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《亞飛与亞基 錯在黒社會的日子》(1992/香港)

前回感想を書いた《風塵三侠》に先立って作られた、記念すべきUFO製作作品第1弾。製作総指揮&出演エリック・ツァン!プロデュースはピーター・チャン!主演トニー!ヒロインはアニタ!とUFO作品を代表する4人はここですでに揃い踏み。さらに共演は学友さんことジャッキー・チュン。撮影はアンドリュー・ラウ&ジングル・マー。この二人は現在の香港映画を支える監督でもある。そして、監督は昨年亡くなったブラッキー・コー…。いろんな意味で、時代を感じさせてくれる映画だった。

小さい頃からスラムで修羅場を見て生きてきた亜飛(トニー)とひょんなことから彼の弟分になった亜基(学友)が成長して黒社会に飛び込んだのは必然的であった。しかしこの二人、どんな修羅場に巻き込まれても最後には生き残る悪運の強さを持ちながらも、自分たちがついたボスは必ず殺されたり死んでしまうという上司に恵まれない不運も持ち合わせていた。
ある日、二人は自分のボスが娼婦にさせようとシンガポールから連れて来させた女性ジェーン(アニタ)と同居することになる。亜基はジェーンにひとめぼれするが、なんと彼女はレズビアン。しかし聞くところによれば、彼女は手痛い失恋をした過去から同性愛に走ったという。そんな彼女を愛しく思う二人はボスに歯向かって彼女が売られるのを阻止する。友情の絆を結ぶ3人。
しかし、亜飛と亜基は香港一の黒社会の大物関公の部下に拉致される。二人の悪運の強さに関公が目をつけたのだ。これをいいチャンスとばかりのし上がろうと企む二人。しかし、これまでのジンクスどおり、関公にも危機が迫り、当然そのとばっちりを亜飛と亜基は受けるのだが…。

80年代後半から90年代初頭の香港映画といえば黒社会もの。香港流に言えば“英雄片”、そして日本独自の呼称では“香港ノワール”。亜飛と亜基のフラットの壁面を飾ったこれらの映画のポスターのように、本来ならユンファのような英雄的人物が“英雄片”の主演となるのに、ユンファになるにはあまりにも遠い下っ端チンピラ君トニー&学友さんが主演というのがこの映画のミソ。当時の香港黒社会状況を描きながら英雄片を茶化すといった具合の映画ですな。どっかで観たような場面がてんこもりで、クライマックスの、関公の部下が刀を持ってバイクを走らせるのは『ブラック・レイン』での松田優作のパロディだよなー、なんて気づいちゃったし。
一応マフィアものなので、当然の如くホモソーシャル度大爆発映画。何があろうとお互いを裏切ることもなく、いつも一心同体のように一緒で、ボスたちにも二人でひとつと認められている亜飛と亜基。ついついヨコシマ妄想したくなる設定ですなー。実際は学友さんがトニーよりひとつ上だけど、兄貴風を吹かせてもヘッポコなトニー(『ハードボイルド』の後だったらしく、ちょっと髪が短い)とそんな兄貴分を素直に愛する(爆)学友さん。この二人のかわいいこと!下っ端ヤクザもんの苦労を描いた映画だけど、日本Vシネの下っ端ヤクザものほど悲壮感がないのは二人の持ち味のせいか。ま、香港黒社会ものには日本的な悲壮感はあまりないか。『古惑仔』でもそう思ったし。
強い絆で結ばれた亜飛と亜基なので、女性が間に入っても二人の関係は揺るがない。ジェーンは亜基の思い人だが、亜飛も彼女を気にしている。酔った勢いでジェーンをレイプしようとした亜飛は逆レイプ(!!)されると言うトホホな状況に陥るが、彼とベッドを共にした翌日、ジェーンは二人の前から去ってしまうのだ。恐らく、ジェーンも二人の絆の強さを痛いほどわかっていたんだと思う。
遡って中盤、3人が同じベッドに寝るシーンが印象的だった。3人のスタンスを示したシーン。一緒に暮らして安全感があるけど、亜飛と亜基の二人は簡単に絆を分けることができない。今思えば、ジェーンと共にそれを理解できた場面だったと思う。

しかし、亜飛と亜基を助けるエリックおじさん…、この頃、結構フサフサだったのねー…。

英題:The Days of Being Dumb
監督:ブラッキー・コー 製作総指揮:エリック・ツァン 製作:ピーター・チャン 撮影:アンドリュー・ラウ&ジングル・マー
出演:トニー・レオン ジャッキー・チュン アニタ・ユン エリック・ツァン
今回の記事について参考にしたのはこちらです。多謝。

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