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《新戀愛世紀》(1998/香港)

 今日は7年前の旧作映画をReview。1998年といえば、香港では九龍半島にある啓徳空港が操業を停止し、ランタオ島に建設された新空港が開業した年。また、当時の香港は空前の日本ブームに沸いていたことも印象的だった。そんな年に作られたこの映画は、レオン・ライとカリーナ・ラウ、そしてこの当時はまだまだバイプレイヤー的存在だったすーちー出演の、明らかに日本の某トレンディドラマをパクっ…もといお手本にした“香港ラブストーリー”。

 1992年。株ディーラーのビル(リヨン)と化粧品店で働く美穂ことマギー(カリーナ)はお互いの仕事や今後の生活の考え方などの相違からいったん別れを決意した。「もしまた出逢って、お互いに成功していたらよりを戻そう」と。マギーにふさわしい男になりたいと決意したビルは、親友の歯科医サニー(マーク・ロイ)の薦めで、彼の妹ムーン(リー・アン)と共にアメリカへ。
 1998年。一流のビジネスマンとして成功したビルは秘書になったムーンと東京にいた。彼には人気女優のジョイ(すーちー)というガールフレンドがいたが、気ままなジョイにビルは振り回されてばかり。渋谷でジョイと喧嘩別れしたビルはスクランブル交差点で6年ぶりにマギーと再会する。久々に話し込んだところ、マギーは香港一のマフィアの首領・和平(マーク・チェン)との結婚を控えていた。彼女の気を引くためか、とっさに「失業してて…」と嘘をつき、香港へ帰るビル。サニーやムーンの力を借り、和平と「対決」してマギーを振り向かせたいビル。しかし、いろいろと邪魔が入る。
 マギーを追い求めるビル、タイミング悪く現れるジョイ、ビルを助けながら密かに彼に思いを寄せているムーン、自分を助けてくれる和平と昔の男ビルの間で揺れるマギー。操業を終えた旧空港から飛び立った恋の飛行機たちは、どの新空港に着陸するのだろうか?

 注意:この映画は日本未公開なので以下の感想はネタバレバリバリで書かせていただきます。

「看板に偽りあり」。昔から香港映画にはよくあったことである。特に広告など見れば一目瞭然。この時代の香港映画界を仕切っていたといっても過言ではない娯楽大王バリー・ウォン(王晶)が作ったこの映画は、リヨン・カリーナ・すーちーとかなりすごい3枚看板を揃えておきながら、リヨン演じるビルが選ぶのは、しっかり者の昔の女マギーでも自由奔放な今の女ジョイでもなければ、今まで自分の一番側にいた女ムーンなのだ!見事に大どんでん返しなこの結末に至るのには普通に考えれば特別不自然ではないものの、年齢を重ねてますます女に磨きがかかるカリーナ、この映画の後にリヨンと共演した『玻璃の城』で大人の演技派女優として脱皮するすーちーと女優陣に恵まれているのに、彼のハートを射止めたのが、こっちが全く知らなかった女優が演じた役だったとは!ああ、スターシステムっていったい何…(T_T)。てゆーかリーアン嬢ってバリー・ウォンの趣味なの(確かこの映画を作ったのがチンミーと別れた後かなんかってことを考えると)?そしてこの結末、当時の香港ではどう受け止められたんだろう?それが知りたいわ。そーいえばこのリーアン嬢、この映画以外では全く観たことも聞いたこともないんだけど、今はいったいどーしてるの? 

 相変わらずでかいリヨン(また怒られそうなことを…)はビジネスでは自信満々でもマギーとの再会に心乱されてしまう始末。彼のトホホな演技は相変わらずだなぁ。カリーナのマギーは未来に不安を感じつつもしっかりした意志を持つしっとりした女性。キャラとしてはよいっす。トニーの彼女というとこも合わせて、彼女はマギー・チャンとともにもとはしの憧れの女性ざんす。すーちーのジョイはお得意のキャピキャピ(死語だ…)娘役。ビルを振り回しながらも最後は自分の意志で彼のもとを去る。(このへんご都合主義だが…)彼女の選んだ男がすごい。日本人ビジネスマン(斉藤義行。日本の俳優さんだと思うけど誰かご存知か?)なんだけど、その名も「加世大周」。できれば声を出して読んでください。そーいえばやはり日本ブームに沸いていた台湾では、この頃本家加勢大周がドラマに出て人気を博していたっけなぁ…(゚.゚)遠い目。
 同じ年に日本映画『てなもんや商社』に出て話題を呼んだマーク・チェンはマフィアだけどひどい奴じゃないので観てて安心。…しかし、いくらトレンディドラマを装ってもマフィアがフツーに登場しちゃう。後日Reviewを書く予定の『戀戦。』でも、フェイ・ウォンの元カレは日本のヤクザだったし。日本のフツーのトレンディドラマじゃ絶対ありえまへんこんな設定。…でもそれが香港のよいところかしらん。マフィアもおっかなくないし、フツーに恋するのよん(はぁと)とか言って。それもある意味よくないか。教育上とか。
 そして、噂のリー・アン嬢なんだけど、多分西洋の血が入っているんじゃないかなぁ。ちょっとミシェル・リー的雰囲気。キレイといえばキレイなんだけど、後にどこでも名前を聞かないのはさっさと結婚したからか?それとも単に注目しなかっただけか?でもおいしい役ですよねぇーホント。

 先に空港の話を書いたけど、この映画では新旧の空港が効果的に使われている。『ホールド・ユー・タイト』(後日書く予定)や『パープルストーム』でも啓徳空港が登場したけど、この年の映画はほとんど空港を懐かしんでロケしたような印象がある。ワタシは初香港で啓徳に降り立ったのが最初で最後になった。よく覚えてないこともあるけど、スリリングでいい空港だったよね。
 日本ロケの場面は笑ってしまった。ビルの泊まっているホテルはどーみても箱根。そこから東京に通っていたのかビルよ。渋谷でジョイと派手にけんかして、ランニング姿で放り出されるビルはマヌケ。そこで再会したマギーとビルが歩いていたのは当時は最新スポットだったお台場かも。エンドタイトルを見ていたら日本ロケ協力にアミューズの名前を発見。そーいえばこの頃はまだ韓国ブーム以前だったもんね…。
 かなりツッコミながら観たのだけど、最後に重要なツッコミ。ビルのフルネームは「ビル・ケイ」。…濁点と「ツ」を加えると米国の電脳公司の会長の名前になるんだなこれが(大笑)。

英題:Love Generation HONG KONG
脚本・監督・製作:バリー・ウォン 音楽・出演:マーク・ロイ
出演:レオン・ライ カリーナ・ラウ スー・チー リー・アン マーク・チェン 斉藤義行

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