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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・キョウト 浪客剣心續集

 いやあ、ほんとにすいません。この夏ならディー判事シリーズ第2弾『ライズ・オブ・シードラゴン』とか、仙台で上映されたパン兄弟祭りとか、先日新文芸坐で上映された『ドラッグ・ウォー』とか、お盆明けから東京で上映される台湾巨匠傑作選(しかし魏徳聖さんをこのカテゴリに入れるのは早過ぎるんじゃないの?)で大騒ぎしなければならない中華趣味なんですが、説明不要な諸事情につき、2年ぶりでこちらでも騒がせていただきます『るろうに剣心』


素朴な疑問。これ、公式チャンネルからの動画なんだけど、なんで中文字幕が簡体字なの?大陸での上映は確か(後略)

 監督の大友さんと我らがアクション監督谷垣さんが放つ京都編二部作(現在公開中の『京都大火編』、前作も含めた三部作の完結編『伝説の最期編』は来月公開)は、2年前に衝撃を与えた前作よりアクションが3割増し。初見ではもうニヤニヤしちゃってたまりませんでしたわ。
 この2年間、谷垣さんも日本と香港や大陸を行ったり来たりしながらド兄さんとのお仕事や『猿飛三世』や『宮本武蔵』などの日本のドラマでアクション指導をし、剣心を演じたタケルも主演ドラマでキレッキレのアクションを見せるなど、日本のエンタメにおけるアクションの重要性に改めて注目させてくれたのはいいことだなーと思う次第。
 とは言っても、中華古装片のファンタジックアクションと、フィクションではあるけど近代を舞台にした日本の時代劇は明らかに違う。ワイヤーバンバンというわけでなく、俳優たちが肉体を使ってほぼノースタントで限界に挑む、高速で力強いアクションはまさに黄金期の香港映画を彷彿とさせて観ていて楽しい。おかげで昔の香港映画を見直すと、李小龍さんや成龍さんやショウ・ブラザーズ作品がいかにあの映画に良き影響を及ぼしているかがよくわかるアルのよ。

 かつて人斬り抜刀斎として恐れられ、鳥羽・伏見の戦いを境に姿を消した流れ者の元剣客緋村剣心(タケル)が維新以 来10年ぶりに東京に舞い戻り、抜刀斎の名を名乗る剣客他を擁する実業家と対決した第1作から2年。剣心の後を継いで闇の刺客となりながらも、時代の流れ に取り残され、自らが仕えた者に裏切られて全身を焼かれた狂気の復讐者・志々雄真実(藤原竜也)が政府の転覆を狙う京都編二部作では、志々雄を始めとした 新キャラも多く登場すればアクションのバリエーションも広がって、もう観ているだけで狂喜乱舞(笑)。
 だってオープニングの志々雄と斎藤一(江口)率いる警察との対決がもうニューポリ序盤の陳國榮たちとイカれたジョーたちの「ゲーム」の場面そのものだったから(くれい響さん曰く、この場面は大友さんが最初からそれを意識してたと書かれていたのでおおやはり!と)、もうたまらんですわ。

 志々雄の企みを阻止するために剣心は京都へ旅立つのだが、彼がそこで出会う新たなるキャラたちも実に個性豊か。
 中でも京都御庭番を率いる旅籠の主・柏崎翁(田中泯)とその孫・巻町操(土屋太鳳。来年春からの朝ドラ『まれ』の主演に決定)がお気に入り。家族揃って香港アクション映画ファンで、好きな映画に『新少林寺』を挙げている太鳳ちゃん演じる操は、御庭番仲間でほのかな想いを寄せている四乃森蒼紫(伊勢谷友介、以下いせやん)を探す旅の最中に剣心と出会い、思いもよらない大乱闘を繰り広げる。もう身体はよく動くし、開脚キックも確実に決めるしで、キミはマジで谷垣さんにくっついて香港でアクション女優を目指すべきだよ太鳳ちゃん!って感心したもの。谷垣さんも話されていたけど、彼女は現場で自らアクションを提案して実践したというので、ホントに好きだし、この役やりたかったんだねー。まだ二十歳前のお嬢さんだけど、今後は大いに期待しますよ、太鳳ちゃん。
泯さんはもともと舞踏家で、俳優デビュー作こそ剣士を演じた『たそがれ清兵衛』だったけど、大友組作品では寡黙なレンズ研磨の特級技能士や土佐の怪物と言われる天才藩士を演じてきた。だけど、そんな常連でも同じ役どころは二度と回ってこない。しかも柏崎翁は元御庭番だから凄腕の武闘派!
 今年69歳という泯さんと、いせやん演じる蒼紫の対決が用意されているが、これもまさに驚愕もの!ダンサーとしてのキャリアがあるとはいっても、ここまですごいアクションを見せられるとは。いやあ、もう少しで鼻血が出そうでした。そういえばいせやんも、かつて高杉晋作を演じた時は、馬関の戦いのエピソードにてまるで『レッドクリフ』の趙雲のような敵陣突破を鮮やかに決めてくれていました。ただし抱えていたのは赤ん坊じゃなくて三味線だったけどね。

 京都に辿り着いた剣心を狙う志々雄の十本刀の一人、沢下条張を演じるのは、『仮面ライダーオーズ』で主人公の相棒にして元敵方の怪人・グリードのアンク(正確に言えば彼がとり憑いた人間だが)でお馴染みの三浦涼介。俳優の三浦浩一さんの息子さんでもあります。大友さん曰く「大火編の秘密兵器(ちなみに前作のそれは綾野)」だそうで、それゆえ大暴れします。そして剣心とはガチで戦います。しかも神社の境内の下で (笑)。ここは谷垣さん曰く「この境内の下が人が入れるよりもっと低かったら、『酔拳2』のパクリと言われたかも(詳細)」だそうですが…ほー、そうだったのか、と。 『酔拳2』観たのもずいぶん昔だったので、いつか観直したいもの。

 こんなふうにかなーり楽しみ、大喜びしてたので、前作に続いておかわり鑑賞しちゃいましたよ。完結編公開までに、できればあともう1回観たい。公開第1週でトップとったし、夏休み映画ではかなりのヒットだしね。香港映画が好きな方には前作同様楽しめる作品です。
 ただ、一部のガチな香港電影迷の方々の評価は相変わらず厳しいですね。カメラがアクションを撮れてない、編集が悪い、そして大友さんの演出と谷垣さんのアク ション演出が馴染んでないなど。(これは前出のくれい氏の批評にもあり)ええ、監督も好きだし、作品自体も好きなので、批判されたら素直に凹みます。『グランド・マスター』の時もそうだったしな!
 ワタシは大友さんのNHK時代からの熱烈なファンだし、どうしても贔屓が入っちゃうから冷静に観られないし、重箱の隅をつつけない性格です。すいません。でもいいじゃん、アタシが好きだったらそれでいいんだよ!
(こういう主観バリバリで長々と感想書くからダメなんだよなー)

 って、逆ギレはやめなさい自分よ。
気を取り直して。

 香港映画でもないこの映画の感想をここで書く理由は、上記の他にその逆も然りってことだったりします。つまり、るろけんを観てこの激烈アクションにハマった若い映画ファンには、ブルース・リーやジャッキー・チェン等の活躍する往年の名作の他、是非とも谷垣さんの師匠格であるド兄さんことドニー・イェンの出演 作品や昔のショウ・ブラザーズ作品、さらに余裕があればそれらをリメイクした現代の香港映画も観ていただきたいのですよ。ついでに京都編二部作の構成なら、 話の展開やキャラの出し方で『レッドクリフ』も参考になると思う。
 ちょうど前作公開と同じ年に、ド兄さんと金城くんの『捜査官X』も公開されているし(ただし我が街では悔しいことに未上映…) るろけんがきっかけで、ド兄さんの日本での知名度がアップしたらいいのにとか思ったけど、実際なかなか…なのがちと切ないもんで。
 でも、この映画がとっかかりになって、香港映画の広い世界に興味を持ってくれたら、約20年来の香港電影迷としては本当に嬉しいよ。だから自分もあまりマニアックにならないように心がけるよ。

 久々の記事ともあって、長くなって申し訳ない。
ただ、最後にこれを言わせてくれ。

 いっちばん最後に登場したあの「謎の男」、演じているご本人は人気があっても特に好きでもないし、今まで全くそう思ったことがないのに、あの場面でだけイーキン・チェンに見えてしまったのはなぜなんですか?えっ、気のせいだって?そうだったらスマン。あの人に愛がないとは、イーキンのファンの人には申し訳ないですね。
 まあ、おそらく大活躍であろう次作では決してそう見えないだろうね。あはははは。
てなわけでこれで終わりでござるよ。(^^;メ)

 あー、終わりにしたのに、これを忘れてた。
 『伝説の最期編』上映開始2週間後の9月26日(金)より、「バック・イン・シネマ」の企画上映として、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明』が始まります。何度も言ってますが、るろけん三部作のお手本となったのがこのシリーズ。なんと初映時より上映館数が多いという奇跡が起こってます。るろけん後始めて触れる香港アクションとして強力お勧め。
 もちろん、ワタシも観に行きますよ。

  さらに蛇足。
 『ハゲタカ』以降大友組のほとんどの作品を手がけており、前作に続いて音楽を手がけているのは佐藤直紀さんですが、公開が待ち遠しい『KANO』も彼の担当です。

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