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《大鬧天宮》(2014/香港)

 今年の秋、東京で星仔の監督最新作『西遊・降魔編』が公開されるとのこと。
星仔は昔、出演作の『チャイニーズ・オデッセイ』で西遊記を取り上げたので、再挑戦という形式にはなるんだろうけど、前者は監督専業で取り組んだんだよね、確か。といいつつ、実は両者とも縁がなくて観ておりません。すみません、こんな香港電影迷で。
昨年末から今年の始めにかけて上映された香港映画には面白い作品が多かったらしく、クリスマスから旧正月にかけて現地で作品を観られた方の感想をSNSで読んでは羨ましく思っていた。

 2月に台北に行くことになり、まず考えたのが、なにか香港の賀歳片が観られないかということ。一番観たかったのはデレク・クォック監督の《救火英雄》だったけど、これは公開からかなり日も経っていたので断念。  この時は《KANO》が公開前で、ごりごりの台湾ローカル映画《大稻埕》がヒットを飛ばしていたので、ほとんどの映画館でかかっていたのだが、その中で《西遊記之大鬧天宮》(台湾&大陸題)の上映本数がそこそこあったので、1日目の夜に観ることにした。そう、これもまた西遊記もの。監督はなんと意外にもソイ・チェンさん。こういうのはアンドリューさんやゴードン・チャンさんが手がけそうな印象があるんだけどねー。


 女媧によってあらゆる命あるものが生み出された世界の初めの頃。その世界を統べる者の座を争い、玉皇(ユンファ)と牛魔王(アーロン)が激しく戦っていた。その戦いは玉皇の勝利に終わり、牛魔王は地上へと追放される。女媧は最後に石の卵を抱く大きな山ー花果山を生み出して命を燃やし尽くし、その石の卵からは、猿が生まれた。その猿は地上に降りて成長し、仙人の菩提祖師の元で修業を重ね、孫悟空(ド兄さん)と名付けられる。一方、牛魔王は玉皇に復讐を誓い、悟空を自分のもとに引き入れようと企む―。

 職場で『西遊記』の原作について調べたことがあるのだが、完全版の翻訳で全10巻(岩波文庫)になるそうだ。ちなみに岩波少年文庫だと全3巻。バリエーションが多くなるのは当然だ。星仔の作品をまだ観てない電影迷失格者として思い浮かぶ西遊記は70年代後半に日テレとTBSで放映されてた2作品。前者は日本初の特撮&中国ロケ敢行の1時間ドラマ(だったよな?)、後者はドリフターズの各キャラを西遊記に当てはめた人形劇。まあこれは、多分アラフォー以上の記憶にだいたいあるんじゃないかなと思うんだけど、そうじゃなければすみません。

 この映画は、その長い『西遊記』の本当に最初の部分を現代的にアレンジ。VFXに『アバター』や『300』のハリウッドのスタッフを起用していることもあり、かなり上質のチャイニーズファンタジーに仕上がっている。3Dの効果もよく出ていて、いい具合の「つくりもの」っぷりが気持ちいい。
 各キャラの造形もなかなかいい味を出している。玉皇役のユンファは言うことなしだが、それ以上にアーロンの牛魔王が悪役なのにええオトコ。普通、牛魔王はミノタウロスっぽく描かれる(=牛頭の巨人ですな)ことが多い気がするのだが、長い蓬髪に黒く長い角が生えてて、ちゃんとアーロンの体型にもフィットして貫禄が出ている。『コールド・ウォー』の彼もすごかったけど、こういう役もこなすようになってきたのね、アーロン。ケリーの観音様は神々しく、ピーターの二郎もずる賢い感じがよかった。衣装にはウィリアムさんとチョンマンさんという香港二大デザイナーが起用されているのだが、来年の金像奨では当然ノミネート確実かな。

 で、主役のド兄さんなのだが…猿です、どこからどう見ても猿です。マチャアキや某グループの人以上に猿です。ものすごい猿です。ホントにド兄さんなのかと疑いたくなるくらい猿です。いや、アクションはすごいので間違いなく中の人はド兄さんに違いありません。固く信じてます(何訳わかんないこと言っているんだオレ)。

 ※追記・上記ではさんざん猿呼ばわりしておりますが、ド兄さんの悟空は原典でもモチーフではないかとされている(ただwikipediaでは異論があるとも述べられていますが)金絲猴をモデルにして作られた造形のようです。

 友達になる九尾の狐(白面の者ではない)は女の子なんだが、狐モードと人間モードが極端に違って人間モードがコスプレっぽく感じたから、こっちはもうちょっと特殊メイクバリバリでもよかったと思ったな。
 なお、この作品もかなり長い時間をかけて製作されているそうです。もちろん、谷垣さんや下村さんなど、日本のスタントスタッフも多数参加されていますよん。

 しかし、意外だったのは、暴れん坊として描かれる孫悟空を、玉皇と牛魔王の戦いに巻き込まれたフツーの猿(!)としてキャラ設定したこと。こういう読み取りでいいのかちょっと自信がないのだが、こういう描き方は新鮮だった。でも、もっと暴れてもよかったんじゃないかな、と個人的に思う。

 ネタバレになってしまうが、原作が有名なのであえて書くが、ラストは500年封印されて、玄奘三蔵によってそれが解かれることを暗示させるようになっている。これは続編を見越した終わり方なのは言うまでもないけど、はたして、いつ撮影開始になるんだか。これはのんきに待つしかないね。

 そうそう、台湾上映だから、もしかしたら國語版だろうかと思っていたら、ダイアログは広東語でした。これは嬉しかったなー。考えたら台湾の劇場で香港映画を観たのって、おそらくこれが初めてなんだよな。

英題:The Monkey King
監督:ソイ・チェン 原作:呉承恩 撮影:アーサー・ウォン 衣装:ウィリアム・チャン、ハイ・チョンマン 
出演:ドニー・イェン アーロン・クォック チョウ・ユンファ ピーター・ホー ケリー・チャン

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