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ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪(2013/香港・中国)

 初の3D作品『ドラゴンゲート』の後に徐克さんが手がけたのは、『王朝の陰謀』に続くディー判事シリーズの続編。それが『ライズ・オブ・シードラゴン』
 でも、前作の続きではなくて前日譚というのがミソ。前日譚なのでキャストはほぼ総入れ替え。唯一変わってないのは武則天役のカリーナ姐のみ。


 西暦664年の唐、高宗の世。皇帝は敵対する扶余国に水軍を送るが、一瞬のうちに全滅させられてしまう。武則天(カリーナ)は大理寺の司法長官・尉遲真金(ユーチ・ジェンチン/ウィリアム・フォン)に捜査を依頼するが、都では海の神である龍王の怒りに触れたとの噂が立ち、都一番の花魁・銀睿姫(イン・ロンチー/angelababy)が龍王の祠に生贄として捧げられる。
 同じ頃、大理寺に判事として30歳の狄仁傑(マーク)が赴任。読唇術を心得、優れた洞察力を持つ彼は、通りすがりの男たちが睿姫の誘拐を企てていることを察知し、それを阻止。しかし、祠には謎の怪物が押し入り、睿姫を連れだそうとしていた。それも捕まえようとした狄だったが、すんでのところで取り逃がし、その場にやって来た尉遲に取り押さえられる。自分の任地であるはずの大理寺の地下に幽閉された彼は、そこで医官を務める沙陀忠(林更新)と知り合って脱出し、彼の強力を仰いで尉遲とは別ルートで捜査にあたる。
意外にも怪物の正体は、睿姫の恋人である清心茶房の跡取り・元鎭(ユエン/キム・ボム)であった。彼は蠱毒を盛られ、身体が変化してしまったのだ。沙陀の師匠・王(陳坤)に治療を依頼し、尉遲にマークされながらも狄が突き止めたのは、東島幫の首領・霍義(胡東)による唐王朝の転覆だった…。

 CGでの遊びっぷりとワイヤー多用によるアクション、そして人を食った予想不可能の展開は前作の三割増し。前作よりこっちの方が面白いと思う人は多いだろうな。アンディやカーファイが出演した前作は黄金期の香港映画のかほりを漂わせつつ、21世紀向けにアップデートしていた印象があるけど、中華圏の(比較的)若手俳優+αで固めた今作は、それ以上にアップデートされていて、ちょっとアニメ的なアプローチもなされていた感じ。徐克さんがアニメ好きってこともあるから、なおさらそう思えるんだろうな。

 おそらくこれが台湾以外の映画初主演となるマーク。アンディほどの個性の強さはないけど、今後の続編も彼が演じてもいいかなーと思うくらいにはハマっていた。アンディとは違うんだけど、それでも演じ方にはどこか共通するものも感じたぞ。相方となる沙陀を演じるケニー・リンは今年の金像で最優秀新人俳優賞にノミネートされていたのか。大陸出身だけど台湾で活躍しているとのことなので、今後もどんどん出てくるのかな。いい感じの若造っぷりに好感もてました。
 ドラマ『蘭陵王』に出演し、日本でも中華ドラマファンに人気のウィリアム・フォン(てかすでに馮紹鋒で定着してるのか)。前作の司法長官が白髪の裵だったので、今回は赤毛…なのかな?どーも『太極2』のヘタレ兄さんのイメージが強すぎるせいか、いつヘマをするのかが楽しみだったんだが…って違うか。
 で、太極では妹役だったangelababyがヒロイン。花魁役だけあって、唐代のセクスィー系からあれこれ着替えてくれて本業のモデルばりの七変化を見せてくれるのは楽しいが、身体も動くのだからアクションができる役どころだったらよかったなあ。
 その恋人の恐怖半魚男が、韓国から参加のキム・ボム。…すまん、当たり前だがしらん!韓国版流星花園でブレイクして、日本でも人気があるのか。ふーん。しかし君は偉いよ、よくあのメイクを引き受けた。フツーなら断るだろう(笑)。メイクといえば陳坤が全然わからなくて参ったわ。
 香港からのキャストがカリーナ姐(と言っても彼女も大陸出身)しかいないことが残念にも思えるけど、そうであっても徐克さんのテイストはしっかりと残されているわけであって。 香港映画の中国映画化は苦く思ってしまう傾向にあるけど、大陸に行っても徐克さんは徐克さんであるんじゃないかな。

 それから、最近は大陸作品に韓国俳優が入ってくる率も高くなっている。ダンテ・ラム監督の新作《破風》にも日本で知られている韓国俳優が参加しているので、そっちが好きな人には注目されるんだろうな。いや、韓流が他のアジアンエンタメを駆逐しまくった時期を経験しているとはいえ、もう韓国憎し(それでも好きになれんが)ってわけじゃないし。ただ、こういうアジアンコラボが展開されているのに、日本だけが置いてきぼりになってるのはやっぱりもったいないんだよ。
 先月の東京公開時のSkypeインタビューで徐克さんったらこんなこと言ったらしいけど、これをリップサービスに終わらせちゃさらにもったいないよ。
 エンドタイトルに映画化済の《通天帝國》含め、今後のディー判事シリーズのイメージボードが描かれてたから、この中には日本人遣唐使がディー判事の事件に巻き込まれるって話もできそうな気もするもんね。

 て言うか、いつも書いているけど、「香港のスピルバーグ」なんていう枕詞はもう外してほしい。これをつけてもディー判事シリーズは全国公開にならなかったのだから>ホントは全国公開にしても十分面白い作品だったのに。
 あと、劇団☆新感線のいのうえひでのりさんがコメントを寄せていたからな、ディー判事自体を新感線の演目に取り上げてもいいんじゃないの。そしたら少しは知名度上がるのかも。

原題:狄仁傑之神都龍王(Young Detective Dee:Rise of the Sea Dragon)
製作&監督&脚本:ツイ・ハーク 製作:チェン・クオフー アクション監督:ユエン・ブン 音楽:川井憲次
出演:マーク・チャオ ウィリアム・フォン  angelababy ケニー・リン キム・ボム チェン・クン フー・トン カリーナ・ラウ 

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