書籍・雑誌

『香港路地的裏グルメ』池上千恵

 いくらネタ切れ&本業多忙でヒマなしとはいえ、フィルメックスまで更新しないのは寂しいよなあと思ったので、ずいぶん前に買った香港本の記事をアップ。

 先日、土曜夜に放映されている某旅番組で、我らがしょこたんが香港を紹介していたのだが(これこれね)、「いつもしょこたんが紹介する店って一緒だねー」という声がTwitter上から聞こえてきた。…うーむ、彼女が香港を好きでいてくれるのも、へヴィトラベラーなのも嬉しいんだけど、気にいってるとはいえ同じところばかり紹介してくれるのもちょっとアレだーねー、と思ったりもするのである。かつての「香港大好き女優」こと某浅野姐さん(笑)にも同じことが言えるのかもしれないが。
 しょこたんも姐さんも、実は案外TV番組以外では茶餐廳行ったり甜品食べに行ったりしているんじゃないかなあ、いや、そうであってほしいなあ、なんて思っちゃうワタシは、もう高いお店に行けなくなっちゃいました(笑)。

 さて、これは3年前の冬に発売された『香港女子的裏グルメ』の姉妹編。
 前作は食べ物別カテゴリで安くて美味しいものがたくさん紹介されていたけど、今回は完全なる香港ローカルエリアに絞って、そこで食べられる美味しいものがまたしてもたくさん紹介されている。茶餐廳もいろいろあるけれど、どこもかぶらないように配慮されているのが嬉しい。深水埗や太子など、ヘヴィトラベラーにはお馴染みのエリアはお約束だけど、香港中央図書館の裏手に当たる大坑が紹介されているのがさすが。ここにはジョー・コックがオーナーの甜品店「小甜谷」があるのだけど、もちろん紹介されていた。銅鑼湾と天后には足を運べても、こういう地区は見逃すものね。

 そろそろ台湾に行きたいとは考えているけど、次に香港に行けるのはいつかなあ。その時にはこれを持っていきたいし、もうちょっと裏町をじっくり見て歩きたい。同人小説のネタもほしいしね。

 しかし、基本的に安上がりなB級グルメ紹介がメインのこの本だけど、巻末の「香港空港的裏グルメ」は…(苦笑)。まあ、この本はキャセイのオフィシャルレコメンドブックであるから、こういうのが入っているのが当然といえば当然なんだけど、ビンボーなヘヴィトラベラーには縁がない場所だなー。
 ま、マンダリンオリエンタル宿泊の野望も叶えたことだし、今度はキャセイのファーストorビジネスクラス利用による渡港を新たな野望にするかな。なーんちって。

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『レッドゾーン』真山 仁

 昨年夏に読み、ここでも感想を書いた『ベイジン』に続いて、真山仁さんが中国をとりあげた長編小説…というより、彼の代表作にして、4年前にNHKで放映されたドラマが国内外で高く評価され、さらには2年前の初夏には映画化もされて話題になった(そしてワタシが現在進行形で猛烈にハマっている)『ハゲタカ』シリーズの第3弾。

 …おいちょっと待てもとはし、自分がそんだけハマっているのはわかるんだけど、すでに別blogでさんざんこのことについて語りまくっているくせに、なんでここにまで進出させて書くんだよ、とワタシの中の良心(白もとはし)が語りかけておりますが、ここで書くにはちゃんとした理由があります。マカオと香港が登場するからなんです!わーはははははは。




 せっかく凝ったデザインなのだから(これは単行本版も同じ)、横に並べて表示できればいいのにな。

 2007年晩秋、山口の世界的自動車メーカー、アカマ自動車にかかってきた1本の電話。上海の百華集団総経理の賀一華という男がかけてきたこの電話から、中国の投資ファンドによる国際的日本企業の買収という、前代未聞の大騒動の火ぶたが切られた。
 一方、日本最強の買収者と呼ばれる、投資ファンド「サムライ・キャピタル」社長鷲津政彦は、マカオで中国の国家ファンド(CIC)の幹部と名乗る王烈という男に誘われる。次々と企業買収を成功させ、ハゲタカまたはゴールデンイーグルと呼ばれてきた鷲津だが、依頼された出版社の買収に失敗し、裁判でも敗訴してしまう。未だに閉鎖的な日本経済と社会に絶望した彼の隙を突いた王は、三年前に起こった部下アラン・ウォードの事故死の真相と引き換えに、鷲津に共闘を迫るのだった。
 迫りくる賀の脅威に、アカマの社長古屋貴史と取締役社長室長大内成行は鷲津に相談を持ちかける。古屋と大内は会社を防衛するために奔走するが、賀の買収策が進むにつれ、アカマ自体が抱える問題が露呈するようになる。そして、鷲津自身にも王の揺さぶりがかけられる。そんな騒ぎの中、アカマの最高顧問である赤間周平が事故死し、周平の甥で副社長の位置にいた太一郎が賀と手を組んでしまう。激しさを増す買収と防衛の末、古屋と大内は鷲津にホワイトナイトを要請する。
 血で血を洗うようなこの買収合戦は、鷲津の好敵手である企業再生家の芝野健夫や、米国で学んだ企業弁護士で、上海のアカマの子会社が中国の自動車企業に訴えられた案件を担当していた謝慶齢をも巻き込んでいく。そして、鷲津がマカオで出会った香港の大富豪将英龍が思いがけない形でこの事件に関わってくるのだった…。

 2年前の映画で取り上げられたのは、中国ファンドによる大企業買収というアウトラインのみで、中身はかなりアレンジが入っている。賀一華が劉一華という名前に変更され(最初聞いた時は「アンディかよ!」とつっこんだ)、キャラクターもかなり変えられている。それと合わせて非正規労働者問題やリーマンショックも織り込まれていたのだが…、んー、これを読んじゃったら、やっぱ映画はスケールがしょぼかったな、と改めて思ってしまう(笑)。
 この大筋と合わせて、都銀マンから企業再生家に転身した芝野さんが、総合電機メーカーCROの職をなげうって大阪の中小企業マジテックの専務に就任するサイドストーリーと、米国から上海に戻った慶齢の奮闘も描かれる。ホントは全部書きたいけど、長くなるのは確実なので前者の脇筋はあえてスルー。ううう、芝野さん好きなのに…(泣)。

 実は意外にも中華圏(とあえて言おう)ネタが思ったより充実していた。単行本刊行時のインタビュー(fromあらたにす)で真山さんが香港にも取材に行ったと述べていたので、確実に香港はでてくるのねーと期待してたら、クライマックスがまさに香港!で大興奮。上巻中盤で登場した将英龍が思わぬ形で暗躍し、このクライマックスにがっつりとかんでくるんだが、彼と賀一華、そしてアランの死の鍵を握る通称「美麗」という女性との関係が明らかにされ、彼らをめぐる一族の中華人民共和国設立からここに至るまでの歴史があまりにもドラマティックで、ここだけでも映画にしていいやーん、なーんて思っちゃいましたよ。はい、実は一華よりも英龍の方がキャラとして好みです(笑)。一華はおぼっちゃま根性丸出しで打たれ弱いんだよなー。映画版の劉一華も苦労してきた割に打たれ弱くてかわいそうだったけど、当然そっちの方にも思い入れは少なかった(こらこら)。
 そして、上海でよりよい明日のために奮闘する慶齢も好きなキャラ。米国で学んだ法律学を中国ビジネスにも生かしていこうとするけど、「法の精神がない」と言い切られるほど遵法精神に乏しい大陸企業に苦しめられながら良心を大切にして働いていく。ともすれば「だから中国人は…」と紋切り型で語られるものだけど、ビジネスを守るために頑張る彼女のような中国人だって当然いるはずだ。エリートのお嬢さんであるけれど、庶民感覚も持ち合わせているところもポイント高し。来年早い時期に書かれるというシリーズ第4弾にも再登場してほしいな。

 そして、この小説の前日譚である『ハーディ』が現在講談社の文庫情報&文芸誌「IN★POCKET」に連載中。これはシリーズのメインキャラクターの一人でありながら、この物語には登場していない若きホテル支配人松平貴子を主人公に、彼女に託されたホテルの買収をめぐって、ホライズン・キャピタル(かつて鷲津さんが所属していた)日本代表のナオミ・トミナガと買収合戦を繰り広げるという「もうひとつのハゲタカ」的物語。ちょこちょこと立ち読みで読んでいるのだけど、これもまとまったらちゃんと読みたい。

 なんか他にもいろいろ書きたいんだが、そしたら絶対鷲津さんステキー的なことしか言えなくなるので(いや、これはマジで)、感想はこのへんで。ではラストに、『ベイジン』に続いて、中国人キャラクターの個人的イメージキャストを勝手にご紹介。
 「香港映画に出てきそうな美形」と紹介されている賀一華はニコ。ええ、ニコです。映画版の劉一華は玉山鉄二が演じていたわけだが、彼にそんなに思い入れがないので(タマテツ迷の人すいません)「あー、タマテツやるんだったらニコで見たかったなー。普通話もペラペラだし」なーんて考えて観ていたのだった。
 謝慶齢は周迅。スレンダーな身体に情熱をこめて演じてくれそう。スーツ姿も案外似合うんじゃないかな。王烈は王學圻さん。孫文で見せたような良心的な顔をしながら、腹黒そうに鷲津さんに迫ってほしい…(笑)。将英龍はりよんがいいなあ。もちろん谷原じゃない方のりよん。僧衣服(クリスチャン設定)からスーツ、長衫とワードローブも豪華だし。

 で、実は鷲津さんも脳内キャスティングしているんですよ、小説を読むときには。
映像版の大森南朋くんのハマりっぷりはあれはあれでものすごいし、大好きなんだけど、小説版と映像版では外見もキャラもことごとく真逆。だから、完全に別物として読んでいる次第。それでもどちらも面白いのだ。
 南朋くん演じる映像版の鷲津さんは、大柄でめったに笑わないキャラ。それに対して小説版は、小柄でなで肩、一見貧相でいつも笑っているという描写をされる。さらに女好き。ほら、全然違う(笑)。そんなところから、小説を読んで私の脳裏に現れた鷲津さんは、当然あの人だったのだけど…、ま、誰だかは言わないでおきますか。あははは。

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『ベイジン』真山 仁

 先週、《功夫夢》こと『ベスト・キッド』を観たので、それについて書こうと思ったけど、先にこの夏読んだ中国がらみ小説の感想を。

 えーと、例によって例のごとく、『ハゲタカ』が好きなワタクシです(苦笑)。
 最近も映画版の地上波初放映に合わせてあれこれ騒ぎまくったのだけど、その狂乱ぶりはこちらに書いたのでお暇な方は見て笑ってやってください。
 実は、あれだけドラマや映画にハマっておきながら、原作を読んだのは昨年末(爆)。
 経済小説だもんな、難しいだろうなーと多少敬遠していたこともあるんだけど、いざページをめくり始めたら、日本経済の現代史の中を強烈な個性のキャラクターたちが疾走し、彼らが世界経済にまで対峙していくスケールの大きな展開に魅了され、読むと止まらなくなって約1週間で文庫全4巻(パート2まで)を読破していた。
 シリーズ3作目の『レッドゾーン』(ここでもちょっと触れている)は、テーマのひとつに中国系ファンドの日本企業買収が取り入れられていて、映画にもその要素が含まれている。だけど、これは昨年出版されたばかりで、おそらく文庫化は来年。だからまだ未読なのだけど、真山さんがその前に書かれた長編『ベイジン』がこの春文庫化されたので、読んでみた。

 2005年。ベテランの原発技術者田嶋伸悟は、大連郊外の紅陽市に建設される世界最大の原子力発電所・紅陽核電の技術顧問として、中国に赴任した。同じ頃、エリート共産党員の鄧學耕は、その大連市の党副書記を命ぜられ、紅陽核電の中国側運転開始責任者にもなる。実はこのとき彼は、腐敗分子である大連市長とその周囲を告発して一掃することも命じられていた。
 同じ年、米国で活動する若き映画監督、レニ・ヤンこと楊麗清は、カンヌ映画祭でカメラドールを受賞して脚光を浴びる。一人っ子政策に題材を得てドキュメンタリータッチに撮った劇映画が高評価を受けたのだが、受賞記者会見でフランス人記者に政治的な質問を浴びせられ、うんざりしていた。そんな彼女の夢は、天安門事件に構想を得たフィクションだったが、中国側はもとより、映画プロデューサーである米国人の恋人にもその考えを受け入れてもらえなかった。
 中国に赴任した田嶋は、建設現場の状況のずさんさに驚愕する。運用開始日は2008年8月8日、つまり北京五輪開会式の日であった。それまでに施設が完成できるのだろうか?と彼は焦る。冬のある日、強風による施設の倒壊事故が起き、彼は鄧の制止を振り切って救出に奔走する。工員の立場を思いやり、彼らの言い分に耳を傾けることを心掛けた田嶋は、中国式とも日本式とも違う現場作りを目指す。さらに彼は、現場で使われている欠陥だらけの建材が、政府の実力者の息がかかった企業によるものであることを知り、安全性の確かな日中合弁企業のものに換えるように提案する。その実力者こそ、鄧が狙いを定めていた人物の一人だった。長らく反目しあっていた田嶋と鄧はここで一致団結し、原発の建設と通電の成功に向かって邁進する。
 それより少し前、映画作りが頓挫して米国でくすぶっていた麗清のもとに、北京五輪の記録映画製作の依頼が舞い込む。彼女は一念発起し、再開発中の北京へと戻る。彼女はこの映画作りで、五輪の光の部分だけではなく、重労働を強いられる民工の姿や街の陰の部分をカメラに収め、事実をありのまま撮ることにした。その取材で田嶋と鄧に出会った彼女は、二人に未来への希望を感じ取る。
 そして運命の運用開始日を迎えたが、なぜか田嶋は鄧によって拘束されてしまう…!

 これは、真山さんが中国を舞台にして書いた最初の小説。そしてこの小説の連載を始める直前まで、渡中の経験も全くなかったとか。だけど、あとがきによると翻訳家の泉京鹿さんや在中の若手コラムニスト、加藤嘉一さんのサポートを受けられたということで、現代中国の状況についてはしっかりリサーチされているような気がする。
 実はもっと中国に対して批判的な目を向けて描いているんじゃないかと心配していたんだが、それは杞憂に終わった。 真山さんの小説は、主人公を一人立てても、それを中心にして複数の人物に視点をおいて同時進行で行動を追っていくので、これで物語の客観性を保っているという特徴がある。実質的な主人公は日本人の田嶋さんだけど、彼と対をなす人物として中国人の鄧が配され、さらにその二人を、ひいては中国自体を客観的に見られる人物として、彼らよりもずっと若い麗清が配置されている。その中国人キャラクターも、しっかりとした背景が設定されているので、思ったより反中色は感じさせなかった。それは、鄧と麗清の共通項に「六・四(天安門事件)」があり、鄧はそれで北大の学生だった兄を亡くしたというトラウマを持ち、さらに麗清はそれをテーマとした映画の構想を練っているというところだ。
 5年くらい前の反日デモ前後から、日本でも多くの反中思想がネットを駆けめぐるようになったけど、その多くは木を見て森を見ない的な言葉が多く、ああ、ホントにこの人はホントの中国なんか知らんで反中反中いっとるんだなー思いつつ、その考えになんだかもやっとしたものを感じされられた。(それは、先日フィリピンで起こった香港人ツアーバスハイジャック事件で、多くのメディアが「香港から来た中国人観光客」という、かなり語弊をもたらす表現をしていたのにも、同じことを感じた)
 ワタシは一応中国語専攻だったので、共産党中央部の腐敗やらなんやらは昔からあったことだと知っていた。だけど、鄧のようなキャラクターがいて、こういうかたちで腐敗分子の排除を行うということが日本の小説で描かれたのは、多分これが初めてなんじゃないのかな。麗清のようなキャラクターは、わりといろんなところでは描かれてはいるんだけど。
 だから、突出して悪目立ちするところばかりが決して中国じゃなく、悪いことや古い因習、そして腐敗に対抗しようと試みる人々がいるということを書いてくれたのはよかったと思う。まあ、もしそれがフィクションで、実際にはそんなのないなんて言われちゃったら悲しいけどね。
 これは日本だからこそできることで、さすがに映像化して中国に持っていくことはできないね。

 で、実はおそらく中国以上に賛否両論を呼ぶテーマを、この小説はもうひとつ抱えている。それは、主人公の田嶋さんがかかわっている原子力発電である。
 原子の核融合により莫大なエネルギーを生み出すものの、それは原爆にも使われていたり、24年前に起きたチェルノブイリ原発事故でも知られるように、ひとたび何かあると甚大な被害を人間に及ぼす原発。ここ15年くらい、国内でも原子炉の事故が起こったけど、チェルノブイリの悲劇を覚えている身としては、原発の増設にどうしてもいい気分がしない、というのを我が意見としたい。
 しかし、電力消費量の増加と、既存の発電方法にも限界があること、そして中国のような国土面積も広く人口も多い国が国力を挙げるため、その他もろもろの理由によって、最近は原発が見直されてきつつあるという。その理由も大いに納得できる。しかし、やっぱり事故のことを考えれば…。

 そんな不安に対してかのように、田嶋さんは豊富な経験をもとに、日本の原発の確固たる安全性を中国の現場にも生かしたいと奮闘する。徹底した安全管理や、作業員への注意を徹底させる。最初はそれに反発していた中国人労働者たちも、工事現場の倒壊現場で田嶋さんがとっさに取った行動に驚かされ、彼の目指すものを理解して働くようになる。発電の恩恵を受ける住民だけでなく、労働者の安全も同じくらい大切に考えること、それはかつて日本が当たり前にやってきたことだ。その勤勉さを中国の現場に取り入れ、安全第一を心掛けてきた田嶋さんと鄧だったが、それでも妨害は入ったわけで…。

 そして、ネタバレになるので詳しくは描かないけど、五輪開幕の直後に紅陽核電で起こったとんでもない事件がクライマックスになるので、物語的にはどうしても原発の方に重きを置いてしまったようだったのが個人的にアレであった。いや、別にガッカリしたってわけじゃなくて、こういう流れは予想はしていたけど、ここでラストなのー!とちょっと驚かされたもので。

 そんなかんじでいまいちまとめ切れない感じで終わりそうなんだけど、それも何だなと思うので、個人的イメージキャストなんてもんを考えてみたい。ただし中国側に限るですいません(笑)。
  まず、鄧學耕は断然胡軍さんでしょう。クールだけど、どこかで希望を求めてやまない男が似合う。楊麗清は、年齢的にはツーイーや湯唯ちゃんの世代なんだけど、落ち着き感が欲しいので、実際に映画監督もやっている徐静雷。そして、遼寧省党書記を叔父に持つ鄧の秘書朱鈴(当然鄧に思いを寄せるようになる)に范冰冰なんて考えてみた。ここは社会的意見よりも映画的娯楽を打ち出しているので、こんなお気楽な終わり方をしてバランスを取ってみる次第。

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いつか、街市に行ってみたい。

 どうも、大変ご無沙汰しております。
 この頃、ネタ枯れ気味で申しわけない。
今月はNHK-BSで成龍さん&李小龍特集なのだが、それを取り上げようと思ったらどうも十分なネタが拾えず(笑)。でも、なぜか『スパルタンX』は録画したので、成龍さんネタとしては、それを観た感想を後ほどアップするってことに替えさせていただく次第。
 そして、今週放映中の李小龍特集はちゃんと観ている。これは今年に入ってから中国語教室でテキストを読んだ関係もあるから観ているんだけど、実はまともに彼の映画を観るのは初めてなんだよねー(苦笑)。

 さて、そろそろ本題へ。今年の夏は香港へは行きませぬ。
理由は簡単。去年帰国後ぶっ倒れたからです。しかも帰着した朝から2日間ほど役に立たない状態でした。ああ、もう無理のきかない年齢になってきたんだなあ。今年は長い休みが取れたけど、この暑さだからまたぶっ倒れそうな予感がするんだよねえ。まあ、それでも行かないってわけじゃなく、冬や春だったらまだ行きやすいかなと思っているので、今度は来年の2月頃にでも行こうと思っている次第。

 それから、この秋に向けて、またまた香港小説執筆中。
行けない分、想いを何らかの形でアウトプットしたいもんだからね。
今度は食べ物関係を小道具に使いたいと思っているので、そのへんを中心にいろいろ調べているところ。また、始めとした在港日本人の皆さんのお話を聞く機会が推特で増えてきたので、このへんでもいろいろ聞いちゃおうかと思っている次第。
 執筆しながら、食べ物のことやお茶のことなどについてまとめているところなのだけど、ちょうどいいタイミングで教えていただいたのが、『街市街 よくわかる香港の市場』というCDつきガイドブックのこと。

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 香港城市大学日本語学科の学生さんたちが、在港日本人のために香港の街市(公設マーケット)を紹介し、そこを有効活用して気軽に利用してもらうために卒業研究として取り組んだというのが、この『街市街』。
 香港で街歩きを重ねれば、どこの地区でも必ず現れるのが、大きな倉庫のような建物。そこをよく見れば、肉や花などが運び込まれていたり、午後には入り口を水で流して掃除していたりするので、誰の目にもここは一目で「ああ、あそこは市場かあ」とわかるようになっている。ちょっと中をのぞくと、肉(というより、さばいたばかりの肉類の血?)のにおいが立ち込めていたりして、日本の卸売市場と似たような雰囲気。最近は日本でも、卸売市場も朝だけでなく1日中営業するところが多いし、業者さんだけじゃなくて一般客も利用できるところが多くなってきているけど、香港の街市は日本以上に開かれているんだろうな,と思った次第。

 この本では、前半は街市で買物をするときに欠かせないやり取りを会話形式でまとめ、(付録のCDにはその発音が記録されている)、後半に街市で売られている野菜や果物、肉、魚、香辛料などの広東語名が単語帳風に記されている。野菜は旬の時期と調理法、肉や魚は入手経路や屠畜方法まで紹介されていてかなり濃い。さらに別冊では香港ブランドとして売り出している地元鶏や、有機野菜の宅配なども紹介されている。じっくり読み込むとかなり有意義で、香港の一般家庭の食卓事情も想像しやすくなる。
 おそらく、街市を利用するとなれば、単身者よりも家族で転住している日本人の既婚女性が対象とされるのかな。もちろん、単身者で食事を作っている人はもちろんいるのだろうけど、それもなかなか大変そうじゃないかなーなんて思ったので。ま、実際に街市を利用されている人がいたら、話を聞いてみたい。
 もちろん、資料的価値は充分にある。創作でも役に立つし、お料理が得意な方などのいは興味を持ってもらえるんじゃないかな。

 個人的に興味深いのは、野菜や果物の一部では、北京語とは違う名前のものがいくつかあること。もちろん、街を歩けば「葡萄」や「鳳梨」という単語に出会うので普段はあまり違和感がないんだけど、香港ではブドウを「提子(タイジー)」というのか。これは知らなかった。まあ、パイナップルを「波羅」というのはわかっていたからいいのではあるが。

 街市街チームはすでにプロジェクトを終了させたので、解散してしまったとのことだけど、その中心メンバーさんによるblogは現在も続行中。
日本語による香港イベント情報も紹介されていて、読み応え充分。ちょくちょくのぞいてますよ。

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リトルプレス「マカオのほほん」

リトルプレス「マカオのほほん」

 しばらく前にいただいていたのになかなか取り上げられなかったこのリトルプレス。
今さらながらの感想になってしまいました。ごめんなさーい。
これを思い出したきっかけはゼロ年代香港映画の記事にいただいた、tomozoさんからのコメントだった。

(今回のBGMというかBGV:『イザベラ』のメインテーマ「O Gente Da Minha Terra」by Mariza。画面はみ出してスマン。予告編も貼りたかったが、画像がでかすぎて貼れなかったので、某ちうぶの該当ページにリンク)

 ワタシが始めてマカオに足を踏み入れたのは、3年前の冬だった。
その前年にtiffで『イザベラ』を観てすっかりやられてしまい(今さら言わなくてもわかると思うのだが)、件の映画を全く知らない同行者(20年来の朋友だ)を巻き添えにしてマカオに行ったわけだが、以前も書いたようにいろんなことがあって不完全燃焼だった(涙)。それ以降、4度香港に行っているものの、いずれもマカオには再上陸していない。その間、『傷城』で事件の鍵となる街として登場したり『放・逐』『復仇』の舞台となったりで、俄かにこの街が注目を浴びてきた。ちょうど時を同じくして、日本の旅行代理店もマカオツアーに力を入れ始めたので、妙に目につくようになったのかな。

 そんなときにいただいたのが、この「マカオのほほん」。(blogもあり)
マカオ在住の日本人ライターさんと、東京のデザイナーさんによって作られ、マカオで発行されたリトルプレス。オールカラーA5判、全20ページ。
リトルプレスとは、簡単に言えば書店で売ることができる自主制作の雑誌。ワタシの地元でも「てくり」というリトルプレスが発行されていて、市内だけでなく全国の書店やカフェでも販売されている。

 2年前の冬に発行されたこの「特別編集号」(なんとつい最近完売!)では、マカオを訪れたら誰もが必ず訪れるセナド広場散策を特集。ここから聖ポール天主堂やモンテの砦(こんなことして遊んでたなあ)までは歩いていけるのだけど、小さな道やお店が多いので、ついつい迷ったり寄り道してしまう。当時、まともなガイドブックを持っていかずにここを歩いていたので、さんざん迷いつつ世界遺産にたどり着いたのはいうまでもない。だから、あの時これがあったらよかったなあ…と思ったりして。
 もちろん、お土産やおいしいものの紹介もばっちりだけど、それだけじゃつまらない。オサレなアート好きや本好きならたまらない隠れた名所も紹介されている。本と音楽のセレクトショップ「Pin-to Books&Musica」やアートスペースがある「婆仔屋(Old Ladies House)」など、興味深い。
 ああ、もっと早く知りたかったな。今度行くときまでにいけるだろうか。せっかくマカオに行くのなら、一般的に言われているようなカジノじゃなくて、こういうお店をのぞいたほうが楽しいもんね。いま香港に行く時でも、そういう「一般のガイドに載らないお店」に行く方が楽しいもんね。

 あと、ワタシもいちおう同人屋の端くれなので(販売は地元即売会&友人がやってる通販オンリーで、コミケや同人フリマに出店したことがないから、あまりいばれない)、こういう手作り感あふれるリトルプレスはもう大好き。いつかこんなのを作ってみたいけど、写真と絵と文章のセンスはもちろん、紙代がなあ…なんて思って諦めてしまうのであった。
 あーでも作ってみたいです。このblogの旅行記の抜粋でもいいから(笑)。

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『流転の王妃の昭和史』愛新覚羅 浩

 日中戦争のことを考えると、どうしてもきりがなくなってしまう。
 南京大虐殺(あえてこう言う)は実際どうだったのか。引き揚げ途中で置き去りにされた子供や女性たちはどうやって生き抜いたのか。満州国という国を作った軍部の思惑と、そこに希望を見出して移住人たちの気持ちはどんなだったのだろうか。そしてあの時、中国人と日本人は本当にお互い憎みあっていたのか。

 何が真実で、何が虚実なのか。それはあの戦争の時代に生き、戦争が起こした悲劇に巻き込まれた人々それぞれの思いがあるから、一言でいうことは難しいのだろう。それをワタシたちに直接教えてくれる人々も、だんだん少なくなっていく。
 映画にしろ書籍にしろ、戦争に関わる出来事について書かれたものが苦手で、あまり手に取ってこなかったのだが、歳を取ってやはり知らねばならないと思っていたことと、年末の旅行時、たまたま母親がワタシにくれたことがきっかけで、この本を読むことになった。

 ちなみにこの本、2003年にテレ朝系で放映されたドラマスペシャル『流転の王妃・最後の皇弟』の原作の一つとなっているそうだ。残念ながら未見。いや、いま観たいとも思わないが(苦笑)。

 筆者は旧侯爵家の令嬢にして、かつての清朝皇帝の一族だった愛新覚羅家に嫁いだ。こう簡単に説明できれば一番いいのだが、それが日中戦争時であり、その結婚だって自らが築いた「満州国」の皇帝の弟溥傑に嫁がせようとした軍部の策略からだから、話は簡単ではない。
 生涯のあらましはWikipediaに掲載されているとおりであり(氏名表記は結婚前の「嵯峨 浩」)、本の内容もそれに即しているのでパス。

 読み始めてちょっと驚いたのが、溥傑氏との結婚が軍部によって仕組まれたものでありながら、浩さんは最終的に自らの意思で溥傑氏を愛そうとしたことであり、その想いに溥傑氏も答えてあげていたということである。政略結婚というと、どうしても愛がないゆえに夫婦間での亀裂が大きくなることが多い。彼らの兄夫婦にあたる、溥儀に嫁いだ婉容皇后をモデルにした小説『我が名はエリザベス』でもその悲惨さは描かれている(しかも、あの小説と同じように、この本でも溥儀が同性愛者であったという論述があった。やはり有名な事実だったのか。『ラストエンペラー』ではすっぱり切ってあったもんな)。
 また、今ほど国際結婚が一般的でなかった時代なのに、中国人(満州人)に嫁ぐことに抵抗を持っていなかったということにも驚かされる。それは浩さんたちの身分から来る余裕のもちかたからなのだろうけど、ここまで寛容であるとは思わなかった。

 結婚と満州での暮らし、日中戦争へ向かう不安、そして脱出と夫との別離…。
日中戦争で被害を受けた多くの人々と同じように、浩さんも激動の数年を生きた。
 しかし、帰国して夫の釈放を待つ間、彼女と溥傑氏の間に生まれた大学生の長女が心中事件で命を落とす。この「天城山心中」については初めて知ったのだが、この本を読む限りはどうしても相手側のストーカー行為の果てにある無理心中としか思えない。しかし、これまたwikipediaをたどると、その長女は中国にいた溥傑氏に対して、付き合っていたという男性への思いを綴っていた手紙を送っていたということもあったらしいので、一般的には後者の理由を根拠とした情死であるというようにいわれているらしい。
 …それであっても、命を落とすまでしなくても、なんて安易に考えてしまうのはいけないだろうか。

 日中戦争や、その前後の出来事について書かれたノンフィクションは数多く出版されている。満州に夢と希望を抱いて移民したものの、土地の悪条件に苦しみながら開拓していった農民の話から、浩さんのような満州国の上部と関わっていた人々、そして当の軍人の話まで多数だ。
 この戦争から激化していく第二次世界大戦が終わって今年で65年。その記憶は風化しつつあるのだろうが、近隣諸国のもめごとが起こると幽霊のように現れてくる。
 たとえ自分に経験がないといっても、戦争なんて起こらないでほしいし、やってはいけない。そんな気持ちになる。だから、今まで避けてきた戦争関係のノンフィクションにちょっと気をつけながら見て行こうかな、と思っている。

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『香港路線バスの旅』小柳 淳

 香港に通い始めた頃は、もうとにかく街歩きが楽しくて、チムや港島方面を何度も往復して、観光地を出ることなくひたすら歩き倒していた。
 ここ5、6年、つまりやっとのことで渡港回数が10回を越えたあたりから、繁華街以外の香港の楽しみを覚え、相変わらずそこまで歩いていったものだが、気がつけば1日の歩数は3万歩を超え、なおかつ年齢からくる体力の衰えにより、へたばってしまうことが目立ってきた。せっかく交通費が日本より安いんだから、きちんと使いこなして楽しめばいいのにとつっこまれそうだけど、実はちゃんとバスに乗れるようになったのがここ2、3年のことである。
 さらに最近、香港を舞台にした小説を同人で書き始めたのだが、そうなると街の見方を必然的に観光客から居住者のそれにせざるを得なくなる。庶民目線で書くのなら、庶民の交通手段を把握しなくては、と、「香港街道地方指南」を傍らに置くようになり、昨年夏の取材旅行でもバス(時々地下鉄)に乗ってあちこち回っていた。それにも限界がある。どーしよう?
 そんなときに見つけたのが、昨年秋に発行されて香港好きの間で話題になっていた、この本だった。

 筆者には『香港路面電車の旅』の著書もある。一般的に言えば、いわゆる“乗りテツ”ですね(笑)。すみません。
 日本に比べて鉄道数は少ないものの、それをカバーする形で発達し、香港全市に交通網を張ったのがバス。狭い街ゆえ、よく渋滞に巻き込まれるけど、一度乗ると香港の街の様子がよくわかる。
 この本では、香港好きにはお馴染、城巴、新巴、九巴といった香港三大二階建てバスから、あまりに多すぎてどこに何が停まるのかわからない小巴(ミニバス)、あとは境界行きやネズミーランド行きのようなイレギュラーなバスまで、全部で30本のオススメ路線を紹介している。
 例えば、ネイザンロードを走る6Aはお馴染だが、いつも旺角周辺で降りてしまうので、終点まで行ったことがない。だけど、バスはライチーコックのほうまで走っていく。始発のチムから終点まで、実に丁寧に紹介されているので、今度行ったら終点まで乗りたいなあ…と思わせられる。
 チムや中環のターミナルに行き、見知らぬ地域の名が表示されているバスを見るたび、これはどういうところに行くのかなあ、と思うのだが、ワタシと同じような気持ちになった人は必ずこれを読んでいるんだろうな。
 最初のうちは、ここで紹介されている路線をそのまま走破してもいいけど、そのうち他の路線も乗ってみたくなることは確か。そんなふうにバスに乗って、自分なりの香港を発見できそうな気分だ。
 
 あと、個人的なことで申しわけないけど、次回の香港行きは家族と一緒に行く予定である。そのときにただありきたりの観光地を回るだけじゃ面白くないので、ここに出てきたバスに乗ってみたいと考えている。安上がりに観光できるしねー(笑)

 久々に香港への愛がわきたってきた1冊。こういう本ってありがたいわ。

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『武打星』今野 敏

  香港を舞台にした日本の小説は数多い。
 例を挙げれば、香港返還直前に発表されて話題を呼んだ服部真澄さんの『龍の契り』。…驚かれるかもしれないけど、実は読んでません。あとは、実際に香港好きな方が書かれたライトノベルやBLもの(これも読んでないよ、さすがに)もあるから、数えればきりがなさそうだよな。
 この小説も、そんな“香港もの”の1冊だけど、著者名を見てちょっと驚いた。
 今野敏さんって、もしかしてこの春『ハンチョウ』の題名で連ドラ化された『神南所安積班』の作者さんじゃないですか?警察小説の名手っていわれている方だよね?
 
 なんでも、今野さんは実際に空手塾を主宰する武道家でもあり、警察小説の他にも武道小説や格闘小説も執筆しているそうで、さらに李小龍先生を愛してやまない(from解説より推測)というだから、なるほど、これがThat's make senseってヤツね、と納得したのである。
 やっぱり、李小龍先生は男子の永遠の憧れなのねー。

 1970年代末。大学を卒業した青年、長岡誠は香港へやってきた。高校時代に李小龍の『燃えよドラゴン』と出会い、衝撃を受けた彼は、進学した大学で幼い頃より学んできた空手道にのめりこむようになる。就職を決められなかった誠は、空手を生かした職業に進みたいと思い、そこから香港でアクション俳優になることを決意し、渡港する。
 誠は大学の先輩で香港に住む関戸政夫を頼った。彼は日本人旅行客向けの観光ガイドをしているが、なぜか誠には頼られたくないという素振りを見せる。関戸のガイドツアーに便乗して、彼はショウブラザーズやゴールデンハーヴェストを訪れるが、話がかみ合わずにチャンスがつかめない。焦りながらも誠は九龍公園で空手のトレーニングを続けるが、そんな自分をいつも見つめる男がいるのに気づく。後に関戸に仕事を頼まれた誠は、キンバリーロードの日本風クラブでその男を見かけるが、男が一緒にいたのがマフィアだと勘付く。関戸が彼に頼んだ仕事は、日本人女性に荷物を届けることだったが、どうもそれは麻薬らしく、誠は関戸の影でヤバイ仕事に手を出していることを知る。
 ある日、誠のもとに、ゴールデンハーヴェストで出会った武術指導者のユン・シンから彼の監督作品への出演を依頼したいと連絡が来る。喜び勇んで会社に行くと、そこで自分を見つめていた例の男と出会い、驚く。その男、アレックス・チャンは俳優であり、この映画で武術指導を務めることになっていた。それが気になるところだが、ともかく、誠は契約をして出演が決定した。
 しかし、いざ撮影が始まると、誠には困難が続く。アレックスの、アクションに対する厳しい指導、彼にいつも突っかかってくる若者、ジョニー・マーとの確執、そして、撮影は激しいアクションを交えながらもその内容がほとんどポルノ映画同然であったこと…。もしかして、この映画を撮影している三羅影業公司は、実はマフィアの息のかかった映画会社なのではないか?自分に辛くあたるアレックスもまた、マフィアなのではないか?そんな疑念を抱きながら、誠は“武打星”としてデビュー作の過酷な撮影に挑んでいく…。
 
 ワタシは女子だから李小龍はガッツリと通っていないし、80年代後半以降現在までの香港映画に愛を持つ人間だけど、ジャンルは違えど香港映画に魅せられて、熱にうなされるように自分の道を突き進む誠の姿には共感できる。戸惑いながらも撮影にのめりこみ、実力を試すために散打大会に挑む誠。その姿が非常にリズミカルに描かれるので、すいすいと読めるのがいい。  
 日本とは全く違う香港映画の撮影スタイルや、香港人にとっての香港映画観やマフィアの位置付けなどもきちんと描かれているので違和感なく読めた。全く香港映画を知らない人はこれをどう受け止めたのかな。それがちょっと気になる次第。

 そこまでは非常にのれて、手に汗握りながら読んでいたんだけど、九龍城寨で繰り広げられるクライマックス(ネタバレになるのであえて書かず)の展開はもうちょっときっつくてもいいのにと思った。そう思うのはきっつい黒社会映画の見すぎ?そのへんがちょっと個人的には残念。いや、別にきっついのが好きってわけじゃないんだけどね。

 そんなこともあったから、多少厳しく読んでしまったけど、武打星としてのデビューを飾った誠が、80年代から現在の香港映画界でどう変わっていくのかという続編も読んでみたい気もする。案外、ハリウッドに行って武術指導者として活躍するようになったのかも。でもそうじゃないかな。

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『幸福(しあわせ)』周 麗淇

 ご存知の方も多いと思うけど、ワタクシこともとはしは関東出身で現在岩手在住。
東京までは新幹線で最短2時間半。台湾や香港へ行く飛行機よりも短い時間で都心まで出られるのは便利だけど、気軽に上京するには交通費があまりにも高い。そして、映画祭や舞台挨拶などのイベントに行くのにも時間がかかる。いくら輸送手段が高速化したとはいえ、まだまだ不便に感じることは多い。地域格差は広がるばかりだし、いつもぼやいているように、映画館での香港映画上映が減っちゃっているしね。

 そんな岩手を含む東北地方、旅行好きな香港人はここを訪れてくれるのだろうか。
やっぱしさ、トニーが何度も通うことでもわかるように、香港人が雪を見たいと思えば、北海道に行っちゃうんだよね。スキーは長野でも出来ちゃうんだよねー。
 お金を出さなきゃ観に行かなければいけない映画と違って、自宅で気楽に観られることから韓流ドラマはブームになったけど、ブームが去った今でも俳優たちは全国プロモーションにも抜かりなくてさ、気がつけばビョンが秋田でロケしたり、ぺ様が盛岡在住の韓国人漆芸家のもとを訪れて美術館の名誉艦長とかになっているんだよねー。ずるいよなー。

 いいかげん前振りはここまで。
海外どころか日本国内でも観光アピールが少ないと思われる東北地方だけど、今年の4月、TVBの企画でタレントのニキ・チャウがここを19日かけて旅をした。トニー迷には『ファイティングラブ』でトニーのゴージャスな恋人を演じた人といえば通じるかな?
 彼女が岩手に来ていたことは、新聞のローカルニュースに取り上げられていたので知っていたんだけど(その記事が見つからなかったー)、ワタシが香港を訪れている時に、その特番《櫻紅酔了》が放映されていた。親しみ深い風景が香港のテレビに映し出されるなんて思いもよらなかったよ。
 その特番の放映を知らぬ前、銅鑼湾の商務印書館でこの本を見つけた。おお、ニキったら岩手だけじゃなく、東北6県に加えて新潟も旅していたのね。そんなわけで読んでみた。

Niki025

 旅の始まりは、ワタシの地元岩手県。全43県の中で最も広い県であるんだけど、彼女は盛岡、北上、そして遠野を訪問。
 盛岡では、宮沢賢治の足跡を追い、歴史的建造物の岩手銀行中の橋支店(先にアップした記事で写っていたのがその建物)、岩手を象徴する桜である石割桜、そして賢治が生前に出した唯一の童話集の出版社「光原社」の跡地を訪れている。
 この光原社のある材木町、実はうちの職場の近くです。ここは確か8年前に、みちのく国際ミステリー映画祭のゲストとして来盛したミシェル・リーも訪れていて、当時「週刊朝日」のグラビアでそれを知ったワタシは、「ミ、ミシェルが近くにいたなんて!誰か教えてくれよー!」と悔しがったことを覚えている。
 光原社の中にある大きな梅の木は、彼女が訪れた頃にはまだ満開じゃなかったけど、盛岡から少し南下した北上では、北上川のほとりの桜並木が満開だった。ここは「展勝地」と呼ばれていて、県内でも屈指の桜の名所。
 北上からさらに山地に入ったところにある遠野。ここは『遠野物語』で有名な民話の里で、ワタシも個人的に気にいっている。民話以外にも、最近は高校サッカーやどぶろく特区などでも有名になっている街である。ニキは有名なカッパ渕や縁結びの卯子酉神社にも訪れているけど、ここでクローズアップされているのが、農業体験が出来る民宿「MILK INN 江川」での宿泊。こういう宿泊形態は香港ではほとんどないので珍しいし、自分の食するものがどう生まれてくるのか実際に出来る経験はやっぱり貴重だもんね。

 秋田では田沢湖で秋田犬と触れあい(今タイミングよくハリウッド版忠犬ハチ公が公開されているしね)、みちのくの小京都角館で和服を着て桜を見る。そして乳頭温泉郷で秘湯初体験。横手焼きそばって食べたことないな、食べてみたいな。
 山形では山寺を訪ね、酒田で芸妓さんの踊りを鑑賞。当然、《礼儀師之奏鳴曲(おくりびと)》のロケ地も訪問。最近、舞台となった鶴の湯の閉業が伝えられたので、なくなる前にここに足を運べたのは
ラッキーだったね。

ニキの旅の順番は岩手→山形→秋田→北上して青森だったらしいけど、ここでは春の雪も体験したみたい(とーほぐ人には珍しくないんだけど)。弘前では弘前城の桜を眺め、りんご園でりんごの木のオーナーになっていた(くどう果樹園に行けば、彼女所有の木が見られるぞ)。そして青森で海鮮市場を散策し、奥入瀬で大自然に触れる。

 驚いたのが宮城の旅。かつてドラゴン航空が仙台に就航していたことから、香港人にとっても「宮城=仙台(&松島?)」のイメージが強いのだろうけど、行ったところがなんと石巻と登米と鳴子!(仙台はスルーしたのかと思ったら、後のほうでちょっと寄ったらしい)
 石巻といえば海鮮とお寿司、そして石ノ森萬画館。ワタシは石ノ森章太郎の熱烈なファンなので、ここには何度か足を運んでは、いつも楽しんでいる。彼が原作を手がけた《再造人009(改造人第九号じゃないのか…)》《[巾蒙]面超人》、《小露寶》等のアニメや特撮ドラマの多くは香港でも放映されているので、当然香港人にも懐かしさを喚起させるのだろうなぁ。ところでニキ、003は女の子だからね。念のため。
 石巻の萬画館を訪ねたら、是非とも登米市の旧中田町にある石ノ森章太郎ふるさと記念館にも行ってもらえればよかったと思ったけど、同じ登米では旧登米町にある、まさに東北の明治村である登米明治村教育資料館、警察資料館を訪問。登米は車がないと行けないので、ちょっと行きにくいんだよねー。
 そして鳴子といえば温泉の他にこけし。もちろん、こけしの絵つけにもチャレンジしたようで。

 東北最後の旅は最南端の福島県。猪苗代湖や会津若松などのベーシックな旅と一緒に、老人ホームも訪問していた。香港でも町のあちこちで老人ホームの看板を見かけたけど、日本では郊外型のホームが多いから、珍しいのかな?
 会津若松から彼女が乗り込んだのが、SLばんえつ物語号。東北訪問の後に彼女が訪ねるのが新潟県。北東北から新潟に行くのは大変なんだけど、一般的に山形や福島を旅するときに、一緒に新潟も訪れることが多いそうで、そこから訪問したとのこと。訪問時にはチューリップや菜の花が満開だったよう。桜の花の満開とはまた違う味わいがあるよね。菜の花畑に「愛」と書いてあって感動したようだけど、日本では今、「愛」の字をモチーフとした武将が主役の時代劇が放映されているからね。

 そんな感じでむらのあるダイジェストになったけど(自分の知っているところしか書けないもん)、こういうふうに見てみると、東北地方にも魅力的なスポットはやっぱり多いんだな、と改めて思った次第。
 東北人はプロモーションが苦手と見られるらしいので、国内でもどーしてもマイナーな存在にされちゃうけど(それもあるから今年のこーこーやきゅーでうちの県の代表があれだけ注目されたのかも?)、日本はともかく香港でもこういうステキなところを紹介してもらっているのだから、東北各県の観光局の皆さーん、そのへんを積極的に打ち出して内外的にアピールしちゃっていいと思うよ。それで、韓国よりも香港や台湾方面への呼びかけを積極的に行おうよ(大陸はどーでもいい>こらこら)。そうすれば北海道大好きの某トニーが興味を示してくれて、あわよくば雫石にスキーしにきてくれるんじゃないかななんて期待しているんだけど。
 結局それが狙いかよとつっこまれそうなことを言いつつ、とりとめなく感想を終える次第。

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『ことりっぷ香港』やっとゲット~♪

 どーも、お久しぶりです。
 ネタがないというよりサボっていました。
 《類型論》の閲読も進んでいるけど、どーも抄訳をサボり気味だし、別のことに気を取られていて、とにかくサボってました。気がつけば返還の日を過ぎてしまったもんな…。

 さて、本blogの右上に出しているTwitterでも何度かつぶやきましたが、やっと本日、『ことりっぷ海外版・香港』を入手。

 国内で気楽に旅する女子のために考案されたオサレなガイドブック「ことりっぷ」
種類も豊富で旅好きもとはしも重宝しております。そこが海外版を作ってくれるとなれば、自然と期待があがるもの。

 内容としては、「裏グルメ」「旅」2月号「FRaU」5月号÷3といった感じで、特に目新しいところはないかな?という気もしないでもないけど、リピーターでも案外使いやすいのではないかな?これに「香港街道地方指南」を組み合わせれば、かばんの中は相当軽くなると思われるし。
 この夏は、これを持って香港へ行く女子が多いとみたがどーだ?

 で、実はワタシもこりずに夏香港しようかと計画中。
 このところ4泊以上で行っているけど、今回は短くなるかな?
 ちょっとした野望があって(今はちょっと言えないけど)、香港下町からペニンシュラ&マンダリンオリエンタルまでアップ&ダウンしたいと思っているのだ。
 今のところどうなるかわからないけど、とりあえず行きたくてしょうがないのよ。

 やっぱり香港は、そう簡単に足抜けできないアルよ(^_^)。

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