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失魂(2013/台湾)

 今年は3年前に引き続いての台湾映画特集(リンクはアジアンパラダイスより)のわけだが、実は3年前は香港映画を優先したり、オールナイトイベントに行っていたりしていたので、その時の上映作品は全く観ていない。当時すでに一般上映が決まっていた『モンガに散る』と台湾旅行時の機内上映で観た『台北カフェ・ストーリー』を後で観てフォローしたくらいか。
 3年前のTIFFに『4枚目の似顔絵』で参加した鐘孟宏が、今年の特集にも再び登場。長編第3作となる(第1作は張震主演の『停車』)この作品は、なんと主演にあの王羽さんを迎えたサイコサスペンスということで、評判も聞いて最初はパスしてもいいかなーと思っていたのだが、 やってくれるなら観ておいた方がいいと言われたので観ることにした。

Soul

 台北で日本料理店の板前をしていた阿川(ジョセフ・チャン)が突然昏倒した。中部の山間部で林業をして暮らしている父親(王羽さん)の元に送り返されてきたが、阿川は突然目を覚まし、自分は阿川ではない、別の人間だと言う。台北から弟の様子を見に帰ってきた姉(シアンチー)はその豹変を怪しむが、阿川は姉を殺してしまい、父は山奥の作業場に娘の遺体を隠して、阿川を眠らせて作業場の山小屋に閉じ込める。そして変わり果ててしまった息子と共に山に籠り、対決することになる…。


↑【閲覧注意】としておく。公式紹介ページの動画と見比べてみたのだが…どっちもグロくないか?(汗)

 いやあ、怖かったわ。ホラー仕立てと言われてたけど、死体がゴロゴロという点より、精神的に追い詰められる怖さがある。王羽さんが拳をふるって撲殺するわけじゃないのに怖い。黙ってそこにいるだけで怖い。とにかく怖い。まさに戦慄のお父ちゃん。父親役に王羽さんを配したのはファンだったからとモンホンさんはおっしゃっていたが、恐らくその怖さを念頭に入れて選んだのだろう…と思っているだけなのはワタシだけでいい。マジでそう思ってる。終始無表情(だと思った)で何事にも対応しているからこそ、クライマックスから結末の衝撃も大きかった。彼は本当に…だったのか?

 目の前で展開するのは、精神を病んだ息子とその状況を受け入れることに葛藤しつつ無言で向かい合う父と息子の見えない殴り合い。まるで『捜査官X』での壮絶な父子対決に匹敵するようだ。でも、身体の痛み以上に精神はダメージを受けるときつい。「肉体は魂の入れ物でしかない」という阿川の言葉は、父だけでなく、観ているワタシたちをも翻弄するようだ。

 印象深かったのは、霧深い山間部の風景と風や木のざわめき。それが自然を越えた不気味さを増長させている。録音はお馴染み杜篤之さんなので、さすがというしかない。ロケ地はクレジットから察するに、お茶で有名な梨山のよう。

 Q&Aではキャスティングや舞台の他、阿川のセリフに登場した「猟銃を持った三人」のことや中盤に登場する「伝言人」の存在、ラストで登場する往年の歌手文夏について、魚や虫、蛇などの自然描写について。詳しくはこちらを。

 いろいろ考えるところは多く、ずっしりと重かったが、観て本当によかった。
ここしばらくで公開された台湾映画のほとんどが青春ものだったので、たまには他のジャンルも観たいと思ってたし、2本とも全く違うジャンルであったから、バランスがとれてよかったと思う。台湾映画は香港映画以上に全国公開の機会がないので、やはり映画祭でしっかり観ていく必要があるのだろうな。

英題:Soul
監督:チョン・モンホン 製作:イエ・ルーフェン 撮影:中島長雄 録音:トゥー・ドゥーチー
出演:ジミー・ウォング ジョセフ・チャン ヴィンセント・リャン チェン・シアンチー レオン・ダイ トゥオ・チョンホア チェン・ユーシュン チン・シージエ

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