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宋家の三姉妹(1997/香港・日本)

 古今東西の名作映画を1日1回全国各地の劇場で上映する企画「午前十時の映画祭」
開始当初はハリウッドクラシックが中心で、アジア映画もキアロスタミくらいしかなかったのだが、昨年は『覇王別姫』を1週間上映してくれたので、夏に時間を作って観に行った。これに続いてもっと中華電影やってくれないかしら?と思っていたら、今年はこの『宋家の三姉妹』がラインナップに加わった。ほう、懐かしい。…でもあまり思い入れがない作品だな。
 メイベルさんなら一番好きなのは、やっぱり『誰かがあなたを愛してる』なんだけど、なぜこれ?と思ったら、東京での上映館が岩波ホールで、98年の初上映時には大ヒット&ロングランを記録したそうだとか…ふーん。

 観に行ったのだが、オープニングクレジットにあのフジテレビの名前があってビックリ。これ、日本人スタッフがいたり日本ロケがあったりで合作扱いになっているのは知っていたけど、まさか富士電視台が関わっていたなんて夢にも思っていなかった!ゴールデンハーベスト製作だから、てっきりアミューズもかんでいたんじゃないかとか思ったのに!(でもメイベルさんのこの次の作品『玻璃の城』はゴールデンアミューズ製作作品。アミューズにまだ上映権があるらしくて日本で観られるとのこと)


宣教師から実業家となり、国一番の富豪となったチャーリー宋(姜文)と妻の桂珍(エレイン・ジン)の間に生まれた子供たちのうち、長女の靄齢(ミシェル)慶齢(マギー)美齢(ヴィヴィアン・ウー)の三姉妹の前半生を描いた物語。清朝末期に少女期を過ごし、新しい中国の成立を説く父や彼が支援していた革命家の孫文(ウィンストン・チャオ)の活動を目にして育ってきた彼女たちは、西洋式の教育を受け、10代のうちに3人とも米国に留学した。
 新中国成立後、靄齢は銀行家の孔祥熙(牛振華)と結婚。姉を引き継いで孫文の秘書となって亡命先の日本に同行した慶齢は、親と同じくらいの年齢の孫文と愛し合うようになる。しかし父の猛反対に遭い、東京で結婚式を行った。美齢は国民党で頭角を現していた
蒋介石(呉興国)と結婚する。中華民国の第1党となった国民党は、北伐を経て実験を握ったが、共産主義者からの抵抗を受けたため、彼らの弾圧に乗り出した。共産主義者との共存を目指していた孫文の遺志に反すると危惧した慶齢は蒋介石を激しく避難し、国民党から離党する。慶齢は美齢とも激しく対立するようになる。
 国共内戦は激しさを増すが、その合間に日本軍が侵攻し、事態は泥沼化する。そこで国民党は国共合作を実施し、一致団結して日本軍と戦うことを決意する。仲違いしていた三姉妹も協力して各地を慰問し、「宋家の三姉妹」は抗日運動のシンボルとなる…。

 確かに物語はダイジェスト感たっぷりだったし、日中戦争後から再びの国共内戦、そして国民党の台湾撤退と三姉妹のその後を観たかった気はするのだが、それでも完成度が高いのに、90年代香港映画の質の高さを実感した。多少事実とは違うようではあっても、あらすじは客観的で広平な視点で描かれているし、孫文が亡命していた日本でのロケも多数で、それも実に効果的かつ変には扱われてないのもいい。90年代から香港映画での仕事が増えたワダエミさんの衣装も安定の素敵さで、かつ余計な日本人キャストがいないのがいい。これがアジアンコラボの理想の一つでもある。90年代中盤は、アミューズが手がけた『南京の基督』や『Kitchen』であったり、こういう成功があってのいい感じの日港合作があって、これが返還後の香港映画でスタンダードになってくれたらなあ、と思ったのだけど…ええ、そうはならなかったのは残念。ゴールデンハーベストも、今や映画製作も行っていないものね。でも、まだこの時代背景で、日本にも合作の余裕があったからこそよかったのかもしれない。ここ10年ほどの中国映画におけるこの時代の扱われ方を見ると、今の時点でこういう作品を作るのはきっと難しいのだろうなと思ったし。

 安定感があって、威厳も芯の強さもはまり役だったマギーはいいとして、当時はアクション女優としての評価が高かったミシェル姐が靄齢を演じるというのはかなりビックリだったんじゃないだろうか。でも歴史の渦に巻き込まれて対立する二人の妹をしっかり支える役どころとしては安心して観られる役どころだったし、アクションも変わらずなわけだし、数年後にはアウンサンスーチーまで演じることになるのだからね(笑)。
 当初はこの二人にブリジットかチェリーを交えて三姉妹とするという話も昔聞いたことがあるのだが、二人とも引退直後だったので、『ラストエンペラー』に出演後はハリウッドで活躍していたヴィヴィアン・ウーに話が行ったんだっけ。三姉妹の中では一番アメリカナイズされていて語学に長けていたという設定にはハマっていたと思う。まあ、それくらいか。最近はTVドラマのほうで活躍しているみたいだね。
 あと、姜文さんは昔から老け顔だったなあとか、ウィンストンが孫文を演じたのはこれが初めてだっけかとか(最近の当たり役は中華な五郎ちゃんでお馴染みの《孤獨的美食家》ですな)、清朝末期から宋家に仕える使用人コンビが割と面白いんだけど、最後のほうあまり出番がなかったなあとかあれこれ思った次第。

それにしても午前十時、覇王別姫の次にまさかこれが来るとは思いもよらなかったですわ。初映時には(当時の)中高年女性から熱い支持を受けていたというのも選択理由なのかなと思ったりするのですが(私事ながら、我が母上も今回の再映を楽しみにしていて、地元シネコンに観に行ったそうですよ)、来年も何か1本中華電影が入ってほしいと思っております。そうだねー、一番やってほしいのはもちろん『悲情城市』。あと『ロアン・リンユィ』もかかってくれると嬉しいなあ。今からデジタル化できればいいんだけど、どうでしょうか? 

原題:宋家皇朝
監督:メイベル・チャン 脚本:アレックス・ロー 撮影:アーサー・ウォン 美術:ジェームズ・レオン&エディ・マー 音楽:喜多郎&ランディ・ミラー 衣装:ワダエミ 
出演:マギー・チャン ミシェル・ヨー ヴィヴィアン・ウー ウィンストン・チャオ ウー・シングオ エレイン・ジン チアン・ウェン

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