フル・コンタクト(1992/香港)
…なんかこのところ、ユンファ兄貴の映画ばっかり観ているなぁ。そりゃ新作は『バレットモンク』以来久しいし、『カリブの海賊』も来年続編が出るっていうけど、予定は未定だし、ウーさんの赤壁の戦いはいったいどーなっているんだろうって思いつつ、今日観たのが『フル・コンタクト』だった。
舞台はタイ、バンコク。クラブの用心棒をしているジェフ(ユンファ)は、親友のサム(アンソニー)が起こしたトラブルのために金が必要になり、彼の従兄弟ジャッジ(ヤムヤム)が企てる現金強奪計画に加わることにした。しかし、強盗には成功したものの、その途端にジャッジたちはジェフたちを裏切り、ジェフはジャッジに右手の指を2本切断される。おまけにジャッジはサムにジェフを撃つように命じ、銃声の後、大爆発の中でジェフは川に消える。彼は寺の僧に救助され、自由に使えない利き腕の代わりに左腕を鍛えてジャッジへの復讐を誓う…。
『友は風の彼方に』などの“風雲”シリーズなどでユンファとコンビを組んできたリンゴ・ラム監督との作品。リンゴさんはこのところ、ハリウッドと香港を行ったり来たりしているけど(この時点での彼の最新作って何になるんだ)、この映画では、5年後にユンファがハリウッドに渡ることを予見したかのように(この時にもう決まっていたのかもしれないが)、どこかハリウッドアクション的シチュエイションを取り入れて作られたような印象がある。でもこの映画をハリウッドリメイクしたら、ホントにB級って感じになるんだろーなー。それこそジャン=クロード・ヴァン・ダムが出てきそうな勢いで(笑)。
ユンファは角刈りで左腕にタトゥー、赤いバンダナにレザーベストという、いかにもヴァン・タムが着てそうないでたちで登場。今だから言ってもいいよね?似合わねー。吹替で観てみるともっと違和感ありあり。なんか、ヴァン・ダムっぽいんだよなーって言うと、何人の發仔迷に殴られるんだろーか。拳銃も使うけどホントはナイフが得意という設定で、バタフライナイフを操る場面も出てくる。…バタフライナイフって、どーしても7年前のあの教員殺人を思い出してしまうじゃないか。縁起でもない(-_-;)。とかなんとか文句を言いつつも、相変わらずカッコいいのは言うまでもないのだが(苦笑)。この映画では犬と戯れるシーンも多いので、犬好きにはたまらんだろうな。
しかーし!ユンファの他に注目すべきは、今ノリにのっているアンソニー&ヤムヤムが脇を固めていることだろう!眼鏡で長髪のダメダメキャラとして登場するアンソニーさんの序盤の演技にはビックリしたけど、中盤からはぐっと渋い。ユンファとはいいコンビネーションを見せてくれたのは言うまでもない。そしてヤムヤムはその光る顔の如くキラキラな悪党のゲイ。しかも伊達男だからいつもヒラヒラのブラウス&派手ーなスーツ。これまたいい味出しておりましたわ。この二人はこの頃からしばらくの間香港を席巻した“奇案片”ブームに出演しまくっていて、人肉饅頭を作ったり人を殺しまくっていたり(もちろん役の上で)いたのは説明不要か。そんなキャリアを経て、今やこの二人は渋ーい演技で香港映画の屋台骨をしっかり支えているのだから、すごいもんだよな。
原題:侠盗高飛
監督:リンゴ・ラム 脚本:ナン・イン 音楽:テディ・ロビン アクション指導:ブルース・ユー
出演:チョウ・ユンファ アンソニー・ウォン サイモン・ヤム アン・ブリッジウォーター
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