『OVER SUMMER』(1999/香港)
今回はちょっと前に観た『OVER SUMMER』。初めて観た時には夏だったのに、感想をアップするのは冬って…(笑)。
ワタシは、アカデミー賞俳優ケヴィン・スペイシーを「ハリウッドのン・ジャンユー」と呼んでいる。顔は全然似ていないんだけど、なんか、雰囲気が似てない?…という前置きはさておき、ジャンユーって最初観た時はやりすぎ感のある悪役(『キラーウルフ・白髪魔女伝』や『欲望の街・古惑仔Ⅰ・銅鑼湾の疾風』あたりを思い出していただきたい)だなぁって思ったけど、いろんな作品で顔を見るたびにいい味出しているよなぁ…って思うようになってきたのだ。ちなみにワタシが一番好きなジャンユーは『公元2000』のロナルド警部かなー(^.^)。そして、その次に好きなのが、この『爆裂刑警』の主人公マイク。タイトルと相方のルイス・クー(以下古天楽。こっちの方がなじみあるもんで)の顔だけ見ると、う~ん、これは派手派手なポリスアクションか?とよく考えずに判断してしまったものなのだが、実際はそんな映画ではない。
凶悪犯ドラゴンを追う一本気なベテラン刑事マイク(ジャンユー)と女好きの刑事ブライアン(古天楽)。ドラゴン一味を監視するために張り込み捜査に入る二人だが、無理やり部屋を提供してもらったおばあさん(ロー・ラン。この映画で金像奨助演女優賞受賞)には孫と思われてかわいがられたり、情報屋の妹分で女子高生のイェン(ミシェル)が転がり込んできたり、なぜかドラゴン一味と夕食を共にすることになったりする。そんななか、マイクはひょんなことから助けたシングルマザーの妊婦ユン(ステファニー・ラム)に惹かれるようになり、難病を抱えて自らの死を自覚している彼は彼女と子どもを養わせてほしいと申し出る…。
“Bullets over summer(銃弾の向こうの夏)”というなかなかに詩的(?)な英題のこの映画、確かにキャストは地味だしストーリーもありきたりな感じだけど、観た後はなぜか心に残ったものだった。この映画でマイクは家族に恵まれずに成長し、おまけに難病まで抱えてしまい、一通りの不幸を背負っている。そんな彼が密かに想っていたのであろう「家族が欲しい」という願いを天が聞きつけ、相棒のブライアン、ちょっとボケたおばあさん、ナマイキな今時のギャル(死語)イェン、そして健気なユンといずれは生まれてくる彼女の子どもをひとところに集め、緊張が続く捜査の合間に安らぎを、そして死期を悟った彼に最後の輝きと最愛のひと時を与えてくれたのではないかな。そんなことを考えてしまうのだ。
キャストでは『古惑仔』と『硝子のジェネレーション』でナンのおばあちゃんを演じていたローランおばあちゃんがやはりいい味だしていた。そういえばナンのおばあちゃんもちょっとボケてたところあったっけなぁ…。あと、古天楽はこの映画で初めて演技しているところを見たんだけど、顔の濃さにひくかなと思っていたらそんなにこゆいヤツじゃないのね、と知ってちょっと安心(こらこら)。
原題:爆裂刑警(bullet over summer)
監督/ウィルソン・イップ 出演/ン・ジャンユー ルイス・クー ロー・ラン ミシェル・アリシア・サラーム
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