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トランサー 霊幻警察(2001/香港)

『香港国際警察』が観られないからニコの顔が急に観たくなった!というわけで『トランサー』を観た。監督は『OVER SUMMER』のウィルソンさん、脚本はヴィンセントさん。ニコ&ステの他にサムのジェネックスな顔ぶれが揃うのが嬉しい。後は彦とテレさえいてくれれば…(笑)。

幽霊による不可能犯罪を取り扱う香港警察の特捜課“2002(異霊霊異)”は、霊を見る力を持つ特捜刑事ヤウ(ニコ)ひとりが所属する課。実はヤウにはサム(サム)という元同僚がパートナー霊としてついている。今日も二人は生徒と心中した教師の引き起こした不可能犯罪を解決し、“飛天霊”と化した教師の霊を封印した。その事件を最後に、サムはヤウの元から離れ、転生することになる。
葬儀屋のチャン(カーイン)に面倒を見てもらっているヤウの手には“不吉の星”の印がある。彼は早くに親を亡くし、親友も恋人も、自分がかかわった人々はみな死んでしまうという運命を背負っている。それゆえに彼は常に孤独だった。サムを失い、再び一人になったヤウの前に、飛天霊事件の際に現場に居合わせた警官フォン(ステ)が現れた。彼もまた霊を見ることができるという。チャンの言う「パートナーの3つの条件」に合致した彼は、正式に“2002”の一員となる。
フォンの最初の事件はクラブに現れた火霊(アンヤ)の封印。しかし、初めて霊の攻撃を受けたフォンは腰を抜かす。間一髪、ヤウが霊をしとめる。フォンの度胸のなさにあきれるヤウ。しかし、霊はもう一人いた。彼女のかつての恋人だった水霊(方力申)だった。水霊は二人に復讐を誓う。
チャン曰く、フォンもまた近いうちに死ぬ運命にあるという。だが、1人1霊制である“2002”の原則に則って、フォンはヤウの守護霊としてパートナー関係が保たれるという。ヤウの部屋に越してきたフォンは彼と友情を築きたいと願うが、フォンの運命を知ってしまったヤウはそれができない。
ある日、「昏睡状態の孫娘の面倒を見てほしい」という老婆の幽霊の依頼を受けた二人は、少女レイン(レイン)の入院している病院へ行く。そこでヤウはバスでいつも逢う看護士ダニエル(ダニエル)と出会う。また、フォンはレインに恋をする。ダニエルにひかれているヤウは自分の運命を恐れて一歩踏み切れないが、フォンはレインが昏睡状態から醒めたら自分の恋人にすべくかいがいしく彼女の世話をする。
ついにヤウはフォンに彼の運命を告げる。衝撃を受けるフォン。さらにヤウの前に水霊が現れ、ヤウの魂を体から追い出す。彼の肉体は脳死状態に陥る。そして水霊はフォンに襲い掛かり、彼にとりつく。魂だけになったヤウはチャンの助けを借りて水霊を倒そうとするが、水霊を倒すことはフォンの死にもつながる。自らの魂の消滅を恐れず、フォンとの友情のために、ヤウは全力で水霊との戦いに臨む…!

はい、これはSFざんす。香港SF映画というと、一般的には以前も書いた『ヴァーチャル・シャドー』『Bad Boys』みたいな大味で絵に描いたようなチープ感があるのかもしれない(偏見だったらすみません)けど、ワタシは結構好き。ストーリーを見ると幽霊版『メン・イン・ブラック』だったり、オールドファンには懐かしい『霊幻道士』の現代版にも見えるかも。日本や西欧だと霊媒師や陰陽師が私立探偵みたいな立場で霊退治するような筋立てになる役割を、警察の一組織として設定したのがいかにも香港的かな。
ちょうど1年前に感想を書き、このたびあの『リング』の中田秀夫監督の手によるハリウッドリメイクが決定(fromスポーツ報知)した『The EYE【アイ】』『カルマ』のように、怨念を抱いた幽霊が登場するホラーは大っキライなのだが、この映画に登場する幽霊たちはそれほど怖くない。それはこの映画自体がホラーじゃないからってーのもあるし、すでに死者であってもサムやレインのお茶目なおばあちゃんや「金くれよ、女くれよ、タバコすわせてくれよ」とねだる道端の地縛霊(笑)のようにユーモラスな存在の霊もあるからだ。いくらこの世に思いを残して死んで幽霊になってしまったと言えども、その思いも怨念ばかりじゃないんだよね。日本のホラーは湿っぽい怨念ばっかりだから怖くて嫌なんだよねー、なんて当たり前のことは言わないように。>自分

で、以前『リターナー』で「香港SFは細かいところが楽しい」って書いたけど、ここでは死者との対決がメインと言うことで、中華圏の葬儀でよく見かける、紙のお供えものが重要な小道具になっているのがおもしろい。葬儀ではよく紙のお札を燃やしたりするけど、紙で作った銃やおもちゃを燃やせばそれが霊のもとに現物として届くというアイディアが楽しい。こういうアイディアを思いついたのは脚本のヴィンセントさん(劇中では医師役で登場)だろうか?あと、霊を封印する“魂滅銃”の、自分の血を装てんした弾丸っていうのは西洋的な悪霊封印の仕方だと思ったんだけど、どーかなぁ?>そのへんよく知らないんだけど。

ニコがこの映画に出たのは交通事故やらフェイ&セシリアとの三角関係で泥沼だったころだったっけ?なんだかそれもずいぶん昔のように思えるんだけど、わずか2年しか経っていないのに『ジェネックス』の頃より大人っぽく見えるのは気のせいか。前髪はもーちょっとボリュームがあっても片目を隠す分量くらいあってもいいような。ファンの人はどう思うかわからないけど、ニコは前髪が長い方が好きなんだよねー(笑)。ステは珍しく短髪だ。うーん、ステも長い方が好きかな。最初のヘタレっぷりから終盤の水霊に取り付かれた姿まで、全編を通じて見るとガラッと変わるので楽しい。この二人に加え、スキンヘッドの家英さんが楽しくて楽しくて!中盤までずっとヅラかぶっているけど、終盤のラリー・フィッシュバーン(『マトリックス』のモーフィアス)風コスプレが一番楽しかった!昨年脳腫瘍の摘出手術を受けられた(だったっけか?)そうで、お大事にしてほしいけど、また元気な姿をスクリーンで観たいな。この3人が頑張ったせいか、二人のヒロインの影が薄いのが残念…。サムは最初の方だけしか出番がないけど、相変わらずのサムな演技(笑)で楽しいけど、回想シーンで登場したベレー帽の警官服姿も似合っていた。彼も大人になったのねー。それでも転生シーンは笑えるなぁ。敵役は水泳王子こと方力申なので、水霊(ニコとのアクションシーン@プールではもちろん豪快な泳法を見せてくれる…ってスタントなしだよな?)って言うのは安直だなー。でもコレでやっと顔を覚えそうだ。

アクションシーンはいうまでもなくバシバシやっておりますです。どちらかというとアクションなのに静的だった『OVER SUMMER』とは違うなぁ、同じ監督なのに。
以前ファイズの感想で「いつか香港ロケで仮面ライダーの劇場版を作ってくれ」って書いたけど、香港ロケするんだったらこの映画くらいのアクションでやってくれればいいんじゃないかな。いや、もっとバシバシやった方がいいのかな(苦笑)?

仮面ライダーつながりで蛇足。これ、劇場公開時の公式サイトをのぞいたところ、DVDでは秋山“ナイト”蓮こと松田悟志、浅倉“王蛇”威こと荻野崇の『仮面ライダー龍騎』出演コンビが声をあてていると知ったので、吹き替え版もちょっとだけ観てみた。いや、観ていたのでね、龍騎(笑)。ははははは。
…あれ、ステの声が本人と違って妙に涼しげ。この声が蓮?するってーとニコの声が浅倉か。思ったよりいい声じゃん浅倉(役名で呼ぶなよ、おい)。しかし…ううーむ、二人とも顔と演技を知っているだけあるし、さらにステ&ニコ本人の声を知っていることもあって、あの二人だとなんだかステとニコって感じじゃないなぁ…。
松田&荻野ファンの方、どーもすみません。

原題:2002
監督:ウィルソン・イップ 脚本&製作&出演:ヴィンセント・コック 撮影:プーン・ハンサン
出演:ニコラス・ツェー スティーブン・フォン サム・リー ロー・カーイン レイン・リー ダニエル・ワトソン アレックス・フォン(方力申) アンヤ

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コメント

こんにちは。
この映画はストーリー設定が複雑
ですが、結構まとまっていて
おもしろかったです。
私もサムの転生シーン笑いました(笑)

投稿: hana | 2005.03.26 10:31

hanaさん、コメントどーもです。
『トランサー』はあまり期待してなかったんですが、意外に面白かったですね。久々にニコが観られてうれしかったこともあります。(役どころとしては『ティラミス』のほうが好みなんですが)

投稿: もとはし@成田 | 2005.03.26 15:26

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受信: 2005.03.26 10:29

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