映画・テレビ

レイン・オブ・アサシン(2010/中国・香港・台湾)

「えー、またしても安直な英題そのまんまの邦題かよー(泣)」と最初に思ったこの『レイン・オブ・アサシン』というタイトル。しかし、よく見たら「Reign of assassins(刺客たちの時代)」となっており、原題は《剣雨》。ああ、なるほどね、RainもReignも発音は同じか。それなら、このタイトルしかありえないよな、と納得した次第。


 明朝の時代、犯罪組織「黒石」が、インドから渡ってきた達磨大師のミイラを狙い、時の宰相張海端を暗殺した。黒石で最強の刺客細雨(ケリー)は海端の息子人鳳(郭暁冬)と戦って彼を倒したが、首領である転輪王(王學圻)の元には戻らず、奪ったミイラを持ったまま行方をくらます。
 細雨は、少林寺で修業した武芸家陸竹(李宗翰)と出会い、彼に武芸を学びながらやがて愛するようになる。しかし、二人はある日対立して戦うことになり、細雨は陸竹を殺してしまう。彼を失ったことで刺客の道から足を洗おうと決意した細雨は、腕利きの李医師を訪ね、顔を整形する。
 過去を捨て、名前も曾静(ミシェル)と変えた彼女は都へ行き、蔡夫人(鮑起静)から部屋を借り、布雑貨を売って生計を立て始める。過去は誰にも明かさず、質素で穏やかな生活を過ごす曾静。そんな彼女の前に、配達人の阿生(ウソン)という男が現れる。ハンサムだけどどうも不器用な阿生は曾静に恋をして、なんとか思いを伝えようとするが、どうもうまくいかない。そんな彼のアプローチに気付いた曾静は、自分から阿生に告白し、めでたく結婚することになる。ボンクラだが気のいい阿生との夫婦生活に、これまで得られなかった幸せを感じる曾静。
 しかし、彼女の知らないところでは、ミイラを奪われた転輪王が激しく怒っていた。彼は部下である“彩戯師”(レオン・ダイ)、うどん屋を営む雷彬(ショーン)、そして新郎一家を暗殺した“血まみれの花嫁”綻青(大S)という3人の刺客を放ち、曾静の首と彼女の持つミイラを狙うのであった…。

 赤壁2部作に続くウーさんの最新作として伝えられ、2年前のヴェネチア映画祭でも特別招待作品として上映されているが、実際にはプロデューサーであり、演出はほとんど台湾のスー・チャオピン(『愛情霊薬BTS』『シルク』)が務めているらしいので、ウーさんらしさってのは作品からはあまり感じない。ま、宣伝には偽りありだけど、こういう呼び込みは伝統的なものだからね(笑)。
 でも、ウーさんが手がける武侠モノって考えれば、これはかなり珍しい作品なのではないだろうか。赤壁は武侠モノじゃないし、助監督時代には張徹監督の下でいくつか関わってきているのだろうから、全く初めてじゃないんだろうけどね。

 武侠ものは物語が荒唐無稽であるってのは覚悟しているので、どーゆー展開になってもいいぞと思ってた。ミシェル姐がアクションも恋愛ものもこなせるのは、『臥虎蔵龍』でわかっていたので別にいい。久々に観たウソンがハンサムなのに途中までボンクラなのも構わない。大Sがせっかくのお色気要員なのに、脱ぎが中途半端だったり、妙に鉄輪王に迫りまくるのにも違和感は覚えない。だけど鉄輪王…。あんなに仰々しい犯罪組織を作っておきながら、オマエの願望がそんなのかよ!とツッコミたくなったのは、きっとワタシだけではないだろーなー。あ、阿生の正体はちょっと読めた感があったから、そこはつっこまないようにしていた(笑)。

 でも、なかなか良いお年頃のミシェル姐に恋物語を持っていくのも悪くはないよなあ。相手役がウソンなので若すぎるんちゃう?と思ったけど、意外と釣り合っていたもんね。
 ところで最近、ウォンビンやドンゴンなど、キャリアを重ねた大韓明星を再評価している。ウソンもその一人。ボンクラボンクラいいながらも、やっぱええ男だなーって思ったよ。昔の韓流ブームの時の彼らの扱われ方は、言い方は悪いけどひどかったと思うもの。今のブームも好きじゃないけど、歳を重ねるとさすがにいい男になるもんね。…それでも、惚れることは絶対ない。断言する。
 そうそう、それでもウソン以上によかったのはショーン&立忍さん。特に立忍さんのキレっぷりは最高だった。よっ、台湾の大魔術師!

 なんのかの言いつつも、ごっちゃ混ぜ感たっぷりな武侠電影が公開されたのも、ひとえにウーさんプロデュースのおかげかもね。今後は彼に本格的にキレまくった武侠電影の監督を期待してもいいかなー…とか言っちゃうのは、やっぱり危険かなー(苦笑)。 

原題:剣雨
製作:ジョン・ウー&テレンス・チャン 監督&脚本:スー・チャオピン アクション監督:スティーブン・トン・ワイ 衣装:ワダエミ 撮影:ホーレス・ウォン 音楽:ピーター・カム
出演:ミシェル・ヨー チョン・ウソン ワン・シュエチー バービー・スー ショーン・ユー レオン・ダイ パウ・ヘイチン グオ・シャオドン 

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《那些年,我們一起追的女孩》(2011/台湾)

 ちょうど台湾を旅していた頃、海峡を隔てた香港では、ある記録の更新が話題になり、年をまたぐ前に、驚くべき記録が生まれた。
これまで『カンフーハッスル』が持っていた香港地区の中華電影の興行収入記録を、なんと台湾映画に打ち破られたというものだ。制作・配給会社こそ大手(20世紀フォックス&ソニー)で、『流星花園』のアンジー・チャイ女史が製作総指揮を務めているが、キャストは無名、監督は台湾育ちの人気ネット作家。そんな派手なのか地味なのかよくわからないが(失礼)、台湾だけでなく香港の映画好きにも大いに支持されたのが、『あの頃、君を追いかけた』(リンク先は公式FB)であった。


  1990年代、台湾の西側にある地方都市の彰化。ここにある中高一貫の私立共学校で、主人公のコートン(柯騰/コー・チェントン)は、親友の3人の男子学生と一緒に馬鹿騒ぎをして青春を謳歌していた。ある日、悪友と授業中にどれだけ早く自分を満足させられるか競っていたコートンは、大馬鹿なことにそれを担任に見つかってしまう。以前からコートンたちのやんちゃぶりに手を焼いていた担任は、クラスで一番優秀で真面目な女生徒佳宜(ミシェル・チェン)に、授業中でのコートンたちの監視役を命ずる。彼の後ろに席を換えた佳宜は、事あるごとに背中をペンで突っついてくるので、コートンは彼女が鬱陶しかった。
そんな日々が続いたある時、クラスで盗難事件が起こる。担任は、生徒の誰かが犯人だと言い、強制的に持ち物検査をさせようとするが、佳宜はそれに激しく反対する。それを見てとっさに彼女をかばうコートンたち。その一件以来、彼女と彼らの距離が縮まり、コートンと佳宜はお互いに思いを寄せるようになる。
しかし、高中の生活はあっという間にすぎてしまう。コートンの仲間たちはそれぞれの進路のためにバラバラになり、コートン自身は彰化にほど近い新竹の理系大学へ、佳宜は台湾の師範大学へと進学する。進学当初は電話のやりとりをして思いを確かめていた二人だが、だんだん気持ちがすれ違っていき…。

 と、あらすじを8割方まともに書いてみたが、実際はかなり笑える展開である。
なんせねえ、ティーンエイジャー男子の馬鹿っぽさ全開ですから。この年代の男子が3人そろえば、エロくなるのはお約束。エロくなるから、教室の一番後ろで○慰競争に興じちゃうのもお約束(こらこら!笑)。そして、自宅では裸族なのもお約束(これは『毎日かあさん』を思い出したなあ)。

 とは言っても、エロいシモネタ満載から楽しいわけじゃない。日本映画ではこれくらいのシモネタをやるのはクドカンや三池さんの映画くらいだけど(ドラマもそうだけどね)、シモネタはあくまでも映画の隠し味であって、本当は男子的な馬鹿さから見た恋愛と青春がテーマである(と思う)。中高生当時、付き合っていようとそうでなかろうと、こういう馬鹿な男子が恋をした瞬間というのをだれもが目にしていたんじゃないだろうかなあ。

 そんな男子を愛せるか否か、というのが女子の課題である(笑)。
佳宜の真面目さは、人によっては「いい子ぶってる」と思わせられるんだろうけど、当時、まさに「いい子ぶってる」と思われたワタシなので、なんだか気持はわかるのだ。だから、いきなりバカなことをやりだしてどん引きしちゃう気持ちもわかるのだ。少女マンガのような恋はやっぱりありえない。こっちこそが恋愛のリアルってもんよ(と、知ったかぶりしてみる)。

 思春期において、女子はえらく成長するもんだけど、男子はいつまでたっても馬鹿である。下手をすると成人しても馬鹿である。そんな姿勢に貫かれているから、いろんな人々の共感を呼び、台湾や香港で大ウケしたんじゃないかなー、なんて思ってみたりする。
 そんな感じでまとめてみたい。

 できれば、もう一度観たいなあ。TIFFで観られなかったので、日本語字幕じゃなかったのがちょっとマイナスだったし、けらけら笑って観たことだけど、なんせ一人貸し切り状態だったもんで。日本公開が難しいという話も聞くけど、セカチュー系ともケータイ小説系とも違う、リアルなアジアの青春映画は、意外とウケるんじゃないかとも思うんだけどねえ。もちろん、若者じゃなくて、昔若者だった人を対象にしてもいいんだからねえ。

英題:You are the apple of my eye
製作総指揮:アンジー・チャイ 監督&脚本:ギデンズ 編集:トゥー・ドゥーチー
出演:コー・チェントン ミシェル・チェン ハオ・シャオウェン

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funkin'for HONGKONG的十大電影2011

 …いやもう、今年は洋画や邦画もだけど、ホントに映画を観られない年だった。
震災があったのが一番大きかったけど、本業でちょっとした事務局仕事を任されちゃったからねえ。それでもう疲労困憊しちゃって、買ってきたVCDも消化できてないし。東京や大阪ではやっと香港映画の劇場公開が復活しつつあるというのに、うちみたいな田舎にはまだまだその波はこない。いや、来ないで終わりそうな悪寒、もとい予感大。

 とはいえ、年明けには『新少林寺』『孔子の教え』が来る。だから希望はまだ捨てられないし、この冬は仕事さえ落ち着けば夜にVCDを観る時間もきっと取れるだろうから、映画を諦めたわけじゃございませんよ。そんなわけで、鑑賞本数は少ないものの、なんとか10本は見つくろったので、10位からカウントダウン行ってみませう。

 10 《跳出去》

  なんとこの映画、『ジャンプ ~上海ドリーム~』というタイトルで、iTunes storeにて販売&レンタル中。コロムビア映画だったからこそ、こういう形で公開できるのだろうけど、劇場にもかからず、DVDでも観られないのは惜しい気がする。ステ×星仔という中華電影界きっての悪ノリクリエイター(しかもイケメン。笑)がコンビを組んだ楽しい作品だからこそ、そう思ったのであった。

  9 出エジプト記

 今年はついにパン・ホーチョン作品が日本で初めて劇場公開された。それは大いに喜ばしいことなのだが、なんでそれがよりによって『ドリーム・ホーム』…(泣)。
 ま、この映画もサスペンスフルだったり見方によってはホラーっぽかったりもするんだけど、いくらドリームホームが受けたからって、頼むからホーチョンにホラーのオファーなんか送るのはやめてくれ。とりあえず新作《春嬌與志明》の公開は楽しみにしている。そして早く北京から香港へ戻っておいで、ホーチョンよぉ。

  8 香港四重奏二部作

 個人的なことを書いちゃうけど、来年夏までは香港に行けなさそうなんだよね。仕事が立て込んでいたり、引越しの計画をしているので。香港熱が落ちているわけじゃないけど、行けないとモチベーションが確実に下がりそう。そんな時に観るのなら、これくらいのショートフィルムがちょうどいいかもしれない。
 で、これまたどーでもいい個人的なことなんだけど、もしⅡの方に日本人監督を起用するならば、是枝裕和監督にお願いしたかった次第。即興演出で10分くらい、香港の一般の人々を使った物語を作ってくれそう。まあ、アピチャッポンみたいなのには(強制終了)。 

  7 海洋天堂

 涙よりも優しさを、悲しみよりも思いやりを。そんなことを言ってくれているような、ステキな小品。リンチェイ自らが出演を懇願しただけあって、そんじょそこらの泣ける映画と一緒にしちゃいけない。人間関係で苛立つことが多かったこのごろ、これをもう一度見直してもいいかなと思った次第。

  6 奪命金

 うう、これももう一度観たいよぉ。…だってあのときは(以下省略)。
 それはともかく、心配なのは、もしこの映画の日本公開が決まっても、フィルメックスで上映された香港映画は盛岡まで来たためしがないというジンクスがあるために、やってくれても来てくれるかどうかという保証がないのである。ああ、未だに恨んでいますよ、《放・逐》をやってくれなかったことにはね。

  5 モンガに散る

 このタイトルにはやっぱり許せないものがあるのだが、海角七号が消化不良であっても、こちらで大いに満足したからよしとする。鮮烈で痛くて苦い、戒厳令末期の80年代台北。そこはワタシの知らない世界だっただけに(もしかして先に留学した先輩は体験したのかもしれないけどね)、そこにたたずむイーサンの姿も共に刻み込まれた。

  4 台北の朝、僕は恋をする

 とかなんとか上で熱弁をふるっておきながら、同じ台湾映画でも実はこっちの方が好きだったりする。夜の街が持つミラクルさに、ギュッと掴まれちゃったもんでね。こうして日本公開作品を観ると、台湾映画も魅力的な作品が多いから、もっと日本で上映してほしいもんだ。TIFFで評判だった『あの頃、君を追いかけた』、青春ものであっても、若者向け限定じゃなくても十分売れると思うよ。だからさー、日本上映を決めようよ、どこかの配給会社さ
んさ。

  3 イップ・マン 葉問

  2 イップ・マン 序章

 ええ、はい、このへんはもう説明しなくてもいいんじゃないかって気もしますし、いろいろと後述します。そして、《一代宗師》にはこれに負けて欲しくないと思ってます、はい。

  1 孫文の義士団

 …まあ、今年観た映画の量と質を考えれば、これがぶっちぎりの1位になっちゃいましたわね。昨年のベスト10にいれなくて本当によかった(葉問入れちゃったけど、気にしないで。笑)大河ドラマ+超絶アクション、2時間15分があっという間の娯楽作。某辛亥革命よりも、これを全国一斉ロードショーにしてほしかったよ、ホントに!

 では、毎年恒例の個人賞へ。

 

主演男優賞:ドニー・イェン(孫文の義士団、葉問2部作)

 もう今年は完全に「イヤー・オブ・ザ・ド兄さん」だったよねえ。映画館でよく会う先輩同僚が職場でド兄さんの話をしていたのには驚かされたもの。『処刑剣』まで来たのには驚きましたよ。《精武風雲》がこっちまで来るかどうかはわからないけど、せめて《武侠》の日本公開決定の暁には、こっちまで来てほしい…。

 

主演女優賞:アンバー・クオ(台北の朝、僕は恋をする)

 作品自体の出来もよかったけど、やっぱりアンバーちゃんはかわいかった。もうこれだけで主演女優賞決めちゃいました。いいんです、独断と偏見で(笑)。

 

助演男優賞:ウェン・ジャン(海洋天堂)

 新人賞にしてもいいかなーと思ったけど、年齢的な面と、今後の活躍も期待できそうなので、この賞を。やっぱり名前がユニークだ、文章くん。

 

助演女優賞:グイ・ルンメイ(海洋天堂)

 ルンメイのはかなさはいろいろ応用が効く感じがする。『密告・者』の彼女は痛々しくも魅力的だったけど、この映画の彼女のちょっとさびしげな感じもまたよかった。結局好きなんだな、ルンメイが(笑)。

 

新人賞:トー・ユーハン(葉問2部作、香港四重奏、1911
      イーサン・ルアン(モンガに散る)

 今年は男優の当たり年でもあったかな。香港でも大陸でも着実にキャリアを積んでいるので、早いところ当たり役が観てみたい杜宇航、そういえば高良健吾くんにも雰囲気が似ているような(この映画限定だろうか?)イーサン、文章くんとあわせて、今後が楽しみ。

 

監督賞:ニウ・チェンザー(モンガに散る)

 そして最後が監督賞。あははは、豆導(でよかったっけ、愛称?)でしたね。ユニクロのモデルにもなってしまう監督、いつでもイケイケでいてくださいませ。

 とまあ、こんな感じにまとまりました。はい、来年は頑張って中華電影を観ることにします。VCD未見の山も崩していかないと、きりがないもんね。

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サンザシの樹の下で(2010/中国)

 『奪命金』の時に書いたが、ある個人(だいたい監督)をブランド化したり、得意ジャンルで決めつけるのがどーもダメになってきている。トーさんだったら「ノワール」、ウーさんだったら「バイオレンス」、王家衛だったら「遅筆」…じゃなかった「オサレ」って感じで。
 で、これがイーモウだったら「初恋」とか「純真」とか「美少女」。…そう、代表としてあげられるのが『初恋のきた道』。…えーと、すいません、いい映画だと思うけど、好きじゃありません、イーモウ作品としては。それよりも、2000年代の大味な大作乱発でかえって親近感増したんだけど、こんなワタシはやっぱおかしいかね。早いところ『女と銃と荒野の麺屋』を観たいんだけど、やっぱり来ないかなあ…。

 で、『サンザシの樹の下で』である。
 この路線は、もう言うまでもなく初恋路線ですよねえ。もうそれ自体で構えちゃってすいません。そんな気分で観ちゃってたので邪念ありまくりな感想になりそうですいません、と先に謝っておきますよ。

 文革中期、1970年代初頭の中国。下放された高校生静秋(周冬雨)は、住み込んだ村長(李雪健)宅で「老三」と呼ばれて家族同然に扱われている孫(ショーン・ドウ)と出会う。二人はお互いに惹かれあうようになり、静秋の下放期間が終わっても、孫は彼女の住む町まで会いに来ていた。
 しかし、静秋の両親は反革命分子として扱われ、父親は投獄され、母親(シー・メイチュアン)は労働改造を受けていた。高校卒業後、静秋も高校を卒業して、やっとのことで教職を得て、母親や弟達を支えるために働いていたのだが、母親に迷惑をかけたくないので、こっそりと逢い引きをしていた。それもつかの間、やがては母親にその恋を知られることとなる。母親は孫に娘と付き合わないでほしいと頼み、彼はそれを受け入れる。しかし、静秋の思いは募るばかり。思い切って下放先の村に行ったのであるが、そこで孫が入院したことを知る…。

 観終わって思った。「これは中国のセカチューか?」と思ったら、公式サイトのイントロダクションにそう書いてあった。…いずこも同じなのね、若者が好むのは。いや、アジア人だからこそのメンタリティなのかもしれないけど。

 なんかねー、文革がバックグラウンドにあるので、必然的に重くなるのはわかるのだけど、昔のイーモウならもっとへヴィにやるんじゃないかなって思ったので、その頃と比べて文革の扱いが軽くないか?というのが。いや、重くても困るんだけどね。文革の扱いは大陸でもデリケートになってしまうから、どうしてもこうなってしまうのかしら。気になったのはそんなところ。

 ヒロインの周冬雨ちゃんは、わりと癖のある感じの少女。というか薄倖顔ですね。※意見には個人差があります。イーモウ映画のヒロインはみんな癖があるけど、その中で一番好きなのは童潔だったりする…あ、でもイーモウと組んだのはこれ1作だけだったか。
 ところでイーモウ映画で起用されるスター以外の男どもは、若ければ若いほどええ男度が下がっていくような気がするのだが(オッサンなら姜文や孫紅雷など、ええ味出した系がわんさかおるのに)、今回のショーン・ドウくん(大陸生まれだがカナダ育ちなので英語名を持っているらしい)が珍しくあかぬけてて、それなりにええ男でビックリした。しかし、ええ男なのであんな仕打ちを受け…って以下強制終了だな。

 ま、久々に観たイーモウ映画だけど、先に書いたような大味で好き勝手やってる彼が好きな身としては、誰にでも(特に良心的な映画ファン?)好まれそうなこの路線は、はっきりいっても言わなくても物足りないのであった。さて、次回作は初の欧米人主演、そして南京事件をテーマにした作品だけど、はたしてどういう出来になるもんだろうか。楽しみ半分不安半分。

原題(&英題):山楂樹之戀(Under the hawthorn tree)
監督:チャン・イーモウ 製作:ビル・コン 脚本:イン・リーチュアン 撮影:チャオ・シャオティン
出演:チョウ・ドンユイ ショーン・ドウ シー・メイチュアン リー・シュエチエン 

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奪命金(2011/香港)

 ヴェネチア映画祭を皮切りに、現在世界各地の映画祭をサーキットしている我らがジョニー・トー親分の最新作《奪命金》。 珍しく女性ヴォーカルをフィーチャーした予告編(この記事にのっけてます)では、なんとなくあらすじが読みとりにくかった。まあ、いつものトーさんとはきっと違うのだろうな、という感じはしたし、クロージング後の公式上映で流れたトーさんの直撮りメッセージでも「アプローチを変えてます」的なことは言っていたからね。 

 金のいざこざで男が隣人を刺した事件に直行した刑事チョン(リッチー)。なんとかことを収めて署に戻ろうとすると、妻のコニー(マイオリー・フー)が新しいアパートを買うと連絡してきたため、渋々出かけていく。
 一方、とある銀行。金融商品営業担当のテレサ(デニス)は意地悪な上司(ステファニー・チェー)にハッパをかけられ、リスクの高い投資信託商品を売ることになる。彼女は最初の顧客のチェンおばさんを説得してなんとか商品を売りつけた。その後にやってきた高利貸しのチョンさんは何か焦っているような感じで口座の解約を申し出た。しかし、彼は全財産の半分を持って去って行った。携帯電話を置き忘れていたのに気づいたテレサは急いで彼の後を追うが、駐車場にたどり着いた彼女が見たものは、車の中で血まみれになって死んでいるチョンだった…。
 そして、黒社会で誕生会の集金などのカネ回り関係を引き受けているチンピラのパウ(ラウちん)。昔気質で気のいい彼は仲間の金のトラブルを手伝ってやることになったのだが…。

 なんかあらすじを書いているだけでわけがわかんなくなっているのだが、それは観てから1週間経ってしまっているからってこともあるのだが、もっと簡単な要約をすれば、主要登場人物が金に翻弄されているってことにつきる。うーむ、世の中は金だ。金が悲劇を生む…ってまたそのセリフかよ、オレ。
 ついこの間まで経済には疎かったのに、そんなワタシが「世の中は金だー!」とかなんとか叫び出したのは、明らかにこのシリーズをネタにしたドラマにハマったわけなんですけど、2年前、この小説を映画化したものを観た2カ月後に、香港で《竊聽風雲》を観たところ、改めて、香港が日本以上に庶民と金の距離が近いということを感じさせられたものであった…と、当たり前のことを言ってしまって非常にスマン。

 庶民の生活と世界経済は直結している。それは香港でなくても日本も同じ。だけど香港人の金に対する考え方は、日本より切実である。それは今まで作られた香港映画にも常に描かれてきた。『ラブソング』でもそうだったしね。非常に危うい基盤の上に立っている彼らが頼れるのはやはりカネであるから、なんだろうな。それでもエンターテインメントの材料としては興味深い。《竊聽風雲》も事件の背景には株式があったわけだしね。だから、多少理解不足があったとはいえ、ワタシは楽しんで観た次第。
 キャストも安心して見られる方々ばかり。林雪やヤムヤムが出ていなくても、どこかにいそうな感じがある。今回は初参加という人も少なくなかったんじゃないかな?そして一番意外で面白かったのがテレ(笑)。

 確かに、この映画にバイオレンスはないし、人はあまり死なないし(おいおい)、ノワールものではない。でも、トーさんは決してノワールだけの人ではない。ワイ・カーファイとのコンビで見せるクレイジーなコメディも魅力だし、《文雀》のクラシックで洗練されたストーリーテリングもいい。もちろん、全てがいいわけじゃなくて、多少アレな作品だってある(なんだかは言わないけど)から、トーさんだからなんでもいいってわけじゃない。
 なんで急にこんなことを言いだしたかというと、最近トーさんが人気があるのはわかるけど、なんだかそれがノワールだからという決めつけだったり、彼の名前がブランド化してしまっているように感じたからだ。香港電影迷だけでなく、コアな映画ファンにも名前が知られるようになったのは嬉しいんだけど、それでもまだまだ知名度は低いよなって感じがして。それはこういう見方があるんじゃないかって気がしたからだ。

 できれば、いや、この映画は絶対日本で一般公開してほしい。そして、配給&宣伝してくれる側には、トーさんは決してノワールだけの人じゃないわけということを紹介してほしいと思うのだ。
 …と、ここまで書いてふと気付いたのだが、そういえばうちの街って、今までフィルメックスで上映されてから一般公開が決まった香港映画って1本も上映されてなかった気がする。ああ、もうその時点でダメじゃんかよー(泣)。

英題:Life without principle
監督:ジョニー・トー
出演:ラウ・チンワン リッチー・レン デニス・ホー マイオリー・ウー チョン・シウファイ ン・チーホン テレンス・イン

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1911(2011/中国)

 混沌とした現代日本はよく幕末に例えられる。決してそんなわけないじゃんとは思うのだが、TVドラマで龍馬や坂の上の雲を観ると、幕末から明治まで、すなわち19世紀後半から20世紀初頭までの日本と世界の情勢とはこんなに興味深いものなのだと再認識することができる。
 その坂の上の時代からひと息おくと、清朝の落日と近代中国の混沌が始まる。もちろん、同じくNHKで放映されていた『蒼穹の昴』も面白く観た次第。原作とはひと味違うところもあったしね。

 その清朝末期から民国成立までの激動の歴史の中核にあるのは、もちろん辛亥革命。
この『1911』の原題は、そのものズバリ《辛亥革命》。ちょうど100年にして中華民国暦100年でもある今年だから、中国からこういう映画が出てくるのは予想できた。しかし成龍さんが作るとはなあ…。ここ10年でますます大陸向きにシフトしてきたわけだから、不思議ではないか。

 成龍さんが演じた黄興はこんな人(とWikipediaを引いてみる)。最初は孫文でもやるのか?と思ったけど、今やすっかり孫文俳優と化したウィンストン・チャオがいるので、この役になるのはこれまた当然といえば当然か。しかしワタシは中国語学科卒で、ちゃんと中国史を受講しているのに、黄興のことなんか全然知らなかったという大馬鹿者である。
 ワタシでさえそーなんだから、一般ピーポーなんてもっとわからんのかもしれない。それを見越してか、赤壁二部作にならってか、オープニングの前にオリジナルの解説が流されたのだが…当たり前すぎることばかりで意味がなかったような。
 最初に登場したのは秋瑾(寧静)。女性革命家として彼女が処刑されたところから物語は始まるのだが、このネタでも充分映画にはなるよなあ。そこから海外と清国内と別れて行動する孫文と黄興へとつながってくる。マレーシアで若き闘士たちと決意を固める二人、そして徐宗漢(李冰冰)との出会い、そして黄花崗の蜂起と失敗へと進んでいく。このエピソードはかなり力を入れて描かれるのだが、前途ある若者の死が悼まれるというより、どー考えても黄興の負けまくり戦歴の序章としか思えないのは気のせいか?戦闘シーンもアクションシーンもふんだんってわけじゃないし、ジェイシーも杜宇航もちょっとしか出ないし、焦点がボケたまんま革命を迎える。
 それであっても、孫文の苦悩と決意の描き方はさすがと思ったし、滅び行く運命にある清朝を支える皇太后(陳冲)のそれも印象的だったなあ。歴史ドラマの部分も悪くなかったけど、やっぱり盛り込みすぎて中途半端な印象をうけた。やっぱり『孫文の義士団』はいい出来の作品だったんだなあ、とこれまた最確認したよ。

 うちの方では残念ながら吹替版でしか上映がなく、選択の余地がないのでそれを観た。石丸さん始め、ほとんどがベテラン声優で構成されたのはよかったのだが、やっぱり李冰冰の声の某女優が浮いてる…。一緒に観た朋友曰く、某女優は代表作ドラマでのスーパーウーマンっぷりが印象深いから、そのイメージで起用されたんじゃないの?とのことだけど、そもそもなぜ彼女を起用?というのが大いなる謎。一方、李小龍先生と同じくらい成龍さんを崇拝するしょこたんだけど、彼女はもともとポケモン映画版などでよく声優しているし、演技もイケるから心配しなくても無問題だったわ。

 日本では「ジャッキー・チェン出演100作記念」とか喧伝されていたけど、実際は100作じゃないんだっけ。確かに辛亥革命ものとして売るよりはこっちのほうが派手だけど、それでよかったのかな?現在主要都市で上映中の『新少林寺』(我が地元では来年1月公開予定)はアンディ&ニコの映画だけど、…これも成龍さん推しなんだっけ。なんだかそ(強制終了)。

 あー、早いところ観たいのお、アンディ&ニコの『新少林寺』。時代はこの映画のラストの頃から始まるというし。

 (蛇足)そうそう、実は夏から『ラスト・エンペラー』(エドワード・ベア)を読んでました。いろんな邪魔が入って読破できてないんだけど、できればこれを読み終わってから観に行きたかったもんだ。もちろん、それを底本としたあの映画も再見したい気分だったし。清朝末期~民国成立ものは、いずれいい機会にまとめて観たいものだ。

原題&英題:辛亥革命(1911 Revolution)
監督:チャン・リー 総監督&出演:ジャッキー・チェン
出演:ウィンストン・チャオ リー・ビンビン フー・ゴー ジェイシー・チェン トー・ユーハン チアン・ウー ニン・チン ジョアン・チェン

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香港四重奏(2010/香港)&香港四重奏Ⅱ(2011/香港)

 昨年春に香港へ渡った時、HKIFFのプログラムに掲載されていて気になっていた『香港四重奏』。題名通り、4作のオムニバス。詳細はもにかるさんこと水田菜穂さんのblogでも紹介されているけど、こういう映画は一般公開で観る機会ってあんまりない。今年のTIFFでは、最新作の続編と合わせて上映してくれたので、これはどんな作品であっても観なきゃ!と思い、平日に休みを取って上京した次第。

「もち米炒飯」
 幼いころ、少年は近所の路地で屋台をやっているおばあちゃんの作るもち米炒飯が食べたくてしょうがなかったけど、行くたびに小銭が足りず、悔しい思いをしていた。
 ある日、定価分の5セントを払って、少年はもち米炒飯を買うことができたのだが、違法の摘発を受け、おばあちゃんの屋台は没収されてしまった。
 それから20年以上が過ぎた現代。成長した青年(杜宇航)は飲茶レストランの蓮香居でもち米炒飯を注文する。それをぺろりと平らげると、店員に10食分のテイクアウトを頼む。あきれる店員。
 それから数日後、青年はあの路地にテーブルを出し、自らもち米炒飯を作り始める…。

 古くは『インファナル・デイズ』『人肉饅頭』『ロンリーウルフ』『愛は波の彼方に』、最近は《性工作者十日談》《Laughing gor之変節》など、長いキャリアと多産を誇るハーマンさん。日本でいえば誰に当たる?SABUあたりかな?堤幸彦とか言ったら思いっきり否定されそうだな(苦笑)
 もち米炒飯って食べたことあるかな?揚州炒飯や蓮の葉おこわくらいは食べるけど、多分ないはず。観た時間が時間だから、しょっぱなからなんてお腹のすく話を!今度行ったら絶対食べる、と思った人は多数だろうなあ。
 香港の魅力は高級グルメよりやっぱり街角フード。それに加えてノスタルジックな裏町(ロケはおそらく《歳月神偸》と同じ永利街)とくれば、もうぐっと胸を掴まれっぱなし。蓮香居にやってきた買い物に血眼な大陸女性を皮肉っぽく描写したり、青年がおばあちゃんの遺志を継ぐように街角に立ち、昔と変わらぬ値段でお客の少女に炒飯を売ったり(でも支払いは八達通!)するラストが粋でかわいい。葉問2部作に登場した杜宇航の青年もナチュラルでよかった。
 ハーマンさんの作品はロンリーウルフしか観てないけど、前回の旅行で《Laughing gor》を買っているので、近日鑑賞することにしよう。

英題&原題:Fried Glutinous Rice(生炒糯米飯)
監督:ハーマン・ヤオ 出演:トー・ユーハン

「レッドアース」
 世界中を飛び回る華人カメラマン(彦祖)は、機内で出会った女性と香港のグランドハイアットで一緒に夕日を見る約束をした。ハイアットのスイートに部屋を取り、約束の時間にくる彼女を待つ彼。しかし、いつまでたっても彼女はこない。それでも彼女を待つ彼だが、不思議なことに夕日も落ちず、空は赤いままだった。やがて電波障害が起き、携帯電話が使えないことを知る。その原因は大気中の放射線の値が異常に上昇したことからだった…。
 陽の落ちない異常な毎日の中、それでもただただホテルで彼女を待つ彼。10日、20日、60日経っても彼女はこない。ある日、彼女がやってきたのを知った彼は逃げた彼女を追ってホテル中を駆け巡る。
 ついに放射線量が低下して電波障害が解消され、夜が戻ってきた。香港中の人々は夜にもかかわらずどんちゃん騒ぎ。しかし、その喜びもつかの間、今度は電力がすべてストップし、気温も急低下する。生命の危機を感じながら、彼はカメラのバッテリーが切れるまでシャッターを切り続ける…。

 アジアンビートシリーズの《秋月》や、RIKIYAのデビュー作《The Goddess of 1976》など、日本がらみの作品が多い割にはなぜかメジャーに紹介されないクララさんの監督作。もちろんこれが初見。グランドハイアットをメインロケ地に、全編ほぼスチール写真のショットで構成されたアーティスティックな作り。彦祖の役がカメラマンということもあり、彼の英語の語りで進行する。
 近未来SF+ロマンティックな恋愛ものという作りだけど、放射線云々や誰もいない香港の風景には、どうしても先の大震災や原発事故がかぶってしまう…。これは去年作られた作品だから予言でも何でもないんだけど、あれがなければまた違ったんだろうな。

英題&原題:Red Earth(赤地)
監督:クララ・ロー 出演:ダニエル・ウー

「恋は偏屈」
 太子に降り立ち、彼女に電話をかけて待ち合わせをする男(徐天佑)。尖沙岨でぐでんぐでんに酔っぱらい、彼氏に電話を試みる女(ケイト・ヨン)。二人とも、恋人になかなか会えずに九龍の夜の街をさまよっていく…。

 物語はこれだけ。でも、ありふれた香港の夜が美しく撮れていて、とっても魅力的な作品。いや、それ以前に香港であっても東京であっても、夜の光景が美しく魅力的に撮れている作品が好きだったりするんだ、実は。昨年観た日本映画『鍵がない』をなぜか思い出していたなあ(参考としてこちらを)。
徐天佑といえば元Shineで、相方は昨年のTIFF上映作品に出まくっていた黄又南。
 監督のヘイワードさんは、『恋の紫煙』の脚本も書いている若手の女性監督。これまた前回の香港行きで監督作《前度》を買っているので、これも観るー。

英題&原題:We Might as Well be Strangers(偏偏)
監督:ヘイワード・マック 出演:チョイ・ティンヤウ ケイト・ヨン

「黄色いサンダル」
 香港で生まれて9歳まで育ち、母の死により外国の親類に引き取られた章漫肉(ジョーイ・タン)が、久々に故郷に戻ってきた。彼は香港映画が大好きだった亡き母を追想する。
 章には父親がいなかった。母は毎日のように幼い彼を映画館に連れて行った。彼女曰く、父親は映画の中にいると。章は李小龍や周潤發、成龍を父親だと思うが、それは違うらしい。母は自らを女優と言うが、街の人々はそんな彼女を気が触れていると言って相手にしなかった。そんな母はある日、章の体に頭を預けたまま、映画館で亡くなった。
 香港に帰還した彼は、山のように香港映画のソフトを買い、自分の父親を探し始める。ふと、生家の近所の雑誌スタンドで母の履いていた黄色いサンダルを見つけた彼は、スタンドのオヤジから真実を聞く。彼女は本当に女優で、かつて劉徳華と共演したことを一番喜んでいたという。章はそのサンダルを買い求め、それを劉徳華に渡す…。

 『メイド・イン・ホンコン』で鮮烈なデビューをしておきながら、最近は大陸の仕事が多くてなんかガッカリだったフルーツさん。ゴルァフルーツ!オマエは香港映画の希望の星じゃなかったのか!大陸で金稼いでなんで本拠地で映画作らねーんだ!とまで言いかけたことがあったが、そんな彼が久々に帰ってきた。…それもアニメで。なんでアニメ(笑)。まあ、引用した映画の著作権云々の問題があったからだろうと考えたいけど。
 そんな作りでも内容はストレートな香港映画讃歌。主人公の名前なんてもうニヤリとさせられちゃいますからね。最近の香港映画の状況を思えば、この作品で言及された作品群のようなパワーがまた戻ってきてほしいとは思うんだけど…。つーかそれと共に、早く香港映画に戻ってきなさい、フルーツさん(苦笑)。

英題&原題:The Yellow Slipper(黄色拖鞋)
監督:フルーツ・チャン 出演:ジョーイ・タン

ベテランから若手まで、香港人監督で構成された前作から一転し、今年作られた『香港四重奏Ⅱ』は東南アジアの監督3人+大御所のスタンリーさんで構成。

「パープル」
 香港郊外の漁村で暮らす、妻を亡くしたフィリピン出身の老漁師。高層アパートに住むフィリピン系の少年。漁師は死んだ妻の声を聞きながら九龍でショッピングを楽しみ、少年はガールフレンドに電話をしながら街に出る。彼らはともに、花を買い求める。愛する人のために…。

 ブリランテ・メンドーサ?フィリピン映画に明るくないのは当然だし、初耳だなーと思ってググったら、2年前のカンヌで監督賞を獲った『キナタイ』の人かあ。アイディアや構成は「恋は偏屈」と同じなので、印象が薄かった。愛の形を描いたいい作品なんだけどね。惜しい。

英題&原題:Purple(紫)
監督:ブリランテ・メンドーサ 出演:レネ・ドゥリアン

「機密洩れ」
 キャリーバッグを引きずって、マレーシアから香港にやってきた怪しい男と、香港警察と共にそれを追うマレーシア警察。男は不機嫌な女性二人が経営する安ホテルに投宿する。明らかに怪しい男の周囲を探る二人は男の部屋に入り込む。そこで二人が見たものは?そして、男はいったい何をしでかしていたのか?

 中華系マレーシア人のホー・ユーハン監督(『心の魔』)が、全編モノクロで撮った香港的サスペンス映画…のはずが、なんと意外な展開に。怪しい男をめぐる事件の顛末はいかにも香港の社会現象にありがちで笑える。でも、ちょっと惜しいかなと思うところも多少。ホー監督には今後香港でもどんどん作品を撮ってもらいたいなー。そうすればなかなか観られないマレーシア映画に触れる機会も増えそうだもの。
 この作品には再び徐天佑登場。意外とモテてるな、天佑。

英題&原題:Open Verdict(天機洩)
監督:ホー・ユーハン 出演:クララ・ワイ チョイ・ティンヤウ

「Mホテル」
 街中のMホテルに投宿した二人の若いタイ人。彼らは室内でカメラを回し、窓際で戯れる。それを見つめているのは、室内に置かれていた水槽の中の魚…。

 幻想的な珠玉の名作『ブンミおじさんの森』で、昨年のカンヌにてパルムドールを獲得したアピチャッポン。最近は河瀬直美さんの呼びかけによる3分11秒の短編「3.11 a sense of home films」にも参加している。
 この夏観たブンミおじさんはステキな作品で、それなりに好きなんだけど、だけど…。感想はこれしか言えん。
 …辛い!からいじゃなくて、つらい!

英題&原題:M Hotel(M酒店)
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン 出演:チャイシリ・ジワランサン

「上河図(じょうがず)」
 昨年の上海万博で公開された、デジタル加工された宋代の書画「上河図」。それが香港の展覧館で公開され、各地からツアーが組まれた。そのツアーに参加した青衣の団地の主婦二人、大陸からやってきたお坊ちゃん&お嬢ちゃん3人組、作家らしき男(林家棟)が空港経由青衣方面のバスに乗り合わせた。空港からはスケジュールをミスった韓国人ミュージシャン朴(テレ)と日本人マネージャー(葉山豪)が乗り込み、バスの中はますます賑やかに。おばちゃん二人は観てきた絵について語り合い、坊ちゃんたちは英語のできる香港人を嫌味に思い、金儲けの話に興じる。男はそれらの話を聞き、思い浮かんだ言葉をスマートフォンのメモに書き留める…。

 二部作の掉尾を飾るのは大ベテランのスタンリーさん。久々に香港に帰ってきた彼が切り取る風景は、たった13分間の乗り合いバスの旅。カートンやテレをサラッと画面に馴染ませ、大陸坊ちゃんズ&典型的郊外のおばちゃんズとアンサンブルを奏でる。乗り合わせた人々の人生を短い時間に描きだし、いい味わいを染みださせる。テレが名前からして韓国人なのに、英語でしゃべる彼を見て「香港人って英語しゃべってて気障ー」とか言っちゃう坊ちゃんたちがいかにもって感じ。そして、さりげなく重大な話題を切り出すおばちゃんも印象深い。これぞまさしく、現代香港の「上河図」なんだろうな。

英題&原題:13 Minutes in the Lives of...(上河圖)
監督:スタンリー・クワン 出演:ラム・カートン テレンス・イン 葉山 豪

 以上、8作品の感想でした。この中でベスト3を挙げるとしたら、3位が「恋は偏屈」、2位が「上河図」、そして1位が「もち米炒飯」だな。次点は「機密漏れ」。
 ところで2には「外の人から見た香港」というテーマもあったみたいで、東南アジア各地の3監督が招かれたみたいだけど、それは成功していたのかな?そして、もし日本人監督がこの企画に招かれるとしたら、誰に撮ってもらいたいかなあ。ちょっと考えてみるか。

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処刑剣(2010/香港)

 いやー、このところのド兄さんの大進撃はすごい。まさか盛岡でも立て続けに4本も彼の主演作が上映されるとは思わなかったもの。当地はこのところ香港電影の上映が不遇だったから、なおさら彼のすごさを思っちゃうよ。我が職場の映画大好き同僚もどうも葉問二部作がきっかけで彼にハマったようで、孫文が上映されたとき、劇場で見かけたのにビックリしたもの。あとはもーちょっとトーさんがブレイクしてくれれば…って贅沢言ってるかオレ?

 ってそれはともかく、そんなド兄さんの風が吹かなければ公開されなかったんだろーなーと思ったのが、この『処刑剣』。実は東京で公開されていた頃はほとんどノーマークでした。だって、監督がダニエル・リー…ワタシとかなり相性の悪い(爆)。ま、これについては以前も書いているから、繰り返しになっちゃうんだけどさ。

 明代に実在したという王家直属の秘密警察「錦衣衛」。彼らは厳格に法を守る一方、反体制派をことごとく抹殺する暗殺集団であった。彼らは幼いころに拉致され、剣を持たされて互いに戦い合い、生き残ってきた者が選ばれてきた。その中でも最も優れた者が指揮官に選ばれ、「青龍」の称号が与えられた。
 その錦衣衛の頭に立つ青龍(ド兄さん)は、宦官の賈(羅家英)から密命をおび、帝の重臣・趙の持つ箱を奪いに行くが、そこで賈と同僚の玄武(チー・ユーウー)の罠にはめられる。彼らは追放された親王(サモハン)の側につき、謀反を起こそうとしていた。
 無実の罪を着せられ、都を追われた青龍がたどり着いたのは、店じまいをしようとしていた正義鏢局。彼はこのキャラバンに紛れ込んで辺境の都を目指すが、彼が錦衣衛であることが発覚したために棟梁の喬永(午馬)は仕事を拒否する。そこで彼は棟梁の娘の喬花(ヴィッキー)を拉致して逃亡する。その逃避行で花は青龍にほのかな恋心を抱き始める。彼らは山賊集団の「砂漠の判事」(呉尊)の協力も得て、真相に迫ろうとするのだが、親王の義理の娘脱脱(ケイト)が刺客として彼らを追っていた…。

 錦衣衛については、公式サイトにも解説があるのでこちらもリンクを。
笑傲江湖好きとしては鏢局が登場してくれたのが嬉しかったけど、「護送屋」と翻訳されてコケました(笑)。まーねー、日本語の漢字に「鏢」がないからね。この字もうまく出るかどうかわからないのだけど。
 さて、これはどこまで史実を使っているのだろうか?ダニエルさんといえば思い出すアンディ版三国志では「おいおい~、史実とは違うとはいえ、そうするかー?」などと言いたくなったもんだけどね。

 さて、ダニエルさんの映画といえば、いつも言っていることを繰り返すけども、アクションが迫力あって素晴らしい。かつて特に名を秘す某映画(後で出てくると思うけど)ではド兄さん自身がアクション指導をしたということもあり、正統派でどんどん見せるのがいい。
 このままアクションで押し通してくれればいいのにねー、なんて期待していると、突然ラブロマンスが乱入して膝から力が抜ける。んー、どうしてダニエルさんはいつもこうなんだ、星月とかスターランナーとか。って両方とも恋愛メインじゃん(笑)。しかもその恋愛パートがどうも居心地悪くてねえ。もっとも今回のヒロインであるヴィッキーは両作品のヒロインよりはずーっと感情移入しやすかったり、かわいいんだけどね。

 で、我らがド兄さん。うーん、今回はナルな俺様路線でしたな。
葉問や孫文のエモーショナルで抑え気味の演技がステキで、しゅてきしゅてきー♪と、柄にもなくのだめっぽくなりながら観ていたわけなんだが、青龍はちとお腹にもたれる(笑)。なんとなくフロックコート+和服のような錦衣衛の制服に、またこれかよーな麦わら帽子型帽子(こらこら)は違和感ありながらも見られるけど、ヒゲが…、そしてムキムキな裸体が…。
 いや、まーねー、ド兄さんが脱ぎたがるのは知ってたんだけど、細マッチョがりそうなんだよねー。もっとも長髪は個人的にオッケイです。なんせワタシ、ド兄さんといえば一番好きなのが『英雄』の長空なもんで。

 今回初めて見た呉尊@飛輪海、いやーカッコいいっすねー。長身でシュッとしてて。でもホレないのは言うまでもないよ。これもいつもながらのことだ。もっと香港電影にでももまれてほしいもんだけど、どうだろうね。脱脱を演じていたケイト・チョイ…すまん、最初は彼女だとは気づかなかった。ホントにスマン。

 さて、まだまだ続く怒涛のド兄さん祭り。東京ではいよいよ明日から『レジェンド・オブ・フィスト』が上映されるそうなのだが、劇場情報をチェックすると、11月に仙台での上映が決まっているから、きっと冬あたりに観ることができそうだな…。

原題&英題:錦衣衛(14blades)
監督:ダニエル・リー
出演:ドニー・イェン ヴィッキー・チャオ ウーズン ケイト・チョイ チー・ユーウー ロー・カーイン ウー・マ サモ・ハン・キンポー

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シャンハイ(アメリカ/2010)

 毎日jp.映画ページでお馴染みの、紀平重成さんの銀幕閑話の数週前のコラムに、こんな一文があった。

ところで上海が舞台となる作品が相次いでいる。戦前の中国ということになると、抗日やスパイものなど歴史上の舞台として、どうしても上海が取り上げ られやすくなることは十分に理解できる。しかしややもすると“魔都”のイメージに引きずられるのか、ダンスや歌で華やかに彩られる高級クラブのシーンもたびたび登場する。

 「上海を描くと、その作品は大体失敗する」という中国人監督のユニークな分析を人づてに聞いたことがある。“魔都”のなせる技であろうか。いつかその説を検証してみたい。

 …ふーむ。確かにこれまで、中華電影でも数多の上海ものがあったけど、何がよかったかなあ。『色、戒』くらいか?意見には個人差があります。
 振り返って中華圏以外でも上海を舞台にした映画って意外とある。日本でいえば織田アニキの『T.R.Y.』(なぜいきなりこれを思い出したかといえば後述)、米国でいえばインディの2作目。もっともインディはオープニング部分だけだから違うか。
 そんなことをつらつら思いながら、米国で作られた上海映画、そのものずばり『シャンハイ』を観た。ちなみに中文題は《諜海風雲》…だったっけ?

 1941年。海軍から諜報員に転身したポール・ソームズ(ジョン・キューザック)は、大学時代からの親友であり、同じく諜報員となったコナーと上海で落ち合う予定だったが、コナーは日本租界で死体となって発見された。コナーは上海三合会のボス、アンソニー・ラン・ティン(ユンファ)を追っていた。上海ヘラルドの新聞記者に身をやつし、ドイツ領事館のパーティーに潜りこんでアンソニーと会ったポールは、彼の妻アンナ(コン・リー)を見て驚く。彼はアンナとカジノで出会い、勝負をして負けていたのであった。そして、彼は日本軍の大佐タナカ(謙さん)とも出会う。アンソニーはタナカと通じていたのであった。さらにアンナは、実は抗日ゲリラのメンバーであり、南京事件で政治家の父を失ったところ自分を助けてくれたアンソニーと結婚したのであった。ポールはそんなアンナにひかれていく。
 そして、日本領事館に潜りこんでいる諜報員から、ポールは驚きの事実を知る。コナーは日本人の娼婦スミコ(凛子)を通じて、タナカが握っていた極秘情報を入手していたのだ。それが明らかになった時、日本軍は真珠湾を攻撃し、上海は日本軍の占領下におかれる…。

 結論から言いますか。

 ユンファ超かっこいい~♪謙さんにも勝ってる(謙さん迷の方ごめんなさい)。
でも、映画自体は21世紀の『カサブランカ』を目指しながら、見事に失敗してる。
なんとも、もったいない映画だった。

 そもそもアンソニーが英語名だったのはいいとして、いったい「ラン」と「ティン」のどっちが名字なの?と最大のツッコミをしたいのだが、やっぱりユンファは香港や上海の暗黒街で暗躍して、拳銃ぶっ放してくれりゃもういうことなしですから、って安易ですいません。まあねえ、これまで米国や大陸の映画で観てきたユンファの役どころには不完全燃焼でしたからねえ、香港時代を思い出しますよ。ニコッとほほ笑んでくれるしね。
 しかし、役どころが漢奸ですか…。『色、戒』の易さんと同じか…。かつてドラマ版上海灘で、抗日ゲリラの許文強を演じていた(でもこれは観ていない)ってことを思えば、日本軍を襲撃しそうな感じもするんだけど(笑)。
 そのユンファと対応する男、日本軍のタナカこと謙さん。二人並ぶと麗しいなあ。どっちが年上だったっけか?善玉でも悪役でも、やっぱり軍人役は似合うよなあ。でもうっかり前述の『T.R.Y.』を思い出してしまったのは内緒だ。
 ま、よかったのはそれくらいか。後は、コン・リーは…、それ以上に凛子は…(泣)。で、主役って誰だっけ?ユンファだよね?と、ジョン・キューザック迷をいらつかせる発言しちゃってごめんなさい。

 で、それ以上に頭を抱えたのはストーリー展開。なんつーか、説明不足なところも多いし、それぞれの立ち位置もわかりにくい。諜報員としてのポールも、漢奸としてのアンソニーも、ゲリラとしてのアンナも、軍人としてのタナカも。こういう戦争時代の物語には必要な善悪もはっきりさせず、まさに混沌としたまま。勧善懲悪はハリウッド作品のお手のものなのに、珍しいもんだ。そのかわり、フォーフォーや葉問や精武風雲で日本人が思いっきり悪役にされているのだから、それでバランスが取れて…ってそんなこと自分で言うなよ、オレ(泣)。

 で、結論として、こういう映画が成り立つのなら、同じ時代の上海を舞台にした傑作マンガ『南京路に花吹雪』も映画化できるんじゃないか?ということでtwitterの中華クラスタで盛り上がったのであった。

 

 中華趣味的には、やっぱり主人公の一人、黄子満はニコだよねー♪と概ね同意だったんだけど、中華以外の方には反対されたり。ま、いろんな思い入れがあるもんね。これ、ワタシも実家にあるんだけど、久々に読み直したくなったなあ。そしたらここで感想も書けるし。でも、中古書店で探して買った方が早いかな?

 そんなわけで、とっ散らかった感想になったのでした。
まー、このやる気のなさで、つまりは面白くなかったってことがわかっていただけるかと。
ホント、すんません(苦笑)。

中文題:諜海風雲
監督:ミカエル・ハフストローム 脚本:ホセイン・アマニ ピアノ演奏:ラン・ラン
出演:ジョン・キューザック チョウ・ユンファ コン・リー フランカ・ポテンテ 菊地凛子 デヴィッド・モース 渡辺 謙

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あれは~あれは~、あれはボクらのパンダマン~♪

 今回の題名の元ネタ、わかる人いるだろうか…。

 さて、今週から新しい仮面ライダーが始まった。(この時点ではまだ観てないのでなんとも言えまへん)
 以前からも書いている通り、ワタクシはええ歳して特撮ドラマ好きだし、ここでもピーターが出演したファイズの劇場版(今読み返してて誤記を見つけたが、訂正してる時間はないわ…)やショウブラ製作のインフラマンの感想を書いているくらい。あ、ネタとして何度か取りあげたゲキレンジャーの、香港でロケしたという銀幕版はまだ未見。レンタルで借りてくるかなー>をい。

 そんなわけでライダーの新シリーズが始まったタイミングに合わせ(嘘)、『パンダマン』をレンタルで借り始めた。リンク先は日本で初めての放映である、ホームドラマチャンネルの番組紹介サイト。
 これは、ジェイが企画&総監督を務めているTVドラマで、主演は現在メンバーが2人となった南拳媽媽の宇豪と弾頭。ジェイ自身ももちろん出演。
 で、前置きの通り、これはなんと特撮ドラマ。以前から「ジェイは仮面ライダーみたいなヒーローものをやるべき」と言っていたので(本人の出演作としては『グリーン・ホーネット』で実現)、3年前にこのドラマを作るという発表がなされたときには、ビックリしつつ喜んだものだった。


 西暦2030年、未来都市・光明。仮面をかぶった強盗を追い詰めていた李奥警部(リ・アオ/ジェイ)の前に、パンダの仮面をかぶったライダー・熊猫超人(スーパーパンダ)が現れ、強盗たちを鮮やかに倒していった。李奥は15年前に起こった、動物の覆面の男たちが引き起こした事件を追っており、それには謎の暗黒組織、狂天集団が絡んでいた。
 ところ変わって光明の名門音楽学校。ここで講師をしている潘達(パン・ダ/宇豪)は、天才的なピアノの腕を持っているのに、遅刻の常習犯でいつもふまじめ。代理講師を頼んでいる同僚の小雨(ジェジー・ジャン)にほのかな思いを寄せているのだが、どうもやることなすこと裏目に出てしまう小人物。しかし、彼にはもう二つの顔があった。ひとつは大富豪・潘一族の跡取り息子、もうひとつは熊猫超人…。
 同じ市内の動物園で飼育員をしている南介(ナンジエ/弾頭)は、ビンボーだけど明朗快活で正義感にあふれる好青年。夜になると彼は、アジトにしている地下の配管で街中の監視カメラの映像を眺め、体を鍛えながら自ら覆面とプロテクターを作り上げる。彼のもう一つの名は熊猫侠(パンダキッド)…。
 はたして、狂天軍団のたくらむ世界征服計画とは?李奥の追う未解決事件の真相とは?潘達に秘められた過去とは?李奥・熊猫超人・熊猫侠の3人が出会う時、それは明らかになる…(はず)。

 

 とりあえず第1巻(1&2話)を鑑賞。…いやあ、楽しいじゃないか!気にいったぞオレは!
邦題がなぜ「近未来熊猫ライダー」?「近未来仮面パンダマン」でええやん、なんて思ってたら、しょっぱなから赤いマフリャーなびかせて上海(ロケ地)のビルの屋上に立ち、Jay Chouのロゴ入り(!)バイクにまたがって颯爽と登場する熊猫超人の姿を観て大いに納得。そしてアクションは気合入りまくり。きゃー、かっこええやーん♪特撮場面は、まーねー、東映や美國のアメコミ映画と比べちゃうとほほえましいレベルだけど、中華圏ならではのガチなバトルを繰り広げてくれているから許す!>うわー、甘っ。

 熊猫超人の中の人である宇豪演じる潘達くん。…きゃー、メガネ男子だよん。そんでもってヨワヨワで不真面目でドジっ子だよ、これは変身(笑)前の姿としては非常に好ましい。しかもヒーローのくせに嫉妬深くて結構ズルイ。でもやることなすこと裏目に出る。もうそれがかわいい。こういうギャップがあるからこそ、ヒーローとしてのメリハリがでていいよね。
 観た時点ではまだ登場していない、弾頭演じる熊猫侠こと南介の方が、日本のヒーローものの主人公っぽい感じ。ビンボーだけど(笑)。相変わらずの二の腕もよきかな。
 潘達の同僚にして思い人の小雨。演じるジェシー・ジャン(江雨晨)、実は初めて見た。キャラの性格付けは平成ライダーシリーズのヒロインっぽい。勝気だけどフェミニンって感じの子。ついでに常に髪がなびいている、なぜか。今のところ潘達の片思いっぽいんだけど、エンドタイトルで流される映像だと相思相愛になる予定、というか、きっと熊猫超人本人に恋しちゃう展開なんだろうね。お約束で。

 ジェイ率いる警察の皆さん。ジェイが勤務中でもニット帽をかぶっているのはまあこれもお約束。部下はどっかで見たことあるような、と思ったら浪花兄弟だったのか。そして同僚がジェリー!しかもむちゃくちゃカッコええ!彼って苦手だわーってずっと思っていたけど、まさかこれで見直すとは!しゅてきしゅてき~♪…でも惚れないけどな(爆)
 対して、敵方の狂天集団の皆さんは…どこか台湾ヤクザ風(笑)。こりゃーある意味すげぇぜ。えーと、ガンホンもこのメンツだよな?>をいをい聞くなよ。そのメンツにどっかで見たことのある輩が…と思ったら、ショーンでよかったらしい。さすが、人脈の広いジェイ。この軍団からは、まずは幹部の北斗とその兄貴分のウルフ(これがガンホンだそーです>追記)が暗躍を始める。もう最初っからバシバシと戦ってくれるのは嬉しいよ。
 後はこれから登場するエリックとっつぁんも楽しみだ。とかなんとか言いつつキャスティングをすべて把握できてないのが惜しいなあ。誰か教えてー(こらこら)。

 まーねー、ジェイはあくまでも脇役だし、日本では当たるのが難しいヒーローものではあるんだけど、南拳の二人はかわいいし、東映特撮ドラマへのオマージュも感じるし、子供たちにもわかりやすい設定と展開なので、面白くないって行っちゃもったいない気もするのよね。好き嫌いは分かれるんだろうなー。
 いや、好む人が少なくても、ワタシはとにかくこういう突拍子もない展開の特撮ドラマは大好物!だから、全力で観て楽しむよ!

 じゃ、そーゆーことで!また感想書くぜ、よろしくな!シュッ〆←なんかいろんなものが混ざってる(笑)。

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