがすっごく豪華。製作陣にフルーツさんが入っていたし、美術はハイ・チョンマン、撮影はピーター・パウ、そして音楽は『いますぐ抱きしめたい』と、『ブエノスアイレス』のラストで「Happy Together」を歌ったダニー・チャン(鐘定一。ホントは「チョン」なんだけどね)だよ。なんだか、ジェフさんの人脈のすごさを思い知ってしまったのであった。そしてこのメンツで作ったのが…。ははははは。ま、この時代はこれでもよかったし、観ていても楽しかったからね。
原題&英題:花旗少林(Treasure Hunt)
監督&脚本:ジェフ・ラウ 第2班脚本(?):ヴィンセント・コック 製作総指揮:フルーツ・チャン 撮影:ピーター・パウ 美術:ハイ・チョンマン 音楽:ダニー・チャン
出演:チョウ・ユンファ ン・シンリン リュウ・チャフィー チン・ハン ロイ・チャオ マイケル・ウォン 国村準
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