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カンフー・ジャングル(2014/香港)

 友人から教えてもらったのだが、現在公開中の『図書館戦争』の主演、岡田准一氏(以下諸事情により「園長」と呼ぶ。根拠はこれ)が、雑誌プラスアクトでのインタビューで、なんとド兄さんについて熱く語っていたという。まままマジですか園長!と叫ぶ我…って裏が取れなくてすんまそん。書店で雑誌を見つけられなかったんですよ。
 まあ園長は某事務所きっての武闘派だから、宇宙最強ド兄さんもチェックしていて当然なんだろうけど、こうやって名前を出してくれたのは嬉しいし、影響の大きい人に語ってもらえるのもいいよなーと思った次第。でもどうして全国順次公開で、我が北とーほぐまで映画が来ないのかしらね?不思議よねー。

 という毎度ながらの愚痴は止めといて、TIFF上京のついでに『カンフー・ジャングル』を観てきましたよ。


 警察にやってきて、「カンフーで人を殺した」と告げた血まみれの拳の男、夏侯武(ド兄さん)。逮捕されて、刑務所で服役した3年後、尖沙咀のトンネルで南拳王の称号を持つ殺された事件が起こる。ニュース番組でそれを観た武は、捜査を担当する陸玄心警部(チャーリー)へのコンタクトを求め、所内でひと暴れする。それを知って刑務所にやってきた陸警部に、彼は即時仮釈放を条件に捜査協力を申し出る。佛山出身の武はもと警察の武術教官であり、南拳王が拳で殴り殺されていたという事実から、ある仮説を導き出す。まず拳、次は腿、そして擒拿、武器…。南拳王が殺されても、連続殺人は続く、と。
 彼の予想通り、「北腿王」の名を持つ芸術家の譚(釋延能)、「擒拿王」である旺角の刺青師王(ユー・カン)、屋台を営む陳(姜大衛)から「武器王」の名を受け継いだアクションスターの洪葉(ルイス・ファン)が次々と殺されていく。現場に残された武器から、この連続殺人には脚の長さが違う武術家・封于修(王寶強)には関わっていることがわかる。しかも、封はかつて武に弟子入りを願ったことから面識があったが、武はそれを隠していた。一門の名のもとにかつて人を殺してしまった武と、ハンディキャップと悲しい過去を背負いつつ当代の武林の猛者たちを倒していった封。二人の決戦がついに火蓋を切った!

 「一個人の武林」という題名はなかなかに詩的であるなと思ってたら、最初に観たティーザーで「カンフーは殺人技だ…」というフレーズが飛び出し(上に挙げた予告にも登場)、飛び散る血とともに結構戦々恐々とさせられた。えーこれまさか、サイコなアクションものなのですか?
 ええ、それはもちろん杞憂でしたわ。人を殺せるほどの力を持ちながら、それを使わない強い意志と、その封印を破らざるを得なくなるほどに彼に迫る強大な危機。おお、これは見事にるろけんですな!ってまたかよーと言われるくらい引き合いに出しますけど、アレ(ワタシが言うと映画版限定になっちゃうけど)もまた戦いや力に対して普遍的なメッセージがあるし、武侠映画や武林ものにも通じるからね。
 ド兄さん演じる夏侯武(この複姓は三国志の登場人物を思い出しますな)が立ち向かう相手、封于修は大胆不敵にして不気味。演じる王寶強がファニーフェイスである分、なおさら不気味。しかも、妻を失ったことでコントロールが失われているので(その真相もまた壮絶)、一歩間違えれば非常にサイコ。ただ、そこまで追い込まれることはなく、すれすれを走りながらも見せるのはあくまでも強烈で素晴らしいアクション。ド兄さんだけでなく、元彬さんとトンワイさんという二大アクションコリオグラファーも起用してのアクションシーンは堂々として観ていてワクワクする。ひたすらアクションを楽しむには言うことなしであった。
 『孫文の義士団』に続いてド兄さんとタッグを組んだテディさんの演出も大いに見ごたえあり。アクションもドラマもバランスがよく、過去作品では『パープルストーム』も好きなので、相性のいい監督。尖沙咀、旺角、中環と香港の街ナカで数々の戦いが沸き起こり、最終決戦が深夜の高速道路という驚愕のセッティングが心憎い。通る車はみな大型トレーラーだから、ハラハラ感は2倍どころか4倍だしね。

 ド兄さんは宇宙最強なので何も言わないけど(逃げてスマン)、敵役が王寶強ってのは、彼を『罪の手ざわり』でほぼ初めて知った身としては驚きものだった。あの映画での彼は寡黙で次々と悪事を働く男だったけど、少林寺出身って知らなかったもの。それならばあの壮絶なアクションにも説得力はあるし見応えあるわけだよ。『激戦』にも出てたらしいけど、全く覚えてないぞ。あんなに特徴的な容貌なのに。うーむ。
 最近良く顔を見る白冰小姐は足で…じゃなくてちゃんと戦えるからよしとするか。ド兄さんのお相手役としても適してたしね。チャーリー&中信さんは警察にいるとわりと安定感ある(笑)。封が倒していくカンフーの王者たちの面々はこれまたすごい人たちばかりだしね。あと姜大衛さんやブルース・ローさん、オレたちのデレク(・クォック)さんなどのそうそうたるカメオ出演も嬉しいし、香港のアクション映画を支えた人々を紹介したエンドロールも愛を感じて嬉しくなった。彼らもまた、闘いながら現在の隆盛を作り上げていった人々だし、だからこそアクション映画を楽しく観られるわけだしね。

 次回作はいよいよの《葉問3》だし、谷垣さんの師匠筋としても紹介されるようになったし、これだけド兄さんの知名度が上がってきているのに、主演映画の上映規模が狭いのはやっぱり惜しい。毎度言うけど、るろけんの激烈アクションに魅了された人には是非観てもらいたいし、全国的にももっと広く上映されてほしいですよ、ド兄さんの映画。殿方だけではなく、るろけん好きな女子にだってオススメいたしますよ。ええ。

原題:一個人的武林
監督:テディ・チャン アクション監督:ドニー・イェン 武術監督:ユン・ブン&トン・ワイ 撮影:ホーレス・ウォン 音楽:ピーター・カム
出演:ドニー・イェン ワン・バオチャン チャーリー・ヤン バイ・ピン アレックス・フォン ルイス・ファン シー・シンユー ユー・カン デレク・クォック ブルース・ロー デビッド・チャン レイモンド・チョウ

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