【近況報告&お知らせ】通販部再開しました他

ご無沙汰しております。
月一度のUPを目標としていましたが、本業が忙しくなると記事を書く余裕もなくなってしまいます。
そんなわけで、まずは近況から。

この夏は、花巻の火鍋店に行ったり、

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夏休みは滞在先(といっても市内のゲストハウス)でお茶をじっくり味わったり、

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地元のカフェで西多士&奶茶をいただいたり、

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業務スーパーで売ってた蔥抓餅で蛋餅を作って早餐にしたり、

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微熱山丘李さんの月餅を中秋節にいただいたり、

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サークル結成1周年記念で火鍋食べてたりしました。

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…なんだよ、食べてばっかりかよ、とつっこまれそうですが、ちゃんと映画だって観てました。

東京では夏からロングラン上映となったあのWKW4K、我が街では思ったよりも早く9月末から2週間も上映されましたから、もう大喜びで観に行きましたよ、はい。当地では2K上映だったのだけど、音はクリアだし映像も美しくて見惚れてしまった。そして王家衛作品ではやっぱり『ブエノスアイレス』と『花様年華』が一番好きなのだなと改めて思った次第。もちろん、他の3作品も久々に観て初めて気がついたり、昔とは違う感想を抱いたりしたものであった。
来月は大館の御成座でも3週間上映されるので、また観たいなと思っているところ。

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ちょうど同じ時期に『時代革命』と『憂鬱之島』が来てしまって、しかも仕事も繁忙期で、いろいろスケジュールを合わせて全部観に行ったのでした。地元でこれほど一気に香港映画が上映されることは本当に珍しいことで、もう喜びながら映画館に通ったのだけど、おかげでこの時期は生活が荒れました(苦笑)
こちらで感想は書けなかったけど、いずれどこかで。

この秋から冬はMaking Wavesとリム・カーワイ監督のキュレーションによる香港映画祭2022の開催と、香港映画の特集上映が続いて嬉しいのだけど、東京(後者は東名阪5都市)のみの開催というのが非常に残念。ここで上映された作品に全て配給がついて全国公開されることを願います。
あと、現在公開中の『七人樂隊』も早く地元で公開してほしい…

というわけで近況はこのへんにして、お知らせです。
ここ2年で作ったZINEの通販を久々に再開しました。
今なら再開記念特典として、WKW4Kを観て考えて書いたテキストを収めたZINE「PLAYLIST 2022 Autumn」もプレゼントしております。
こちらから入れますので、是非是非どうぞ。

次はもうちょっと早めに更新します。

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わが心の台湾―『台湾の日々』『ブラックノイズ 荒聞』『台湾紀行』より

今回はジャンルちがいの台湾本3冊を読んでの大人の読書体験記です。小中高校生には全く参考にならないと思われますので、パクり等はなさらぬよう(誰もそんなことしません)

ここ数年、天野健太郎さんの遺志を継いだ太台本屋さんのご活躍や、クラウドファンディングの企画実現等で台湾本が出版ラッシュになっているので、この状況はとても喜ばしく思っています。喜ばしくはあるのですが、本当に出版ラッシュとなっているので、気がついたら買って読んではいるものの、長文の感想が追いつかないです。各々の本の感想はブクログには書いてはいるので、お暇な方はどうぞ。

台湾に行けなくなって2年半、最後に行ってから3年半。その間イベントがあったり料理を作ったり サークルで研究をやったりZINEを出したりと、台湾にふれる機会は多かったのですが、それが多くなるほど、自分はどれだけ台湾を「知って」いるのかということを考えるようになりました。
戒厳令が終了したとはいえ、まだまだ国民党独裁の色が濃かった90年代初頭に台湾に行って以来(途中の空白期も入れて)気づけば30年も台湾と関わってきました。小説ドラマの『路』では、90年代後半~2007年という時期を描いていたけど、その頃もはさんでの30年だから、自分が初めて住んだ頃を思い起こせば、変化も大きいようで意外と変わっていなかったり…とあれこれ考えてしまうのでした。
そんなことが頭にあったせいか、この夏たまたま続けて読んだ3冊の台湾本から、自分にとっての台湾への思いやそこからいろいろ派生してあれこれを考えてしまいました。

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『台湾の日々』(左)の著者、青木由香さんは私と同世代だけど、自分の方が多少上。そして初めて行った時期が10年違ったので、同世代でもやはり見ていたものも行った目的も全然違います。
当時は戒厳令が明けたばかりで、まだ日本語が公共の電波で禁止された頃に留学で初めて台湾の地を踏んだ身として、今思い返せば全体的に楽しい思い出が多かったのではあるが、抗日運動に巻き込まれたり、日本統治期のことに対して不勉強でいろいろ戸惑ってしまったことも思い出される。当時仲の良かった台湾人のルームメイトたちは、就職後日本に留学したりして会える機会もあったのだが、こちらが多忙で連絡できなくなったりして縁が途絶えてしまい、とてももったいないことをしてしまいました。
それでも、台湾には何度か岩手の友人たちと一緒に来ていたし、18年前から弟が南投縣の山の中の町で働きだして、親族訪問という名目で再び通い始めるようになり、さらには高鐡の開通で容易に南部へアクセスできるようになって、台南や懇丁などが「心のご近所」となりました。そして新しい台湾の友人も増えました。

青木さんはこの20年間での在住で台湾の急激な変化を身近でご覧になってきた方。その上で現地で本を出し、「一人台湾観光局」を務め、2010年代からの台湾ブームにおける日本への情報発信で大活躍されているが、実は彼女の本はあまり読んでこなかった。主に観光方面、特に女性向けの「おいしい、かわいい、ほっこり台湾」的な情報発信が多かったので、リピーター的にはね…と感じたからなんだけど、この20年様々な経験をされてきて、そこからあれこれ選び抜いての発信だったんだろうな、と今になって思うのでした。

雑貨やスイーツだけでなく台湾人の生活やスピリットに注目し、「台湾」を生活に取り入れようというテーマで抱えているこの本はコロナ禍を受けて刊行され、暮らしの図鑑というシリーズの1冊となっています。ここ10年ほどの「謝謝」から「朋友」として台湾に関心を持つためにはとてもよいテキストになっております。ここで紹介されている項目も暮らしに取り入れる知恵も興味深く読みました。でも、これを全部真似しなくても、それぞれできる範囲で取り入れて、あとは自分の経験や思い出から実践していけばオッケイでしょう。
例えば私だったら、日本でも人気のヂェン先生の日常着を買わなくても、手元には現地で買ったチャイナブラウスも伝統デザインのチャイナスーツがあるのでそれを着るし、赤が苦手なのでペパーミントグリーンを取り入れてみるし、台湾料理(上の写真右のレシピ集も最近重宝してます)も電鍋がなくても、手持ちの電気調理器で代用、等々。

まあ台湾に行けない日々が当分続くのは覚悟していますが、台湾がこっち来いよと思えば、たとえ身近に台湾カフェが少なかろうが、雑貨が容易に入手できなかろうが、自分なりの「台湾」を暮らしに取り入れてなんとか正気で生きていこうってことで。
というわけで、次へ。

最近、台湾ホラー映画が流行りと聞くけど、昨年公開の『返校』を始め、どうもビビりな自分はそれに食指が動かない。
ホラーといえば、数年前のTIFFでギデンズの『怪怪怪怪物!』を観たけど、主人公のいじめられっ子の復讐ものとして観たものの、観た直後の爽快感から劇中に描かれるいじめや人物の描写の残酷さや、主人公たちの前に現れる怪物姉妹の来歴が恐ろしく、これティーンホラーとして無邪気に楽しんじゃいけないんじゃないの?と頭を抱えたことがあった。そんなわけで台湾のホラー映画はいろいろな意味で容赦がない、というのが私のイメージ(※意見には個人差があります)

さて、では台湾のホラーノベルはどうなのか。
この『ブラックノイズ 荒聞』はホラーではあるけど、個人的にはそれほどホラー感は覚えなかった。
もちろん、主人公のタクシー運転手呉士盛の荒んだ生活を描いた冒頭から、彼の妻郭湘瑩が幻聴に悩まされて奇行に走った末に怪死を遂げるに至るまではいったいどう展開するのかわからないという意味で恐ろしかった。しかし、郭湘瑩を担当したソーシャルワーカーや呉士盛が事件の背景を調べ始めてからの展開には驚かされた。ここに絡んでくるのが道教に原住民族の言い伝え、日本統治時代に起きた怪事件、そして魔神仔(モシナ)と呼ばれる台湾の化け物。これらがミックスされた渾沌とした展開になるのだけど、それが実に興味深く、恐怖感なく面白く読み終えた。
貞子ならぬ「ミナコ」と呼ばれる謎の幽霊も登場するので、リング的なホラーを求めてこれを読むと、肩透かしを食らわされるのだろうけど、歴史的背景や他民族国家としての呪術や民俗的背景を盛り込んでくるのは面白い。台湾には怪談がないというわけではなく、中国語でいうところの「鬼」の話はいくつかあるし、それをモチーフとした小説もあるので(李昂短編集『海峡を渡る幽霊』にもあった)そういうつながりで読むことができる。
そういえばこの小説を含め、これまで読んだ「鬼」の話に登場する幽霊はだいたい女性。そして彼女たちは死ぬまでに酷く残酷な扱いを受けていたことが背景にあり、その受難が恨みのきっかけになることや、昔の女性の扱いの低さを改めて考えてしまった…(主人公の親は統治時代に大陸東北部に渡っていたことがあり、そこで雇われていた下女のくだりなど、これは実際にあったことだろうなと考えるとね。

 というわけで、そこからのつながりでいつか読みたいのがこの本。

台湾の妖怪といえば、かつて民俗学者の弟に「台湾にはこれまで土着の妖怪がいることはあまり伝えられてなくて、日本の妖怪伝説の面白さに影響されてキャラ化していったようなものだからね」といわれていたけど、果たしてこれはどんなものか。なお著者は水木しげる作品と『遠野物語』に関心があるとのことで、こういう面からも注目したい次第。

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そしてこの本。なんと今さら読みました。しかも我が人生初の司馬遼太郎です。祖母も両親も愛読していたのに、自分はこの歳までスルーしてきましたよ!
この『台湾紀行』のために、司馬遼太郎が台湾に渡ったのは1993年冬から数回にかけてのこと。
歴史小説家として多くの著書を著し、日本だけでなく中国史も押さえているからこそ書ける紀行文だと思ったのは、清朝以前からのこの島の歴史も統治時代のそれもフラットにとりあげ、それを示したうえで統治時代に育った自分と同世代の「老台北」たちに若者たち、そして当時は国民党総統だった李登輝氏と語らい、各地を旅して原住民族の集落をたずねたり日本統治の逸話など、さまざまな要素がうまくまとめられていたからだ。そして思ったほど政治的思想も感じられないと思うのだが、どうだろうか?
ともかく、あの頃の台湾ってそうだった、とか、そうかそうだったのか!と思い出させることが多い1冊でしたよ。

こんな感じで徒然に3冊の感想を書きましたが、一見テーマもアプローチもバラバラだけど、自分の中ではいろいろつながりも感じられた3冊で、今後の台湾カルチャー深掘りの参考図書となるし、ここから「わが心の台湾」をもっと広げていきたいなと思える本たちでした。

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花椒の味(2019/香港)

マスコミが伝える7月1日をはさんだ香港の情勢は、25年前には全く想像できなかったものだった。
最後に香港へ行ったのは3年前の春休み。その時でも再開発等で変わりつつある感は覚えたのだが、その直後に反送中デモが起こり、さらにコロナ禍で国安法が成立してしまい…という状況。私は返還直後から香港に通い始め、返還前の残り香をかいだり新たな楽しみも見出したりして滞在を楽しんでいたのだけど、そんな私の香港も、もう良き思い出の中にしか存在しなくなってしまうのだろうか…。

現在日本で紹介される香港映画も、あの『十年』からたどれば、この時代を反映した若手映画人によるドキュメンタリーが多い。もちろん『乱世備忘』も『理大囲城』もオンラインでだがしっかり観ている。クラウドファンディングに参加した『憂鬱之島 Blue Island』も無事完成してこの夏東京から上映が始まるし、昨年カンヌと東京フィルメックスで特別上映されて話題を呼んだキウィ・チョウ監督の『時代革命』も上映を控えている。もちろん機会があったら劇場で観たい映画だ。
だけど、それだけじゃ寂しい。ドキュメンタリーだけではなくフィクションも観たい。もちろん『レイジング・ファイア』や『バーニング・ダウン』は面白かったけど、アクションだけじゃなくてしっかりしたドラマももっと観たい。そんなわけで、我が地元では香港が返還されて25年経った日から上映が始まっていた『花椒の味』を観に行ったのであった。

 

 

 

香港・九龍の旅行代理店で働くアラフォーのOL夏如樹(サミー・チェン)の父夏亮(ケニー・ビー)は香港島の大坑で一家火鍋という店を経営している。2017年2月、その父の訃報が如樹の元に届く。父のスマートフォンのLINEログから、台北と重慶にそれぞれ異母妹がいることを知る。亮の葬儀の日、台北からビリヤードのプロ選手如枝(メーガン・ライ)が、重慶からはオンラインセレクトショップのオーナーでインフルエンサーでもある如果(リー・シャオフェン)がやってくる。店員のロウボウから店の契約期間がまだ残っていることを知らされた如樹は、残りの期間だけ火鍋店を続けることにする。

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三姉妹もの映画で思い出すのは『宋家の三姉妹』に『恋人たちの食卓』。最近ではそのものずばり『三姉妹』という韓国映画もある。
『若草物語』の例を挙げるまでもなく、兄弟姉妹の話ともなると「最も近しい他人」ゆえの葛藤が物語を動かすことになるが、この三姉妹は出会ったばかりの頃は多少相手を怪訝に思うことはあれ、すぐ打ち解けてしまい互いに助け合うようになる。異母姉妹の愛憎ものを期待すると拍子抜けするのだろうが、テーマはそこではない。頭に「如」の字、そして木のつく漢字が共通項の彼女たちは、それぞれの現在の家族との間に問題を抱えている。如枝は再婚した母親(リウ・ルイチー)と折り合いが悪く、同じく再婚してカナダに移住した母親と別れて祖母(ウー・ウェンシュー)と重慶に残った如果は、何かと世話を焼こうとする祖母が疎ましい。そして如樹は、病弱な母と自分を置いていった父が許せない。
普通だったら、亮のような父親は軽蔑に値するだろう。如樹のような生真面目な娘ならなおさら。しかし、彼女の知る父の姿が一面的ではないのは如樹の元婚約者天恩(アンディ・ラウ)や父の友人だった麻酔医浩山(リッチー・レン)が語るエピソードや、二人の妹たちの存在からも見て取れる。そして在りし日の父を演じる阿Bの人たらし感のある笑顔が実によく、誰が見ても憎めず愛すべき存在として描かれているのが効いている。

家族という存在は安心感をもたらせば、それ以上に煩わしくも面倒くさくもなる。そこは如枝と如果の各パートで描かれる。
この妹二人のキャラの作り方が面白い。ドラマ『アニキに恋して』の男装女子役が印象深いメーガン演じる如枝の職業がビリヤード選手というのが台湾の体育会系的イメージがあってハマっているし、『芳華』の李曉峰演じる如果は中国の裕福な家の若いお嬢さんらしさがあるし、突拍子もないファッションも楽しい。(下の写真、これもしかして特攻服?と思ったのだがいかに)

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如枝は父の応援を励みにビリヤード選手としてのキャリアを積んできたが、母は賞金で生活を賄うことに不安を覚えるし、かいがいしく世話を焼く如果に対して祖母は安定を求めて結婚をすすめる。これは彼女たちだけの悩みではなく、かつての、あるいは現在進行中の世界中の娘たちが直面する問題。いずれも女親が娘/孫娘に対して抱く幸せの定型に見えるし、彼女たちなりの幸せが違うことですれ違いを産む。あるいは如枝の母も如果の祖母もまだまだ手放したくない故の干渉だろうけど、妹たちがそれを考える場として長姉の如樹がいる火鍋店にやってくることでこれまでの自分を見直し、次に進もうとする。その辛さと優しさを火鍋の辛さで語り、いずれもよい関係を結んでいくのがよい。
もちろん、如樹の思い悩みも、火鍋店に関わることで頑なな心がほどけていき、父の幻影に出会うことで和解していく。そして三姉妹は店から旅立つのだが、この家族の繋がりと解散が自然な形で描かれている。とかく「家族の絆」を強調し、文字通り縛りつけた果ての悲劇がたびたびおこる現代の家族関係において、これくらいの向き合い方でちょうどいいと思うのだ。

また、家族関係とはまた違う如樹と天恩、そして浩山という2人の男たちとのそれぞれの関係。これが恋愛に発展しにくい関係として描かれているのが実に現代的で興味深かった。
サミーはアンディとリッチーのそれぞれとも共演経験があるし、特にアンディとはロマンティックコメディからスリラーに至るまで何度も恋人同士を演じているので、一度婚約を破棄しながらも、新居になるはずの部屋に住まわせてもらうなどのつながりを保った「友人」として関係を続ける如樹と天恩の場面には、その婚約破棄の描写がないためになぜ?とあれこれ考えが及ぶ。しかし婚約破棄に至っても天恩は如樹への思いが思っているので、この物語の後によりを戻すこともあるのだろうが、この気まずく別れない関係は現実に難しくあっても、多少の憧れは感じるところがある。
リッチー演じる浩山は如樹とは父を知る人として知り合って距離を近づけていくが、メッセンジャーとしての役割を果たして、彼の望む次の人生へと向かう。つまり如樹は両者とも劇中ではわりとサラリとした付き合い方をしていくのだが、こんな描写もラブコメに持ち込むことなくさりげなく描かれていたので、とても新鮮に思えた。

この映画は香港映画にしては珍しい原作つきで、その原作を読んだプロデューサーのアン・ホイがヘイワード・マックを指名して製作したという。そんなわけで「アン・ホイ作品」を強調して語られることが多いようだが、それでも《九降風:烈日當風》や《前度 ex》を監督し、パン・ホーチョンの『恋の紫煙』の脚本を手掛けたヘイワードの作品として見事に仕上がっていると思う。コロナ禍と共に電検(検閲)の義務が課せられてしまい、製作本数が激減している香港映画の現状に非常に辛さを感じるが、今後の香港映画界での活躍を大いに期待したい監督がまた一人増えた。
だからまだまだ「香港映画絶対不死」と言い続けていきたい。

 

原題(英題):花椒之味(Fagara)
製作:アン・ホイ ジュリア・チュー 監督&脚本&編集:ヘイワード・マック 撮影監督:イップ・シウケイ 美術&スタイリング:チャン・シウホン 音楽:波多野裕介
出演:サミー・チェン メーガン・ライ リー・シャオフォン リウ・ルイチー ウー・イェンシュー ケニー・ビー リッチー・レン アンディ・ラウ 

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第7回文学フリマ岩手に出店します【ZINE新作】『台カルZINE Vol.1』ほか

バタバタしている間に前日のお知らせとなりました。申し訳ございませぬ。
前回のエントリ通り、明日6月19日(日)に岩手県産業会館(産ビル)7階大ホールで開催される第7回文学フリマ岩手書局やさぐれ&透明度として出店いたします。
当日のセットリストは画像の通り。

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【新刊】『台カルZINE Vol.1 特集:台湾映画鑑賞指南』(発行:台湾カルチャー研究会

「台湾を深掘るともっと楽しいよ!」を合言葉に、岩手の3人の台湾好きが結成した同好会によるZINE。創刊号のテーマは台湾映画。

【新刊】『自宅台湾飯』

以前のblogエントリを元に、複数のレシピ本を参考にここ2年作り続けた台湾飯をまとめたフォトブック第2弾。
第1弾は昨年発行した『職場台湾便當』(関連記事はこちら)です。

【新刊】『日日是MAKE TEA NOT WAR』

中華色薄めですがこちらもご紹介。地元産のお茶から英国紅茶まで、全編「ああお茶うめぇ…」とだけ言って1冊まとまった(笑)エッセイ。題名が物騒ですが、一応戦争反対の思いを込めて作りました(真顔)

【既刊】『閱讀之旅2019之雙城故事』 『寶島電影院』

部数僅かですがこちらもあります。

以上の本は今後ZINEイベントやブックイベント参加時にも取り扱います。
また通販も検討しております。
ではでは、よろしくお願いいたします。
そして明日のイベント頑張ります。
(当日は台カル研メンバーも集合しますよ)

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台湾カルチャー研究会はじめました

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突然ですが、立ち上げました。略して「台カル研」

Facebookページはこちら→

6月19日(日)に岩手県産業会館(産ビル)で3年ぶりに開催される第7回文学フリマ岩手のB-27「書局やさぐれ&透明度」のブースにて、この台カル研発行のZINE「台カルZINE」第1号を頒布いたします。
詳細はまた後ほど。

そうそう、書局やさぐれとしても、現在新作のZINEを製作中です。こちらも完成しましたら後ほど紹介いたします。

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大阪アジアン映画祭とこれからの中華電影上映

今年の第17回大阪アジアン映画祭(以下OAFF)では、昨年末に香港で公開されて話題になったアニタ・ムイの伝記映画『アニタ』がスペシャルメンションと観客賞を、昨年の香港亞洲電影節で上映された香港映画『はじめて好きになった人』が後日関西ローカルでTV放映されるABCテレビ賞をそれぞれ受賞したそうです。恭喜!

 

 

OAFFは、10年前に参加したのが最初で今のところ最後。そういえば4年前にもnoteこんな記事を書いていました。
この時期のTwitterのTLによく流れてくるのが「OAFF、東京でも開催すればいいのに」といったような東京近辺からのtweet。
すいません、大変申し訳ございませんが、田舎モンが以下太字にして言っていいですか?

「おめだづなに寝言ゆうとんだ、イベントは今のままでも東京一極集中しすぎてるでねーの。TIFFもフィルメックスも台湾巨匠傑作選もシネマート中華祭りも未体験ゾーンも国立映画アーカイヴ特集上映もあんのにはあ、ごだごだ贅沢ゆうでねえ!」

はい、失礼いたしました。正気に戻ります。

北東北の地方都市在住の映画ファンとして、地元で十分な映画館とスクリーンの数が揃っていても、小規模な配給会社によるアート館のみの上映が多い中華電影は滅多に映画館でかからないので、それがフラストレーションになっていました。地元で観られない映画は仙台に遠征したり、帰省中なら東京まで観に行ったりもしていました。だけど今はコロナ禍。昨年も一昨年も映画祭には行けてません。
もちろん、以前も書いた通り配信でカバーして観てはいるのですが、それだけではやはり物足りません。映画は映画館で観る習慣を25年以上続けているので、どうしても小さな画面での鑑賞に満足できません。

そんな不毛な状況ですが、それでも最近は少し希望を感じています。それはOAFF上映作の日本公開と、地方まで回ってくる作品が少しずつ増えていることです。

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OAFF2020で上映されたサミー・チェン主演の香港映画『花椒の味』は、昨年11月に新宿武蔵野館で上映されましたが、そこから半年以上経った6月に中央映画劇場略して中劇で上映されます。やったあ!
(前回感想を書いたこれも中劇で上映。実はこの館のスタッフさんに熱烈なニコファンがいらして、上映時のblogが半端なく熱いのでぜひぜひご一読ください)昨年は同年上映の『少年の君』や『夕霧花園』も地元で上映がありましたし、さらに一昨年は2019年上映の『淪落の人』も上映されました。花椒と淪落は武蔵野館の配給部門武蔵野エンタテインメント配給。東京公開開始後半年でソフト化されることが多かった単館系作品が、時間をかけても全国公開で持ってきてもらえるのって本当にありがたいです。

映画祭でいち早く観て、みんなで盛り上がれることは楽しい。その場でしか上映できない映画を観られるのも本当に貴重な体験。
だけど、中華電影迷としての一番の願いは、イベントに参加したみんなが楽しんだ映画に配給がついて、それが日本全国の映画館にかかってくれることなんです。
私が住む北東北の地方都市に上映が回ってきて、地元の同好の士の皆様に観てね観てねとアピールしながら映画館に通い、鑑賞後は地元のカフェやレストランで食事しながら一人でかみしめたり、あるいは友人とあれこれ話し合ったりできることは本当に楽しいです。

これからも日本で中華電影が上映され続けてほしいので、地元で上映される映画はもちろん、できれば遠征でも観て、支えていきます。
あとはこちらに来なかった映画の上映会も行いたいです。そのためにはどうすればいいか、いろいろと策を練っています。

このコロナ禍が早く収束して、また映画祭で関東や関西の同好の士の皆様にお会いして一緒にもりあがれる日が来ますように。
そして、また香港や台湾に行けますように。

そうそう、これも言わなきゃね。
『アニタ』の日本公開を強く願います。

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レイジング・ファイア(2020/香港・中国)

昨年は開催中止となったため、2020年と21年の香港での上映作品をノミネート対象とした第40回香港電影金像奬のノミネート作品が先ごろ発表され(リンクはアジアンパラダイスより。授賞式は4月17日(日)に開催予定)、作品賞・監督賞始め全8部門にノミネートされた『レイジング・ファイア』。

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21世紀の香港アクション映画を代表する人物となり、ハリウッド進出も順調なドニー・イェンと、香港返還直前にデビューを果たし、俳優や歌手のみならず、近年は料理番組でシェフとしても活躍するニコラス・ツェーという、21世紀香港映画のアイコンである2人が主演。そして監督は『ジェネックス・コップ』『香港国際警察 NEW POLICE STORY』『レクイエム 最後の銃弾』など、このblogでも感想を書いてきた多数の作品を手掛けた“香港の爆発王”ベニー・チャン。反送中デモが起こった2019年に撮影を終え、香港及び中国で上映が始まって間もない2020年8月に58歳でこの世を去り、本作が遺作となった。

 

 

東九龍警察本部に所属する張崇邦警部(ドニ―)と、彼の部下として働いている邱剛敖(ニコ)。自らの正義を信じ、悪人の逮捕に全力をかける邦を敖は尊敬していたが、大手銀行の霍会長の誘拐事件で二人の運命は大きく分かれる。2人の容疑者が特定された後、そのうちの一人の何を追った敖とその仲間たちが、司徒副総監(ベン・ユエン)の命令を受けて会長の居場所を暴行により白状させ、さらには殺してしまったことが大きな問題となり、敖たちは裁かれて実刑を受ける。
4年後、邦は誘拐犯の残りの1人の王の逮捕に執念を燃やしていたが、有力者の息子の逮捕の件でクレームが入り、捜査を外される。彼の代わりに同僚の姚(レイ・ロイ)が王とベトナムマフィアの麻薬取引現場に赴くが、その現場で麻薬が強奪され、姚たち捜査班も襲撃される。彼らを襲ったのは出所した敖と元警官たちだった。

この映画が撮影された2019年の香港といえば、先に書いた通り反送中デモに端を発した14年以来の民主化運動の再燃と、市民運動の徹底排除を貫いた香港政府の対立により、警官がデモ隊に催涙弾を撃ち、学生たちを投打する映像をニュースやドキュメンタリー等で見て大きな衝撃を受けたことが思い出される。14年の雨傘運動時同様、市民の安全を守る警察が政府を守る側に守ってしまったことに大きな失望を抱いたのは市民でなくても同じだった。そんなマイナスイメージが香港警察についてしまった今、どうこの映画を受け入れたらいいのか?と、ついついそんなことを観る前には考えてしまった。
しかし、10年代は『コールド・ウォー』2部作のように警察内部の問題をテーマにした映画も多かったし、この映画でも上層部の命令により起こった悲劇から警察内部の腐敗を匂わせているので、とりあえず現実と距離を置きつつ、でも重ねて考えてもいいように思う。それを思えば、近年のヒーローにしてはストイックに正義を貫き、自らの組織にもその追求を止めない邦も、命令に従ったことがかえって罪となり、復讐を以て組織とかつての上司に怒りを突きつける敖も、彼らそれぞれのやり方で警察に異議申し立てをしているのではないか、と私は考える。
(ところで映画界でも現在の警察をそのまま描くのではなく、ドニーさんとアンディW主演の『追龍』のように過去に題材を求めたり、19年冬に台湾で観た『廉政風雲 煙幕』のように廉政公署を舞台に犯罪者とのチェイスを描く作品が10年代後半にはあったので、やはりそのあたりは意識されていたのかとも思うのだが、実際はどうだろう?)

ベニーさんといえば先に挙げたような、大規模な爆発を得意としており、『WHO AM I!?』などの成龍とのコラボレーション、そして《衝鋒隊:怒火街頭》に始まる警察ものが代表作と言われるけど、デビュー作はあの『アンディ・ラウの逃避行/天若有情』だし、『新少林寺』や『コール・オブ・ヒーローズ』のような時代ものも撮れるオールラウンダー。ドニーさんとは90年代のTVシリーズでコンビを組んだとのこと。ベニーさんを語るのに欠かせない人物は成龍を始め様々いるが、やはりここでは『ジェネックスコップ』以来主演や助演で多く出演してきたニコを取り上げたい。

ここ数年のニコといえば、大陸のドラマへの出演の他、料理番組のホストを務めてシェフとして腕を振るい、そこから生まれたグルメ&スイーツブランド・鋒味をプロデュースしている。かつて中環にクッキーショップの路面店を出していたけど、コロナ禍で撤退し、現在は通販のみで対応の様子。

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2017年春の香港で撮影。

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看板スイーツのひとつ、茶餐廳曲奇(クッキー)
辛いクッキー等面白いフレーバーもあり。

私自身も出演作はジェイとW主演の『ブラッド・ウェポン』(2012)以来か、その後何かあったっけか?というくらいで本当に久々のニコであったが、先に挙げたジェネックス、ニューポリ、新少林寺の他、ゲスト出演の『プロジェクトBB』やショーン・ユーやジェイシー・チャンと組んだ『インビジブル・ターゲット』など、2000年代のベニーさん監督作品の数々を思い出し、歳は重ねどもあの頃の若さと変わらぬ熱さのニコに、この20年間に彼が経験した様々なこと(必ずしもいいことばかりではなかったが)もあって、ついつい本人の実人生を重ねてみたくなった…というのはオーバーであるか。
敖は自らの正義を貫く先輩の邦を慕う一方、上層部の命令に逆らえず(エリートの設定なので出世に係わる面も大きいのかも)それに引き裂かれて起こった悲劇により邦も含めて警察への憎悪を抱いた復讐鬼と化すのだが、その憎しみの暴走は邦の頑なな正義にもナイフを突きつけていくので正義は絶対的なものなのか?ということにも考えが及ぶし、説得力もある。
そんな敖を激しく演じてくれたら、もうニコすごい…と語彙力が消失したようなことしか言えないではないか。デビュー直後から彼を観てきた身としても!本当に久々のアクション映画での演技ということもあって、ニコの熱演が本当に嬉しかった。

 

こちらも久々にニコが歌う主題歌のMV。ドニーさんが特技のピアノを披露しているのもまた楽しい。

ドニーさんは誰がなんといっても宇宙最強。この映画自体が単純な勧善懲悪でないとはいえ、最後に彼が勝つのはもちろんわかっている。では彼とニコはどう戦っていくのか、というのも見せ場である。
アクション監督をドニーさん自身が務めているから、ベニーさんお得意の爆発描写に彼の格闘が加わるわけで、激烈さは増し増しである。それと同時に、近年の潮流でもある感情や物語に応じたアクションもしっかり実践されている。彼を中心に、カーアクションは李忠志さん、銃撃戦は谷軒昭さん、そしてクライマックスの格闘を谷垣健治さんと、香港を代表するコーディネーターたちが集って取り組んでいるから迫力もありエモーショナルである。特に広東道での激しい銃撃戦(香港島にセットを組んで実景と合成したそうだが違和感はなかった)から、古い教会に舞台を移してからの邦と敖の格闘は、ドニーさんの方が圧倒的にパワーが上というのもわかっていながらも、ニコが互角に戦えていたし、熱量もあって見ごたえ充分。この作品の前に谷垣さんが参加されていたるろけんファイナル(るろうに剣心最終章The Final)で繰り広げられた剣心と縁のクライマックスの格闘場面も非常に熱く見入ってしまっていたので、ああやっぱり格闘はいいよねーと語彙力が消失気味になってしまうのであった…。

この作品は完成時から「このくらい大規模なロケができる香港の警察映画はもう当分撮れない」と言われていたが、その後のコロナ禍による行動制限、そして国安法等の法律改正により、本当にこのレベルの映画が作れるかどうか心配になってきた。そしてベニーさんが亡くなられているという事実も、これに加えてずっしりと重くのしかかってくる。
香港映画の未来はどうなるのか。これについては、またの機会に書いてみたい。

最後に、改めてベニー・チャン監督のご冥福をお祈りいたします。

原題:怒火
製作・監督:ベニー・チャン 製作・アクション監督:ドニー・イェン 撮影:フォン・ユンマン 音楽:ニコラ・エレナ スタントコーディネーター:ニッキー・リー クー・ヒンチウ 谷垣健治
出演:ドニー・イェン ニコラス・ツェー チン・ラン パトリック・タム レイ・ロイ ベン・ユエン ベン・ラム ケン・ロー カルロス・チェン サイモン・ヤム

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盛岡台湾Happyフェス2021

恭喜發財 萬事如意 身體健康 世界和平

世界的に感染拡大が続く中、旅行も気軽にできない日々が続き、悩ましいばかりですが、今年度も昨年に引き続き盛岡台湾Happy Project主催の盛岡台湾Happyフェスが開催されました。
今回は感染対策として、10月にプレイベント、12月にメインイベント、年明けの1月に物販メインのマーケットという3部構成となり、いずれもクロステラス盛岡を会場として行われました。

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10月のプレイベント。
プロジェクト参加団体によるポスター・パネル展示がメイン。

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当地でも上映された『台湾、街かどの人形劇』と布袋戲の人形たち。

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盛岡てがみ館では10月から「台湾と岩手の先人たち」という企画展が開催されていました。
昨年のイベントでトークをされた新渡戸財団の藤井茂さんによるトークも企画されていましたが、残念ながら中止に。
いずれどこかでお話を聞けることを願っております。

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イベント名物となったHappyランタン。

展示内容は昨年のフェスのおさらい的なものだったけど、クロステラスを経営する三田農林が発表報告と共にまとめていたレポートが一番読みやすかったです。

それから約2ヶ月後の12月3日からの週末で行われたのが、メインイベントのHappyフェス。

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昨年に続いてのメインビジュアルはkuromameによるもの。
このキャラクターたちには「もにょもにょ」という名がついているらしい。

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お出迎えはアミ族の衣装をまとったお嬢さん(!名前がついているらしいけど忘れましたすみません)
なぜアミ族?答えは次の写真をご覧あれ。

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以前もここで少し書いたのですが、我が盛岡市は2019年に花蓮市と友好都市提携を結びました。
この冬岩手公園の川沿いに記念碑が建てられました。

そして、花蓮といえば昨年話題を呼んだこの小説『リングサイド』の舞台ですね。

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花蓮を舞台にしたこのプロレス小説、地元の愛好者によるローカルプロレス団体が登場しますが、この街にも発祥のローカルプロレス団体のみちのくプロレスがあるので、親しみも感じながら読んだのでした(といいつつみちプロの試合は生で観たことはなかったりする)
作者の林育徳さんは花蓮の東華大学で『歩道橋の魔術師』の呉明益さんに師事したいわば直弟子。

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閑話休題。
今年のトークは、市内の高校生が開発に携わった甘酒ドリンク(台北にある拾糀商號を参考にしたとか)の話、台中のコーヒーショップと交流している盛岡を代表するコーヒーショップのひとつNagasawaCOFFEEによる台湾コーヒーの話、台湾の高校とオンライン交流会を実施した市内の私立高の交流報告、仙台出身のポンフーマスターさんによる膨湖の話、LGBTQをめぐる話(スピーカーのお一人は3年前の藍色夏恋上映会でトークをご一緒したかとうまいさん)そして恒例となった岩手観光アカデミーメンバーのミーティングなど、前回にもまして盛り沢山でした。
 個人的に印象深かったのがNagasawaCOFFEEさん。台中のコーヒーショップ樂咖さんと交流があり、数年前にイベントも開いています。台湾の珈琲文化は若者が中心であること、統治時代からの珈琲栽培の歴史等興味深いお話が聞けました。といいつつ実は私はコーヒーが飲めません(参考としてこれ
 

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昨年に引き続きの、サンファームさんのりんごディスプレイ。

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ここからは展示。
「岩手と台湾をつなぐキーパーソン 後藤新平をたずねて」というテーマで、市内の高校の写真部が撮影した後藤新平の像や出身地の水沢の風景。
水沢の後藤新平記念館には台湾赴任時代の資料も多数あり。

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こちらはイベント発表も行った市内の高校のオンライン交流会の展示。

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日本初公開となった(!)片倉佳史さんによる台湾の鳥の展示。

イベントでは物販もあり。
日本ドラマ特集の「秋刀魚」(『名作マンガの間取り』の著者、盛岡在住の影山明仁さん監修のドラマの間取りを収録)があったので購入。

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お馴染み東家さんの台湾弁当第3弾。
菜脯蛋が定番メニューとなりつつあるけど、実はだし巻き卵がお店の宴席料理でも定番。
現在はおそば屋さんとして知られていますが、開店当初は市内の老舗の料亭の分店だったそうです。

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昨年度に続いてのサンファーム特製りんごケーキ。
今回のはココナッツを加えたサクサク感のあるクッキーっぽい仕立て。
これはこれでアリ。

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ところで今回のフェスは12月開催ということで、こんなオリジナルグッズが登場していました。

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盛岡台湾Happyカレンダーは、旧暦併記(今年の農暦初一は2月1日)と台湾の年中行事に加え、盛岡の年中行事も記されているという、台湾好き&盛岡好きには非常に有り難い(マジで)カレンダー。A4サイズで携帯にも便利。
私は職場で旧暦話をしたり、イベント合わせで仕事をしたりもするので、このカレンダーを職場で使っているA4版の手帳に差し込んですぐ見られるようにして使っています。

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ところで今回は初めて県外からの企業がフェスに参加しました。
台湾グッズのECサイトや旅や留学のアレンジを行っている美麗!台湾です。
社長さん自らが来盛し、ものすごい熱量で台湾への愛を語っておりました。
↑はスタンプラリーのノベルティとして製作されたコラボステッカー。エアチケットのデザインです。

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こちらは登録特典としていただいた日本未発売のopenちゃんロンググミ。
フレーバーはこれまで日本でもレアなヤクルト味。

感染拡大期だったこともあって、前回より開会日程が短かったのは残念だったけど、引き続きイベントが行えたのが本当に良かったです。
参加はできなかったけど、トラベルリンクさんによる台湾華語で案内する街歩きツアーも行われ、台湾と共に地元を知り、そして楽しむという意義が感じられるものでした。サテライト企画としては後日、盛岡市内と小岩井農場などを華語ガイドで回るバスツアーなども行われていたとのことです。

そして年が明けて旧正月間近の1月29・30日に開催された盛岡台湾Happyマーケットでは、台湾に盛岡のテイストをミックスさせたフードとグッズを、フェス販売からヴァージョンアップして販売。甘酒ドリンクは1日のみの販売だったので買い逃してしまったけど、それ以外はだいたい押さえたのでご紹介。      

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東家の盛岡台湾ハッピー弁当 
新年快樂ver.先に挙げた写真と比べてみてくださいませ。

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花生仁湯(上)fu-daoの雪Q餅と台湾カステラ(中)サンファームのりんごケーキ(下)
カステラの中にはサンファームのりんご果実(旬の黄色りんご・きみとを使用)が練りこまれていて、瑞々しい食感。

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さわや書店のブースで昨年秋刊行の『味の台湾』を購入。

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これは来場者特典の新年卡。

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スタンプラリーで押してもらえるフェス入国スタンプ。
使用済みパスポートに押してもらいました。

先ほども書きましたが、昨年度に引き続き台湾イベントが行えたのは本当に良かったです。姉妹都市締結後2年経ちましたが、市内にも記念碑ができたし、往来再開後への期待もあるので、今後も続いていくのでしょう。
今回残念だったのは、やはり感染拡大期に入ったこともあってのイベントの縮小化。正直できるかどうかと心配していたので開催できたことは参加者としても嬉しかったのですが、来年も実施があるのなら、もう少し多方面に広げてもいいと思います。昨年は新作台湾映画もいくつか公開されたし、台湾本の発刊も多かったので、今後はフェスと連動した新作映画公開(いや、未上映作品の上映会でもいいんだ)やブックフェア、作者さんや訳者さんのオンライントーク等カルチャーイベントも実施できればいいし、できることなら協力していきたいです。台湾文化センターとの共催があってもいいし、地元在住の作家さんとのクロストークがあってもいい。ここ盛岡は映画の街にして本の街なので、文化的アプローチがもっとあってほしいです。そうそう、以前は滅火器や叮噹が市内でMVを収録していた縁もあるので、音楽に触れる機会もほしい。
あと、市内にもうちょっとだけ台湾スイーツが食べられるお店があってもいいかな。専門店じゃなくても、小さな豆花くらいでいいです。名物の寄せ豆腐をアレンジしたり、りんごのような季節のフルーツをトッピングしたり。
本当は早く台湾に行きたいけど、今年も防疫生活は続きそうです。

いま東京や大阪の大都市では正統派の台湾フード&スイーツ店も増えているけど、ここでも「台湾がこっちに来い」的な心意気で過ごし、フェスの時だけでなく台湾を身近に考え、文化や歴史に触れる機会が今年は多くなることを期待します。
そのためにこの一般人も、いろいろ行動していきたいです。

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我的中華電影ベストテン2021

2016年まで「funkin'for HONGKONG十大電影」と銘打ってその年に観た中華電影のうち、気に入ったものを10作選んでいたのですが、17年以降は映画の長文の感想がなかなか書けなくなってしまいました(twitterには感想は書いているのですけどね)
ここ2年は県外の映画祭などには行けなくなり、鑑賞本数も減少気味ですが、配信で何本か観ることができたし、地元の上映も徐々に増えてきているので、今年は題名を改めて、久々にまとめてみました。
なお題名に、Twitterで書いた感想をリンクしておきます。

理大囲城

これまで25年以上東北で暮らしているのに、なぜか行く機会が全くなかった山形国際ドキュメンタリー映画祭でのオンライン上映で鑑賞。これに先立って、地元では上映がなかった『乱世備忘 僕らの雨傘運動』もオンラインでやっと鑑賞。
2019年の初夏から始まった反送中デモのうち、最も大きな動きとなった11月の香港理工大学ロックダウンでのデモ参加者と警察との攻防を記録したドキュメンタリーで、スタッフは全員匿名。かつてよく散歩した尖東の歩道橋や近くを通ったことがある理大キャンパスがこの攻防の舞台になっていることには衝撃を受けたし、大学内部に閉じ込められたデモ参加者(高校生もいた)の焦りや意見のすれ違い等も緊迫感をもって観た。当時は日本のSNSでも武力行使を是としない意見をよく見かけたけど、このデモが決して暴力に訴えたものではなかったことはよくわかるし、理解が及ぶところである。
3年前の春に行ったのが結局今のところ最後になる香港だが、新しい建物や普通話の会話がやたらと耳について気になってはいた(かくいう自分も一応普通話スピーカーだが、香港では片言の広東語か英語を使って過ごしている)直後に反送中デモが始まり、それを受けて政府や中央からのさまざまな締め付けがコロナ禍に乗じて始まってしまい、現在の状況になったことに非常に驚いている。この映画も『時代革命』も、現在香港では上映できなくなってしまった。現在の香港の状況については、近日別記事でも書いておきたいのだが、暗黒の時代に入った香港でも、決して自由を死なせてはいけないし絶望してはいけないという気持ちを持っていたいものだ。

1秒先の彼女

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《健忘村》を除くこれまでの陳玉勳作品はいずれも映画祭上映から一般公開になっていたので、今回も金馬受賞後にOAFFで上映されるのかと思っていたら、いきなり一般上映が決まって驚いた。幼いころに出会っていたアラサーで風変わりな二人のおかしな邂逅の物語。確かに初期作の『ラブゴーゴー』に通じるところは大きいけど、原点回帰というよりも進化だよね?と全ての陳玉勳作品が好きな自分は思うのであった。ついでに《健忘村》も今ならもうちょっと評価されてもいいと思うんだけどなあ…。

少年の君

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アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート、そして20年の金像奬作品賞を受賞した香港映画。だけど舞台と俳優は中国、言語は普通話。10年代後半に『十年』や『大樹は風を招く』などに賞を与えていた金像奬がなぜ中国が舞台のこの映画に賞を与えたのか、疑問であった。香港映画で俳優としてキャリアを重ねてきたデレク・ツァン監督の作品は『恋人のディスクール』のみ観ている。この前作の『ソウルメイト/七月と安生』で単独監督デビューしているのだけど、これも舞台は中国。
これまで取り上げてきたテーマは友情やいじめと、普遍的なものである。そして鮮烈。中国製作なので、あの検閲済みの龍のマークはついているし、ラストには政府によるいじめ抑止対策の、クレジットもついていたのでプロパガンダ的にも見られそうだが、ここしばらくの中国映画が持つどこか忖度めいたものは感じられないし、制限のありそうな中でしっかり自分の描きたいことを描き切っている。周冬雨とジャクソン・イーの主演2人も、痛々しいほどの熱演を見せてくれた。
デレクの次回作はあの『三体』のnetflixドラマ版だそうで、これも楽しみである。第1話を担当とのことだが、そうするとあの場面から始めるのか…>あえてなにかは書かないでおく(読んだ人はわかっていると思うけど)

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↑これは公開時に劇場で掲出されていたスチール。地元の映画好きにも好評な作品でした。
それなら『七月と安生』も上映してほしかったなあ…配信で観るしかないのか。

日常対話

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リンクはTV版の感想で失礼します。クラウドファンディング特典のトーク付き限定配信で観たのですが、なぜか感想をtweetしていなかった…

ホウちゃんのプロデュースでTV版が先行して製作され(NHKBS1で放映された『母と私』2015年製作)その後長編劇場版として製作。独立映像制作者の黃惠偵監督が、 葬儀業を営むレズビアンの母との修復を試みるためにカメラを回して自らと母の姿を撮ったドキュメンタリー。これまでの恋人たちが語る母の姿が興味深く、やがて語られる女性の抑圧に衝撃を受ける。今でこそLGBTQ+の権利を守り、多様性を重んじる台湾でも、かつての女性の扱いはやはりどこの国とも同じようなもの。監督が母との関係や彼女の過去を振り返ることで、台湾の個人史が現代史と重なるし、そこから知ることも大きいし、いろいろと考えられる。

血観音

JAIHOの配信で鑑賞。これも台湾の現代史に考えが及ぶ映画。舞台となる年代はちょうど自分が留学していた頃であった。戒厳令解除からしばらく経っていたが、まだ国民党が実権を握っていた頃だった。TVでたまたま観た省議会中継の議員の暴れっぷりにあきれた記憶がある。そして劇中での暗殺や怪死事件が当時実際にあった複数の事件を基にしているというのに闇を感じた…
JAIHOではOAFFやTIFFで上映された作品が観られてうれしいけど、だいたい期間限定配信なので、いつも最終日ギリギリに観てしまう癖を直したいところである。

私たちの青春、台湾

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先の記事でも触れたとおり、金馬奬で長編ドキュメンタリー賞を受賞した時の傅榆監督のスピーチが大陸側で物議を醸した作品。オードリー・タンのインタビュー本『オードリー・タンの思考』でもこの映画が紹介されていた。
14年の太陽花学運に参加した学生たちの栄光(と言っていいのか)と挫折、そして彼らを追った監督自身の心情も語られ、セルフドキュメンタリー的な面もあった。学生たちがジョシュアとアグネスに面会する場面があったが、二人の現在を思ってしまって胸が痛かった。2014年からの香港と台湾が現在こうなってしまうとは。そして今後はどう変わっていくのか。

羊飼いと風船

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祝、ペマツェテン作品日本初公開!
フィルメックスの常連で、ソンタルジャと共にチベット映画を確立した彼の作品が地元の映画館で観られるのは実に素晴らしきこと。
中国映枠に入れてはいけない気もするけど、王家衛が過去作をプロデュースしてるし、中華圏という枠で観られる作品だから、ということで。

坊やの人形

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風が踊る

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今年はホウちゃんの過去作品をまとめて観られたのも実に有意義だった。

映画 真・三国無双

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元ネタのゲームは全く知りません。ゲームだから三国の英雄たちがびしばし超能力を発揮するってことですよねそうですよね。
古天樂の呂布はいい感じの貫禄でカッコえかったけど、ハンギュンの関羽…それでいいのか、セクスィー関羽…
まあそれでも日本公開の意義はあったと思う。最近日本で作られた劉備がぼやきまくる某三国志映画に比べたら百倍も千倍もいい。
そして東京と大阪の他、唯一の地方公開を果たしてくれた地元の劇場・盛岡中央劇場には大いに感謝しております(なおこの劇場で近日『レイジング・ファイア』が上映されます。中劇のニコファンの方による熱いレコメン記事をみんな見てあげて)

番外 シャン・チー テン・リングスの伝説

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はい、番外です。昨年唯一このblogで感想が書けた映画だけど、番外です。
中華電影へのリスペクトが込められていてもやっぱりマーベル映画だし、久々にトニーへの愛も激しく確認できたけど、まあいろいろあるし。(そして勢い余ってこんなファンフィクションまで書いてしまったので、よろしければ読んで脱力してくださいませ)
続編製作が決定したのは嬉しいけど、次のキャストには噂されているあの人よりも四大天王クラスを出してほしいなあ。

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第58回金馬奬受賞結果について、いろいろ考える。

11月27日に台湾で実施された第58回金馬奬。
その受賞結果の詳細はアジアンパラダイスさんをご参照ください。

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長年blogを書いてきましたが、実は今まで金馬奬についての記事を書いたことがありませんでした。
香港映画を中心にblogを運営してきたので、金像奬は気にしても金馬までカバーする余裕がなかったというのが一番の原因でしょうか。
ここ数年来、金馬奬のストリーミング中継を観ているのですが、今年は、というかここ何年かは受賞結果も非常に興味深いものがあったので、今回は初めて金馬奬について書いてみます。 

今年の金馬奬のトピックとして、個人的に次の3つを挙げます。

  • 鐘孟宏(チョン・モンホン)監督最新作『瀑布』が最優秀作品賞他最多6部門受賞
  • 『十年』のキウィ・チョウ監督のドキュメンタリー『時代革命』の最優秀ドキュメンタリー賞受賞
  • 俳優デビュー30年の張震(チャン・チェン)4度のノミネートを経て『The Soul:繋がれる魂』で遂に最優秀主演男優賞受賞

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澤東電影SNSより

2019年までは東京フィルメックスと金馬奬が中心イベントとなる台湾最大の映画祭・台北金馬影展の開催時期が重なってので、webで中継される授賞式は、当日に映画鑑賞等が入ってしまうと見られないことが多かったのだが、2020年からフィルメックスがTIFFの協賛企画になって日程が繰り上がったことで、20年と21年の授賞式はリアルタイムで鑑賞できました。TIFFとフィルメックスにはノミネート作が出品されることもあり(今年のノミネート作では『瀑布』がフィルメックスに、『アメリカン・ガール』『テロライザーズ』がTIFFに出品)さらにここ数年は公開後にnetflix等でも配信されるので、一般公開決定前にノミネート作を観ることも可能になった。
加えて今年は、ラジオではおそらく初めて本格的に金馬奬が紹介(TBSのアフター6ジャンクションに江口洋子さんがご出演)されたり、ここ数年の金馬奬の傾向が変わったこと、後日記事に書く予定の香港映画の状況など注目に値するトピックが多かったため、今年は例年に増して受賞結果が気になったのでした。

 

 

『瀑布』は今年のヴェネチア映画祭オリゾンティ部門でプレミア上映された長編第6作。前作『ひとつの太陽』も19年に作品賞を受賞。
コロナ禍の現在を舞台に、母(アリッサ・チア、主演女優賞受賞)と娘(王淨/ワン・ジン、主演女優賞ノミネート)の関係をみつめた物語とのことで、フィルメックスで鑑賞された方々にも好評だった様子。モンホンさんは自分で撮影する人で、これまで「中島長雄」名義で撮影監督を務めていたのだけど、今作ではその名前を使わないほか、作風にもこれまでとかなり変化が見られるということなので、そこが気になるところ。昨年の台湾映画の興収成績では7位だそうです(アジアンパラダイスより)
『ひとつの太陽』はTIFF上映後、Netflixで配信が始まったのですが、この作品も今年初めに配信が始まるそうです。
(…netflixにまだ加入していないのだけど、これを機に加入してしまおうか考え中。なお過去作品はJAIHOで『ゴッドスピード』が期間限定で配信、プロデュース作の『大仏+』も期間限定配信
なお、アリッサ・チアはドラマ『悪との距離』で知りました。


 

張震が主演男優賞を受賞した『The Soul:繋がれる魂』は『目撃者 闇の中の瞳』(未見)の程偉豪監督作品で、こちらもNetflixで配信中。
張震といえば、昨年はかつて出演していたサントリー烏龍茶のCMスチールを撮影した上田義彦氏が監督した『椿の庭』や、18年にカンヌで共に審査員を務めたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『デューン 砂の惑星』など中華圏以外の出演作品が続けて公開されたけど、ホームグラウンドである台湾ではこれまでは無冠の帝王だったのが意外でした。
受賞スピーチではヤンちゃんに感謝の言葉を送っていたのが印象的でした。出会いの作品であった『牯嶺街少年殺人事件』ももちろん最優秀作品賞受賞作。

香港映画勢で最優秀脚色賞を受賞した《濁水漂流》は、TIFFで『トレイシー』が上映されているジュン・リー監督の新作。

金馬影展でも上映された《花果飄零》で監督賞を受賞したクララ・ロー監督は、マカオ出身で現在はオーストラリア在住。日本では『あの愛をもういちど』が紹介されています。あとは『アジアン・ビート(香港編)オータム・ムーン』も。11年前にTIFFで上映された『香港四重奏』の1編「レッドアース」を観ていました。香港とマカオを舞台にしながら、どちらでもまだ上映されていないという作品。
そして『時代革命』は納得の最優秀ドキュメンタリー賞受賞。サプライズでのワールドプレミアはカンヌ、シークレット上映だったフィルメックスを経て影展では3か国目の上映で、毎回満席だったようです。かつて18年に『私たちの青春、台湾』が同じ賞を受賞した時、傅楡監督のスピーチにあった「台湾独立」に対して大陸からの審査員団が抗議して翌年から作品出品を取りやめさせ、現在のノミネート及び受賞状況に至っていることから、政治的なメッセージが強い作品も優れていれば賞を与え、危機的状況にある香港に対して文化を守ろうとする姿勢を取ってくれたのは本当に嬉しいものです。
もともとこの賞には、中国大陸の影響下にない映画の製作促進を目的として1962年に創設されたというので、ここ2年ほどの受賞状況は当初の目的にかなったものでしょう。また中国語圏で作られた映画(合作含む)をノミネート対象としていることもあるので、ここ10年ほどのマレーシアやシンガポールで製作された中国語映画がよく受賞しているのもその影響にあることもわかります。
しかし、大陸の映画がノミネート対象として追加された26年前は、中国との合作やロケも多かったし、大陸でも政府の干渉を受けながらもメッセージ性の高い映画を作る同志のような映画人も多かったのに、と思うと、政治的な力が背景にある意味も考えてしまうものです。

と、ついついシリアスな方に考えがちになりますが、近年の台湾および香港映画の動向を知るには大いに参考となる金馬奬。
ノミネート及び受賞した未公開作品はこの春の大阪アジアン映画祭でも上映されるのでしょう。
最後に、個人的に観てみたい作品を2作挙げます。

 

ギデンズ監督第3作《月老》は、『あの頃、君を追いかけた』以来のタッグとなるコー・チェントンと『私の少女時代』のヴィヴィアン・ソンが主演。視覚効果賞等受賞。突然死んでしまった青年が月老(縁結びの神)となって地上に戻り、悪戦苦闘するファンタジー…のはずだけど、ホラー味ももちろんある様子。『瀑布』以降売れっ子となった王淨、KANO監督馬志翔も出演。

 

《詭扯》はTVドラマやMVの演出でキャリアを築いてきた許富翔監督の長編第1作で、韓国のホラーコメディのリメイク。富川ファンタスティック映画祭に出品されて審査員賞を受賞。主演はチェン・ボーリン。
昨年日本公開の『1秒先の彼女』で主演を務め、『ひとつの太陽』で最優秀助演男優賞を受賞した劉冠廷がこの作品で2年ぶりに助演男優賞を受賞。彼が演じる老楊、予告編でどこかで見たような衣裳を着て腕にギプスを…と思ったら、無間道三部作の陳永仁にリスペクトをささげた造形だそうで、もうこれは笑えと言われているようなものではないか(メイキングはこちらから)

ラストは授賞式のオープニングフィルムについて。
埋め込みができないのでリンクのみの紹介ですが、『坊やの人形』のオマージュを捧げるようにサンドウィッチマンとして映画館で働きながら、いつか李安監督(今期まで金馬奬主席を務めた)と一緒に映画を撮りたいと夢見る青年(司会を務めた林柏宏)の物語で、全編に五月天の「知足」が流れる(そして林柏宏が熱唱する)かわいらしい短編でした。

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