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2015年2月

2014funkin' for HONGKONG的十大電影

      新年快樂  恭喜發財
      萬事如意  想去香港!

↑ただいま香港禁断症状発症中。自分来月台湾に行くくせに(笑)

 

説明不要なくらいの田舎で電影迷やってきて約20年、いまさらここで中華電影を含む映画上映についての愚痴は言わないけど、それでも映画は好きです。だから地元の映画館が某邦画メジャーのハイバジェット作品をどんなに優遇しようとも、観たい映画をやってくれーと叫び続けます。だからウザいと思わず、お付き合い下さいませ。

 ここで改めて、この個人的ベストの選択基準を提示。

1.昨年の農歴初一から農歴晦日までに初めて観た映画を対象とする
2.初見であれば、映画祭鑑賞からCS鑑賞も、旧作も新作も問わない

 では、いってみよーう♪

10 西遊記 はじまりのはじまり

 これまでの星仔映画とは全く違う、だけどしっかり星仔印の映画。
すーちーを始めとした人気も実力も備えた俳優たちの競演に、斜め上を行く古典アレンジが楽しかった。今回残念ながら外してしまったド兄さん西遊記『モンキー・マジック 孫悟空誕生』の邦題でこの春東京公開決定)と公開時期はかぶったものの、テイストも物語もかぶらなかったのはお見事。でもね、肝心の監督が出なかったのが欠点であり、このランクなのでした。続編には出なさいねー。

 ファイアー・レスキュー

 『西遊記』で共同監督を務め、最新作『全力スマッシュ』が今年の大阪アジアン映画祭でワールドプレミアとなるデレク・クォック監督初の大作。全体的には大味だし、主人公2人より脇のオッサン2人が大活躍しちゃうんだけど、発電所事故というネタが人ごととは思えないし、久々の消防ドラマで大いに楽しんだのを評価。

8 極限探偵三部作

 パン兄弟の近作『コンスピレーター』を含めて三部作まとめてのランクインですいません。
警察が舞台になることが多い香港では探偵映画はあまり見かけないと思っていたのだが、タイのような猥雑さがまだ生きているような街だからこそ成り立ったのかもしれない作品。三部作の中では面白い要素とパン兄弟の得意技がごった煮になってる『影なきリベンジャー』が一番好き。

 天空からの招待状

 全編空撮ロケで台湾を上から見ることにより、自然の美しさから開発が引き起こす悲劇までを同じ視点で描き、それによって考えさせられる作品。ああすみませんすみません、現状を知らなくてすみません…っていつまで謝れば気が済むのか(笑)。

 黄金時代

 毎度の新作が楽しみなアン・ホイ姐さんの意欲的かつ文字通りの「文芸映画」。
民国時代を描く映画にありがちな抗日戦などの描写が客観的で、長尺で語る民国を代表する女性文学者の生涯を飽きさせずに描いたのがいい。そして専門のくせにちゃんと中国文学史を勉強していなかった自分を反省(笑)。

 ドラッグ・ウォー 毒戦

 トーさんが初めて中国で撮った映画。国が国だから制限もいろいろありそうなんだが、それでも麻薬捜査を壮絶に撮り上げたのはお見事。しかしいまだに信じられん、古天楽と孫紅雷が同い年だなんて…。

  セデック・バレ

 一昨年見逃して悔しかった作品ナンバーワン。
WOWOWの夜中の一挙放映でリアルタイムに観たのだけど、やっぱり大変な思いをしてでも劇場の大きなスクリーンで観たかったわ…。そして、これがあってこその『KANO』というのが重要。ネチョウヒョにはあれこれ言わせません。

  ヒーロー・ネバー・ダイ

 はい、これが昨年観た中で一番古い作品でしかもリバイバルなんですが、ついついこの位置に来ちゃいました。ゼロ年代香港映画におけるトーさんの進撃はまさにこの映画から始まった!と断言してしまう。語られない行間に思いを読み取ることができるので、1時間30分台の上映時間がなんとも濃厚。そしてりよん&ラウちんという対照的な二人の主演の相性の良さ!ああ、なんでこれ本上映の時に観ておかなかったのかしら?

  GF*BF

 ここ数年、香港よりも台湾に行っちゃってるのは、決して円安や大陸旅行客の影響というわけではなく、個人的だったり地元的だったりの理由なんですが、その中で昨年3月に起こった立法院占拠から、東アジアにおける台湾の位置も改めて見えてきた。そんなタイミングでやって来た、時代と連動するこの辛口の青春映画が心をつかまないはずがない。しかし、セデック同様地元で上映がなかったのが本当に残念だった。いつか台湾映画特集をやるのなら、ラインナップに入れて欲しいんですけどねー?と誰にともなく言ってみる

  ミッドナイト・アフター

 久々に映画祭上映作品を1位にしちゃいました。だって、ほんとうに久々に陳果(フルーツ)さんが香港で映画を撮ってくれたのだもの。そりゃ嬉しいわけだよ。
 だけど、それより大きかったのは、9月から12月まで香港中心街で起こったアンフェアな普通選挙法に対する占拠運動、通称雨傘運動がこの映画で描かれたような少し先の香港の未来を想起させてしまい、思わぬところで湧き上がった現実の厳しさが映画にシンクロしてしまったように見えたからなんだ。返還からまもなく20年、思った以上に一国二制度は揺るがされている。…まあ、そんなことは差し引いても、映画としても非常にローカルチックで楽しかったですよ。こういう映画が日本でなかなか公開されないから、なおさらね。

ではお次に部門賞を。

主演男優賞  ルイス・クー『ドラッグ・ウォー』

 いやー、もうすっかり香港映画の顔になってしまったなあ、古天楽…てか、もうルイスで定着しちゃってるわね。はあ。

主演女優賞  グイ・ルンメイ  『GF*BF』

 初めて観てからもう10年、彼女もすっかり台湾映画の顔になりました。昨年のベルリン映画祭金熊賞受賞の中国映画『薄氷の殺人』も観たいなあ。地元では…やっぱりどうかなあ?

助演男優賞  ラム・シュー『ミッドナイト・アフター』

 祝!香港電影金像奨助演男優賞ノミネート!まさかみんなのラムたん●~がここまで来るとは…ええ、感慨深いですわ。

助演女優賞  ハオ・レイ『黄金時代』

 彼女を観てロウ・イエ監督作品の常連女優だと全く気づかなかったのは、今東京で公開されている『二重生活』を始めとして、ロウ・イエ作品を全く観たことがなかったからです。マジです。だってこっちにこ(強制終了)とーほぐでは仙台と山形でやるらしいけどね。

監督賞  フルーツ・チャン 『ミッドナイト・アフター』

 いやー、好きなんですよフルーツさん。だって、返還前後からローカル香港の人間模様を描いてきた人だから。ここ10年間くらいは北京に行ったり、短編ばかりで出会える率が本当に低くて、寂しかったもんなあ。この映画は原作の前編部分だけということだから、残りの映画化も観たいです、マジで。

新人賞  リン・チンタイ  『セデック・バレ』

 もともと台湾映画はわりと非職業俳優を使うイメージあるんだけど、この映画は原住民の登場人物が多いので、キャスティングは大変だったんじゃないかなって思う。そんな中でカリスマ感と気迫が伝わるチンタイさんがとても素人、しかも牧師さんとは思えなかったわ。ちなみに先住民には神職の方が結構多いとどこかで聞いたな。天空での挿入歌もよかったです。

炎の復活賞   ツァイ・ミンリャン 『西遊』

 ははははは、去年は永年功労賞を勝手にあげてしみじみしてたんだけど、たった1年で復活しちゃいましたよ、ミンリャン!今年の香港国際電影節で上映される短編シリーズ《美好2015》も撮っていて、なんとシャオカンと安藤政信くんが共演して一緒に風呂に入っちゃったりするらしいですよ。いやあ、これもやっぱり映画祭でしか観られないのかしらねー。

 さて、毎度ながらの独断と偏見に満ちた十大電影を今年も選びましたが、それにしても昨年は『レクイエム 最期の銃弾』を見逃しちゃったのがつくづく惜しかったよなあ。地元での新作中華電影上映は今年もますます減りそうだし(と言っても今年は祝宴とKANOが上映されるのだが)、シネマート六本木は閉館しちゃうし、スクリーンで映画を観るのもキツくなってきそうだなあ。
 まあ、それでもやめられません。やっぱり劇場で観てこその映画ですから。とはいえ、WOWOWで放映されて録画した映画がかなりあるから、春に向けてせっせと消化して感想書きたいです。あとは春の台湾旅行もあるしね。

 ええ、今年もまた、アンディ先生のこの曲を歌って騒いでおりますよ。とこりもせずまた貼る↓


 でもいつもこれだけじゃ芸もないので、サム・ホイさんのこの歌も貼っておくわ。



そんなわけで、我恭喜你發財, 我恭喜你精彩!
うちにも来てくれないかしら、財神が(こらこら、商売やってないだろ自分)

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『民俗学・台湾・国際連盟 柳田國男と新渡戸稲造』佐谷眞木人

☆本blogでは、花巻-台湾間の国際線定期便の就航を熱烈に応援しています。

 『KANO』地元公開記念勝手に熱烈サポート企画も兼ね(だって地元で純粋な台湾映画が2作続いて公開されるのはめったにないことだものー)、岩手と台湾を結ぶものを探していたところ、岩手にまつわる2人について書かれた本が今年初めに出版されたことを知りました。


 幕末の盛岡に生まれ、農政学者として米国で働き、米国で『武士道』を英語で著した後に台湾に渡り、やがて国際連盟の事務次長に就任する新渡戸。彼の生涯を探るため国際連盟(現国連)の本部があるジュネーブに、映画『るろうに剣心』三部作の大友啓史監督が渡った紀行ドキュメンタリー「ジュネーヴの星」が、昨年地元の岩手めんこいテレビによって製作されています。なお、大友さんも盛岡のご出身で、NHKでドラマディレクターをされていた頃から、新渡戸の精神を作品に盛り込むことを試みているそうです。

 一方『遠野物語』を著して岩手でのフィールドワークを重ね、日本に民俗学という研究分野を成立させた柳田。その研究姿勢はあくまでも日本国内に向かっているので、13歳年上で国際的な活躍を見せた新渡戸とはあまりにも対照的なため、関わりがないのかと思っていたら、彼もまた農政学を学んでおり、大学卒業後は官僚として農務局に勤務していた。
 この農政学という接点が新渡戸と柳田に出会いをもたらし、新渡戸が提唱した「地方(じかた)学」を研究する「郷土会」の結成と、新渡戸の推薦によって柳田が着任した国際同盟での経験が彼らを決別させ、それぞれに転機をもたらしていく、というのがこの本の簡単な内容。

岩手県は新渡戸の他、後藤新平や伊能嘉矩など、日本統治下の台湾に関わった人物が意外と多い。それを知ったのは、就職で岩手に移住してからだった。それ以前にもともと民俗学に興味を持っており、そのきっかけが当然柳田の『遠野物語』だったりするんですわ。個人的な事情ですが。しかし、新渡戸と柳田を結ぶキーワードにまさか台湾があったとは、これも縁なのかなあ。

 新渡戸が台湾に渡って製糖技術を指導したのは、当時台湾の民政長官を務めていた後藤が同じ岩手(水沢)出身だからというわけでなく、台湾総督府殖産課には新渡戸が卒業した札幌農学校出身者が多く、農政者としての考え方が後藤と似通っていたゆえの起用らしい。そして、これは今まで知らなかったのだが、二人が統治に関しては、台湾独自の殖産体制の構築のために、台湾独自の政策を図るための考えとして分離主義を唱えていただったということらしい。この考え方は人道主義や文化相対主義にも通じるらしいが、あくまで効率上の考えであり、実際は台湾人と日本人は平等であるべきという同化主義を掲げる人たちとは対立したらしい。
  つまり、統治といえば日本人が漢人や台湾原住民を下に見て支配するという考えとは限らなかったってことで、それがあるから台湾統治は他とは違ってうまくいったと言われたのか、と納得したのだが、まあ事情はいろいろあっただろう、ということでこの件はとどめておく。だって変に誤解されそうだからね。政治的意図とか興味ないし、文句言われても困るもん。

   そんなわけで、この台湾経験で新渡戸は植民政策学という、西欧の植民政策とは違う点からの統治を試みる学問を唱え、もう一つは自らの土地の文化や習慣を研究する地方学という学問も生み出した。後者には柳田が大きく関わっていき、これが日本での民俗学となっていったらしい。両者の出会いは柳田が国際連盟の委任統治委員というポストに就くきっかけを生み出したが、新渡戸が自らの経験を西洋でもうまく生かしたのとは対照的に、柳田がジュネーブで目指した理想が西洋的価値観との対立で挫折し、帰国して日本のみで行う一国民俗学にのめり込んでいく…という流れでこの本は執筆されている。

 かなりええ加減な紹介になっているのは、まあ皆さん読んでみてくださいってわけなのですが(笑)、新渡戸と柳田が台湾と国際連盟というキーワードで繋がったことは嬉しかった。新渡戸の台湾政策についてはこれだけではなく、後藤や当時の提督だった児玉源太郎の資料にも当たるべきだろうけど、それは本腰入れなきゃいけないし、それやったら映画観られなくなる(汗)。そして、これもわりと有名なことだろうけど、柳田のいう南方が台湾も含まれていたということで、改めてそのへんを意識してみていいんだなって思ったもんでね。

   いずれにしろ、岩手と台湾を結ぶ共通項は多く、両地が観光だけでなく文化交流などもどんどん進むと今後は面白くなるんじゃないかなーと思うし、そんなローカルな面だけじゃなく『武士道』を揚げなくても、新渡戸の国際感覚は世界を見ていくには十分参考になるものが大きいし、柳田の研究も決してうちにこもるものではなく、外に出ていけるものではないかなとも考えるのですよ。

   こういうところを押さえつつ、今月末に上映される『KANO』を観てみようと思います。いや、そんなに真面目くさってるわけじゃないんだけどね。あはは。
 そしてしつこく言いますが、本blogでは、花巻-台湾間の国際線定期便の就航を心から願っております。
 さらに言いますが、この感想には政治的意図は何もありませんし、反論があっても基本的にスルーしますので、あしからず。

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