« 2014年5月 | トップページ | 2014年7月 »

2014年6月

ポリス・ストーリー/香港国際警察(1985/香港)

「香港映画及び中華圏映画の一般への普及」を目的としている(そうなのか?)本blogだが、どうもジャッキーこと成龍大哥についてはおろそかに扱ってしまう。それは決して彼が苦手とか嫌いとかいうわけではない。70年代から80年代にかけて彼が大活躍し、世界に先駆けて紹介されたことから、香港映画が広く世界的に知られるようになったからである。むしろ感謝しているよ。
 ただ、ワタシがいつも「ジャッキー・チェン・ジレンマ」に陥ってしまうのは、成龍さんだけを崇め奉ってしまう大手マスコミの風潮が許せないから。韓流もそうだけど、マスの伝え方で「香港映画=ジャッキー」という図式ができてしまい、それを刷り込まれた一般ぴーぽーがそのイメージでのみ理解し、語ってしまうってのがいちいち引っかかった。ここしばらくSNSでも上がってくる、「ドラマ『ダブルフェイス』のオリジナル『インファナル・アフェア』は韓国映画」っていう誤解も同様。マスのアバウトな伝え方で、「イケメンが激しく殴られて流血するドラマ=韓流」とかいうのと同じような図式がどっかでできあがってんじゃないの?
 こう書くと、成龍さんを本気で尊敬している皆様に誤解を及ぼしてるかもしれないけど、決してdisっているわけじゃないんですよ。ただ、80年代以降の『男たちの挽歌』近辺やメイベル・チャンやアン・ホイのような女性監督作品も含めた文芸作品の登場、レスリーや四大天王たち主演のアイドル映画、世紀末の喜劇王・星仔の大進撃、そして王家衛の登場まで、香港映画は実に多彩であるわけだし、それをもっと広く知ってほしいと願っていたんですよ。でも、それらの作品が日本に紹介される下準備は成龍さんが作ったとも受け取れるから、あまりすねないほうがいいよね。

 そんなわけで、バック・イン・シネマ2本目の香港映画は、成龍さんの全盛期にして、香港映画自体も黄金期を迎えていた1985年の作品『ポリス・ストーリー』。中国資本で製作され、初めて大陸を舞台にした新作『ポリス・ストーリー レジェンド』の公開も間もなくなので、そのタイミングを見越しての上映と見た。
 ちなみにうちの街ではまだ上映決まっていないようですが(でもイオンシネマ北上でロードショー公開されるらしい)、どうなんでしょうね。まあ黙ってても来るでしょう。もう成龍さん作品しか来ないから(見苦しいやさぐれ失礼)。


お馴染みの主題歌。おお、字幕付きじゃないか!

 訓練期間を終えて香港国際警察に配属された陳家駒(成龍さん)は課長(トン・ピョウ)の命を受け、朱濤(楚原)率いる麻薬犯罪組織の撲滅作戦に参加し、朱や秘書のサリナ(ブリジット)を逮捕する。警察はサリナを釈放して検察側の証人に仕立てることにし、彼女の護衛を家駒に託す。彼はサリナとともに家に帰るが、家で待ち構えていたのは恋人のメイ(マギー)。サリナを誤解し、嫉妬に怒り狂って出て行ってしまうのであった。その後、サリナは行方をくらまし、大切な証拠だったテープも上書き録音されてしまっていた。家駒は捜査から外され、新界のへき地沙頭角の交番に左遷されてしまい…。

 成龍さんの激烈アクションについては今さらワタシが語ることではないので、それ以外で印象に残ったことを。
 ワタシはこれとは別シリーズである『新警察故事(以下ニューポリ)』が好きなのだが、このシリーズって、製作当時に活躍した香港明星たちがキャストに加わっていること、そして各シリーズの香港の景色からその時代がわかること。ニューポリなら、ニコラス・ツェーやダニエル・ウーなどといった、現在香港映画の屋台骨を支えている中堅俳優(もちろん10年前までは若手ではあった。せっかく公開時にこの3人で来日したのに、ニコと彦が一部マスコミに「ジャッキーの弟子」呼ばわりされたのは残念だった)の出演だったり、クライマックスの香港コンベンションセンターでのバトルシーンが挙げられる。
 で、この作品ではなんといっても、ブリジット・リンとマギー・チャンという、香港映画界永遠の二大女優の若くて愛らしいお姿が拝めること!ブリジットのセクスィーなベビードール姿、マギーのおきゃんさは、この映画ならではだもんなあ。でもこんな素敵な二大女優を揃えながらも、二人が鉢合わせした部屋の場面での家駒のバカっぽさには参ったわ…。ああいう女性の気持ちに鈍くて、別の女性への言い訳に他方の彼女を貶めるような発言をされるのには、今じゃ全然笑えないわ。まあ、そういう時代だったわけなんでしょうけどね。

 ロケ地を見ていたら、当然中環っぽいところ(永安百貨の名前を見かけたなあ)も登場したりするのだが、気になったのは序盤の組織検挙作戦の舞台となった造成中の宅地と、中盤で裁判にしくじった家駒が左遷される沙頭角という地名。85年ごろの地図がないので確認できないのだが、前者は新界のどこか、後者は大陸との境界沿いの海に面した街、ということか。そろそろ80年代の資料も必要になってくるのかなあ。

 そんなわけで、ただ成龍さんの極限アクションだけでなく、当時の香港の様子がわかり、この作品の後から挽歌二部作や香港ニューウェーヴの文芸作品が出てくることを考えれば、香港電影史に残る作品であると改めて思ったのでした。再見ってやっぱり大切ね。
 ところで今回は「日本公開版」での上映だったが、実は日本版の方が香港版より長かったのか…。それだけ日本が大切な市場だったってことか。今は大陸の方が(強制終了)
 あと、字幕も上映当時の役だったのね。金(カム)刑事の字幕が「キム」だったり、陳家駒が「チェン・カクー」とか、広東語の発音っぽくないんだもの。そのへんは時代だからとはいえ、ちょっとモニョるね。

 ああ、これでもちゃんとリスペクトしておりますよ。disりに聞こえたら心の底から謝ります。以上。

原題:警察故事
製作&監督&脚本&出演:ジャッキー・チェン 製作:レイモンド・チョウ 音楽:ライ・シウティン
出演:ブリジット・リン マギー・チャン チュー・ユエン タイポー マース トン・ピョウ 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

影なきリベンジャー【極限探偵C+】(2007/香港)

 いやー、やっぱりどんな形であっても探偵ものは面白いねー、と、この映画の東京公開時に放映していたドラマ『ロング・グッドバイ』を観ていたワタシである。今期のドラマは飽きるほど警察ものばかりだが(観ているのは幾つかあるぞ)、探偵ものと警察ものではどちらが好きかと問われたら、ワタシは迷わず前者を取る。
 でも、香港映画は探偵よりも警察映画が圧倒的に多いのよねー。警察の広報にTVメディアが巧みに使われているからだろうか、などと理由づけたくもなるけど、はたしてそういうわけじゃないんだろうね。 

 そんなわけで本題へ。
 香港に生まれてタイで映画を撮る映画監督兄弟、オキサイド&ダニー・パン。代表作を上げれば『レイン』やあの『The EYE【アイ】』、ハリウッドで撮った『ゴースト・ハウス』やセルフリメイクの『バンコック・デンジャラス』など数多い。
 そんな彼らが2007年に製作したアーロン主演の“極限探偵”3部作がまとめて日本公開、その第1作『影なきリベンジャー』を観た。実はVCD持っているのだが(先に感想をアップした『サイレント・ウォー』もだが)、やっぱりでっかいスクリーンで観たいもんでねえ。

 舞台はバンコクのチャイナタウン。映画館主の夫婦に生まれたが、幼いころに両親が蒸発してしまったタム(アーロン)は、彼らの行方を探すために探偵になった。しかし、映画館の2階に構えた事務所に依頼人がくることはめったにない。本当は警官になりたかったのだが、生まれつき強度の近視だったために断念した、という過去もある。
 ある日、タムのもとにロン(シン・フイオン)という男がやってきて、「ある女にストーキングされて殺されそうだから助けてくれ」という依頼を受ける。幼なじみの警官チャック(カイチー)を巻き添えにしてサムという女性であることを突き止める。しかし、彼女は長らく家を空けており、行方が知れない。近隣の麻雀屋の常連で、麻雀仲間と株に手を出したが失敗して…という情報を聞きつけたサムは、その仲間たちを訪ねて歩くが、いずれも不審な死を遂げていた。

 原題《C+偵探》のC+とは、9つの成績評価ランクで下から3番目(汗)のC+と、広東語の「私家」の発音が同じことから取られたと聞いた。英題が「The Detective」なので、ストレートに私立探偵という意味で潔い。この後《B+偵探(冷血のレクイエム)》が続き、この「極限探偵三部作」の掉尾を飾るのはA+…ではなく《同諜(コンスピレーター 諜略)》となる。あれ?

 タムが事務所兼自宅で目覚めるファーストシーン、起き抜けにスイッチを入れたラジオから流れる曲がともかく強烈。この曲だ。

このフレーズ、一度聞いたら耳から離れんよ…あははははは。

 登場する俳優たちはみんな香港映画でお馴染みなのに、舞台が違うと雰囲気は変わる。7年前の製作で、おそらくフィルム撮影だったのだろうけど、プリントの関係なのか、黄色味が強く出て褪色したような映像だったので、これは前世紀の映画ですか?とかうっかり思っちゃってごめんなさいm(_ _)m。でも、タイの熱っぽさと湿っぽさ(これは映画のトーンじゃなくて気候についてね)が伝わってくるようで悪くない。
 そう、香港映画なのにそれとは雰囲気が違うと感じたのは、この色感なのかもしれないな。あと、やたらとゆっくりしたタイ語の響きも。

 映画館に事務所を開いているというところから、きっと誰でも思い出すのが私立探偵濱マイク。あの作品も無国籍でアジアンな雰囲気を醸し出していたもんなあ。
 このところ主演作が続々日本上陸のアーロンは、やはり体育系のイメージが強いので、タフであっても探偵としてはスマートじゃないし、どっか頭が悪い感もある。ああ、だから「C+」か( ̄ー ̄)ニヤリ。あまりにも無茶ばかりしているので、鑑賞中はもうハラハラしてしまい、彼に振り回される相棒のチャックにちょっと同情した。まあ、彼がそこまで無茶して捜査にのめり込むのは、プロットにも書いたとおり、行方不明の両親を探したいという気持ちが彼を探偵にさせ、真実を知りたくて一直線になってしまうってことか。しかし、その筋がまさかクライマックスに絡んでくるとは!あまりにも意外すぎて驚いた。

 その意外なクライマックスが収まった後、さらに驚愕の真実が明らかにされる。その変則的などんでん返しにも、驚きを通り越して唖然となった。
 いやあさあ、確かに探偵ものとしても面白く楽しかったんだけど、意外にもパン兄弟のカラーではない正統派だよなーと思っていたもんなのでね。まあ、アレが登場することは熱心なパン兄弟ファンなら予想はしていただろうけどさ。

 今回はスケジュールの都合で、この1作しか劇場で観られなかったけど、残りの2作もいずれはソフト化されるだろうから、後日観てフォローしたい。というか、もしかしてwowowで秋ごろやってくれるかもしれないか。それならまだまだ解約できないかなあ…(汗)。

そしてこれが遺作となった、シン・フイオンさんのご冥福を、この場を借りてお祈りいたします…。

原題&英題:C+偵探(The Detective)
製作&監督&脚本:オキサイド・パン 製作:ダニー・パン 脚本:パン・パクシン 撮影:デーチャー・スリマンドラ 編集:パン・チンヘイ
出演:アーロン・クォック リウ・カイチー ケニー・ウォン ラウ・シウミン シン・フイオン ジョー・コック

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年5月 | トップページ | 2014年7月 »