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ザ・ミッション/非情の掟(1999/香港)

「ねぇねぇ、この題名、なんて読んだらいいかなぁ?ジャンユーとかアンソニーとかロイ・チョンが出てくる映画」
「こりゃまたコテコテなキャラ揃えたねー。ほとんど『古惑仔』じゃんか。どれどれ、監督はジョニー・トゥか…。渋いねぇ。んで、原題は…うーん、『やりび』?
「やりび?」
「うん、そうとしか読めない」
「そうか、やりびか…」

冒頭に挙げた会話は今から4年ほど前に交わされたものである(多少の誇張あり)。原題の『鎗火』が素直に呼べす、こんな読みになってしまった。この後、同じ年の秋に東京にて開催された香港映画祭にて、ワタシたちはこの題名を“そうか”と読むことを知り「うーん、そうか。“やりび”じゃなかったか…」と思ったのであった。

あまり意味のない書き出しにて失礼。
先日、東京でDVDを購入した“やりび”こと『ザ・ミッション』を観た。全編に鳴り響く♪パーパパ パーパパ パパパパー、パパパ パーパパ パーパパ パパパパー♪という軽いシンセ(だと思うのだが)のメインテーマにやられたのはいうまでもない。

黒社会の大物ブン(コウ・ホン)が命を狙われた。彼を心配する弟のナン(サイモン)は、兄の身を守るため、普段は堅気の世界で働く5人の男たちを招集した。かつてナンのもとで働いていた理容師のグァイ(アンソニー)、銃調達係のフェイ(林雪)、ナイトクラブの支配人マイク(ロイ)に、新参者でバーの店長ロイ(ジャンユー)と弟分のシン(ジャッキー)は、反目しながらもブンを狙う犯人を突き止め、敵との戦闘の中で絆を深めていく。ブン暗殺の実行犯とその黒幕を始末した5人とナン。これで幕が引かれたかと思いきや、ナンは兄の妻の警備に当たっていたシンが彼女と寝てしまったことを知る。そして彼はシン以外の4人にシンの始末を命ずる…。

なんと本編1時間半未満!時間の短さが特徴的な香港映画の中でも、この上映時間はかなり短い。だけど、その短さは全く感じられない。台詞は少なく、ストーリーもシンプル。場面ごとで各キャラクターの動きを追いながら、香港映画特有の“青い闇”の中で、敵と対峙する5人の息詰まる時間が濃厚に漂ってくる。また、昔から香港映画ではよくショッピングモールが銃撃戦の舞台になったりするので、まぁ、内部の作りが凝っているから狭いところでスリリングなアクションを見せるのに適したロケ地なんだろなー。でもあんなとこで銃撃戦したら一般人死ぬじゃん(現にウーさんやゴードンさんの映画では一般人がガンガン死んでいる)、なんて思ったことがあったんだけど、銃撃戦の山場に深夜のツェンワンのジャスコを選んだのは効果的だった。人もムダに殺してないので安心して観られる。ついでに登場人物がほとんど野郎ってこともあってホモソーシャル度も全開。ラスト近くのシンの起こしたトラブルの“始末”のつけ方なんて、まさにホモソーシャル的。やおい度は低いんだけど、そこがまたたまらないのでは?(笑)
トゥさん映画の常連でいぢわる顔のおデブ(または香港の伊集院光?)林雪を始め、黒いTシャツがよく似合うアンソニー、アロハを粋に着こなすジャンユー、金髪で相変わらずでかいロイ、そしてこのメンバーの中では一番いいオトコじゃないかと思ったジャッキーと、キャスティングはミーハー香港電影迷から見ればあまりにも濃ゆい面々。でも、みんなカッコいいんだなこれが。アンソニー、ジャンユー、ロイあたりは四大天王や古惑仔組(イーキンや小春など)やジェネックス世代(ニコやステや彦祖など)が主演になるとそれぞれ悪役を振られて主演を喰いまくる怪演を見せるけど、自分たちが主演になると渋ーい大人の魅力を発揮する。アンソニーなんて、10年前は人肉饅頭作りまくってたじゃん、なんて言っちゃうけど『無間道』三部作や『野獣刑警』みたいなシリアス演技から『特警2』のお笑い中国科学者まで、何でもこなすもんなー。あと、林雪!この人もよかった。先日観た《地下鉄》での、ミリアムの優しいお父さん役も意外だったんだけど、どちらかといえばいぢわるおぢさん役やコメディリリーフ的役割の人として彼を見ていたから、この映画ではあまりにカッコよくてビックリした。まー、もちろん惚れないけどね(大爆発)。ジャッキー・ロイの若きチンピラっぷりもいい感じ。『野獣刑警』でのパトリック・タムみたいな危ない感じはしないんだけど、まぁ、裏切ったりする役どころじゃなかったからね。やはりトゥさん作品では常連的存在のサイモンも、相変わらずスマートでよござんした。

今や香港映画界を仕切っているといって過言はないような気がするトゥさん組。アクションからラブコメまでいろんな映画を作ってスマッシュヒットを飛ばしている(まぁ『全職殺手』みたいなある意味で問題作もたまーに作るが…)けど、この映画を観て、やっとそのすごさがわかったような気がする。いやぁ、すごいわ。とにかくそれだけしか言えんわ。以上。

原題:鎗火
監督:ジョニー・トゥ 脚本:ヤウ・ナイホイ
出演:アンソニー・ウォン ン・ジャンユー ロイ・チョン ラム・シュー ジャッキー・ロイ サイモン・ヤム コウ・ホン

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コメント

私も長年「やりび」と読んでいました。
違うのか、そうか…

ほんとこの映画に関しては「カッコいい」という言葉しか出てきません。
ジャンユーなんてhttp://appledaily.atnext.com/images/apple-photos/640pix/20040723/Article_ent/23ed8p1.jpg">この人と同じ人だとはとても…

投稿: KEI | 2004.07.24 22:51

やっぱり「やりび」って読んじゃいますよね(笑)。ついでに《鎗王》(ダブルタップ)は「やりおう」と読んでいましたよ。変換では「やり」と打つと「槍」しか出ないのでおかしいなぁと思ったもんですが。

ジャンユーったらステキにスゴ過ぎですよね。リンクされた写真、大ウケしました。

投稿: もとはし | 2004.07.25 01:06

このメインテーマと、スリム金髪美人が街歩きをする「love body」(お茶)CMの曲がどーも似てるように感じます。どうでしょう?

この映画、サイモン・ヤムもアクが強くて素敵でした。この前見た「大事件」も思わせぶりな濃い演技で目が釘付けに。

あと↑のIAキャスト、もっとルックス重視で選んで欲しかったー。スタイリッシュさから程遠くなりそうな予感。

投稿: honeymilk | 2004.07.25 11:13

「love body」のCM、何度か観た記憶はあるんですけど、さすがに曲までは覚えておらず…。本日から東京なので、ヒマな時に宿でTV観てチェックすることにしませう。
あとIAリメイクですが、ワタシはブラピもレオもルックス・演技共にダメという珍しい人間なので、特にレオ=ヤンには納得いかないなぁと思ってます。でもマット=ラウもちょっとなぁ…、という感じです。

投稿: もとはし | 2004.07.25 12:37

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受信: 2005.07.18 11:06

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? ビデオメーカー ザ・ミッション 非情の掟 製作年度:1999年 製作国・地域:香港 上映時間:81分 監督:ジョニー・トゥ 製作総指揮:- 原作:- 脚本:ジョニー・トゥ、ヤウ・ナイホイ 音楽:- 出演もしくは声の出演:アンソニー・ウォン、フランシス・... [続きを読む]

受信: 2005.12.03 13:10

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