《風塵三侠》(1993/香港)
久々に映画の感想ざんす。しかも本日からしばらくは梁朝偉先生42歳のお誕生日記念“初夏の梁朝偉祭り”と銘打ってこれまでずーっとためていたトニー出演作で日本未公開作品の感想を書くざんす。てーわけで記念すべき第1弾は『月夜の願い』主演コンビによるこのUFO作品(はぁと)。
銀行マンのトムこと阿文(トニー)、トムの幼馴染で日本人相手のツアコンのディックこと阿仁(カーファイ)、阿仁の従兄弟で典型的もてない男ジョルジオこと阿毛(ローレンス・チェン、『The EYE』のロー先生とは別人)は同じフラットで暮らすルームメイト。トムは10年付き合ったジョイス(ジェーン・ラウ。ちなみに中国名はカリーナと一字違いの「劉錦玲」)との結婚を控えているが、どうも最近そりが合わない。自称「尖沙咀のターミネーター」のディックは日夜女子をナンパする日々だが、それとは別にセフレとして恵芳(アニタ)と付き合っている。最初は愛し合っていたのに、ディックとはカラダだけの関係をずっと続けている恵芳は自分が別の男と結婚するためにアメリカに旅立つことを彼に告げる。脱もてない男を目指す阿毛は自分を磨くために語学に励むが、英語を勉強しているつもりがフランス語を勉強していたといううっかりさん。おまけになぜかミッシェルという名の男(!マイケル)と付き合ってしまう始末。
ある夜、ジョイスに愛想をつかされて途方にくれるトムになんと自分のナニ(の幻影)が話し掛けてくる。その欲望のままにナイトクラブに駆け込んで散財するトム。しかし、そのクラブの若手ホステス、キャット(アン)と運命的に出会う。彼はキュートで素直なキャットに夢中になる。一方ディックは相変わらずの女遊びの日々を過ごすが、アメリカからやってきたトムの妹パール(アテナ)に再会する。すっかり成長したパールが少し気になり始めたディック。しかし、トムはキャットに自分は結婚を控えた身であることをなかなかいえず、ディックも兄のトムのいる手前パールに気持ちを打ち明けられない。そんなこんなな日常の大騒ぎの中、キャットに強くひかれつつあるトムの結婚の日が近づいてくる…。
ラブストーリー嫌いのもとはしは、日本のトレンディドラマはつまらなくて大嫌いなのに、香港のラブコメが面白いと思うのはなぜだろう、と考えたことがあったが、この映画を観てなんとなーくその理由がわかってきたような気がする。香港ラブコメには気取りがないのだ。もちろんトニーやカーファイはこのときすでにスターだったけど、カッコつけずに粋がったり凹んだりの等身大の香港男子を演じてくれたし、えー男じゃなくていじられ役だけどそれだけでは終わらないローレンスさんも面白かったし(フレンチレストランでの面目躍如な彼は観ていて爽快!)、エキストラでいろいろ出てくるオバちゃんたち(レパルスベイの水泳オバちゃんとか銀行で外国為替買いまくるオバちゃんとか成龍さん目当てのエキストラツアーに参加した撮影現場でワイヤーに吊られてる日本のオバちゃんとか)なんて、ホンマに香港っぽいなぁって思うもん。それを思えばこの映画が作られた同じ頃の日本のトレンディドラマは、キレイすぎて観る気もしなかったもんなー。この映画、あまりにも気取りがないのでシモネタもバンバン登場するし(ナニを象徴する分身はそれぞれハゲヅラ&裸身。わかりやす過ぎだぜベイベー)、トニーも気取りがなさすぎて乳毛ボーン(…ああ、ついにこのフレーズを書いちまった!また飛ばしてるっていわれそうだぜベイベー)。ここまで気取りがないと力なく笑いたくもなるけど、ま、10年前の映画だしねー(ってそういう結論で終わらせていいのかベイベー)。
もてるもてないは関係なしで、なんだかトホホーな局面に立たされたりしても、結構楽しくやっているトム、ディック&阿毛の三侠。なんか、大学の寮生活っぽいノリでいいなぁ。そんな3人がフラットで大々的に開くパーティー場面はご機嫌なシーン。一度聞いたら耳から離れない♪ジャジャンボ~というテーマ曲は、なんと『新選組!』の音楽で御馴染服部隆之さんのおじいさま(…だったよな?)服部良一さん作曲の、往年の香港映画の主題曲だとは!なつメロやレトロに目を配りつつ、90年代初頭の香港のトレンドも配したカオスっぷりは、今観ても結構楽しい(ちょっと古いかな?と思うとこはあれどもね。一応90年代初頭に青春を送っています、もとはしも)。
定番演技ともいえそうなトニーのトホホ演技。確かにこれはかわいい…。馬鹿にしたくなるほどカワイイ(もちろん誉め言葉です)。踏んだり蹴ったりじゃないのがさすがだけど(ラブシーン満載だし。…乳毛ボーンだけど)、結構感情移入はしやすいかな。カーファイもこーゆー自信満々な演技は定番だねー。『南京の基督』の時以上に日本語怪しいし。女優陣では名前のわりにあっさり清楚な感じだったアン嬢。実はこれで初見です。ほかにどんな映画に出てるのかなー。アテナちゃんも可愛かったっす。ローレンスさんに背負われてはしゃぐシーンがツボっす。スペシャルゲストのヴィヴィアンさんもすっごく艶やか。ステキだわー。でもアニタがすっごい地味…。アニタだってわかるのに地味…。いいのかアニタ?…いいのか、君にはこのあと『金枝玉葉』2部作があるからな。おっと最後になったけど、トムの結婚式のシーンで「汝はラウ・カーリンを…」と何度もいい間違えられるところ。笑いを取るにはすでに説明不要っすよねー。
映画の内容を見てもあれこれ詰め込み過ぎ?って思うこともあったし、感想もなんだか支離滅裂だけど、とにかく観て楽しかったってことっす。しばらく記事がかけなかったストレスの解消にもちょうどよかったわーヽ(^o^)丿。ジャジャンボー♪
この記事を書くにあたって、『香港電影広告年鑑1990-1993』と、nancixさんのサイトの《風塵三侠》紹介を参考にいたしました。多謝m(_ _)m
英題:Tom,Dick and Hairy
監督:ピーター・チャン&リー・チーガイ 製作:エリック・ツァン 脚本:リー・チーガイ&ジェームズ・ユエン
出演:トニー・レオン レオン・カーファイ ローレンス・チェン(鄭丹瑞) アン・ブリッジウォーター アニタ・ユン アテナ・チュウ ジェーン・ラウ ヴィヴィアン・チャウ マイケル・チャウ
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コメント
ありゃ。すいません、映画紹介についてはhttp://www.tonyleungcw.com/to/index.php?categ=101&year=2004&month=6&id=1082791731
を看ていただいたほうがいいかも。ただいま移行中です。
乳毛ボーン……_| ̄|○
あれだけ眉毛が濃いんだから、他の部分だってさ…。
胸毛よりいーじゃんカワイイじゃん…(フォローになってない)
ハゲヅラ&裸身はウディ・アレンの影響らしいです。「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」にそういう扮装のウディが出てくるそうです…(未見)
投稿: nancix | 2004.06.19 10:33
ページ見に行きました&リンク訂正いたしました。ご紹介ありがとうございます。こちらをしばらく参照したいと思います。トラバも送っちゃおうかしらん…、なんて。
「乳毛ボーン」はワタシの友人(元レスリー迷でブエノス好き)から聞いて大爆笑させられたフレーズです。友人曰く吉本風…。いやぁ乳毛ボーンでも充分かわいいですよ。ホント(^_^;)。
「ウディ・アレンの(中略)SEXのすべて(後略)」はワタシも未見です(というかウディ作品は『ギター弾きの恋』くらいしか観てません)が、そう言えばピーターさんってウディ好きでしたよね。
投稿: もとはし | 2004.06.19 15:07
>そう言えばピーターさんってウディ好きでしたよね。
ピーターさんなのか脚本家のジェームス・ユン阮世生さんのシュミなのか、ウディのパクリ、いえオマージュが随所に散りばめられていたのが『金枝玉葉』2部作でしたねー。ウディがミア・ファローを裏切って韓国系養女とくっついたから「君さえいれば」が生まれたのかと思うと(-_-;) 賞レース(アカデミー賞)よりバンド仲間とのライブを優先したのもウディの逸話だし。続編ではちとやりすぎでしたが…(ウディ・アレンとウーピー・ゴールドバーグのカップルなんてぞっと…)
投稿: nancix | 2004.06.19 21:48