《身驕肉貴》(2004/香港)
以前《風塵三侠》の感想で「本来恋愛もの嫌いの自分が香港ラブコメなら許せると思うのは、変な気取りがないからだ」と述べたことがあるが、この映画を観てもうひとつ許せる点を発見。それは、四大天王やトニーやレスリーやニコやイーキンではなく、一般的にはハンサムとは言いがたい個性派明星も恋に揺れる男心をうまく表現し、それがハマっているから観ていて安心するという点だ。例えば、ジャンユーがミシェル・リーに恋して奮闘する自称私立探偵を演じる『恋愛ベーカリー』、そして、今回の《身驕肉貴》で主役をはったラウチンのアニタ・ユンに対する純情が泣かせる『つきせぬ想い』。いやぁいいじゃないかこれは、恋する気持ちは誰でも持っているってことで。というわけで本題へ。
香港郊外のリゾート地でバーベキューレストランと屋台村を仕切るヒューゴ(ラウチン)は、学生時代の初恋の相手に再会した途端失恋して落ち込んでいるペットトリマーのヤミー(ジョイ)と知り合い、自分の店を持たない彼女のために、屋台村の一角にペットセンターを設けて彼女を励ます。レストランもペットセンターもたちまち大繁盛。母親に結婚するように迫られているがどうも気が乗らないヒューゴは、ヤミーと交流を重ねるたびに愛情を募らせる。彼女もまた同じだったのだが、一度失恋していることもあってどうもその気持ちに自信が持てない。
一方、ヒューゴの弟分で自称アーティストのブラッド(チャッピー)は、自分の作品を警備員のYY(ユミコ)に勝手に捨てられて憤慨するが、子供と追いかけっこをしていた時に彼女が見せた素晴らしい身体の動きに目を見張る。YYはダンサー志望で、資金をためて進学する夢を持っていた。ブラッドはそんな彼女に惚れてしまい、彼女に捧げる作品と援助資金をせっせと作っていたが、YYは夢を諦め、大陸のホテルに転職することに…!
これは多分『つきせぬ想い』以来の(個人的に観た)ラウチン主演の恋愛もの。もっとも『つきせぬ』はシリアスだったから、ラブコメとしては初めてか。映画自体はホントによくあるラブコメなんだけど(ちなみに時事ネタとしては、ラウチンの嫁候補として“女子十二楽坊”が出てくる)、なんのかの言いつつ恋にじたばたするラウチンがかわいらしい。いつもながらのミヤ似の顔立ち(苦笑)にくたびれたネルシャツにショートパンツといういでたちで屋台村をうろちょろする、まさに「老板(北京語の書き方で失礼)」としか言いようがないのに、かわいらしいのだ。
そんなラウチンのお相手はシンガーとして知られるジョイ。(事件沙汰になったのもずいぶん前か…)そういえば歌も聞いたことがないし、演技を観るのも初めてなんだけど、ジョイって意外にもファニーフェイスなんだなぁ!丸い目にちょっとふっくらした(すーちーほどプックリしてないが)唇。決して美人さんとは思えないんだけど、味のある顔。強引に例えれば松本明子の口を少し小さめにして香港人仕様にしたという印象(ってどーゆー顔だよ)。オープニング、ワンちゃんのトリミングをしながら登場する彼女は結構かわいいんだけど、本編ではヨゴレ気味に登場。しかも失恋などでストレスがたまると口ひげが濃くなるという体質(爆)。失恋の痛手で湖に飛び込んで自殺を図ってラウチンに助けられ、彼の服を借りた時なんか外見やや女ラウチン。いいのかそれで(^_^;)。でも、こちらも結構かわいいのだ。ラウチン演じるヒューゴとジョイ演じるヤミーはお互いあれこれ悩みながら自分の気持ちに気づいていく。若者同志じゃないから、考えることだっていろいろあるんだろうな(特にヒューゴ)。それをオーソドックスに描き、演じているから安心して観られ、安心して笑えた。
やっぱり背が低いんだ、と改めて気づいたチャッピーのブラッド。アーティスト(しかも前衛の)っていう役どころがすでに笑える。最初は犬猿の仲だったYYとケンカする場面で、前衛芸術のウンチクをあれこれたれるんだけど、対するYYの方が知識が上だったってーのに大笑い。アーティストなのでYYに対する思いもアーティスティックに表現するのだが、彼女との別れのパフォーマンスに○○串焼き(残酷な表現につき一部規制。笑)ってーのは趣味悪くねーか?そんなYYことユミコちゃん(これが英語名なんだよね?)、彼女も演技を観るのは初めてだった。フツーに美人だねー(いいのかそんな表現で)。スタイルもすらっとしていて、私服も個性的だった。ちょっとチャッピーにはもったいない?
あと、この映画を観た機内上映では本編終了後にメイキングが放映されていたんだけど、そこでキービジュアルとしてポップな4人の似顔絵が登場していた。ラウチンがかなりハンサムだったなぁ。ジョイとユミコちゃんはまぁまぁ似ていたけど。
英題:The Attractive One
監督:マック・チャウ 製作:ジョー・マー
出演:ラウ・チンワン ジョイ・ヨン チャップマン・トゥ ユミコ・チェン
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コメント
映画の中でラウちんが飼っているシェパードは、本当にご本人の飼い犬なんだそうですよ、と余計なうんちく垂れたりして。
去年、青雲はあまりにも同じようなラブコメが続いたので私はちょっと食傷気味で見てしまいました。単品で観ればやっぱりラウちんは上手いし、可愛いんですけどね〜
ジョイを湖から助け上げたときの顔がかな〜りツボでした、てへ。
投稿: KEI | 2005.04.04 00:33
KEIさん、お待ちしてましたー(^_^)。
面白い情報、ありがとうございました。
あのものすごく汚れたシェパード、ラウチン自身のわんこだったとは!
まさか洗ってもらう前もあそこまで汚れていた…ってことはいくらなんでもないですよね(笑)。
ワタシ自身は《鬼馬》以来、しかも恋愛ものは『つきせぬ…』以来なので、
ずいぶん新鮮な思いで観たものでして、去年のラウチンがそんなにラブコメに出まくっていたとは知りませんでした。
(KEIさんのラウチンサイトをのぞきましたが、3本くらい続けてラブコメを撮ったのでしょうか?)
いま思い出したのですが、《忘不了》を買ってくるのを忘れてしまいました…。次回チェックしておこう。
投稿: もとはし | 2005.04.04 18:40
>3本くらい続けてラブコメ
いえ、4本続けてです…
でもカリーナと共演した『七年很癢』はなかなかよかったです。
ラウチンとカリーナって映画での相性がけっこういいと思うんですよね。養成所の同期生だからかしらん?
今度は二人で大人の恋愛映画とか撮ってくれないもんでしょうか。
《忘不了》はとてもいい映画です。日本でぜひ公開してほしい、原島大地君をウリにしてもいいからさぁ〜
わんこ、飼い主に似たのか意外と演技派だったですよね(笑)
投稿: KEI | 2005.04.06 00:47