台湾映画

レイン・オブ・アサシン(2010/中国・香港・台湾)

「えー、またしても安直な英題そのまんまの邦題かよー(泣)」と最初に思ったこの『レイン・オブ・アサシン』というタイトル。しかし、よく見たら「Reign of assassins(刺客たちの時代)」となっており、原題は《剣雨》。ああ、なるほどね、RainもReignも発音は同じか。それなら、このタイトルしかありえないよな、と納得した次第。


 明朝の時代、犯罪組織「黒石」が、インドから渡ってきた達磨大師のミイラを狙い、時の宰相張海端を暗殺した。黒石で最強の刺客細雨(ケリー)は海端の息子人鳳(郭暁冬)と戦って彼を倒したが、首領である転輪王(王學圻)の元には戻らず、奪ったミイラを持ったまま行方をくらます。
 細雨は、少林寺で修業した武芸家陸竹(李宗翰)と出会い、彼に武芸を学びながらやがて愛するようになる。しかし、二人はある日対立して戦うことになり、細雨は陸竹を殺してしまう。彼を失ったことで刺客の道から足を洗おうと決意した細雨は、腕利きの李医師を訪ね、顔を整形する。
 過去を捨て、名前も曾静(ミシェル)と変えた彼女は都へ行き、蔡夫人(鮑起静)から部屋を借り、布雑貨を売って生計を立て始める。過去は誰にも明かさず、質素で穏やかな生活を過ごす曾静。そんな彼女の前に、配達人の阿生(ウソン)という男が現れる。ハンサムだけどどうも不器用な阿生は曾静に恋をして、なんとか思いを伝えようとするが、どうもうまくいかない。そんな彼のアプローチに気付いた曾静は、自分から阿生に告白し、めでたく結婚することになる。ボンクラだが気のいい阿生との夫婦生活に、これまで得られなかった幸せを感じる曾静。
 しかし、彼女の知らないところでは、ミイラを奪われた転輪王が激しく怒っていた。彼は部下である“彩戯師”(レオン・ダイ)、うどん屋を営む雷彬(ショーン)、そして新郎一家を暗殺した“血まみれの花嫁”綻青(大S)という3人の刺客を放ち、曾静の首と彼女の持つミイラを狙うのであった…。

 赤壁2部作に続くウーさんの最新作として伝えられ、2年前のヴェネチア映画祭でも特別招待作品として上映されているが、実際にはプロデューサーであり、演出はほとんど台湾のスー・チャオピン(『愛情霊薬BTS』『シルク』)が務めているらしいので、ウーさんらしさってのは作品からはあまり感じない。ま、宣伝には偽りありだけど、こういう呼び込みは伝統的なものだからね(笑)。
 でも、ウーさんが手がける武侠モノって考えれば、これはかなり珍しい作品なのではないだろうか。赤壁は武侠モノじゃないし、助監督時代には張徹監督の下でいくつか関わってきているのだろうから、全く初めてじゃないんだろうけどね。

 武侠ものは物語が荒唐無稽であるってのは覚悟しているので、どーゆー展開になってもいいぞと思ってた。ミシェル姐がアクションも恋愛ものもこなせるのは、『臥虎蔵龍』でわかっていたので別にいい。久々に観たウソンがハンサムなのに途中までボンクラなのも構わない。大Sがせっかくのお色気要員なのに、脱ぎが中途半端だったり、妙に鉄輪王に迫りまくるのにも違和感は覚えない。だけど鉄輪王…。あんなに仰々しい犯罪組織を作っておきながら、オマエの願望がそんなのかよ!とツッコミたくなったのは、きっとワタシだけではないだろーなー。あ、阿生の正体はちょっと読めた感があったから、そこはつっこまないようにしていた(笑)。

 でも、なかなか良いお年頃のミシェル姐に恋物語を持っていくのも悪くはないよなあ。相手役がウソンなので若すぎるんちゃう?と思ったけど、意外と釣り合っていたもんね。
 ところで最近、ウォンビンやドンゴンなど、キャリアを重ねた大韓明星を再評価している。ウソンもその一人。ボンクラボンクラいいながらも、やっぱええ男だなーって思ったよ。昔の韓流ブームの時の彼らの扱われ方は、言い方は悪いけどひどかったと思うもの。今のブームも好きじゃないけど、歳を重ねるとさすがにいい男になるもんね。…それでも、惚れることは絶対ない。断言する。
 そうそう、それでもウソン以上によかったのはショーン&立忍さん。特に立忍さんのキレっぷりは最高だった。よっ、台湾の大魔術師!

 なんのかの言いつつも、ごっちゃ混ぜ感たっぷりな武侠電影が公開されたのも、ひとえにウーさんプロデュースのおかげかもね。今後は彼に本格的にキレまくった武侠電影の監督を期待してもいいかなー…とか言っちゃうのは、やっぱり危険かなー(苦笑)。 

原題:剣雨
製作:ジョン・ウー&テレンス・チャン 監督&脚本:スー・チャオピン アクション監督:スティーブン・トン・ワイ 衣装:ワダエミ 撮影:ホーレス・ウォン 音楽:ピーター・カム
出演:ミシェル・ヨー チョン・ウソン ワン・シュエチー バービー・スー ショーン・ユー レオン・ダイ パウ・ヘイチン グオ・シャオドン 

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《那些年,我們一起追的女孩》(2011/台湾)

 ちょうど台湾を旅していた頃、海峡を隔てた香港では、ある記録の更新が話題になり、年をまたぐ前に、驚くべき記録が生まれた。
これまで『カンフーハッスル』が持っていた香港地区の中華電影の興行収入記録を、なんと台湾映画に打ち破られたというものだ。制作・配給会社こそ大手(20世紀フォックス&ソニー)で、『流星花園』のアンジー・チャイ女史が製作総指揮を務めているが、キャストは無名、監督は台湾育ちの人気ネット作家。そんな派手なのか地味なのかよくわからないが(失礼)、台湾だけでなく香港の映画好きにも大いに支持されたのが、『あの頃、君を追いかけた』(リンク先は公式FB)であった。


  1990年代、台湾の西側にある地方都市の彰化。ここにある中高一貫の私立共学校で、主人公のコートン(柯騰/コー・チェントン)は、親友の3人の男子学生と一緒に馬鹿騒ぎをして青春を謳歌していた。ある日、悪友と授業中にどれだけ早く自分を満足させられるか競っていたコートンは、大馬鹿なことにそれを担任に見つかってしまう。以前からコートンたちのやんちゃぶりに手を焼いていた担任は、クラスで一番優秀で真面目な女生徒佳宜(ミシェル・チェン)に、授業中でのコートンたちの監視役を命ずる。彼の後ろに席を換えた佳宜は、事あるごとに背中をペンで突っついてくるので、コートンは彼女が鬱陶しかった。
そんな日々が続いたある時、クラスで盗難事件が起こる。担任は、生徒の誰かが犯人だと言い、強制的に持ち物検査をさせようとするが、佳宜はそれに激しく反対する。それを見てとっさに彼女をかばうコートンたち。その一件以来、彼女と彼らの距離が縮まり、コートンと佳宜はお互いに思いを寄せるようになる。
しかし、高中の生活はあっという間にすぎてしまう。コートンの仲間たちはそれぞれの進路のためにバラバラになり、コートン自身は彰化にほど近い新竹の理系大学へ、佳宜は台湾の師範大学へと進学する。進学当初は電話のやりとりをして思いを確かめていた二人だが、だんだん気持ちがすれ違っていき…。

 と、あらすじを8割方まともに書いてみたが、実際はかなり笑える展開である。
なんせねえ、ティーンエイジャー男子の馬鹿っぽさ全開ですから。この年代の男子が3人そろえば、エロくなるのはお約束。エロくなるから、教室の一番後ろで○慰競争に興じちゃうのもお約束(こらこら!笑)。そして、自宅では裸族なのもお約束(これは『毎日かあさん』を思い出したなあ)。

 とは言っても、エロいシモネタ満載から楽しいわけじゃない。日本映画ではこれくらいのシモネタをやるのはクドカンや三池さんの映画くらいだけど(ドラマもそうだけどね)、シモネタはあくまでも映画の隠し味であって、本当は男子的な馬鹿さから見た恋愛と青春がテーマである(と思う)。中高生当時、付き合っていようとそうでなかろうと、こういう馬鹿な男子が恋をした瞬間というのをだれもが目にしていたんじゃないだろうかなあ。

 そんな男子を愛せるか否か、というのが女子の課題である(笑)。
佳宜の真面目さは、人によっては「いい子ぶってる」と思わせられるんだろうけど、当時、まさに「いい子ぶってる」と思われたワタシなので、なんだか気持はわかるのだ。だから、いきなりバカなことをやりだしてどん引きしちゃう気持ちもわかるのだ。少女マンガのような恋はやっぱりありえない。こっちこそが恋愛のリアルってもんよ(と、知ったかぶりしてみる)。

 思春期において、女子はえらく成長するもんだけど、男子はいつまでたっても馬鹿である。下手をすると成人しても馬鹿である。そんな姿勢に貫かれているから、いろんな人々の共感を呼び、台湾や香港で大ウケしたんじゃないかなー、なんて思ってみたりする。
 そんな感じでまとめてみたい。

 できれば、もう一度観たいなあ。TIFFで観られなかったので、日本語字幕じゃなかったのがちょっとマイナスだったし、けらけら笑って観たことだけど、なんせ一人貸し切り状態だったもんで。日本公開が難しいという話も聞くけど、セカチュー系ともケータイ小説系とも違う、リアルなアジアの青春映画は、意外とウケるんじゃないかとも思うんだけどねえ。もちろん、若者じゃなくて、昔若者だった人を対象にしてもいいんだからねえ。

英題:You are the apple of my eye
製作総指揮:アンジー・チャイ 監督&脚本:ギデンズ 編集:トゥー・ドゥーチー
出演:コー・チェントン ミシェル・チェン ハオ・シャオウェン

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這些年,我們一起追的電影.

昨日の午前中までは墾丁で思いっきりやさぐれ、午後に台北に移動。両地とも暖かかったのが幸い。


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今回は某ビジネスホテルに投宿。

到着後、所用により士林に行ったのだけど、陽明戯院の上映作品ポスターにこれを発見。こりゃここで観ないといかんなあ、と思って鑑賞。いやー、楽しかった!これは日本語字幕で観たいなあ。
感想は帰国後。


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新しい夜市を見ようかと思ったけど、人が多くてしんどかったので、捷運に乗って寧夏街夜市で素食の米粉を食べた。うん、美味しかったよ。


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今日は今まで行ったことのないところを中心に、西側や公館の方を歩いてみる予定。猫カフェはまだあるのかなあ。
疲れないように歩きたい。


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これも観たいけど、北京語吹替だろうか…。

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台北の朝、僕は恋をする(2010/台湾)

 見慣れた景色でも、とらえ方によっては全く思いもよらない姿を見せる。映画やドラマで知っている街の全く違った姿を観ることはとても楽しい。そういう楽しみを持つことも大切だな、とつくづく思う。もちろん、それをうまく生かした物語も大切だけどね。

 これまでに何度かその兆しはあったのだけど、やっと台湾映画が新しい時代に突入し、面白くなってきた。その土台は《流星花園》を皮切りとした台湾青春ドラマであり、そこから誕生した多くのアイドルたちが映画にも出始めたというのもあるのだけど、ホウちゃん、ミンリャン、ヤンちゃんなどの重鎮の監督たちの後を継ぎながら、新たな感性を持つクリエーターたちが登場してきたからなのかな、などと思ってみる。
 この『台北の朝、僕は恋をする』を撮ったアーヴィン・チェン監督(現在32歳)はヤンちゃんこと楊徳昌監督に師事し、ベルリン映画祭に出品した短編映画で世界デビューしたまさにぴちぴち(死語?)の若手。台北に生まれ、米国で育って学んだという点ではヤンちゃんや李安さんに通じる。つまり外の眼から台湾を眺めるタイプの監督ということか。
 では、そんな彼が見た台北はどんな姿をしていたのか。

 台北で暮らし、両親の経営する麺屋を手伝うカイ(ジャック・ヤオ)の恋人、フェイがパリに留学してしまった。さみしいカイはパリに行くことを夢見、誠品書店の語学フロアで毎晩のようにフランス語のテキストを読んでいる。そのフロアを担当する書店員のスージー(アンバー)は彼が気になってしょうがない。
 ある日、カイのもとにかかってきたフェイからの別れの電話。いても立ってもいられない彼は、街の顔役である不動産屋のパオ(カオ・リンフェン)にパリ行きの航空券を買う金を借りに行くが、ある条件をつけられる。パリに旅立つ日に小包を受け取り、指定の場所に届けるというものだった。カイはファミリーマートでバイトしている親友のカオ(ポール・チャン)と夜市で食事をするついでにその小包を受け取ったのだが、なぜか彼らはパオのもとで働くチンピラのホン(ルンルン)とその仲間たちにつけ狙われる。さらに麻薬取引の情報を聞きつけた刑事チーヨン(ジョセフ・チャン)にも追われる始末。夜市でばったり出会ったスージーもその騒動に巻き込まれ、カオはホンの仲間たちにさらわれ、カイとスージーは夜の台北を疾走することになり…。

 非常にざっくりとこの映画を説明すると、「台北版恋する惑星」。いや、これを言ったらさすがに怒られるか(笑)。いくらワタシが王家衛&トニー好きだからといっても、件の映画は正直買っていないのでこういうふうに言いたくないのだが、あの映画を観た時と同じ疾走感と軽やかさを感じたので、そう思った次第。
 モダンな誠品書店と下町感あふれる夜市。モダンな刑事のマンションとローカル感たっぷりな寺廟。どれも台北ではおなじみなのに、とても新鮮に感じる。それは先に挙げたように、監督が外の視点からこの街をとらえているのもある。そして、台北のささやかだけどステキな側面をうまく切り取っている。
 誠品書店なんてまさにその代表格だ。最初にこの書店を訪れた時は、台湾のジュンク堂?なんて思ったものだけど、年明けに久々に台北を訪れたときに感じたように、独自の進化を遂げ、書店を越えてしまっている。まあ、この映画では書店でも語学フロアしか登場しないけど、床にお尻をついて本を読みふけっている人がいるという独自の風景を見せているのが楽しい(注:これは決して珍しくない。逆に日本の書店ではこういう景色はめったに見られないのでビックリするはず)。

 書店での出会いから、街での再会でカイとスージーの心が通じ合い、お互いを意識しだす。ここより他の場所を求めたカイにとって、台北はまさに「しあわせの青い鳥」であり、さしずめスージーは彼を導いた光の精というところか。兵役を控えた純朴な親友、恋の終わりに動揺するマッチョな刑事、凄味があるけど気のいい顔役、詰めの甘いヘナヘナなチンピラなど、いかにも台湾コメディ的な脇役陣を配しながら、今までに見たことのない台北を描こうとしている。スカしたところも気取りもなく、素直に作られている。こういう映画は大好きだ。

 美人とはいえないけど親しみやすい顔立ちのアンバーちゃん、誠実そうなジャックくんはまさにナイスなキャスティング。彼らをサポートする面々も豪華でビックリしたけど、どうしてもルンルンに目がいってしまう(笑)。『色、戒』でかなり久々に彼を見たときにはビックリしたけど、今回の役回りは完全にお笑いだったなあ。
 そして高捷さんとトニー・ヤンくんの名前を見かけたんだが…、高捷さんがカイのパパ、トニーくんがチーヨンの彼女の新しい彼氏役でいいのかな?>やや自信なし。

 最後に、製作総指揮がヴェンダースなんだけど、映画全体としてはあまりヴェンダースっぽさは感じなかったぞ。いや、ヴェンダースは嫌いじゃなくてむしろ好きなんだけど。まあ、製作総指揮のカラーに染まっちゃったら面白くないもんね(笑)。

原題(仏題):台北一頁(Au revoir Taipei)
監督&脚本:アーヴィン・チェン 製作総指揮:ヴィム・ヴェンダース&メイリーン・チュウ 撮影:マイケル・フィナモリ 録音:トゥー・ドゥーチー 音楽:シュ・ウェン
出演:ジャック・ヤオ アンバー・クォ ジョセフ・チャン クー・ユールン カオ・リンフォン トニー・ヤン カオ・ジエ

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モンガに散る(2010/台湾)

 台湾映画は青春を鮮烈に描き出す。ホウちゃんやミンリャン、もちろん今は亡き(泣)ヤンちゃんだって、青春映画を手掛けたキャリアがある。彼ら大御所の後に続くあまたの監督たちも青春映画を手掛け、日本でも多く放映される台湾ドラマも例外ではない。台湾の映画監督はみんな青春映画をとってるんじゃないかってイメージがあると書きかけて、そういえば李安さんは撮っていないな、とふと思ったりして(笑)。

 さて、4月にやっと観られた『モンガに散る』
 かつてホウちゃんの『風櫃の少年』に出演していた鈕承澤が、TVドラマの監督も始めて台湾青春ドラマのプロデューサーとして名をはせた後、映画監督へと転身して放つ第2作。ああ、なんて華麗なるキャリアなのだ鈕承澤。ちなみに彼の初監督作『ビバ!監督人生』は残念ながら未だに観る機会に恵まれず。いつかちゃんと観る機会を作ろう。

 1986年台北。龍山寺を中心にして広がる古い商業地区モンガ(萬華)に、美容師の母と引っ越してきた高校生の蚊子(モスキート:マーク・チャオ)。これまで通学した高中になじめず、転学を繰り返してきた彼だが、案の定今回も学校の不良狗仔(ドッグ:陳漢典)に絡まれた。弁当の鶏のモモ焼きをめぐり、狗仔たちと1人で対決することになった蚊子だが、彼の勇敢さに目をつけたのが、モンガを仕切る一味の息子の李志龍(ドラゴン:リディアン・ヴォーン)や彼の幼馴染の和尚(モンク:イーサン・ルアン)、阿伯(アペイ:ホアン・トンユー)、白猴(白ザル:ツァイ・チェンシェン)の4人だった。蚊子は彼らの仲間に加わり、義兄弟の契りを結んで、喧嘩に明け暮れる日々を送る。
 モンガには様々な人間がいた。志龍の父ゲタ老大(馬如龍)は人がよさそうだが、対抗勢力の人間の指を見ても平然と食事ができる非情な極道である。また、蚊子は娼館で、小凝という娼婦と出会い、ひかれていく。
 ある日、志龍の彼女が狗仔にレイプされ、正気を失った志龍に代わって和尚が薬物で狗仔を拷問するが、適量を間違えて殺してしまい、彼は全ての罪をかぶってゲタの激しい叱責を受ける。そして、蚊子のもとに高中から退学通知が届き、5人は本格的な極道への道を歩むことになる。おりしも、本省人の極道が大半を占めるモンガに、外省人の極道灰狼(鈕承澤)がやってきてゲタと対立する文謙(ジェイソン・ワン)と手を組んだ。それがやがて、和尚や蚊子たちの運命を大きく揺るがすのであった…。

 1986年といえば、台湾の戒厳令が解除される前年である。ワタシはその数年後に渡台して半年ほど留学していたのだが、龍山寺近辺に遊びに行くと、ちょうどこの映画のような雰囲気が漂っていたので、映画を観ていてたまらなく懐かしかった。いや、もちろん日中に行ったわけだし、ヤバいところには一切行ってないよ?信じてくれーみんな。
 和尚の台詞にある「指は5本そろって初めて拳になる」というように、5人一組で行動する主人公たちは多い。香港だと古惑仔シリーズがそうだし、日本の青春映画でも同様(代表として『ワルボロ』をあげとくか)。でも、この映画は他のどれにも似ていない。主人公たちが暴力に明け暮れ、固い絆がほどけて悲劇的な結末を迎えてしまう筋立ては珍しいものじゃないのに、なんだか唯一無二の青春映画と思えるのだ。それはやっぱり、先に描いたように時代設定の絶妙さだったり、まさにその時代に青春を過ごした鈕承澤の思い入れが感じられたからなのかなあ。いや、暴力表現はかなり痛いんだけどね。なんで痛いんだろうと思ったら、アクション指導が韓国のヤン・キルヨンという方だそうで納得。韓国映画のアクションは痛みが感じられて、観るのがときどき辛いからねえ。

 文句をつけるとしたら字幕。本編でちゃんと「外省人」と言っているのだから、「大陸者」と翻訳してほしくなかった。悲情城市以降、「外省人」という言葉は日本である程度知られてはいるんだから、逆に「大陸者」とすると、その時代に大陸から自由に往来して人が来ていたのかと思わせられそうだもの。

 俳優陣ではやっぱり和尚のイーサンに目がいく。整った顔立ちでクール、そしてどこかに狂気もはらんでいる。映像化は台湾の方が先だった『花ざかりの君たちへ(花様少年少女)』では、日本版で城田優が演じた役どころだったとかで(スマン、日本版も観てないよ)。ああ、城田といえばリディアンが彼に似ているとか(と伝聞なのはワタシが思ったのではなく、一緒に観た友人の談である)。彼、もろに欧米ハーフの顔立ちだもんね。ゲタ親分(海角七号に続いて登場の馬さん)の血は一体どこに?と思っちゃうくらいでさ。蚊子のマークは、やや李小龍顔。これにもう少し濃さが加われば、アーリフ・リーになる…のか?
 あーでもやっぱり、オッサン好きとしては一番ステキなのは鈕承澤よねー。TIFFにご本人が来ていらしたのに(イーサン&マークもだけど)、諸事情により見に行かなかったのは残念。

 鮮烈で、痛くて、眩しい青春映画だった。やっぱりこういう映画は大好きだ。ええ、海角とこれを比べたら、間違いなくこれをとりますよ、ワタシは。

原題:艋舺(Monga)
製作&脚本&監督&出演:ニウ・チェンザー 製作:リー・リエ 撮影:ジェイク・ポロック 音楽:サンディー・チェン 音響:トゥー・ドゥーチー
出演:イーサン・ルアン マーク・チャオ リディアン・ヴォーン クー・ジャーヤン ジェイソン・ワン マー・ルーロン

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海角七号 君思う、国境の南(2007/台湾)

 初めての海外留学は台湾だったが、その暮らしももうずいぶん遠くなってしまった。なんと今年で…、ああ、言いたくない(苦笑)。
 そこではいろいろな失敗もあったし、楽しいこともあった。当時出会ったルームメイトや台湾人の友達とも、ほとんど縁が切れてしまったので、今思えばもったいないことをしたと悔やんでならないが、台湾での生活がなければ、今のワタシはなかったと断言できる。

 ワタシが台湾に惹かれるのは、おいしい食べ物や良質のエンタメ、そして旅心を呼び起こさせる土地の気質ももちろんなのだが、実はこの島が抱える歴史的事実もそのひとつである。それを教えてくれたのが『悲情城市』であり、台湾で生まれ育った我が師匠であった。
 昨年NHKで放映された某大型企画番組では、そのあり方がかなりネガティブに描かれたために、多くの非難が寄せられていたのだが、日本が台湾を統治していたのは事実だし、その過程で霧社事件のようなことも起こったが(これについては長くなるので、いつか機会を改めて書きたい)、ワタシが台湾で出会った台湾人は、日本統治のことがあっても、ほとんどが友好的だった。(…とはいっても留学中に釣魚台事件が起こり、いっせいに反日運動が起こったこともあったけど、それは別の話)
 そんなわけで、日本統治時代を隠し味に、音楽で彩りを添えて、台湾で大ヒットを飛ばした『海角七号』を、かなり楽しみにしながら観に行った。

 台湾最南端の町・恒春。ここは台湾人と原住民族が混在して生活しているのんびりした海沿いの町。しかし、ビーチの前には町の外から来た大手企業が作ったリゾートホテルがそびえ立ち、若者は職と希望を求めて台北に行ってしまうという、台湾的ファスト風土な問題も抱えている。
 阿嘉(ファン・イーチェン)もかつてはそんな若者の一人だった。10代半ばでここを飛び出し、ミュージシャンとしての成功を夢見てずっと音楽に没頭していたが、10年以上経っても芽が出ず、ついには帰郷を決意する。
 やさぐれて無為に日々を過ごす阿嘉に、亡き父の友人で町の実力者でもある洪議長(馬如龍)が郵便配達の仕事を持ってくる。街の長老の茂じいさん(林宗仁)が事故を起こしたため、その職が空いたのだ。じいさんから仕事を引き継いだ阿嘉は、郵便物の中にあて先不明の小包を見つける。住所は「海角七号」、宛名は「小島友子」。同封された7通の手紙は日本語で書かれていたが、阿嘉にはそれを読むことができない。
 この町の行く末を心配する洪議長は、ホテルのマネージャーにある提案を持ちかける。今度、ホテルが主催するロックフェスティバル―メインゲストは日本人歌手の中孝介(本人)だ―に、地元のバンドを前座として出演させてほしい。それならば町興しにも有効であるし、条件を飲まなければ開催を阻止するとまで言って脅しをかける。なんとかホテル側の説得には成功したもの、気がついたらこの町にはバンドがなかった。
 そこで、バンドのオーディションが行われる。審査員は洪議長と、このロックフェスの宣伝と通訳を担当する台北在住日本人の友子(田中千絵)。台北の大学を卒業した彼女は、モデルをしていたが思うように芽が出ず、今では芸能プロダクションで雑用係のように働いている。もともとはフェスのポスター撮影のためにこの街にやってきたのだが、日本の事務所側の要請で急遽、彼女は恒春に残ることになる。自分の仕事に不満ばかりを感じている彼女は、すっかりふてくされてしまっている。
 洪議長の勧めで、阿嘉もオーディションにやってきたが、元プロのプライドが高い彼は、さっさとギターを弾いてさっさと立ち去る。しかし、唯一のプロ経験者ということもあって、バンドに選出される。他のメンバーと言えば、ドラム担当は修理工のカエル(イン・ウェイミン)、キーボードは教会でピアノを弾いている生意気な小学生の大大(マイズ)、サイドギターは阿嘉とは犬猿の仲である元台北の特殊部隊員、現在は町の警官ローマー(民雄)、そしてベースはパイワン族の警察官でローマーの父オウラーラン(ダンナイフージョンルー)と、キャリアも個性もバラバラな面々。練習の度にぶつかり合い、阿嘉はもちろん、バンドの面倒を見ることまで押しつけられた友子もイライラが募る。バンドの練習もトラブル続きでままならず、ローマーの父の怪我によりベースも交替。2代目のベースはなんと自称(!)人間国宝の月琴奏者こと、あの茂じいさん。阿嘉の曲作りもままならず、友子の怒りも頂点に達する。
 台北に帰ろうとした友子を引き止めたのは茂じいさんだった。町中の人々が参加する結婚披露宴に参加した彼女は、カエルやローマーの意外な素顔を垣間見る。しかし、彼女の中には孤独感しかなかった。酔いも手伝って阿嘉の家を襲撃した彼女はさんざんわめいて毒づきまくり、挙句の果てには玄関の前でつぶれてしまう。それに気づいた阿嘉は友子を部屋に招き入れる。阿嘉は、怒りんぼで可愛げのない彼女もまた、自分と同じ大きな挫折を味わったものであると初めて気づき、衝動的に彼女を抱いた。
 その朝、友子はあの「海角七号」の手紙を見つける。そして、阿嘉にこの手紙に書かれていることを告げる。手紙の送り主は、60年以上前に恒春に赴任していた日本人教師(中孝介/蔭山征彦・声)。日本の敗戦とともに、船で北国に帰国した彼が、愛していた教え子の台湾人少女「小島友子」に宛てて書かれたものの、結局は出されることがなかった手紙だったのだ。友子は阿嘉に、手紙を宛名の主に届けるように言う。この一夜の出来事がきっかけで、二人は愛し合うようになる。
 そして、この手紙にインスパイアされた彼は、一気に新曲を書き上げる。曲の名は「国境之南」。ベースをマスターできない茂じいさんの代打として、客家人の陽気なセールスマン、通称マラサン(馬念先)が加わったバンドも一気に団結力を深め、いよいよロックフェスの本番が近づいてくる。しかし、手紙の本当のあて先はいまだつきとめられることができず…。

 ご存知の通り、この映画は日本統治下の台湾に思いを寄せて描かれている部分があるので、大陸で上映禁止になったと言われている。でも、その背景に関しては、思ったよりは意外と気にならなかった。特に感傷的にもならず、かといって重要なテーマにはなっていない。予想したとおり、あくまでも隠し味だった。こういうのは、戦前の満州や朝鮮半島が舞台でも成り立たないわけがないし、過去の出来事として客観的に見れば、決して珍しい視点ではない。大陸は神経質になりすぎだなあ。
 地方と都市、若者と老人、ロックと伝統音楽、男子と女子、不仲と恋愛、そして台湾と日本。この映画にはいろいろな二項対立と、その果ての融和がある。しかし、これらのどれに一番スポットが当てられているというわけでもなく、全てが平等にバランスよく描かれている。
 主役はもちろん阿嘉と友子の若者世代だが、彼らよりちょっと年上のマラサンやカエルやローマーや大大の母親明珠(シノ・リン)の事情や、うんと年上の茂じいさんや洪議長や阿嘉の母親の物語もおざなりにならず、しっかりと描かれている。台湾人特有の人懐っこさはもちろん欠かせないし、かと思えば主役二人も決して善男善女ではなく、プライドの高さや人に対する冷淡さもきちんと描かれているので、キャラクター造形もよくできている。物語もベタではあるけど、本業が歌手であるヴァン(イーチェン)に合わせた設定としては効果的である。もちろん、彼らが結束すればするほど、高揚感は増してくるし、それを引き立てる立場に回った中くんの曲も印象的に使われている。これならこの映画が台湾で大ヒットしたのは、本当によくわかる。誰もが親しみやすく、のめりこむことができるからだ。こういう映画なら、ワタシだって自信を持って、いろんな人にオススメしたいのは言うまでもない。

 しかし、誰かがワタシにこれを好きか?と問われたら、「うーん、そうでもない」と言ってしまったりする。
 いやあ、この映画が好きな人にはホントに申し訳ない。これから先は読まないほうが身のためかも。意見には個人差がありますので。
  
 確かに、いい話である。よくできている。下手したら大泣きしそうなくらい、いい映画である。それゆえに、個人的にはなんだか受け入れ難いところが目立ってしょうがないのである。

 実は、主役二人のキャラクター造形がかなーり苦手。
 阿嘉の若者らしい俺様チックなやさぐれぶりはなんとか許容できるけど、やっぱり友子のキャラが好きになれない。
 同性としてみて、性格がよろしくないし、自分の挫折をいつまでも引きずっていて、そこでの失敗を全て周りに転嫁する。いくらなかなか自分の思う通りに行かないからって、それに対する台湾人たちの心の広さがあるとはいえども、あそこまでへそを曲げてしまうのはみっともない。コミュニケーションも充分に取れていない(北京語が下手だというのも理由だが。いや、ホントにヘタクソだった。あの下手さは演技だよね?)のを棚に上げて、なんで「みんな自分をいじめる」と考えるのか?…まあ、このくだり、若い頃に台湾で過ごした自分も、多少は同じようなことを感じたので、わからないわけはないんだけど。
 結局、犬猿の仲だった阿嘉とあっさりセックスしちゃって、彼と恋に落ちるあたりから変わってきたとはいえども、なんだかねえ…。で、一番許せなかったのは、バンドの本番で阿嘉にああいうことさせるのか!(ネタバレになるので書かないけど)ということだった。なんかこの唐突な展開、どっかでデジャヴュが…と思ったら、このコイバナの流れがなんとなく日本の恋愛ドラマくさいんだよね。そう考えると、阿嘉と友子の恋愛がかなり唐突だったことが腑に落ちた。魏監督、日本のトレンディドラマで恋愛描写を覚えたでしょ(笑)?トレンディドラマが苦手なので、なおさらそれが受け入れ難かったんだと思ったよ。恋愛体質じゃないのって、本当に辛いよね。
 田中千絵ちゃんという女優さん自身も、個人的には好みの顔じゃなく、美人でもかわいいでもない。うんと努力して北京語を学び、台湾で活躍している日本人俳優たちの一人であることは嬉しいけど、こういうイヤミな役をイヤミに演じられるってことは、逆にうまいってこと…と言えるのかな?まあ、好みじゃないってことは確かです。ファンの人&ご本人さん、本当にごめんなさい。

 ま、最後に繰り返すけど、そんな個人的な受け入れ難さを除けば、これは決して決して悪い映画ではない。むしろ、かなりいい映画である。
だから、自信を持ってオススメしたいし、台湾の青春映画の底力を見せ付けられた一作ではあることは確かだ。
そんな結論で、どうか許してつかーさい(苦笑)。

英題:Cape No.7
監督&脚本:ウェイ・ダーション 撮影:チン・ディンチャン 音響:トゥ・ドゥチー 音楽:リュ・ションフェイ&ルオ・ジーイー
出演:ファン・イーチェン 田中千絵 マー・ニエンシエン ミンション イン・ウェイミン マイズ リン・ツォンレン シノ・リン 中 孝介 蔭山征彦(声の出演)

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言えない秘密(2007/台湾)

 台北で生まれたジェイが思春期を送っていた淡水は、ワタシにとってもまた思い出の地である。台北からバスで1時間ほど北に行ったところにある淡水河口にあるこの街は、日本統治以前にスペインが統治したころの歴史的建造物が残っており、“東洋のヴェネチア”と呼ばれている…なんていうウソっぱちなガイドブック的紹介はおいといて、私的バリバリで書いてしまえば、この淡水はワタシが生まれて初めて住んだ海外の街なのである。
 なにせ留学していたのもかなーり前(四捨五入したら20年前だよ、おい!)なので、数年前に久々に行ったらかなり変わっていたのだけど、数年前の台湾旅行で久々に行ってみて、川岸に立って河口を見ると、天気のいい日に蝦巻とラムネを買ってそこでボーっとしていた初秋の土曜の午後を思い出したのであった。ああ、あのころに戻りたいなぁ…、と思ってももう戻ってこない。
 ジェイの初監督作品『言えない秘密』を見た時、やっぱり台湾留学の時を思い出してしまったのはいうまでもない。それもあって、観た後に妙な切なさがあったのかもしれない。

 1999年秋、淡水。父親(秋生さん)が教師を務める淡江芸術学院に転校してきた葉湘倫(ジェイ)は、もうすぐ取り壊されるという演奏室から聞こえてくるピアノの音に心を奪われた。それを弾いていた路小雨(ルンメイ)と知り合った彼は、たちまち恋に落ちた。聞いたことのないこの曲の題名を彼女に尋ねると、「誰にも言えない秘密よ」と教えてくれない。
 湘倫は、学院で一番のピアニスト、“ピアノ王子”こと宇豪(宇豪)とのピアノバトルに挑戦する。見事勝った彼は宇豪から楽譜を譲り受ける。それは、サン・サーンスの『白鳥』で、小雨が欲しがっていたものだった。
 小雨が喘息持ちだったことを知った湘倫は、父親の助言に従って、彼女が休むたびにリンゴを持って行った。リンゴが15個たまったある日、やっと出席した小雨と湘倫は夜に演奏室で待ち合わせする約束をした。しかしその夜、やってきたのは湘倫に思いを寄せていたチンイー(アリス・ツォン)だった。その現場を小雨に目撃されて以来、小雨は湘倫の目の前から姿を消す。
 そして5カ月後の卒業式の日。音楽科の卒業生の代表として、湘倫は卒業式でサン・サーンスの『白鳥』を弾く。ホールの入口に小雨を見つけた彼は、演奏を放り投げて彼女を追いかける。やっと彼女を捕まえた湘倫だったが、父が愕然とした顔をして自分たちを見つめていたのに気づく…。

 旧館の外型となった紅毛城、湘倫と小雨がデートする淡水河のほとり、昔と全く変わらない淡水の老街、とにかくみんな懐かしい。おまけにルンメイは『藍色夏恋』出演後、ワタシが半年間留学していた大学のフランス語学科に在学していたというし、まさにワタシが観なくてどうする、という作品(ごめん、オーバーすぎるね)。惜しむらくは、当時すでに大学生だったってこともあって、ジェイの出身校である淡江高中を見にいったことがないこと。でもね、この高中の制服はあの映画ほどオシャレじゃなかったよ。どっちかといえば、『恋恋風塵』の主人公たちが着ていた、味もそっけもない色(確かベージュかライトブルーだった記憶がある)のワイシャツを着ていたような…。スマン、なんせ前世紀の記憶なもんで(ってまたオーバーなことを)。
 こんな高校時代をジェイが過ごしていたのか、というのは別として、かつて高校生だったワタシたちはもちろん、現役の高校生にも共感してもらえる(実は鑑賞時、後ろの高校生が大泣きしながらこれを観ていた。一緒に来た子に「アタシこれ、すっごく観たかったの!」と言っていたのも聞いたぞ)青春映画だった。もっともテイストとしては『藍色』や話題の《海角七号》(観たい観たい観たい!)のようなストレートな新世代台湾青春映画、と見せかけながら、実は『時をかける少女』(ネタバレに近いので反転)ばりの変化球をクライマックスで投げるところがジェイらしいというか。
 ビル・コンの協力を得たこともあり、香港からは若き脚本家クリスティン・トーとナイスなコーディネイトで楽しませてくれるドーラ・ン、台湾の二大大御所リー・ピンビンに杜篤之(この人の名前、つい「もり・あつゆき」と日本語で読みたくなる)と豪華スタッフを従えながらも、香港や大陸(やもちろん日本)との合作ではなく台湾で作り上げたというのは一種ののこだわりなのだろう。中華圏、いやアジアのスターでありながらも、やはり地盤は台湾にありたい、という彼の気持ちが見える、なんて考えてしまうのはちょっと深読みしすぎかな。

 先に挙げたドーラさんがコーディネイトした「淡江芸術学院」の制服がよく似合うジェイ。もうすぐ30歳だっつーのに、この似合いっぷりは反則に近いぞ。いつもながらのシャイなキャラクター&親孝行キャラだけど、結局アタシ(もちろんそれ以外の人もね)が彼に求めるのはそーゆーキャラなので没問題。
 それにもまして可愛らしかったのう、ルンメイちゃんは(爆)。もうおねーさん、彼女にココロつかまれちゃいましたよ。さすがパンフレットで我らが野崎先生が大絶賛していただけあるよ。ああ、『時の流れの中で』と『遠い道のり』が観たいよ。でも台湾映画の特集上映はとーほぐの田舎まで来ないんだよね。
 もちろん、これが映画デビュー作というアリス小姐もかわうい。香港映画にも出て順調にキャリアを重ねているようで、どこかで見かけたらぜひ手を振ってあげたい。
 さらにお素敵だったのは再びジェイとコンビを組んだ秋生父さん!『陽もまた昇る』の♪ブンガワン~ソロ~にちょっとやられ気味だったので、ここでも歌ってくれるのよね、と思ってたら、歌やギターはもちろん、ダンスまで踊ってくれるじゃんか!なんて大サービスしてくれるんだ秋生さん、落ちたらいったいどうするんだ自分!…でもこの人は15年前に人肉饅頭作(以下略)、というフレーズがよぎって正気に戻る。ってそんなことで覚めるなよ。
 あとはいつもながらの南拳メンバー。ピアノ王子の宇豪はもちろん、悪ガキの弾頭ともども適材適所の演技が楽しかったねー。はて、“不機嫌な要潤”ことイケメンギタリスト張傑はいずこ?と思いきや、細ぶち眼鏡をかけた地味ーなCDショップのオーナーで笑った。でも要潤本人もあーゆー役似合いそう。Laraちゃんが出てなかったのはわかる気がするけど、もしかして挿入歌を歌ってなかった?エンドクレジットで確認できなかったな。

 この後はネタバレ感想になるので、キャストデータの後に書きます。 

原題(英題):不能説的・秘密(secret)
監督&原作&音楽&出演:ジェイ・チョウ 製作:ビル・コン 脚本:クリスティン・トー 撮影:リー・ピンビン 衣装:ドーラ・ン 音楽:テルザック・ヤンパン 録音:トゥー・ドゥーチー
出演:グイ・ルンメイ アンソニー・ウォン アリス・ツォン ソン・ダントウ ジャン・ユーハオ チャン・チェ ホアン・ジュンラン

ここから先はネタバレです↓ 

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ビューティフル・クレイジー(2008/台湾)

ビューティフル・クレイジー(2008/台湾)
オリジナルポスター。うまく撮れずスマン。

 映画祭は発見の場である。毎年国際に来るたびに、どうも香港映画ばかり優先して観てしまうのだが、やっぱりめったに観られない台湾の若手の映画も観てみたい。そんなふうに思ったのと、ちょうど時間もあいていたので、チケットを取ったのがこの『ビューティフル・クレイジー』だった。
 ちなみにこの映画の監督の前作で、3年前の国際で上映された『チョコレート・ラップ』は未見。

 ジャ・ジャンクー作品でお馴染、半野喜弘氏が手掛けた音楽がゆったり流れるオープニング、未成熟な体を制服のブラウスときわどい長さのスカートに包み、晩夏のひまわり畑をさまよう少女エンジェル(エンジェル・ヤオ)が現れる。その物憂げな表情が、この映画を象徴しているかのようだ。

 現在。小歩(エミヤ・リー)はルームメイトの親友アミ(リャオ・チエンホイ)に、高校生時代の親友だったエンジェルとの思い出と別れを語る。
 2年前の過去。小歩がたばこを吸っている時、それを奪い合って喧嘩になったことがきっかけで、二人は絶交した。それより前、二人で洞窟に隠れ家を作ってはたばこを吸ったり踊ったり、小歩がエンジェルにお気に入りの映画『プルートで朝食を』のあらすじを聞かせてあげたりして、友情を深めていた。ところが、公園の大きなブランコの上でいつものように小歩が映画の話をしている時、エンジェルはスカートの下に手を入れて自らを愛撫し、小歩の手を取ってそこに触れさせようとする。

 エンジェルは父親と二人暮らし。元ボクサーで、今はでっぷりと太ってしまった彼女の父親は、家に閉じこもりきりで一歩も動かない。学校から帰っても二人は会話も少なく、彼女は一言声をかけるだけでさっさと出かけてしまう。家にいるのを避けるようにエンジェルは次々と付き合う男を取り換えた。高校の頃は自分の父親と同じ年代の“ブラザー”と呼ばれる男と付き合い、時には電車の中でレイプするような男にも平気で抱かれた。

 現在。小歩とアミはいろいろなところへ出掛ける。ある日、海岸沿いのプールに出かけたら、すでに水が抜かれていた。それでも構わず、小歩はプールで泳ぎまわり、二人で水平線を眺め、雷の音を聞く。
 小歩には今、ボクサーの恋人がいて、3人で遊園地に出かけた。その時、彼はアミを見て、高校時代に彼が一目ぼれした後ろ姿の少女と同一人物であることに気付く。それ以来、彼とアミは急接近する。アミの誕生日、ケーキを持って彼女のアパートに急ぐ小歩は、彼氏がアミにケーキを渡している場面に遭遇する。アパートの屋上に上がり、二人で食べるはずのケーキをやけ食いする小歩。
 3人で夕食を取ろうとしたある夜、彼氏は来なかった。一寸の間、アミが席を外すと、待ち構えていた彼に愛を告白される。小歩は、二人の仲がすでに深くなっていることに勘付いていた。彼女はアミを問い詰め、彼と寝たのかと尋ねる。アミが肯定すると、彼女はアミにキスをして部屋から立ち去った。

 2年たっても、エンジェルの家の状況は変わらない。いつものように出かけた彼女は、鍵を忘れてしまったことに気付く。父親を呼んで鍵を持ってきてもらおうとするが、持ってきてもらえない。いくら父を呼んでも、返事ひとつくれない。キレた彼女はアパートの壁をよじ登って開け放たれた父親の部屋の窓から入り、彼を罵倒しながら開けっ放しの窓をテープで固定してしまう。彼女が去った後、父はそのままの姿で涙を流す。
 絶望のあまり、夜の街をさまようエンジェルは、ブラザーに電話して、昔行ったことのあるアイスクリームショップに連れて行ってくれるようにねだる。しかし、別の女性と不倫しているブラザーにとって、エンジェルとのことは過去のことだった。店にたどりついたエンジェルは、そこでアミと出会う。アミもまたこの店を知っていた。実は、ブラザーはアミの父親だったのだ。小歩や男たち、そして父親から愛を求めてやまなかったエンジェルと、小歩を裏切ったことで彼女から愛を奪い去られたアミ。青春のカオスに放り込まれた二人の少女は、どうしようもない気持ちで夜の街に取り残されていた…。
 
 一見しての印象は、この監督、多分岩井俊二好きだろーなーってこと。映像はともかく、雰囲気が似てるかなって思ったので。
 しかし、物語が入り組んでいる…。過去と現在が混在するこの構成は、ティーチインによると「時間、記憶、愛は人間の中にどうあるのかということを撮ってみた。それが3人の登場人物の中にどう残るかということをやりたかった」(by李監督)とのこと。まぁ、考えるより、感じる映画ってことですわね。

 ティーチインには李監督のほか、エンジェル役のエンジェル・ヤオ、アミ役のリャオ・チエンホイも参加。会場では千慧ちゃんの人気が高かったな(日本でデビューしたいらしいです)。二人はこれがデビュー作だそうで、小歩役のエミヤ・リーも含めたこの3人は、撮影前には監督とディスカッションを重ね、それぞれ自分の経験を各自の役柄に重ねたというらしい。まるでブエノスでのレスリーを彷彿とさせるような(と思った)自由奔放さをもったファム・ファタルのエンジェル、友情に愛を求める小歩、そんな彼女を陰で支えながらも、話が進むごとに存在感も行動力も広がるアミ。この3人のキャラクターが豊かなものに仕上がったのは、監督(千慧ちゃんには「先生」と呼ばれていた)と彼女たちの信頼関係がしっかり築かれていたからなのか。特に興味深かったのはアミとエンジェル各々の父親との関係に、やはり父子家庭で育ったというエンジェルと父親を亡くしているという千慧ちゃんのそれぞれの思いがあったというところ。友情に焦点を置くとかすみがちな家族関係描写だけど、エンジェル親子の間に横たわる冷淡さ(実際のエンジェルの親子関係はそうじゃないそうで、演じるのに抵抗があったらしい)、アミ親子の間にある親しみが見事に対照的であり、映画の中でも際立って見えた。
タイプの違うお嬢さんだけど、今後の活躍には期待かな。

 原題は乱れた青春ではなく、混沌とした青春という意味らしい。
 恋愛と友情は別に考えたいけど、恋人も友人も手放したくない気持ち。
 最近の台湾映画は、女子の濃密な友情を同性愛的に描くけど、そう描くことで人間関係の濃密さと青春の危うさを照らし出そうとしているのだろうか。
そこを聞きたかったんだけど、時間切れで聞けなかった。残念。
 
原題:亂青春
監督&脚本&編集:リー・チーユエン 音楽:半野喜弘 撮影:レナード・ヘルムリッチ
出演:エンジェル・ヤオ エミヤ・リー リャオ・チエンホイ カオ・ピンチュアン チアン・ハオ リー・ユアンイー グレン・チン

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闘茶~Tea Fight~(2008/日本・台湾)

 中国茶に限らず、日本茶でも西洋紅茶でも、いいお茶を飲むとホッとする。
こんなワタシに限らず、お茶を愛する人間であれば、これは誰もが経験することである。
些細だけど大切なこと、それをテーマにして、荒唐無稽な物語を繰り広げたのが、ムービーアイが製作にかかわった『闘茶』である。
 ワタシがこれを観たのは、ちょうどえふすーが武道館でコンサートしていた日。えふすーに愛がないのと(迷の方本当にゴメン)、かなり大きな仕事を控えていたのと、東京国際を前にしてお金をセーブしたい気持ちがあってコンサートに行くのはやめたんだけど(言い訳がましい?スマン)、そのぶん銀幕で仔仔の演技を楽しむか(笑)、と思って出かけた。

 京都の老舗茶屋「八木茶舗」の一人娘で大学生の八木美希子(戸田恵理香)は、母(藤田陽子)を事故で亡くして以来、茶を作ることも売ることもしなくなった父・圭(香川照之)に呆れつつ、大学を出たら、台湾でお茶を学ぶことを夢見ていた。
 父は彼女に「お茶には一切かかわるな。災いが起こる」と繰り返し言うのだが、それはなぜなのか。美希子に思いを寄せる友人・村野(細田よしひこ)と共に茶屋の蔵に忍び込んだところ、そこで見つけた書物に興味深い記述を発見。
 古代中国、最高の茶といわれた「黒金茶」。その茶は「雄(公)黒金茶」と「雌(母)黒金茶」とに分かれ、それぞれの茶葉を育てる部族がいた。茶を学ぶために日本からやって来た八木宗右衛門が雌黒金茶に惚れこみ、それを高く評価したことから雄黒金茶を育てる部族が激怒し、闘茶をしたことで争いが起き、雌黒金茶が一部を残して滅亡してしまったのだ。それ以来、八木家には「黒金茶の呪い」がかけられてしまったといい、父の無気力もそれが原因だということを美希子は突き止めた。しかし、家にある古い茶樹が、どうやら先祖が中国から持ち帰った最後の雌黒金茶だということに気付く。雌黒金茶を復活させ、雄黒金茶と闘茶に挑めば呪いが解ける―そこで美希子は台湾に飛ぶ。
 まずは黒金茶を知っているというチャット友達の「茶男」に会いに行くが、それが台湾マフィアの一員と知って逃げ出す。そんな彼女を助けてくれたのは、謎の美青年楊(仔仔)だった。一方、父は娘の後を追って台湾に飛ぶ。そこで謎めいた美女如花(チャン・チュンニン)と出会い、その魅力に幻惑される。
 美希子は茶芸学院にたどりつき、主宰の老老爺(金士傑)から黒金茶をめぐるとある物語を聞く。雄黒金茶は60年ほど前に大陸から台湾に持ち込まれ、暴力沙汰を起こしながら財をなした。しかし、一族の跡取り息子がそれを嫌がり、茶芸学院の門をたたいた。そこで出会った少女と恋に落ちたが、彼の正体を知った少女は暴力沙汰を嫌って彼を遠ざけてしまった。それ以来、彼は姿を消し、茶の闇市場を仕切るマフィアと化したという。そしてその跡取りこそ、雌黒金茶を狙って美希子を罠にかけようとしていた楊であり、彼のかつての恋人とは、雌黒金茶の部族の末裔だった如花であった。雌黒金茶を手に入れるためならどんな汚いことも厭わない楊に対し、美希子は闘茶で決着をつけると申し出る。

 闘茶とは、中国で茶文化が栄えた宋の時代に誕生した、茶葉を持ち寄ってその抽出法から精神性までを競い合うことである。全編にわたって登場する茶神・陸羽(エリックとっつぁん)はこう語り、黒金茶をめぐる古い物語がアニメで語られる。さすがく黒金茶はフィクションだろうけど、闘茶ってーのも創作だろ…って、ええーっ!?ホントにあったの?でも、それが今では茶の品質を競う「評茶」となっていると聞けば、なんとなく納得できる。
 物語自体は、結構アナもある。いろんなところでつっこみたい。言い出すときりがないのでとりあえず以下のことだけ。
 そもそも同じお茶でも美希子が目指すのはいわゆる日本茶道で、これは煎茶の茶道とはもちろん違うし、工夫茶でもない。中国語もおぼつかないのに、よく台湾でお茶留学なんて考えたなぁ(苦笑)。まぁそれはいいとして。あと、ラストの闘茶では美希子はいいとしても楊も如花も茶葉を粉末化して泡立てる日本茶道方式で戦っていたわけなんだが、平等性をかんがえてもちょっとそれは違うんじゃん?とも思ったりして。あれ、でも古代中国では茶道のように入れていたんだっけか。すみません、後で調べておきます。中国茶好きで一応日本茶道もかじっている身として、あまりにも知らなさすぎるので恥ずかしいわ。

 物語はつっこみがいがあるけど、キャストは申し分なし。
 わかっていることだけど、照之はやっぱりうまいわ。うますぎて文句のつけどころがないよ。中盤までは娘に主役の座を譲っているかのようだけど、クライマックスシーンではちゃんと画面をさらうもんね。いいぞー照之、今度は香港映画にも出ようよ(笑)。
 戸田恵理香ちゃんは今まで全然知らなくて、でも年明けに見た劇『IZO』(リンク先は別blogで書いた感想。参考としてどーぞ)でいい演技をしていたので好感は持ってます。スクリーン映えは、んー、どーかなーというのが正直なところだけど、関西弁(京都弁か)ではきはきしゃべるコメディセンスはなかなかいい。お茶会で昏倒した時の父親との掛け合い「蘇ったか美希子」「寝てただけやん」は笑ったよ。
 仔仔は珍しく悪役。でも陰があってちょっとひねた好青年、というのが正しいところか。『胡蝶飛』は残念ながら未見だけど、銀幕でもちゃんと美青年なのは嬉しい(ははは)。チャン・チュンニン(『シルク』『ザ・ホスピタル』『ハチクロ』台湾版)は初見。このところ日本に紹介されている台湾映画に出ているというけど、観ていないのが残念。
 でも、やっぱり香港電影迷としてはエリックとっつぁんの神出鬼没ぶりが嬉しいなぁ。台詞も本人の声っぽいしね。

 そして、かつて台湾で青春を送った身として嬉しかったことは、台北だけではなく、淡水でもロケがされていたこと。こちらでも上映が決定した『言えない秘密』も淡水ロケが敢行されたけど、この街角、どこかで見たことがある、と思ってたらそこが自分がいた淡水だったというのがホントに嬉しかった。4年前の台湾旅行で行った紅楼も使われていたみたいだし、久々に台湾に行きたくなってしょうがないです。この冬に行ってくるかなー。

 ごめん、最後にもうちょっと蛇足。
 ここしばらく見てきた合作映画としては、特に肩肘張らずにリラックスした気分で作っているなぁ、センスのいい音楽(エンドタイトルに流れるSUPER BUTTER DOGもいい!解散したけど。そーいえば彼ら、「Funkyウーロン茶」って曲を歌っていたっけ)も含めて、と思ったら、プロデューサーのオノコースケさんはどうやらあのオノヨーコさんの甥御さん、さらに監督の王也民(『エドワード・ヤンの恋愛時代』でローラーブレードを履き、「アトム大好き」と書かれたTシャツを着ていたロン毛の劇作家バーディーだ!)は奥さんがかつての部下(つまり日本人)で親交があり、さらにショーン・レノンとはいとこ同士だから音楽を依頼でき、さらにそれつながりで数々の映画で音楽監督を務めたZAK、バッファロードーター、原田郁子(fromクラムボン)、高田漣などそうそうたる面々が集結したらしい。うわー、アットホームなくせになんてゴージャスなんだよ。

原案&監督:ワン・イェミン 製作:オノコースケ 脚本:山田あかね 音楽:ショーン・レノン アニメーション制作:スタジオ4℃
出演:香川照之 戸田恵理香 ヴィック・チョウ チャン・チュンニン 細田よしひこ ほんこん 藤田陽子 チン・シージエ エリック・ツァン

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カンフーダンク!(2008/台湾・香港・中国)

 ♪我不賣豆腐(豆腐)、豆腐(豆腐)、日本語吹替だけかよ功夫、功夫(功夫)、功夫(功夫)、主題歌だけでは満足しないよ豆腐!←ここは「周大侠(マスター・チョウ)」のサビのメロディで歌っていただきたい。

 香港旅行記はまだまだ続けるけど、早くアップしなけりゃ終わりそうなので、今日はお休み。
 休み明けに地元で『カンフーダンク!』を観た。ああ、やっぱり字幕で観たかったなぁ。東京での字幕版上映は2週目から増えたそうだけど、ここ東北の田舎はもとより、東北最大の都市仙台でも吹替版のみ上映なんだもの。なんでかなー。そんなにジェイって日本じゃ無名か?

 こういったけど、日本ではジェイって意外と誤解されているというか、アジアのスーパースターという認識をされていないような気がする。確かにイケメンじゃないし(こらこら)、スターっぽくないはにかみ屋さんだし、日本で彼が紹介されるときはいつも「台湾長者番付ナンバーワン」なんていう妙に拝金主義的な枕詞(中華系だから?)がつくし。
TVワイドショー&スポーツ紙系向け露出を手がける広告代理店(〇通?)が「全ての日本女子はイケメン好き」と考えているからかどうなのかは知らんが、いくらジェイがいわゆるイケメンじゃないからって、それゆえの実力のすごさを全く伝えずに、ご本人よりゲストの名前の方が主語に来るような取り上げ方っていったいどーよ?そうでなくても、このところのエンタメの扱いがまるで20年前に戻ってしまったかのように欧米≧日本>アジアになっていると感じるのに…。
 それに追い打ちをかけているのが吹替メインの上映。配給側はこの映画を本気でヒットさせようとか、ジェイの知名度を上げようなんてことは全然考えてないんだなぁ、やっぱり誤解されているんだなぁと思って失望した次第。確かにジェイは忙しいし、英語でも日本語でもなく北京語で歌うことから日本人のアンテナには全く引っかかってこないのかもしれないけど、宣伝の側ももうちょっと“アジアのカリスマ”に敬意を払って、その旨を取材側に意識させてあげようよ、と思ったのであった。
 …考えすぎかもしれないけどね。

 さて、本題。
 監督の朱延平。うわー久々にこの人の名前を聞いたよ、誰が呼んだか“台湾の王晶”!
日本の映画ファンにとって台湾映画といえば、ホウちゃん、ヤンちゃん、ミンリャンのいわゆる“台湾ニューウェーブ”の面々や、李安先生のような国際派が思いつくのに、彼らは一般的にはマイナー。だからといって台湾に娯楽映画がないわけではなく、かつては実はこいつ一人で全て娯楽映画を作ってるんじゃないかと思うほどの数をこなしていた監督だ。しかもほとんどの作品が徹底的に娯楽に徹していて、困ったことに(?)ある意味王晶以上にナンセンスで、ある種の香港映画より壮絶な展開を見せてくれる作品も少なくない。
 そんな評判の監督だから、「絶対なんかやらかすだろーな」と思っていたら、まー案の定か。

 天津郊外のバスケットコートに、男の赤ん坊が捨てられていた。彼を拾ったホームレス(ジャッキー・ウー)は、「功夫武楼」という武術学校の師父(エディ・コー)に赤ん坊を託す。武術家の方世玉にちなんで(?)方世杰と名づけられた彼は、師父と「四天王」と呼ばれる師匠たち(マンタ、梁家仁、ヤン・ニー、ホアン・ポー)に可愛がられ、カンフーを学びながらすくすくと育つ。しかし、師父は自分が体得した瞬間移動の術を世杰に伝えようとする前に、術のトラップにハマッて凍死してしまう。
 成長した世杰(ジェイ)は、ちょっと勘違い屋さんだけど、カンフーを愛する素直な好青年になっていた。が、師父に代わって就任した校長には疎まれ、いうことを聞かないと追い出されてしまった。
 公演で野宿しようとした世杰は、香港人の小男リー(とっつぁん)と出会う。彼の抜群のコントロール力にリーが目をつけたからだ。一攫千金を狙い「富豪化計画」を世杰に持ちかけたリーは、彼にバスケをするように進める。そして、バスケットの名門チームを持つ第一大学に、「生き別れの両親を探す天才バスケ少年」との触れ込みで売りこんだ。当のバスケチームは世杰が密かに思いを寄せていたリリー(阿Sa)がマネージャーを務めていたが、彼の兄でキャプテンのウェイ(ボーリン)はチームメイトの裏切りにあって以来酒びたりで使いものにならず、リリーが思いを寄せているシャオラン(バロン)は恋人の死とケガでボロボロになっていた。
 最初の試合こそロングシュートを決めるものの、勢いだけでバスケの基本もわからない世杰のプレイはハチャメチャ。ウェイとリリーは基本を学ぶよう示唆し、彼はやがてカンフーで学んだことを応用して超絶なダンクを決めるようになる。ウェイとシャオランは世杰を認め、復活を遂げた第一大学はトーナメントで快進撃を続ける。
 決勝戦の対戦相手は悪名高き火球隊。キャプテンのティエン(畊宏)はかつて第一大学に所属していたため、ウェイやシャオランの弱点をついて反則スレスレのプレイを繰り出す極悪プレイヤー。しかもこのチームのオーナーは、功夫武楼の校長と取引して世杰を追い出した張本人。
 火球隊の攻撃を受けてウェイやシャオランは傷つき、一人になった世杰は「四天王」の助けを借りながら攻めていくが、残り3秒で放ったロングシュートが予想もされない相手に妨害されてしまい、絶体絶命に…!

 いやぁ、かわいいですねージェイ。あのあか抜けない感ある坊ちゃんヘアは、実は李小龍へのオマージュだそうだけど、気づいた人は少なくないよね?そんなところから、ジェイが好きなジャンルで伸び伸びやっている楽しさを感じて、こっちもつられて楽しくなる。
 カンフーとバスケはジェイがこよなく愛するもの。迷であれば誰もが知っているこれを映画に盛り込まんでどーする?これはそんな企画ありきで作られたアイドル映画である。しかも、愛とリスペクトはジェイの側にはあるんだけど、製作側には感じられない。いや、それが悪いってわけじゃなくて、とにかく面白けりゃ何やってもいーじゃん、愛とリスペクトなんて小ざかしいこと言ってんじゃねーよって勢いで作ってしまっている。つまりジェイの愛とリスペクトと、香港からそうそうたるスタッフを招いて天津でロケを敢行し、かなりのバジェットで作られたのならそれを存分に生かさなきゃと目論んだ作り手の勢いが化学反応して出来上がり、アイドル映画として見事に成功している。

 でもね、ジェイにそんなに思い入れがなくて、ある程度ここ数年の大作コメディを観てきた人には、厳しく見られそうな欠点も多い。例えば世杰はおとぼけキャラでも、そのおとぼけさが観る人にどう受け取られるかが微妙だし、ウェイやシャオランのエピソードも登場が唐突なので中途半端に語られる消化不良。四天王の大活躍もよく考えればいくらピンチだからといっても「それかなり反則!」とツッコミたくなるし、残り3秒の危機を劇的に覆す荒業(といってもその伏線はしっかり張ってある)も、真面目な人なら「そりゃねーべー」ものである。

 それでも、「そりゃねーべー」で腹を立てては絶対いけない。そんな人は『少林サッカー』でも同じことを言っているはずだ。なによりもこれはそんなことも大いに許されるアイドル映画だし、ここは素直に大笑いすればいいんだから。確かにあの『少林ラクロス』もクライマックスは「そりゃねーべー」な展開だったけど、あれに不満だった人にはぜひこっちの「そりゃねーべー」展開に笑ってほしい。あの映画にはここまでのつき抜け感がなく、バカに徹さないスタッフの妙なこだわりを無理やりねじ込ませたことが失敗要因なんだから。

 そんなメガすげー展開を横にして、香港電影迷であるワタシの心をつかんで話さないのは、世杰とリーの泣かせる擬似親子関係。『イニD』では秋生さんと、『黄金甲』ではコン・リーとそれぞれ親子関係を演じてきたジェイだけど、金儲けの道具として利用される関係からお互いを認めて支えあい、実の父親以上に慕うまでになる展開に、『わすれな草』でニコが演じたスモーキーと、やはりとっつぁんが演じたヒョウの関係に似たものを感じたので、ベタではあるけど胸がキュンとした次第。まったく、ここでも親孝行者かよー、ジェイ(笑)!

 あと、特筆すべきは杉浦先輩こと畊宏(爆)。スクリーンでは久々のお目見え。ついでに結婚おめでとー♪ホントは親友なんだけど、イニDに続いてジェイの敵役(しかもアホ)、そして相変わらずいい筋肉がつきまくってる二の腕に胸筋を惜しげもなく晒してくれて、そのお約束っぷりに大笑いしましたよー。やーっぱ彼はこうじゃなくっちゃね。
 そうそう、エンドクレジットで気がついたんだけど、南拳の弾頭と不機嫌な要潤…もとい張傑もカメオ出演したらしい。で、どこに出てたかわかる?できればもう一回観て確認したいんだけど、こっちの上映はすでに昼間1日1回のみ上映に縮小されちゃったのよ…。

原題:功夫灌籃
監督:チュウ・イェンピン アクション監督:チン・シウトン 美術:ハイ・チョンマン 音楽:吉田清之&石川 光
出演:ジェイ・チョウ シャーリーン・チョイ エリック・ツァン チェン・ボーリン バロン・チェン ウィール・リュウ エディ・コー ン・マンタ リョン・ガーヤン ヤン・ニー ホアン・ポー ジャッキー・ウー ウォン・ヤッフェイ ケネス・ツァン

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