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2014年10月

日本橋の中心で香港電影への愛をさけぶ(予定)

なんかこのタイトル、ずいぶん久しぶりだなあ。ははははは。

ども、お久しぶりです。
実はまだ夏から溜めている映画の感想が3本ほどあるのですが、こんな季節になってしまったので来ちゃいました、東京国際映画祭へ(^^;;

今年は六本木に加え、この春オープンしたTOHOシネマズ日本橋も会場になるとのことで、移動もそれなりに大変そうですが、遠方から来る人間にとって、後者なら東京駅にも近いので、ちょっと便利になったかなって感じです。




今回は時間の関係で観られなかった、『光にふれる』の張榮吉監督の新作『共犯』。

今回は中華電影を2本。
昨日の夜は、アン・ホイ監督、タン・ウェイ主演の『黄金時代』を観ました。




上映時間約3時間の大作と聞いていたので、途中で意識を失わないかしら?と多少心配だったけど、そんなこともなく、かなりいい構成で興味深く観られました。感想は後ほど。




そして今夜は、フルーツ・チャン久々の新作にして、現在の香港の状況を予言していたのではないかと言われる異色SF『ミッドナイト・アフター』を観ます。その他に映画祭ではタイとフィリピンの映画を1本ずつ観ます。

あと、映画祭の他にはシネマートで『ファイアー・レスキュー』観てきます。ホントは『レクイエム・最期の銃弾』も観たかったけど、ちと諸事情により今回は見送り。12月頭までやっていてくれれば、フィルメックスの時にでも観たいんだけどねー。

では、楽しんできますわー。

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冷血のレクイエム【極限探偵B+】・コンスピレーター 諜略【極限探偵A+】(2011・2013/香港)

 いつの間にか三部作になっていた『影なきリベンジャー』(以下C+)からの極限探偵シリーズ。
 原題の《C+偵探》は落第を表す「C+」とプライベートという意味の「私家」の広東語発音が同じことから「落第探偵」と「私立探偵」をかけたといううまいネーミング。今から7年前の作品だけど、その好評を受けてまさか続編が2本作られるとは思いもよらなかった。しかし話がつながっているのに、完結編の題名に繋がりがないのはなんでだろう、とも思う。
 しかも日本版のソフトは違う会社から出ちゃってる。さらに謎なんですけど。

 でも諸事情につき、この2本はまとめて感想を書きます。あしからず。
まあ長々と感想をためてきたワタシに非があるんですけどね(汗)。

 タイの中華街で探偵事務所を営むタム(アーロン)は、サム失踪殺害事件を解決後、昇進したチャック(カイチー)の抱えていた複数の殺人事件の捜査を手伝うことになる。それは全て手口の違う残忍な殺され方をした猟奇殺人事件であった。タムはこれらの事件の犯人はすべて同一犯ではないかと推理するが、捜査を進めていくうちに、タムとチャックは何者かに襲撃される。
 やがてタムは、修理工のリンという男に狙いをつける。彼に会いに行き、姉と面会したが、彼女は弟の少年時代に起こした事件を語り出す。さらにこの兄弟には驚くべき過去があり、それがリンを犯罪に走らせたことにタムは気づく。
 しかしその時、リンはチャックを襲撃して拉致していた。そしてチャックを助けるために現場に駆け付けたタムが見たものは…!

 香港では珍しい探偵映画として注目を浴びた前作は、オープニングにあの陽気な『Mi Panda』を流しながらも、物語の進行とともに屍は累々とし、しかも事件が解決した後の真相がまるで『The EYE』!と思いながらも、かなりのせられて楽しんだし、面白かった。
 だから、続編ができるのもわかるよなーと思ったけど、まさか『羊たちの沈黙』ばりのサイコスリラーになるとは思わなんだ。しかも後味がかなり悪くてどんよりするヤツで、しかもチャックが、チャックがーっ!!!東京や大阪でこの作品を観た同好の士の皆様がしきりと「パンころす!パンしめる!」と言っていたが、観た後には「…ああそういう意味か。パンふたつけたる!(岩手弁で「しめたる」という意味)」となったのは言うまでもない。
 さらにどんよりとラストを迎えた直前で撃ちこまれた銃弾。それは、30年前に失踪し、前作で遺体となって発見されたタムの両親の謎にまつわる手掛かり。これを大きな引きとして、完結編となる『コンスピレーター(以下A+)』に続くのであった。



 両親の死の真相を探るために、マレーシアにやって来たタム。手がかりを握る男柴(陳観泰)を搜すが、そこでわかったのは両親が麻薬の売人をしていたということ。同時に、タイの事務所が何者かによって荒らされたことがわかり、タムはマレーシア華僑の探偵鄭風喜に協力を仰ぎ、タイに戻ることになる。やがて、彼らの捜査を妨害する者が現れ、柴が失踪する。広州に隠れていることがわかり、タムは柴の娘(江一燕)とともに現地に向かう。やがてタムと風喜は30年前の真実を突き止めるが…!

 すみません、あらすじがかなり適当かも。
実は仙台でこの2本を観たのだけど、鑑賞順序はA+→B+。これしか選択肢なかったんですよ。だからチャックがB+で殺されてしまったことを先に知ってしまった…!いやもう、心のなかでものっそく泣いたよ!おかげでパンころす!パンしめる!パンふたつける!が10倍増し(笑)。
 その寂しさを埋めるべくなのか、完結編を盛り上げるためなのか詳細は分からないが、主役級の役柄にニックさんを配し、舞台もマレーシアと広州にスケールアップ。タムが両国を行ったり来たりしているので、東南アジアはやっぱりつながっているんだなーと感心。
 ニックさん演じる風喜はカンフーの達人という設定で、クライマックスに大立ち回りしてくれてなかなか楽しいし、このアクションが『激戦(『ハート・オブ・ファイト』という題がついて来年1月に日本公開決定)』につながるようで楽しいなーって思って観てたんだけど、役柄での長髪はうーむ、だったなあ(笑)。先に鑑賞された皆さんは帽子だヅ◯だと言ってたが、まさにそんな感じだったな。でも衣装が基本一張羅の白シャツ&ネクタイなので、ペラペラの柄ポロシャツでどーもチンピラっぽいタムより探偵っぽく見える。やる気になればスピンオフも作れたのかもしれないね。
 中国語版ウィキペディアを見たんだが、最初は《A+偵探》だったのに、結局タイトルを変えたのはニックさんを持ってきたからってのもあるのかな?でも物語的にはつながっているわけだし。うーむ。

 あれだけ中盤重苦しかった展開なのに、 きれいに(いや無理やり?)話をまとめて、ラストはミーパンダで締めたのだから、まあよしとしよう。鑑賞時はB+観てどんよりとしたまま映画館近隣のタイ料理店でカオマンガイをかっこんだもんだけど、夜の上映でC+再見して気を取り直したもんね。

 ところで最近、アーロン主演作品の日本公開率が異様に高いねえ。去年の秋には『コールド・ウォー』があったし、仙台は観られなかった『浮城』もある。後者は今地元映画館での上映リクエスト候補に入っているんだけど、現在大荒れに荒れている香港がどんな過去をたどってきたのかを描いていると考えると、やっぱり今ものすごく観たいなあ、と改めて思うのであった。

原題&英題:B+偵探(The Detective 2)/同謀(The Conspirators)
製作&監督&脚本:オキサイド・パン 
出演:アーロン・クォック
(B+)リウ・カイチー パトリック・タム チャン・シウファイ
(同謀)ニック・チョン チェン・クアンタイ チアン・イーイェン

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罪の手ざわり(2013/中国・日本)

 今、香港がえらいことになっているのだが、ちょっと考えもまとまらないし、アップする感想もたまっているので、そのへんは近いうちに。

 最近衝撃を受けたニュースの一つに、北京でインディペンデント映画祭の開催が取りやめになったという事件がある。先日のジェイシーの逮捕(ここで少し書いてます)を別にしても、最近中国では公安が文化芸能方面に妙な目をつけているようであり、『トゥヤーの結婚』王全安監督が買春の疑いで拘束されたなどというニュースを聞くと、どうも穏やかではない。

 最近日本の一部国民が嫌うように中国が日本を嫌ってはいないとは聞くのだが、こういうアート&エンタメ系に権力が介入することを聞くと、どうしても中国政府にも不信感を抱かずにはいられない。確かによく考えたら、昔から中国の映画人は不当に当局から目をつけられる傾向もあったのだが、結局それは昔よりエンタメ系中国映画の世界公開が増えてきた現在でも、創作状況はあまり変わっていないのか?などと考えてしまうのだけど。

 さて、そんな中国のアート系映画人であるジャ・ジャンクーだが、彼の場合も作品がなかなか中国では公開されないと聞く。それでも作れるのは、海外で高い評価を受けていて、フランスだったり日本のあのバカ監督の事務所(オフィス北野)でサポートしてもらえるからなんだが、彼が作品を作ることで、ワタシたちは現在中国の人間模様を知ることができる。好みかどうかはさておき、それは実に貴重な機会だと思う。そんなわけで、最新作『罪の手ざわり』をこの夏地元で観た。


↑台湾公開時の予告(多分)。おお、「中國禁片」などと書いてあって物々しいぞ。

 山西省。ある村の炭鉱で働く中年の大海(姜武)は、目の前でバイクに乗った男が銃で人を突然撃ち殺すという場面に出くわす。 その彼は最近、炭鉱の利益を同級生の実業家が独占していることに怒っている。村長も抱き込んでいるのではないかと疑う大海は訴えに出るが、妨害されてしまう。怒り心頭の彼はついに銃を手に取る。
 山西省で人を殺した男・周(王宝強)は妻や母親の待つ重慶の実家に帰還する。武漢で出稼ぎしていると家族には嘘をついていたが、彼は各地で殺し屋をしたり、強盗をして金を稼いでいた。妻が金の出処を訝しむ中、つかの間の帰省で落ち着く間もなく、周は再び旅立つ。その前に、街の中で現金を下ろした女性を撃ち殺し、金の入ったカバンを奪い取って…。
 湖北省・宜昌のサウナで働く小玉(趙濤)は、広州で工場を経営する男と不倫をしている。宜昌までやってきた男と幸せに浸る彼女だが、男は離婚する様子もなく、関係をずるずると続けている。男が帰った後、失意のままサウナで部屋を掃除していたところ、客(王宏偉)に相手になるように迫られてしまう。逆上した小玉は、ナイフを持ってきて客に振りかざす。
 小玉の愛人が持つ広州の縫製工場では、若い小輝(羅藍山)がうっかりして同僚に大怪我を負わせてしまう。同僚の稼ぎを自分の給料から天引きされると聞いた彼は工場から逃げ出し、東莞にある香港人や台湾人相手のナイトクラブで働くことになる。そこで出会ったホステスの少女(李夢)にほのかな思いを寄せるようになるが…。

 ジャンクー作品を観たのは実に6年ぶり。普段地元にはアート系の中華電影が来る機会が実に少ないのだが(台湾巨匠系ならなおさら。ホウちゃんもここ15年くらい新作来てないし、ミンリャンなんて7年前にプレノン・アッシュ配給の2作品+シャオカン監督作以来きてないぞ。魏徳聖「巨匠」もセデックがスルーされたし)、 なぜかジャンクー作品は6年前に『長江哀歌』の上映がきっかけで特集上映が組まれ、そこで『プラットホーム』『世界』を観ることができた。なんでだろう?上映館の社長さんがお好きなのかしら?
 それでもドキュメンタリーだった『四川のうた』(『無用』は映画祭のみ・追記)がこっちまで来なかったので、今回も来ないかな?と思って諦めてたもんで。

 ゆるやかなつながりを持つ4人の男女の物語。お馴染みの面々―今やジャンクー夫人となったミューズ・趙涛、王宏偉、そして韓三明―もいるのだけど、思った以上にエンターテインメントにシフトしている印象があるのは、素人の面々に加え、やはりプロの俳優が参加しているからだろうか。まあ、姜文さんの弟で兄貴以上に不敵な面構えがいい味出してる姜武さん(『捜査官X』にも出てますな)や『コンシェンス(近日観て感想書く予定)』にも出ているという王宝強、『フライング・ギロチン』にも出てたというが覚えてない(当たり前か?)李夢など、中国や香港絡みの映画に出ていて、日本でも知ってる人は知っているという面々なら、いつもと違う感覚を持って当たり前かもしれない。

Touchofsin

 実在の複数の事件を元にして、各編の主人公が罪に手を染めるという共通項を持つ物語構成もまたエンタメ的かもしれない。実際、山西省のエピソードでの、トマトを積んで横転したトラックの向こうで爆発が起こり、落ちたトマトを拾ってバイクに跨ったままかぶりつく大海の場面(上の写真ね)はノワール的だし、宜昌のエピソードでの、頭のてっぺんでポニーテールにした小玉が血まみれになりながら刃物を振りかざす場面は、これまたジャンクーが意図した通り、武侠映画のヒロインのようであったしね。自分のスタイルを保ちながらオマージュを捧げるやり方は、長江で突然耳に飛び込む『男たちの挽歌』のテーマのことを思えば、特に唐突だとは思わない。まあ、ジャンクーがここまでエンタメに傾く(と言ってもちゃんと観れば全くそうじゃないんだけどね)とは、と驚いたけど、個人的にはこっちより長江の方が好みかな。いや、決してこれがダメってわけじゃないよ。これはこれで割と気に入ってるもの。

 「ごく普通の人々が罪に触れてしまうまで」というようなコピーがつけられているが、ごく普通に見えながらもあらかじめ罪に落ちている者もいる。重慶の周は金のために罪もない人を殺していくし、小玉の不倫だって世間的にはほめられたものではない。小輝も故意ではなかったものの、同僚に大怪我をさせて責任を取らないまま逃げてしまったという点で罪に落ちている。程度はどうであれ、我々はどこかで罪を背負っており、さらに理不尽な暴力をしでかしたり、巻き込まれたりするのはやはり天の定めなのか、ということも語られている。その天の定め(中国語の原題がまさにそれ)が現代の中国ではこうなってしまう、ということにおいても、社会的な視点を起きながらエンターテインメントで語る必要性があったんだろうな。
 でも、これでもストレートに見えちゃうから、ジャンクーもちょっと今後が心配だぞって思うんだけど、それは余計なお世話かしら。ま、バカ社長んとこがバックにいれば、まだ安心できるのかな(そうか?)
 いずれにしろ、中国でのアート系監督では最重要人物であるのだから、たとえ当地での上映が難しかろうと、彼が今後もしっかり映画を作れるくらいの安定さは欲しいものですよ。ホント、いろいろと心配だなあ。

原題(英題) 天注定(A Touch of Sin)
監督&脚本&製作総指揮:ジャ・ジャンクー 製作総指揮:森   昌行   製作:市山尚三   撮影:ユー・リクウァイ  音楽:リン・チャン
出演:チャオ・タオ  チアン・ウー   ワン・パオチャン   ルオ・ランシャン   ハン・サンミン   ワン・ホンウェイ   リー・モン   

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