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南風(2014/日本・台湾)

 現在、東北芸術工科大学映像学科で学科長を務めていらっしゃる映画監督の林海象さんが、台湾の映画人と強いつながりを持っていると知ったのは本当につい最近のこと。地元の劇場で海象さんの特集企画があり、濱マイクシリーズの『我が人生最悪の時』を初めて観たのだが、台湾がらみの話だったなんて、ホントに観るまで知らなかったのだよ。バカだよねーオレ。その流れで、1996年に唐十郎さんの脚本・主演で『海ほおずき』という日台合作も撮っているのは知っていたが、観るチャンスなかったのだもの(泣)。しかもヒロインが『ラブゴーゴー』のタン・ナ小姐だし。
 ああ、今度海象さんにお会いする時までに(っていつですか>自分)何とか観ておきたいですわ。ちなみに『KANO』では脚本顧問を務めているとか。

 んで濱マイクを観ていて「ほおー」と思ったのが、助監督にこの冬公開の日中合作『真夜中の五分前』を手がけた行定勲さんがいて、今作の監督の萩生田宏治さんも一緒に務められていたこと。行定さんといえば『GO』やセカチューの印象があるけど、『遠くの空に消えた』で張震をゲスト出演させたり、『春の雪』のカメラにリー・ピンビンさんを起用したりと台湾に縁が深かったわ、今思えば。真夜中では張孝全(今作から日本語表記が「チャン・シャオチュアン」となったジョセフ・チャン)も出演しているしね。
 萩生田さんは『神童』『コドモのコドモ』などが代表作かな。両方ともさそうあきらのマンガが原作。前者は観ているんだけど、小学生の妊娠を扱った後者は結構話題になったよなー。で、彼は先に挙げた『海ほおずき』でも助監督を務めていたそうです。

 そんなわけで『南風』。なんで突然合作?と思えても、こういう背景を見ると、その理由にはなんとなーく納得したのであった。


 風間藍子(黒川芽以)は26歳の編集者。でも、カメラマンの彼氏を年下のモデルに取られ、仕事も配置転換で単発企画に回されるで、早くも崖っぷち状態。そんな彼女が取材するのは、元プロサイクリストの植村豪(郭智博)が台湾・日月潭で主催するサイクリングミーティング。サイクリングが盛んな台湾を自転車で回ろうと企画を立て渡台したが、頼りにしていた在台の先輩は妊娠中。やむなく一人で回ることになる。
 松山で寄った自転車屋で、藍子は冬冬という少女(紀培慧)と出会う。16歳の彼女はファンションモデルを夢見ており、藍子が編集者とわかると、自分は20歳だと嘘をついて、ガイドを買って出る。彼氏を奪ったモデルに瓜二つで、自分をおばさん呼ばわりする冬冬をどうも気に入らない藍子だが、初めての台湾で右も左も分からないのでしょうがない。
 九份、基隆、富貴角と藍子はママチャリ、冬冬はクロスバイクで走る。しかし藍子のママチャはこのハードな道行で壊れてしまう。そこに通りかかったサイクリスト・ユウ(黄河)が助けてくれ、藍子は淡水でジャイアントのクロスバイクを借り直す。彼女も冬冬もユウにゾッコンになり、二人はユウを誘って共に日月潭を目指す。
 北西部の海沿いを走る三人は、時にケンカしたり(藍子と冬冬が)、時に酔っ払って絡んだり(藍子がユウに)、冬冬の幼なじみ健南(ザック・ヤン)が追いかけてきたりと大騒ぎ。目的地に近くなった鹿港の九曲巷で、藍子たちは豪と出会う。そして、豪とユウの思いがけない関係と、冬冬が家出してまで日月潭に行きたかった理由が明らかになる。


 えーと、まあね、物語はものすごーくツッコミどころ満載ですよ(苦笑)。いちいち言ってたらキリがないけど、とりあえず言っとくなら、台北から九份まで行くのに車でも1時間半かかるのに、なんでそんなすぐに自転車で行けちゃうんだよーってのと、藍子と冬冬が共にうざいキャラでイラッとするところか。
 中華電影における日本女子キャラのウザさは、まああれとかこれとか挙げなくても(あえてリンクは貼らない)今に始まった話じゃないが、藍子がアラサーの崖っぷち編集者ってーのはいかにも日本ドラマ的な影響があるのかな、って脚本家はドラマを書かれている人らしいけど。  彼女と冬冬との関係も、噛み合わなくてお互いに頑固だから、バディものには成り損なっちゃってるのが残念なんだよな。冬冬的なキャラも台湾の青春ドラマによくいる元気キャラではあるんだけど、この二人の掛け合いにイラッと来るのはもしかして自分がもう若くないからか>それを言うな。
 ただ、物語はつまらなくても、ロケの選び方は特に中盤が良かった。
 九份や淡水はもう紹介され尽くしている気もするが(鹿港もかな?)、サイクラーじゃなきゃ知らなかったんじゃないかと思われる北西部の沿岸の名所もよかったし、何よりも日台の歴史を無言で伝えてくれる龍騰断橋の風景がすごかった。中部の山間はこういう知られざる遺跡が多そう。機会があったら行ってみたいなあ。ジャイアントの自転車にも憧れるしね。私事ながら、通勤に自転車を使っているので、以前買い換えするときにジャイアントも検討したこともあったりします。

 藍子と冬冬にはイライラしたけど、藍子役の黒川芽以嬢は悪くないですよ。かわいいし、キャリアも長いから。テレサ・チーことチー・ペイホイ、『九月に降る風』も『台北に舞う雪』も未見だったのでこれが初見。ええ、美女度は断然彼女のほうが勝ってる(笑)彼女もルンメイ同様、『藍色夏恋』の易智言監督に見出されたとか。彼女と共演し、映画製作も学んだというのが黄河。リバー・ホアンという英語名があるのに、なぜ日本語表記なのか気になる。
 ドラマや映画では脇役でいい演技を見せている郭智博くん。朝ドラ『カーネーション』で高田賢三をモデルにした青森出身のデザイナー源太を演じたのが印象的だったな。名前からして華僑?と思ったら、父方が台湾系だとか。

 まあ、先に書いたとおり、スタッフもいいしキャストも悪くない。だけどやっぱり話がなあ…。ラストにしまなみ海道のサイクルレースにつなぎ、台湾の旅を経て自転車専門のフリージャーナリストになった藍子が、台湾を代表するサイクリストになったユウと日本で活躍するモデルになった冬冬と再会するといういいエピソードをもってきて、自転車と友情がつなぐ日台の絆というテーマを具現していたのに、そこに至るまでがねえ…。
   そんなこんなで文句ばっかり言ったけど、この試みはよかったとも思うし、ちゃんと映画作品として丁寧に作られていたし、今後の日台コラボでももっといい企画が登場してくれるだろうから、それへの希望として観た作品でした。


 あ、この映画は『山田太郎ものがたり』の原作者、森永あいさんによる連動コミックもあるそうです。これも読んだほうがええのかしらん?

監督:萩生田宏治 脚本:荻田美加 撮影:長田勇市 音楽:赤い靴
出演:黒川芽以 チー・ペイホイ(テレサ・チー) コウ・ガ ザック・ヤン 郭 智博

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