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2014年12月

プロジェクトA(1984/香港)

大地の龍に気が集まり 東方の夢が目覚める

中華の男子は士気溌溂と 皆熱がこもってる

手中にした計画から 美しい夢が溢れる

龍族の末裔は誓う 東方の威風を示さんと

えー、あの主題歌の冒頭をオレ的翻訳してみました。歌詞はこちらのサイトから。


結構カッコいい歌詞だよな~、これがどうして「♪ここでワ~イフォン!」って空耳できるのか不思議だわー>こらこら


 時は20世紀初頭の香港。湾岸に現れる海賊に頭を悩ませた政府は、熱血警官ドラゴン(成龍さん)が所属する水上警察に検挙を依頼する。しかし、彼らは陸上警察の連中とそりが合わず、司令官の甥でエリートのパンサー隊長(元彪)の陸上部隊と喧嘩してしまうくらいのお荷物軍団。おまけに出場直前になって所属の船挺が全て爆破されたことで、水上警察部隊は廃止され、パンサーの部隊に組み込まれてしまう。
 旧知の仲である泥棒のフェイ(サモハン)からこの事件の裏には武器商人チョウがいることを突き止めたドラゴンは、彼を捕まえに行こうとするが、逆に上司から咎められて、発作的に警察をやめてフェイとともに事件を追う。そして海賊退治のために派遣された英国海軍提督たちまで海賊に拉致される重大事件が発生し、ドラゴンは警察に復帰。旧水上警察と陸上警察の精鋭を結集し、海賊の撲滅と人質の救出を図る「A計画」を実行するのであった。

 普通、この映画の感想を書くとなると、やっぱり「ジャッキー若ーい、アクションすげー」とかになってしまうのだろうけど、さすがにそれで終わっちゃ書いてて面白くない。だってもう成龍さんのアクションがすごいのはわかってることだもの。
 そこで自分が注目したのが時代背景。オープニングで「香港開港初期」とあった気がするので、そっかー、イギリス統治が始まったばかりの頃ね、幕末より少し前くらいかと思ってたら思いっきり違っていた(笑)。
 ワタシは返還以前の香港の警察組織についてはあまり知識がないので、Wikipediaを当てにしたのだが、そこで初めて20世紀からの香港警察の事情を知ることになった。あーそうか、当時は幹部クラスがすべてイギリス人で、インド人警官もいたんだ。図版を見て、制服も一応考証されていたんだなあとわかった(遅い)。改めて、20世紀香港のコスモポリスっぷりがよくわかる。

 それもあるのか、これまで観てきた成龍さんの作品と比べて、洒落っ気があるように感じる。米国で彼が再評価された時、激しいアクションにクラシック映画のユーモアを持ち込んだと言われていた。確かバスター・キートンに例えられていたんじゃなかったっけ?前半の酒場での大乱闘におけるコミカルなアクションはまさにそれを体現していて、クラシカルな欧米映画とアグレッシブな香港映画が見事に融合されている。西洋建築のセットで見せるアクションあり、サモハンと組むと粤劇風になったりと、観ていてとても楽しい。
 もちろん、サモハンと元彪とトリオを組めばもう最強。甘いマスクにエリート役がよく似合う元彪(いま思うけど、言われるほどには柴田恭兵さんには似てないよね)の信頼性の高いアクションと、巨体を活かしたパワーで押し切るサモハンは、それぞれが成龍さんとは違うタイプというのが明らかにわかるので、ラストの海賊の頭領サン(ディック・ウェイ)との1対3の決戦場面は本当に楽しめる。

 そう!この場面といえば、るろけん京都編二部作後編『伝説の最期』でオマージュを送られていることで有名。るろけんだけ観た若い観客には「最後のあれは卑怯じゃない?あれじゃ志々雄様がかわいそう(ネタバレ失礼)」とか言われてたけど、いーや違う違う、あれは志々雄様が一人ではかなわないほど強いから剣心たちがそれぞれ立ち向かっていかなきゃならなかったわけで、こっちも頭領がめっちゃ強かったのであの三人が(以下同文)と同じなんだよなあ、できれば若い人もこっちも観てほしいな、と思った次第。

 今まで成龍さんの過去作品はあまり積極的に観てこなかったのだが、今回「バック・イン・シネマ」でこうやって代表作が上映されたことは自分には有り難かった。前回のエントリーで書いたようにこっちで広東語映画が全然やってくれなかったってのもあるが、TV放映じゃない公開時そのままの形で観られるというのはほんとうに貴重だと思ったからである。成龍作品はTVで観る層が圧倒的に多いらしく、映画感想サイトcocoのページにも「日本語吹替版で観たかった」という意見が少なくなかったのだけど、それで観るのはちょっともったいない気がするのだ。まあ、この時代の香港映画は撮影の関係上、セリフが同録できなくて別人の吹替になっていることもあるというから、日本語でもいいじゃんって言われそうだけど、広東語で話すことが「香港」という異国の場所を感じさせていいんじゃないかなって個人的に思う。
 しつこく強調するけど、ジャッキー映画は香港映画そのものじゃなくて、あくまでも香港映画の一部分なのだから、と某レンタルショップのカテゴリであらゆる香港映画が「カンフー」でまとめられることに疑問を抱くワタシは思うのであった。

 この旧作上映企画、姉妹編の「バック・トゥ・ザ・シアター」は来年も続行らしいけど、こちらはどうなるのかな?せっかく香港アクション映画のクラシックをまとめて上映してくれたのだから、今までシネマートが上映してきた香港電影楽園シリーズを全国的に拡大させて、『男たちの挽歌』 『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』 『狼たちの絆』 『友は風の彼方に』などの香港映画黄金期の作品群に加え、『欲望の翼』 『恋する惑星』などの王家衛作品を特集上映してもらいたいところ。だってBICの非中華作品がちょうど90年代に流行した独立系&ハリウッド作品なのだもの、そのへんとの繋がりも持てるし、アクションだけじゃフェアじゃないよ。

 そんな提案をしながら、今年最後の映画感想更新とさせていただきます。

原題:A計劃
監督&脚本&出演:ジャッキー・チェン 製作総指揮:レイモンド・チョウ 製作:レナード・ホー 音楽:マイケル・ライ
出演:サモ・ハン・キンポー ユン・ピョウ ディック・ウェイ イザベラ・ウォン タイポー マース クワン・ホイサン ウー・マ

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田舎者が考える、今年の中華電影上映のことなどあれこれ。

 2014年も間もなく終わりを迎えようとしております。

 今年は本業多忙等により、せっかく開設10年を迎えたというのにblogの更新が減ってしまい、申し訳ありませんでした。この場を借りてお詫びいたします。
 今年はblog開設10年記念としてここで書いてきた10年間の映画を簡単にまとめて紹介した本当にささやかなZINEを作成いたしました。おかげさまで全て完売しましたが、ご要望があれば改訂版を製作したいと考えております。今後も映画や旅等、中華圏をテーマにしたZINEは年に一度くらいの割合で制作する予定です。

 さて、この年末年始の中華電影といえば、全国公開作品としては行定勲監督による日中合作『真夜中の五分前』があるし、東京ではトーさんの傑作『ヒーロー・ネバー・ダイ』のリバイバル上映、台湾のドキュメンタリー『天空からの招待状』、そして昨年世界中の主要映画祭を席巻したシンガポール映画『イロイロ』と、様々なタイプの作品が上映されています。これらの作品は帰省時にできるだけ観て、真夜中も含めて年明けに感想をアップいたします。

 で、ここからが本題。
 今年、我が街(北東北地方の県庁所在地にして、一つの通りに映画館が複数ある『映画館通り』と呼ばれる地区がある街)で上映された中華電影を数えてみました。
 今年は合作も合わせて13作品上映されました。

『三姉妹・雲南の子』(キネマ旬報ベストテン記念で上映・スケジュールの都合で見逃す)
『危険な関係』
『ドラゴン怒りの鉄拳』(バック・イン・シネマ)
『ポリス・ストーリー』(バック・イン・シネマ)
『死亡遊戯』(バック・イン・シネマ)
『ポリス・ストーリー レジェンド』
『罪の手ざわり』
『南風』
『ドラゴンへの道』(バック・イン・シネマ)
『スパルタンX』(バック・イン・シネマ、スケジュールの都合で見逃す)
『西遊記 はじまりのはじまり』
『プロジェクトA』(バック・イン・シネマ)
『真夜中の五分前』

 新作は8作、しかも1作品を除いてほとんど中国映画。そして、愕然としたのは香港が主体となる広東語が主言語の映画が新作では1本もないこと。ちなみに昨年が5作、一昨年が6作。もちろん『グランドマスター』『桃さんのしあわせ』も入ってます。シネマート系公開作品はほぼ来ていません。

 こうして見ると、日本全体の香港映画の公開本数が以前よりは増加しても、上映形態がいかに小さくなってしまったのかというのがよく分かるんだよなあ。もっともシネマート系上映作品は、評判がよければ仙台までは何とか来るので、往復最低5,200円かければ観に行くことはできるんだけど、スケジュールが合わないと観られなくなるしね。
 そんなわけで、ここ数年は映画祭や帰省等の上京時にまとめて観て感想を書くというのが主流になってしまってます。

 「なんで劇場公開にこだわるの?ソフトやTV放映でフォローすればいいじゃないの?」と言われるのもわかってます。今年は多忙のためあまり出来ませんでしたが、香港で購入した未見のソフトや、WOWOWで録画した映画はたくさんあります。来年はこれらを閑散期に少しずつ観ていきたいもんです。
 で、話がずれちゃったけど、なぜ劇場公開にこだわるかといえば、やっぱり街に「映画館通り」があるからかな、ってことです。
 せっかくスクリーンがたくさんあるのなら、地方でもいろいろな映画が上映されてほしい。マンガ原作やアニメの日本映画ばかりじゃなく、小規模のアジア映画ももっと上映してほしいのです。

 長引く不況のために、娯楽にかける費用が減り、映画館に年に一度も行かない人がいたり、映画館の観客の多くが家族連れや若者となってしまったから、固定した観客層しかいないミニシアターやアジア映画がないがしろにされる理由もわからなくはありません。でも、大量宣伝される作品も、口コミでの宣伝を当てにする作品も、スクリーンにかかる映画としては平等だと思うし、うっかり観てしまった作品から興味が広がるってこともあるから、選択肢は多いほうがいいと思います。たくさんありすぎて選べないと言われるかもしれないが、選ぶことで映画に対して受け身にならずにすみます。

  あ、一応書いておきますが、当地では韓国映画の上映も減っております。ここ数年話題になった作品では『サニー』『建築学概論』『十人の泥棒たち』『新しき世界』が未上映ですし、最近人気のインド映画も『オーム・シャンティ・オーム』『ダバング』が未上映です。観客の年齢層もあるのでしょうが、ミニシアター作品の上映も少し偏りつつあるように感じます。行きつけの映画館にはミニシアター作品の上映リクエスト用紙があるので、毎月中華電影の名前を書いて箱に入れているのですが、一作も通ったことがありません。残念です。
 地方都市とはいえ、こういう現状はすっごく寂しいんですよ。特に今年は無間道三部作やトーさんの作品に影響を受けたという『新しき世界』や、香港アクション映画に多大なリスペクトを捧げたるろけん京都編二部作など、いい具合に香港映画の遺伝子を受け継いだ作品が多かっただけに、ここから興味関心を伸ばしてアジア映画方面まで来て欲しかったと思ってたのですが、やっぱりなかなか手が出せないジャンルになっちゃったのかなと思ったりもします。

 ワタシは開設以来、好きな香港映画を中心にした中華娯楽をネタに、このblogを書いてきましたが、その間、映画上映の状況というのは変わり続けてきました。地方在住ゆえのフラストレーションも度々書いてはきています。グランドマスター地元上映の際、宣伝や客の入りを見て「今後は地元で香港映画が上映されなくなるかも…」と危惧はしていたのですが、それが見事にあたってしまいました。残念です。
 来年は年始めから『祝宴!シェフ』『KANO』が来ます。これまで香港映画以上に上映の機会がなかった台湾映画の上映が続けて決まったり、ホウちゃんの新作が松竹の配給となるなど、少し変わるのかなという期待はあるのですが、まずは地元でお客さんが入ってほしいと思います。 
 そして、なんとかして中華電影の新しい観客を増やして、いろいろお話していきたいなと思うのが、来年の目標です。るろけんにハマった方とはド兄さんの映画の話もしたいし、『真夜中』を観て気に入ってくれた三浦春馬ファンには、ホウちゃんやヤンちゃんの映画をオススメしたいもんね。

 そんなこんなで、久々に愚痴めいた記事になってしまいましたが、これを今年の反省とし、来年も頑張って映画観て感想書いて、あれこれ皆さんとお話したいと思います。なお、近いうちに『プロジェクトA』の感想もアップしますので、次を持って今年最後のエントリーとします(予定)。

 では皆様、良き聖誕節を…。

Img_1896

このままささくれだったまま終わるのも何なので、澤東兄弟の聖誕節画像を貼り付けて終わることにするわ。

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ジャ・ジャンクー フェンヤンの子(2014/ブラジル)

 今年の東京フィルメックスのコンペ部門審査委員長は、ジャ・ジャンクーでした。
 この人です。

Jiazhangke_venice

 これは6年前のヴェネチアでのショットです。
 もうひとつ。

Jiazhangke

 ふざけているわけじゃありません。たまたまこういう写真しかありませんでした。
 agnes bがよく似合う44歳です。「フィルメックスの顔」ともいわれる西島秀俊くんとも同世代ですね。
 映画監督としては『一瞬の夢』で長編デビューし、1998年のベルリン映画祭フォーラム部門に招待されたというけど、その年に金熊賞を受賞したのが、ブラジルのウォルター・サレス監督作品『セントラル・ステーション』。これは確かNHKも製作に加わっていたんじゃないかな。そしてこの年の審査委員にはレスリーがいたはず…。
 そのサレス監督がジャンクーを撮ったドキュメンタリーが、フィルメックスのサプライズ上映としてやってきた。なお、まだワークプリント版とのことで、詳細なスタッフクレジットがなかったのが残念。

 

初映時の舞台挨拶によると、ジャンクーとサレスさんの縁はこのベルリンから続いており、7年前のサンパウロ映画祭で対談した時にドキュメンタリーの製作と本の執筆の構想を打ち明けられたとかで、待望のプロジェクトだったのねってことがわかる。サレスさんの作品は先の『セントラル』の他、ガエル・ガルシア・ベルナルが若き日の医学生ゲバラを演じた『モーターサイクル・ダイアリーズ』を観ているのだけど、生真面目でしっかりした作品を作るイメージがあって、信頼できる監督だと思っている。そんなわけで、しっかりして見やすいドキュメンタリーで飽きることはなかった。

 ジャンクーの旅は、生まれ故郷の山西省汾陽から始まる。親友でもある俳優王宏偉と、『一瞬の夢』のロケ地や生家を歩いて回る。
 彼の長編劇映画はこれと『青の稲妻』が未見。それでも劇中の場面を挿入してくれるので、その頃と現在の風景を比較して興味深く観た。しかし、愕然とするのは、やはり文革の真っ最中に生まれているからということもあって、同世代なのに全く違う少年時代を過ごし、観てきた映画も全く違うものだったことだ。初めて観た映画が50年代の作品と言われて、70~80年代の中国の市井の生活が全く自分の想像に及ばないものだったことに改めて気付かされた。亡くなられたお父様が学校の先生だったってのは、なんだかわかる気がするわ。お母さんとお姉さまがご健在とのことで、家族との場面は微笑ましかった。
 過去作品として最も言及されていたのが『プラットホーム』。これも汾陽を舞台とし、ジャンクーのミューズである趙濤がデビューした作品なので、取り上げられるのはわかるんだけど、観た当時は結構きっつい作品だった記憶が…(苦笑)。ジャンクーたち自身より年代的に上の世代を描いているので、時代背景は理解できても同時代の作品とは受け入れがたかったのが原因かもしれないけど、やっぱりこれと『世界』が彼の代表作なのかな、と思ったりした。まあ、ワタシはエンタメにやや偏った『長江哀歌』『罪の手ざわり』の方が好きだったりするのだが。

 ジャンクーの旅は汾陽から北京へ行き、『世界』の舞台となった世界公園や、いとこの韓三明との会話の合間に、趙濤や余力為のインタビューも挿入される。母校の大学での講義では賞をうけたばかりの『罪の手ざわり』の話題も出て、次回作として『プラットホーム』を再編集し、現代版を作ると決意したところに、『手ざわり』の国内上映禁止の報が伝えられる。その失望を経て、新作にとりかかろうとするところまでをこの映画では映している。
 ジャンクーの作品は、身近なところからテーマが出発して、それが中国全体の問題として発展したところが興味深く観られているのかな、という気もする。実力があるから、その気になればエンタメも撮れるんだろうけど、多分撮りたいテーマはたくさんあるんだろうなという気がする。中華電影やアート系作品がほとんど来なくなっても、なぜか彼の作品はこっちまで来るので(笑)、必然的に観る環境には恵まれている。だから、きっと今後も観ちゃうんだろうな。
 しかし、手ざわりの時にもビックリしたもんだが、ジャンクーがとっちゃん坊や(こらこら)からうまく中年になったのに比べ、王宏偉がかなり変わってものすごいオッサンになったのは驚かされた。趙濤は観るたびに洗練されてきているけど、韓三明が全く変わらないのに妙に安心した。

…こんな感想しか書けないけど、いいかしらん?

原題:賈樟柯 汾陽小子
監督:ウォルター・サレス
出演:ジャ・ジャンクー ワン・ホンウェイ チャオ・タオ ユー・リクウァイ ハン・サンミン 

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西遊(2014/フランス・台湾)

 暗闇の中から、ゴツゴツした男の顔が浮かび上がり、大写しになる。ここは南仏、マルセイユ。
 あれ、この顔はもしかしたら、ドゥニ・ラヴァンじゃないか?フランスのシャオカンことドゥニ・ラヴァンじゃないか!と思ってしばし画面を見つめていると、やがて画面が転換し、暗闇の中に赤い僧衣をまとった裸足の三蔵法師(シャオカン)が現れ、ゆっくりと、ゆーっくりと歩を進める。
 三蔵は洞窟からゆっくりと出て、浜辺をゆっくり歩いて街に出る。町の人々の動きは忙しなく、彼の姿を見ても通りすぎてしまったりもするが、時に目を留め見守る人や、時に彼から少し離れて同じ速さで歩いてみたりする人もいる。三蔵は突然街に現れ、街の人々の歩みとは全く違う時の中を進んでいく。

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 長編劇映画からの引退を宣言し、映画作家として新たなフェーズに突入した蔡明亮の新作『西遊』は、先に書いた星仔の西遊とはまったくもって違う話(当たり前)。
製作のいきさつなど、詳しくはフィルメックスHPのレポートで(その場にいたけど書くと長くなるのでパス。笑)

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 しゃべりだすと止まらないミンリャンと、ゆっくりゆっくり話すシャオカンは対照的だけどやっぱりいいコンビ。

 シャオカン三蔵はゆっくり歩むが、全く動かないってわけではない。あの長回しの中でも、確実に進んでいる。速度こそチベット仏教の五体投地にはかなわないけど(実際にラサで見たことあります)、人々の速さとは全く違う次元の中で確実に歩いている。ティーチインでミンリャンはこの映画を時間について描いたものだと言っていたけど、それは実にわかりやすいテーマである。それに加え、マルセイユの街のどこにシャオカンが登場するか、どこからどこへ歩いていくのかというスリリングさを楽しめて、興味深かった。
 ああ、かつては苦手だったミンリャンだけど、今になってこんなに楽しめるとは思わなかったですわ。成長したのかしら、自分。

 ところで、先にドゥニ・ラヴァンを「フランスのシャオカン」と呼んでいるのだが、実はシャオカンのことも「台湾のアレックス」と呼んでいたことがあった。それは、ミンリャン映画におけるシャオカンとレオス・カラックス作品におけるドゥニ演じるアレックスにどこか共通するものを前々から感じていたからだ。それだから、今回二人が共演してくれたことは密かに嬉しかった。
 とか言いつつも、実はカラックス作品も昔は苦手だったんだよ。『ポンヌフの恋人』は大ヒットしまくった初映時に間に合わず、アレックス三部作の特集上映で観たんだけど、その時抱いた印象が「なんかミンリャン映画みたいだなー」というものだったのだ。まあ、こういう感想言うのって自分だけかもしれないんだけどね。そんでもって、昔は苦手だったのに、数年前の再映で見なおしたってのも共通するものだしなあ。そんな感覚、わかってもらえるかどうか。

 なお、この映画は1時間以内の中編シリーズとしてすでに6本撮られており、今回のマルセイユの他、ミンリャンの出身地マレーシアや香港でもシャオカンを歩かせたとのこと。さらに来年2月にはシリーズ新作を日本で撮るとのことで、シャオカン三蔵と一緒に歩いてねとミンリャンがアピールしてた。ああ、ロケに行きたいなあ。でもやっぱり撮るのは東京かな?

英題:Journey to the West
監督:ツァイ・ミンリャン
出演:リー・カンション ドゥニ・ラヴァン

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西遊記 はじまりのはじまり(2013/中国)

 またしても、最初に言っておきます。

 実はワタクシ、香港電影迷歴かなり長いくせに、未だに星仔の『チャイニーズ・オデッセイ』二部作を観ておりません!いいのか、こんな不真面目な電影迷でいいのかワタシよ!
まあそのへんはいずれカバーすることにしよう。あ、あとそういえば『西遊記リローデッド』もまだ観てなかったよ、あはは。

 そんなふうないい加減な人間なので、星仔の5年ぶりの新作が『西遊記』と決まった時、特に感想もなければ感慨もなかった。ただ、完全に中国主体の製作で、さらに出演しないのは残念だなーということだけか。それでも、デレク・クォックが共同監督を務めるというのは大いに気になっていたけどね。

 どれくらいかわからないが、時は昔。
 川辺の村に半獣半魚の妖怪が突如現れ、人々を喰らってパニックに陥る。そこに現れたのは、陳玄奘(文章)というボサボサ髪の修行僧。彼は修行のために妖怪ハンターをしており、村人とともに水妖(李尚正)を陸上に引きずり出す。退魔大典こと「わらべ唄三百首」を手に歌って水妖を改心させようと試みるが、全く効かない。そこにさらに現れた妖怪ハンター・段(すーちー)が水妖を横から引っ掴み、封じ込めたことで事は無事収まる。
 玄奘の師匠は「お前には何かが少し足りない」と言うが、仏道を極めたい彼にはそれが何だかわからないまま、次の妖怪ハントの場へ赴く。謎の美男子・豬剛烈(陳炳強)の営む山奥の餐廳で人々が次々と殺されているのに気づいた彼は、店主が豚の妖怪だと気づき、段と協力して果敢に戦う…も、剛烈は巨大な猪に変身して逃走する。
 師匠から、剛烈と戦えるのは五箇山に500年間幽閉されているという妖怪の王・孫悟空しかいないと言われた玄奘は、早速五箇山に旅立つ。途中、「アンタに惚れちゃったのよー」という段とその仲間に付きまとわれたり、同じ妖怪ハンターの北斗五形拳(行宇)、天残脚、空虚王子(ショウ)に出会ったり、なんやかやで五箇山に辿り着いたが、そこで出会った孫悟空(黄渤)は青白いハゲた爺さんだった…。

Xiyou

 世の中に西遊記ものは数多い。ちょうどこの映画が中華圏で上映された後に、ド兄さんの《大鬧天宮》も公開されてたわけだが、そっちの方はどうやら本当に西遊記の最初の方をアレンジしたものらしい、というのを最近岩波少年文庫版をパラパラ読んでいた気がついた次第。だから、時代的には悟空が山に閉じ込められてから後の話となるわけか。

 で、観終わって頭のなかに出てきた言葉は「本当は怖い西遊記」と「All you need is love(笑)」。両者とも星仔映画の基幹をなす要素じゃないかな。
 大陸でのレイティングは不明なのだが、日本公開はPG12。でも子供向けの文庫が出たり、吹替版が用意されたりとなぜかファミリー向け展開。実際、吹替版を観に行った時は、小さなお子様連れもいたもんなあ。最初の部分なんか確実にトラウマになるよ、どうかなと思ったけど、まあ、そういう経験も必要じゃないかな>実は幼いころの自分がそうだった。アニメ目当てで行った映画館でものすごい怖いホラー映画の予告を観てしばらくトラウマになった経験あり。
 後の沙悟浄である水妖も、猪八戒と名乗ることになる豬剛烈も、元々は人間であったけど、それぞれが愛に裏切られた末に妖怪と化し、人間を襲って殺しまくるという設定が興味深い。妖怪より恐ろしい人間という考え方ももちろん根底にはあるけど、その残虐さを救えるのもやはり愛という点で、先の言葉に繋げられるのかな。
 孫悟空が幽閉されたのは原典と同じ理由なので特に語られる必要がないのはわかるけど、狡猾で残虐で根に持つタイプの妖怪の王というラスボス的設定がなされるので、青白い爺さんモードより本来の姿を現した時のほうが凶暴化するのもそれで納得。そして、愛を理解しないのもね。だからこそ、玄奘と段の純情肉食娘とヘタレ草食坊主の恋愛模様がじわじわと効いており、それはきっと『チャイニーズ・オデッセイ』にも通じるテーマなんだろうなと確信した次第。だからこその、星仔渾身の一作になったんだろう。

 それはキャスティングでもよくわかる。星仔自身が出演していないのはほんとうに寂しいけど、脇に過去作品でユニークなキャラを演じた俳優たちを置きつつも、メインは中国と台湾の人気と実力のある俳優たちで固めた点、シモネタはあっても決してクドくはない点、そして今や中華圏を代表するミューズとなったすーちーが堂々の主演を務め、しかも汚されることなく可憐で強いヒロインを堂々と演じている点。
 すーちーといえば最近はすっかりホウちゃん作品のミューズだったり(来年日本公開決定の最新作『聶隱娘』にも出演するしね)、『狙った恋の落とし方。』の可憐なヒロインのイメージが強かったけど、久々にハチャメチャなアクションコメディに戻ってくれたのがなんとも嬉しい。途中退場は残念だけど、物語を引っ張るには十分過ぎるキャストである。
 近年はいろいろ活躍を見せる文章くん。『海洋天堂』の頃から結構可愛い顔してるよなとは思っていたが、ちゃんと可愛く成長しているのが好ましい。こういう人材は中国には必要だ。星仔リスペクトの完コピっぷりもすごいけど、そこはやっぱり監督本人には及ばずね。
 本来ならもう一度悟空を星仔がやってもいいのに、とは思ったものの、ここではラスボス的立ち位置だからやらなかったのだろうな、と黄渤演ずる悟空の見事な变化っぷりになんか悟った(笑)。彼もまたコメディアンではあるけど、星仔自身は黄渤に自らとの共通点などは感じたのかな?パンフではさらっとしか書いてなかったので、そこは知りたいところ。ほんでもってパンフの黄渤インタビューを読むと、忙しいから断ったのに騙されたから出たとか、星仔へのリスペクトはあるのでとりあえずはよかったけどね。
 後はショウがはまり役だったねー。ああいう美形の笑わせ役はやっぱり必要。

 さてさて、そんなわけで予告編でジャンジャンかかってた『Gメン'75』のテーマに乗って、役者が全て揃って天竺へのミッションが開始されたけど、これはいつ続編ができるの?現在星仔は別作品の製作に取りかかっているそうだけど、それなりに実績も出したし、日本にもとりあえずチャウ・シンチー健在の証は残せたのだから、早いところ頼むねー。中国マネーがあればなんとかなるだろうしね(こらこら)。

原題:西游 降魔篇(Journey to the west)
製作&脚本&監督:チャウ・シンチー 共同監督&脚本:デレク・クォック 音楽作曲:レイモンド・ウォン
出演:スー・チー ウェン・ジャン ホアン・ポー ショウ・ルオ クリッシー・チャウ

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ファイヤーストーム(2013/香港)

 最初に言っておきます。これは火災映画ではありません。警察映画です。しかも英題由来です。
 あーっ!なんでこんな似たような邦題の映画が時期を近くして上映されるのよー。もうちょっと配慮してくださいよ配給さんってばー(泣)。

Firestorm3

 前の作品の時にも書いたけど、あのデモでのことがあるので、もしかしたら香港警察ものは当分観たくないなあって思う人もいるかもしれない。でも、観ないことには感想も書けないし、映画は映画、リアルはリアルと割り切っているし、何よりも自分の住む街では今年いわゆる正統派な香港映画が全く上映されていないので(これについてはまた日を改めて)、やってくれるのなら観るよ!って勢いで、上京時にシネマートで観た作品。

 ロイ(アンディ)とトー(カートン)は中学時代の同級生で、共に柔道を学んだ仲。しかし、成人してからは対照的な道を進み、ロイはエリートの警官になり、トーは度々犯罪を犯し、逮捕されては服役していた。刑期を終えたトーのもとにやって来たのは、恋人のピン(ヤオ・チェン)と、強盗団のボス・ツァオ(胡軍)。
 ツァオの手口は前科者を集めてチームを作り、強盗を働くという手段。連続強盗事件を追うツァオたちは目の前で現金輸送車を強奪されるが、ツァオたちを何とか追い込む。しかしツァオはとっさに記憶喪失のふりをして不起訴となる。
 ロイはトーと同じ日に出獄した前科者のトンに密告者として協力を要請し、ツァオたちの新たな強盗団に潜り込ませる。なんとか尻尾を掴みかけるが、ツァオたちは裏切り者がトンだと気づき、自宅まで追い込んで殺す。トンには自閉症のヤオヤオという幼い子がいたが、彼女もそれに巻き込まれて死んでしまう。ロイはツァオを追い込むが、ヤオヤオが死んだ怒りのあまり、ツァオにその罪を着せようとする。その様子はピンの弟でトーとも親しいチンピラのジエにより撮影されていた。ゆすられたロイはジエの元に行くが、ドラッグのオーバードーズと喘息で発作を起こした彼を見殺しにし、画像をすべて抹消する。
 ピンはトーが昔の道を行きつつあるのを恐れ、犯罪から足を洗って幸せに暮らしたいと願っていた。しかし、トーではない男の子供を身籠トーは最初はそれを責めるが、ピンを失いたくないと願う。自分は潜入捜査官だから犯罪に加担していたと嘘をついてしまう。そしてトーはツァオの弟分のパコが報復のために大々的な強盗を計画していることを、自分の身柄の保障と引き換えにロイに密告し、強盗に加わるが…。

Firestorm

 これは、前年の『コールド・ウォー』でアンディがゲスト出演した際に、プロデューサーのビル・コンとアンディとの間で、次は主演と製作として作ろうという話が上がって作られた作品らしい。それもあって雰囲気も似てるし、先の作品では長官役だったマイケル・ウォンもゲスト出演している。そーいやカートンも出てたわ。
 かつて旧友だった二人の対決。ロイとトーは柔道を嗜んでいたので、二人の直接対決では柔道も登場する。ただし、そこでやるのかよ!って場面だが(だからCGって丸わかり)。
 しかし、物語がシンプルなだけに、あれこれ盛り込み過ぎてしまったのが惜しい。生真面目なロイが怒りの挙句一線を踏み越えてしまった心の闇とか、トーが決して極悪人ではなく、まっとうに生きたいと願っているのもデジャヴュが…。うーむ。そして、クライマックスの中環での激しい銃撃戦で、えーっ!ってことになる。これがありえたら大変なんだけど、それにしてもやりすぎちゃう?と思ったのは言うまでもない。

 アンディはこういう役どころにはあっているけど、確かにややラウを引きずったところも見えなくもない。だけど対決と激戦でボロッボロになっていくのは観ていて安心する(こらこら)。カートンも複雑な役どころを好演しているのはいい。まあ、そんなところはよかったんじゃないかな。

 そんなわけで、これでもサクッと感想書きました。
そして、香港で作られる警察映画ってこれからどうなるのかな、と観ながら漠然と思ったのでもありました。

原題:風暴
製作:ビル・コン&アンディ・ラウ 監督:アラン・ユエン 音楽:ピーター・カム
出演:アンディ・ラウ ラム・カートン ヤオ・チェン フー・ジュン テレンス・イン マイケル・ウォン

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ファイアー・レスキュー(2013/香港)

 最近強制撤去により終結した香港のデモで一番衝撃だったのは、これまで映画では市民の味方として描かれてきた警察官たちが、デモに集まった人々に実弾ではないものの催涙弾を放ったことだった。もちろん、武器を持っているわけでもない市民を攻撃することに葛藤を覚えた警官も少なくないのだろうけど、映像でそれを見せつけられてしまうと、内外へのショックは半端ないものだと思える。これにより、ネット上の香港映画ファンの間でも「当分香港警察ものは観たくない」という意見もでた。映画なんて所詮はフィクションじゃないか、といえば済むのだろうけど、その気持はわからないわけではない。

 で、警官とともに市民のヒーローと呼べるのが、消防官。
ジョニー・トー監督の1996年作品『ファイヤーライン』は4人の消防官それぞれの群像劇からクライマックスの工場火災へと収束していく展開が見事だった。香港の消防官映画もこれの他に多少はあるのだろうけど、すいません今の段階では思い浮かびません。そんなわけでかなり久々に消防官映画が出たなと思ったのが、『じじぃドラゴン』で注目され、後に感想をアップする『西遊記 はじまりのはじまり』で星仔とタッグを組んだデレク・クォックの『ファイアー・レスキュー』

 何永森(ホー・ウィンサム/ニコ)、游邦潮(ヤウ・ポンチウ/ショーン)、葉志輝(イップ・チーファイ/安志杰)は消防学校の同期で、固い絆で結ばれた親友同士だった。ある日、3人は屯門で起こった火災現場で、上巻の命令を無視して救助に飛び込んだ。しかし、査問委員会で3人の言い分はそれぞれ異なり、結果、正直に命令違反を告白したチウが懲戒、知らないと答えたサムは訓告、上司の命令に従ったと答えたイップはお咎め無しとなり、そのまま決裂してしまった。
 1年後、3人は揃って龍鼓灘消防署に勤務となるが、イップは署長に、サムは大隊長だが内勤、そしてチウは隊長とそれぞれ立場も変わってしまった。サムは転勤を控えているが、1年前のことに納得しておらず、CAの恋人ともうまく行ってなかった。チウも離婚した妻との子を引き取り育てている。サムの後任として、新人のチョン(ウィリアム・チェン)と大陸で消防官をしていたホイ(胡軍)が入隊し、伝説のレスキュー隊員と呼ばれるリー監督(ヤムヤム)のしごきを受ける。
 12月24日、サムの最後の勤務の日。管内の火力発電所の近隣にある工場で火事が起こる。現場に向かったサムたちはすぐに鎮火させるが、発電所につながるガスパイプが裏にあることから二次災害の可能性に気づき、イップに消火継続を提案するが却下される。その日は強風が吹き、供養の線香から飛び散った火の粉がガスパイプ近くで漏れていた油に引火し、予想通り再び火災が発生する。サムは自己判断で出場を決める。
 火災発生に気づいた発電所の技師楊琳(白冰)も消防署に連絡し、ホイと共に内部から被害の拡大を食い止めようとする。しかし、火災発生に気づかない発電所のマン所長(パトリック・タム)が彼らの前に立ちふさがり、サムとチウの前には上官無視の行動をなじるイップが現れるが…。

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 「消防士の目的は消火ではなく、救助だ」「火災現場で恐ろしいものは火ではない、煙だ」。このような言葉(パンフレットによると、これはデレクさんが製作にあたって多くの消防士から聞いた言葉によるらしいが)が最初に表示されて展開するのは、次から次へと押し寄せる困難に立ち向かいながら、人を救うことに全力を傾ける消防官たちの姿。

 実は先のあらすじで書いたのは本編のほんの一部にすぎず、次から次へと緊急事態が起こり、最悪の状況まで陥ってしまう。しかもわかりやすくフラグ立てまくり。いいのかなー、そんなので(苦笑)。しかも観ている当人も東日本大震災で長時間の停電を経験しているので、フラグ立てまくりのややご都合主義的な展開であっても、これをどうも絵空事とは捉えたくないのだ。劇中の発電所の場面で判断ミスによる被害拡大などが描かれているので、なおさらそう感じてしまうし。

 物語の中心となるのは、サム・チウ・イップの3人の葛藤だが、それにベテランのリー監督や大陸で悲劇に巻き込まれたホイの過去が加わるので、力のあるヤムヤム&胡軍の存在感が際立つので、どうしても後者に引っ張られてしまう感がある。前者の葛藤が比較的早くカタがついてしまう(それも悲劇的な結末で)のは、まさか後者ありきなのでは…というのは単に偶然か。まあ、胡軍&ヤムヤムの加入によって、職業映画に義侠心がプラスされ、結果的に警察映画以上のハードボイルド感満載の漢の映画になったのは悪くないけどね。それならチウの息子のパートは残しておいても、サムと恋人のくだりはなくてもいいと思ったな。それがあったからサムが最後に取った行動がわからなくもない、と見られるのだろうけど。

 撮影では本物の消防服を使用し、キャストにも消防学校での訓練が課されたというので、消火・救助活動はCGや特撮が入っているにしろ、かなりリアルに迫るものでそれはそれでいいかも。手持ちカメラも臨場感を増幅しているけど、ただマスクをかぶっちゃうと誰が誰やらになってしまうのがきつかったですねー。声じゃないと判断できない(胡軍は普通話でしゃべってくれるからすぐわかるけど)

 いろいろ言っちゃったけど、何のかの言いつつも王道の消防映画であり、庶民の味方である人間たちを描くデレクさんの持ち味はちゃんと生かされている作品。こんな大作を撮るようになったとは、なんだか感慨深いね…などとちょっとしみじみしたりする。
 あ、でも邦題はデレクさん自らが考案した『消火のヒーロー(だったかな)』でよかったと思います。わかりやすいじゃん(笑)。

原題:救火英雄(as the light goes out)
監督&脚本:デレク・クォック 製作総指揮:アルバート・ヨン 音楽:テディ・ロビン&トミー・ワイ
出演:ニコラス・ツェー ショーン・ユー サイモン・ヤム フー・ジュン アンディ・オン バイ・ピン ウィリアム・チェン パトリック・タム

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ドラゴンへの道(1972/香港)

生誕70周年のTV放映では『燃えよドラゴン』『ドラゴン危機一発』そして『死亡遊戯』を観た。今年になって『ドラゴン怒りの鉄拳』をやっと観て、バック・イン・シネマで『死亡遊戯』とこの作品を観て、李小龍主演作をコンプリートした次第。でも最初の方はマジメに感想書いてないんだよね…。
 それは以前も書いたけど、自分がこれまで彼をリスペクトしてなかったってこともあるのよね。それにあまりに真面目すぎて、悲壮感漂いまくっているので、もうちょっと気楽に見られる作品があればいいのにって思っていた。
 でも、李小龍さん初の監督作であるこの『ドラゴンへの道』は、今までの彼のイメージを少し和らげてくれるものであって、楽しかった。一番好きな作品かも。


 唐龍(李小龍)という青年が、香港からローマにやって来た。弁護士の従兄弟のところに、ローマで中華料理店を営んでいる店主・陳清華(ノラ・ミャオ)から地元の地上げ屋に困っているという依頼が入り、急病になった従兄弟の代わりに行くことになったのだ。
 初めての海外に戸惑い、ドジばかり踏む唐龍に陳清華は呆れ、店にやってくるギャングたちと一戦を交えるために空手を学んでいる従業員たちも始めは彼を馬鹿にする。しかし、実は唐龍は中国拳法の達人。ギャングが送り込んだチンピラたちを一網打尽にしてしまったことで、陳清華は彼を見直し、従業員たちも唐龍を褒め称えて店を守るために一致団結する。
彼らは楽しい正月を迎えるが、ギャングたちの攻撃は止むことがない。唐龍を倒すことが先決だと勘付いたボスは、アメリカから空手の達人・ゴードン(チャック・ノリス)を呼び寄せ、唐龍をコロッセオに追い込む…。

 これまでのシリアスで悲壮感漂うヒーローたちに比べ、この唐龍はずいぶんと趣が意なるキャラである。ドジっ子(何その言い方失礼じゃないのー?>セルフツッコミ)で明朗快活である。しかもちゃんとハマっている。実はけっこう可愛いんじゃないのか李小龍先生?旧正月を迎える場面では珍しい長衫姿も見せてくれる。自分で監督したから自由に出来たといえるのかもしれないけども、本当はこういうヒーローをたくさん演じたかったんじゃないかな、なんて思う。もっと長く生きていたら、この手の楽しいヒーローものをたくさん作っていたかもしれないね。
 ヒロインのノラ・ミャオも素敵だった。るろけんでいうところの薫ちゃんポジションですね(笑)。妖艶な美女も清楚な妹キャラも演じられる人だけど、李小龍さんと共演した3本ではこの役が一番好きかな。従業員の皆さんもそれぞれいい味出しててよかったです。

 そして、チャック・ノリス!デルタフォース!地獄のコマンド!…ええ、ええ、どうせこんな認識しかありませんよー!しかも全部昔父がTVで夢中で観ていた映画ばっかりだよ。本当にすみません。若いのでヒゲはないのだが、顔でわかる。ヒゲがない分胸毛ボーン!でわかる。なんじゃそりゃ。しかも胸毛むしられると弱くなる。ここはメモφ(`д´)...。
 一番面白かったのが、当然このリヒゲ無しノリスとの死闘なのだが、ローマが誇るコロッセオというロケーションの良さはともかく、その男と男の濃ゆーい死闘を子猫ちゃんが見守っているのだよ!このなんとも言えない演出の良さ!

 そんなわけで、おそらく一番楽しんで観た李小龍作品でした。
さっきも書いたけど、もっと生きてくれたら、さらに楽しい作品を作ってくれたんだろうなあ。そしたら香港映画はもちろん、世界のアクション映画にもさらなる革命を及ぼしてくれたのかもしれないね。合掌。

原題:猛龍過江(The way of the dragon)
監督&脚本&武術指導&出演:ブルース・リー 撮影:西本 正 音楽:ジョセフ・クー
出演:ノラ・ミャオ ユニコーン・チャン トニー・リウ チャック・ノリス

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南風(2014/日本・台湾)

 現在、東北芸術工科大学映像学科で学科長を務めていらっしゃる映画監督の林海象さんが、台湾の映画人と強いつながりを持っていると知ったのは本当につい最近のこと。地元の劇場で海象さんの特集企画があり、濱マイクシリーズの『我が人生最悪の時』を初めて観たのだが、台湾がらみの話だったなんて、ホントに観るまで知らなかったのだよ。バカだよねーオレ。その流れで、1996年に唐十郎さんの脚本・主演で『海ほおずき』という日台合作も撮っているのは知っていたが、観るチャンスなかったのだもの(泣)。しかもヒロインが『ラブゴーゴー』のタン・ナ小姐だし。
 ああ、今度海象さんにお会いする時までに(っていつですか>自分)何とか観ておきたいですわ。ちなみに『KANO』では脚本顧問を務めているとか。

 んで濱マイクを観ていて「ほおー」と思ったのが、助監督にこの冬公開の日中合作『真夜中の五分前』を手がけた行定勲さんがいて、今作の監督の萩生田宏治さんも一緒に務められていたこと。行定さんといえば『GO』やセカチューの印象があるけど、『遠くの空に消えた』で張震をゲスト出演させたり、『春の雪』のカメラにリー・ピンビンさんを起用したりと台湾に縁が深かったわ、今思えば。真夜中では張孝全(今作から日本語表記が「チャン・シャオチュアン」となったジョセフ・チャン)も出演しているしね。
 萩生田さんは『神童』『コドモのコドモ』などが代表作かな。両方ともさそうあきらのマンガが原作。前者は観ているんだけど、小学生の妊娠を扱った後者は結構話題になったよなー。で、彼は先に挙げた『海ほおずき』でも助監督を務めていたそうです。

 そんなわけで『南風』。なんで突然合作?と思えても、こういう背景を見ると、その理由にはなんとなーく納得したのであった。


 風間藍子(黒川芽以)は26歳の編集者。でも、カメラマンの彼氏を年下のモデルに取られ、仕事も配置転換で単発企画に回されるで、早くも崖っぷち状態。そんな彼女が取材するのは、元プロサイクリストの植村豪(郭智博)が台湾・日月潭で主催するサイクリングミーティング。サイクリングが盛んな台湾を自転車で回ろうと企画を立て渡台したが、頼りにしていた在台の先輩は妊娠中。やむなく一人で回ることになる。
 松山で寄った自転車屋で、藍子は冬冬という少女(紀培慧)と出会う。16歳の彼女はファンションモデルを夢見ており、藍子が編集者とわかると、自分は20歳だと嘘をついて、ガイドを買って出る。彼氏を奪ったモデルに瓜二つで、自分をおばさん呼ばわりする冬冬をどうも気に入らない藍子だが、初めての台湾で右も左も分からないのでしょうがない。
 九份、基隆、富貴角と藍子はママチャリ、冬冬はクロスバイクで走る。しかし藍子のママチャはこのハードな道行で壊れてしまう。そこに通りかかったサイクリスト・ユウ(黄河)が助けてくれ、藍子は淡水でジャイアントのクロスバイクを借り直す。彼女も冬冬もユウにゾッコンになり、二人はユウを誘って共に日月潭を目指す。
 北西部の海沿いを走る三人は、時にケンカしたり(藍子と冬冬が)、時に酔っ払って絡んだり(藍子がユウに)、冬冬の幼なじみ健南(ザック・ヤン)が追いかけてきたりと大騒ぎ。目的地に近くなった鹿港の九曲巷で、藍子たちは豪と出会う。そして、豪とユウの思いがけない関係と、冬冬が家出してまで日月潭に行きたかった理由が明らかになる。


 えーと、まあね、物語はものすごーくツッコミどころ満載ですよ(苦笑)。いちいち言ってたらキリがないけど、とりあえず言っとくなら、台北から九份まで行くのに車でも1時間半かかるのに、なんでそんなすぐに自転車で行けちゃうんだよーってのと、藍子と冬冬が共にうざいキャラでイラッとするところか。
 中華電影における日本女子キャラのウザさは、まああれとかこれとか挙げなくても(あえてリンクは貼らない)今に始まった話じゃないが、藍子がアラサーの崖っぷち編集者ってーのはいかにも日本ドラマ的な影響があるのかな、って脚本家はドラマを書かれている人らしいけど。  彼女と冬冬との関係も、噛み合わなくてお互いに頑固だから、バディものには成り損なっちゃってるのが残念なんだよな。冬冬的なキャラも台湾の青春ドラマによくいる元気キャラではあるんだけど、この二人の掛け合いにイラッと来るのはもしかして自分がもう若くないからか>それを言うな。
 ただ、物語はつまらなくても、ロケの選び方は特に中盤が良かった。
 九份や淡水はもう紹介され尽くしている気もするが(鹿港もかな?)、サイクラーじゃなきゃ知らなかったんじゃないかと思われる北西部の沿岸の名所もよかったし、何よりも日台の歴史を無言で伝えてくれる龍騰断橋の風景がすごかった。中部の山間はこういう知られざる遺跡が多そう。機会があったら行ってみたいなあ。ジャイアントの自転車にも憧れるしね。私事ながら、通勤に自転車を使っているので、以前買い換えするときにジャイアントも検討したこともあったりします。

 藍子と冬冬にはイライラしたけど、藍子役の黒川芽以嬢は悪くないですよ。かわいいし、キャリアも長いから。テレサ・チーことチー・ペイホイ、『九月に降る風』も『台北に舞う雪』も未見だったのでこれが初見。ええ、美女度は断然彼女のほうが勝ってる(笑)彼女もルンメイ同様、『藍色夏恋』の易智言監督に見出されたとか。彼女と共演し、映画製作も学んだというのが黄河。リバー・ホアンという英語名があるのに、なぜ日本語表記なのか気になる。
 ドラマや映画では脇役でいい演技を見せている郭智博くん。朝ドラ『カーネーション』で高田賢三をモデルにした青森出身のデザイナー源太を演じたのが印象的だったな。名前からして華僑?と思ったら、父方が台湾系だとか。

 まあ、先に書いたとおり、スタッフもいいしキャストも悪くない。だけどやっぱり話がなあ…。ラストにしまなみ海道のサイクルレースにつなぎ、台湾の旅を経て自転車専門のフリージャーナリストになった藍子が、台湾を代表するサイクリストになったユウと日本で活躍するモデルになった冬冬と再会するといういいエピソードをもってきて、自転車と友情がつなぐ日台の絆というテーマを具現していたのに、そこに至るまでがねえ…。
   そんなこんなで文句ばっかり言ったけど、この試みはよかったとも思うし、ちゃんと映画作品として丁寧に作られていたし、今後の日台コラボでももっといい企画が登場してくれるだろうから、それへの希望として観た作品でした。


 あ、この映画は『山田太郎ものがたり』の原作者、森永あいさんによる連動コミックもあるそうです。これも読んだほうがええのかしらん?

監督:萩生田宏治 脚本:荻田美加 撮影:長田勇市 音楽:赤い靴
出演:黒川芽以 チー・ペイホイ(テレサ・チー) コウ・ガ ザック・ヤン 郭 智博

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ミッドナイト・アフター(2014/香港)

 我らが香港映画の風雲児(いま考えた!)フルーツ・チャンが久々に香港映画に戻ってきた。長編は『トイレ、どこですか?』(2002)以来…と思ったら、なんと『女優霊』の英語リメイクも手がけていたのか!
 実は『トイレ』は未見。冬冬こと阿部力の出世作という認識しかなかったのだが、主演が韓国のチョ・インソンで、カテゴリ的には韓国映画にはいってるのか!しかもあーまーぞぉーんのレビューがこてんぱん(笑)。まあ、それはそれはお気の毒に、としか言えん…つか、今度観ようかな。


 それはともかく、Wikipediaによると、ゼロ年代の彼のフィルモグラフィはなんからしくないなーと思うものばかりで(女優霊もそうだし、短編もね)なんとも物足りなかったのだが、『ミッドナイト・アフター』では、久々にフルーツさんがホームグラウンドに戻ってきたような感じを受けて楽しんだ。 

あの日の深夜、ボクらは旺角から大埔行きの紅いミニバスに乗った(原題意訳)。
ガールフレンドとのデートをキャンセルされた阿池(黄又南)、金貸しの發叔(ヤムヤム)OLのユキ(ジャニス)、保険のセールスレディ兼占い師の英(惠英紅)、電機修理店で働く阿信(徐天佑)、間違って乗ったジャンキーのチンピラ盲輝(サム)など16人が旺角から乗り合わせたバスは、獅子山のトンネルを通り抜けたところで異変に巻き込まれる。
彼らより先に中文大学で降りた4人の学生が、次々と原因不明の高熱に侵されていくが、大学にはだれもいない。彼らがパニックになっていた頃、バスは大埔に到着するが、ここにもまた、誰もいなかった。しかも、携帯もネットも通じない。運転手(林雪)も含んだ乗客たちは、夜が明けてから茶餐廳に集まって対策を練る。様子を見に外に出た阿池たちの前に現れたのは、黒いレインコートを着て防毒マスクをかぶった日本語をしゃべる男。
 だれもいない香港。黒いマスク男、一瞬つながる携帯の回線から流れてくるノイズ。一体何が起こったのか。彼らは謎に迫ろうとするが、中文大生を含む残された乗客たちが、一人ひとり謎の死を遂げていく…!
 

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 SFである。ホラータッチの作りなので、ついそっちに引きずられてしまいがちだが、香港映画には珍しいSF映画である。フルーツさんもホラーを作ってる人なので、特に珍しいことでもなんでもないけど、SF入ってたことで特に怖いとか嫌だとかはなかったなあ。
 原作は「香港の2ちゃんねる」と呼ばれる巨大掲示板「香港高登討論區」に掲載された、ハンドルネームMr.Pizzaによる同名ネット小説。ワールドプレミアはベルリン映画祭のパノラマ部門、その後香港国際映画祭のオープニングを飾った作品。韓国のプチョンファンタスティック映画祭では審査員賞を受賞しているとのこと。

 フルーツさんの持ち味としてワタシが認識しているのは、軽やかさの中にある現代香港へのクールな眼差し。それは『メイド・イン・ホンコン』から始まる初期の香港三部作はもちろんのこと、『ドリアンドリアン』(『ハリウッド☆ホンコン(未見)』と合わせて娼婦三部作と呼ばれるそうだが三作目は未製作)にも感じられる。
ゼロ年代後半は大陸に行ったり、短編の製作やプロデュースで活動していたフルーツさんが久々に香港に帰ってきたことで、サムや又南&天佑のSHINEコンビなど彼に縁のある俳優に、ヤムヤムや林雪、惠英紅さんなどのベテラン陣も参加して賑々しく展開して楽しいのではある。
 しかし、これを楽しいと言ってしまうには少しためらわざるものを感じるのは、香港の自由選挙を求めての政府と民主派勢力との衝突が起こってしまったことで、この映画の展開が香港の未来を予言するようなものになってしまったと感じるからなのだろうか。劇中にはいろいろな寓意がうまく込められていて、それが現実の出来事とリンクしてはハッとさせられ、モノによっては恐ろしさも感じる。我々のような香港映画ファン、映画はそれほどで好きでなくても、香港へよく旅したり住んだ経験がある人なら、それに気づけると思うものばかりだ。

 「一晩のうちに、香港がなくなった」。先に貼ったオリジナルポスターのコピーにはそう書かれているが、このところの対立で2046年より前に真の意味で香港が亡くなってしまうのか否か、そんなことも考えてしまう。
 でも、悲観ばかりではないだろう。真実に近づいた乗客たちは、さらなる真実を求めてある場所に行こうとするが、最終的にはそこではなく、九龍のダウンタウンへと向かう。その姿には悲壮感はなかった。むしろ、愛する街で楽しく終末を迎えてやるぜ!というポジティヴな意地にも思える。そこに、香港製造な人々の精神を感じ、まだ希望はあるのではないかと思ったのであった。

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…とまあ、今回はかなりネタバレ控えめにお送りしました。
 香港映画の現状を考えると、日本公開はかなり難しそうなんだけど、ソフトでも配信でも観てもらえるチャンスは欲しいんだよなあ。しかもこれ、原作の前半部分のみの映画化というから、なんとか後半も製作してほしいもの。

 そして、最後にこれは欠かせない。物語のキーとなる曲、デイヴィッド・ボウイの「Space Oddity」


原題:那夜凌晨,我坐上了旺角開往大埔的紅van
監督&脚本:フルーツ・チャン 原作:Mr.Pizza 撮影:ラム・ワーチュン
出演:ウォン・ヤウナン ジャニス・マン サム・リー チョイ・ティンヤウ カーラ・ウェイ サイモン・ヤム ラム・シュー

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台湾飯inTOKYO三連発

   映画の感想がたまっていますが、PC不調によりなかなかアップできず申し訳ありません。暦の上ではディセンバーになってしもたので、未アップの5本+フィルメックスで観た2本+1はなんとか今年中にアップすることを公約といたします!
でも何もアップしないのも寂しいので、iPhoneで撮り溜めした写真の放出も兼ねて、久々に食べ物系の記事書きます。

    日本に進出している台湾チェーンといえば、これまでは鼎泰豊くらいなものだったのだけど、今年は台湾の有名ファストフードが次々と日本に進出。この夏から先日の上京までで3店舗行ってきたので、まとめて感想等を書きます。

まず1店目は、珍珠奶茶が有名な春水堂

 1983年に台中で創業、87年に珍珠奶茶を販売し始めて台湾に定着させたパイオニア。日本第1号店はシネマート六本木から歩いて10分くらい行ったところにあるアークヒルズ内。その後、代官山、飯田橋、ルミネ新宿と展開してます。
 看板の珍珠奶茶やケーキなどは当然あるけど、フードメニューもあるので、ランチなどでの利用が多いのかもしれない。夏に初めて行った時には上の炸醬麵、10月のTIFFで行った時は五香湯麵をいただいてきました。ちなみにランチセットだと標準価格で普通のお茶になるので、珍珠奶茶だとプラス料金がかかります。

 さすが発祥の店だけあって、国内で飲めるお茶では一番台湾に近いかも。ちゃんと甘いし、紅茶も薄くない。麺も上品な味と適当な量。
 ただし、ネックはやっぱり値段。場所が場所なのかもしれないけど、ランチセットで1000円超えちゃうのは普段食べるとしてもやっぱり考えるかな。六本木店以外に行っていないのでなんとも言えないけど、新宿や飯田橋などの若者が比較的多そうな場所なら、もっとカジュアルな値段設定でも大丈夫な気がするな。
 といいつつ、実は未だに台湾のお店には行き損ねているので、あまり偉そうなことは言えないのでした。ははは。

 次は赤坂にオープンした台湾最大の牛肉麺チェーン店、三商巧福。オレンジ色の看板は台湾でもお馴染みなんだけど…そういえば牛肉麺って大体辛いので、よほどのことがない限りあまり食べないのでした(笑)。
 TBSと外堀通りに突き当たる丁字路との間にあるんだけど、周りは飲み屋さんばっか。そのせいか、夜メニューの台湾風おつまみが充実してる模様。
赤坂は安価なホテルが多く、泊まることも多いので、今度泊まったら飲みに行くことも考えていいかも。

 ここでは、もちろん定番の牛肉麺をいただく。
席は地下と2階にあり、ランチタイムもすぐいっぱいになるくらいの狭さ。まあそのへんはね。ちょうど華人女子たちもお客さんで来ていて、北京語で注文してました。
面白いのは台湾ではおなじみの平白麺のほか、カロリーが抑えられる春雨にも変更できること。
 思ったほど辛くはないけど、高菜と豆板醤が自由に盛れるので、それで調節するといいのかもしれない。某グルメサイトに「青梗菜が台湾より小さい…」とあったけど、最近野菜が高いからしょうがないんじゃないかと思われるよ。
他には薬膳塩牛肉麺にトマト牛肉麺、炸醬麵にトンロース飯(豬排飯か?)もあるとのこと。後の二つはテイクアウト可だそうです。

 で、実は牛肉麺と合わせてこれも注文したんだけど、申し訳ないけど薄かったなあ。これはやっぱり専門店にはかなわないってのもあるのかもしれないかな。

 そして最後は、この春から虎ノ門でテイクアウト専門営業から開始し、その後一時閉店を経て新橋に移転リニューアルした台湾麺線

 最近観た『アナザースカイ』で台湾に行った一青窈小姐が屋台で麺線をうまーと食べていたのを見て、これは行かなきゃなーと思った次第。
ランチセットは麺線に小さな魯肉飯とデザートがつく。これで850円なら申し分なし。
麺線はよくイカの入ったのを食べていたけど、とろみのついたスープが懐かしくて、全部飲み干しました。朝食を消化しないまま望んだけど、ちゃんと完食できました。あーよかったよかった。
 今回取り上げたお店の中では一番満足度が高いのだけど、それでも不満が一つ。それは土日祝日が休みであること。
 まあ場所柄(虎ノ門でもそうだったのだろうけど)ビジネスパーソン狙いの出店だからってのはわかるけど、麺線専門店ってまだまだ少ないから、遠方から来る場合はどうしても休日が引っかかっちゃうもんね。そのあたりは今度どうなるかきになるところ。

 そんなわけで東京の台湾飯をまとめてみましたが、今後はリーズナブルな展開が期待ですね。
 そして今度台湾に行った時の我が課題は、現地の春水堂と三商巧福にちゃんと入ることです(笑)。

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