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ジャ・ジャンクー フェンヤンの子(2014/ブラジル)

 今年の東京フィルメックスのコンペ部門審査委員長は、ジャ・ジャンクーでした。
 この人です。

Jiazhangke_venice

 これは6年前のヴェネチアでのショットです。
 もうひとつ。

Jiazhangke

 ふざけているわけじゃありません。たまたまこういう写真しかありませんでした。
 agnes bがよく似合う44歳です。「フィルメックスの顔」ともいわれる西島秀俊くんとも同世代ですね。
 映画監督としては『一瞬の夢』で長編デビューし、1998年のベルリン映画祭フォーラム部門に招待されたというけど、その年に金熊賞を受賞したのが、ブラジルのウォルター・サレス監督作品『セントラル・ステーション』。これは確かNHKも製作に加わっていたんじゃないかな。そしてこの年の審査委員にはレスリーがいたはず…。
 そのサレス監督がジャンクーを撮ったドキュメンタリーが、フィルメックスのサプライズ上映としてやってきた。なお、まだワークプリント版とのことで、詳細なスタッフクレジットがなかったのが残念。

 

初映時の舞台挨拶によると、ジャンクーとサレスさんの縁はこのベルリンから続いており、7年前のサンパウロ映画祭で対談した時にドキュメンタリーの製作と本の執筆の構想を打ち明けられたとかで、待望のプロジェクトだったのねってことがわかる。サレスさんの作品は先の『セントラル』の他、ガエル・ガルシア・ベルナルが若き日の医学生ゲバラを演じた『モーターサイクル・ダイアリーズ』を観ているのだけど、生真面目でしっかりした作品を作るイメージがあって、信頼できる監督だと思っている。そんなわけで、しっかりして見やすいドキュメンタリーで飽きることはなかった。

 ジャンクーの旅は、生まれ故郷の山西省汾陽から始まる。親友でもある俳優王宏偉と、『一瞬の夢』のロケ地や生家を歩いて回る。
 彼の長編劇映画はこれと『青の稲妻』が未見。それでも劇中の場面を挿入してくれるので、その頃と現在の風景を比較して興味深く観た。しかし、愕然とするのは、やはり文革の真っ最中に生まれているからということもあって、同世代なのに全く違う少年時代を過ごし、観てきた映画も全く違うものだったことだ。初めて観た映画が50年代の作品と言われて、70~80年代の中国の市井の生活が全く自分の想像に及ばないものだったことに改めて気付かされた。亡くなられたお父様が学校の先生だったってのは、なんだかわかる気がするわ。お母さんとお姉さまがご健在とのことで、家族との場面は微笑ましかった。
 過去作品として最も言及されていたのが『プラットホーム』。これも汾陽を舞台とし、ジャンクーのミューズである趙濤がデビューした作品なので、取り上げられるのはわかるんだけど、観た当時は結構きっつい作品だった記憶が…(苦笑)。ジャンクーたち自身より年代的に上の世代を描いているので、時代背景は理解できても同時代の作品とは受け入れがたかったのが原因かもしれないけど、やっぱりこれと『世界』が彼の代表作なのかな、と思ったりした。まあ、ワタシはエンタメにやや偏った『長江哀歌』『罪の手ざわり』の方が好きだったりするのだが。

 ジャンクーの旅は汾陽から北京へ行き、『世界』の舞台となった世界公園や、いとこの韓三明との会話の合間に、趙濤や余力為のインタビューも挿入される。母校の大学での講義では賞をうけたばかりの『罪の手ざわり』の話題も出て、次回作として『プラットホーム』を再編集し、現代版を作ると決意したところに、『手ざわり』の国内上映禁止の報が伝えられる。その失望を経て、新作にとりかかろうとするところまでをこの映画では映している。
 ジャンクーの作品は、身近なところからテーマが出発して、それが中国全体の問題として発展したところが興味深く観られているのかな、という気もする。実力があるから、その気になればエンタメも撮れるんだろうけど、多分撮りたいテーマはたくさんあるんだろうなという気がする。中華電影やアート系作品がほとんど来なくなっても、なぜか彼の作品はこっちまで来るので(笑)、必然的に観る環境には恵まれている。だから、きっと今後も観ちゃうんだろうな。
 しかし、手ざわりの時にもビックリしたもんだが、ジャンクーがとっちゃん坊や(こらこら)からうまく中年になったのに比べ、王宏偉がかなり変わってものすごいオッサンになったのは驚かされた。趙濤は観るたびに洗練されてきているけど、韓三明が全く変わらないのに妙に安心した。

…こんな感想しか書けないけど、いいかしらん?

原題:賈樟柯 汾陽小子
監督:ウォルター・サレス
出演:ジャ・ジャンクー ワン・ホンウェイ チャオ・タオ ユー・リクウァイ ハン・サンミン 

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