広州殺人事件(1994/香港)
最近、毒を吐きまくるエントリーが続いたので、久々に映画の感想を。『トリック大作戦』に続いて星仔映画を鑑賞。
日本でいえば大岡越前にあたるという中国宋代の名判事、包青天(パウ・チンティン。北京語だとパオ・チンティエン)。90年代前半に台湾や中国を訪れた時、TVでこの人の名前をよく見かけた。当時は、台湾のTV局が作ったドラマ『包青天』が台湾のみならず、中国や香港でも大当たりしていたそうだ。色黒の顔と、額には星型のアザ。振り向きざまに白いあごひげをなでていた、この「謎のおじさん」の正体を知ったのはつい最近である。ははははは。
金庸原作の『鹿鼎記』など、時代劇も多く作っていた星仔が、1994年のイースター休暇にあわせて作ったこの映画は、その“正義の判事・包青天”を星仔がやったらどーなるか?という目的で作られた映画じゃないのかなー。
宋代の名判事、包青天の血をひく由緒正しい家柄(のはず)のパウ・ロンシン(星仔)は広州の若き代理判事だが、賄賂をもらえばすぐ判決をひっくり返してしまうダメダメの悪徳判事。おかげで街での評判はメチャクチャ悪い。
チッ家の体の弱い息子(ティン・カイマン!?)のもとに美しい嫁チンチョン(張敏)が嫁いだ日、ロンシンは盗賊を追って式に殴りこんできた武闘派判事パウ・ジータウ(カムコン)を撃退し、名誉を回復して賞賛を浴びる。
その3ヵ月後、チッ家でなんと一家のうち13人が皆殺しとなる凄惨な事件が発生。生き残っていたのはチンチョンと義母の従兄弟のションワイ。ロンシンはションワイを逮捕する。しかしションワイは提督の息子。そこでションワイについた弁護士フォンは事件を偽装し、チンチョンの仕業に仕立て上げてしまう。チャン正判事(黄一飛!)はチンチョンに3ヶ月の極刑判決を下し、ロンシンを停職させる。
ロンシンと年上の甥(!)のヤウワイ(マンタ)は彼女の冤罪を証明するが、それももみ消され、街を追われる。
雑技団の兄と妹(クリスティ)に救われ、なんとか難を逃れるが、スッカラカンのロンシンは無銭飲食を見つかり、娼館の下働きにまで落ちてしまう。しかし、娼館の女将の名弁論に判決をひっくり返すヒントを見つけたロンシンは、マシンガントークを鍛えに鍛え、さらに娼館にやってきたパウ・ジータウと時の皇帝の親王の協力を取り付けて、大逆転を狙う…。
お調子者でずるがしこい主人公が痛い目に遭い、堕ちるところまで堕ちた果てに、復活のヒントをつかんで一発大逆転!という星仔映画の黄金パターンを見事に踏襲した映画。だからつまらないわけがない。
この映画の見どころは星仔の堕ちっぷりと急激な復活劇かなぁ。弁舌を磨くシーンには大爆笑だし。娼館の女将って、いつでもどこでも口が達者じゃないと商売できないんだなぁ、なんて思ったのはいうまでもなく。
それ以外にもこの映画、台詞に頼るギャグが多いようなので、字幕と比べて「あ、ここってもしかして香港&広東人大爆笑のところ?」なんて思ったところも多少。ああ、広東語、多少でも聞き取れるようになりたいものです。ハイ。あと、あきらかに星仔より年上のマンタが「おじさん!」と呼ぶたびに笑ったのはいうまでもなし。
実はこの映画、未公開映画のための資料として活用している『香港電影広告大鑑』の解説に、「この手の判事ものは最後に罪人に無残な刑罰が与えられることが多く、ゆえにこの映画でもコメディなのに大スプラッタ場面がある」といったようなことがあったので、スプラッタ嫌いの自分としてはラストまで見ることができるかどうか不安だったのだけど、さすがに日本だからか、その手の血を見るシーンはカットされていた。ああ、よかったわ…。
原題&英題:九品芝麻官/白面包青天(Hail the judge)
監督:ウォン・ジン
出演:チャウ・シンチー ン・マンタ チョン・マン クリスティ・チョン チョイ・カムコン ウォン・ヤッフェイ ティン・カイマン
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