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激戦(2013/香港)

 では、いよいよTIFF鑑賞作品の感想です。
 今年から〈アジアの風〉とアジアと日本以外の映画を集めた〈ワールドシネマ〉が統合され、〈ワールドフォーカス〉として生まれ変わった。そのうち日本を含めたアジア映画の新人監督作品をコンペ化し、〈アジアの未来〉として独立。
 そんな感じで非コンペ映画の上映形態がかなり変わり、特集上映もこのカテゴリーに入ることになったので、だいぶ上映本数が減ってしまったと考えていいのだろうか。まあ、石坂さんのインタビューを読むと、今後は増えるのかなという気はするのですが。

Unbeatable

 さて、ワールド・フォーカス唯一の香港映画『激戦』
 3年前のフィルメックスで『密告・者』が上映され、近作が日本でも続けて上映されているベテラン、ダンテ・ラム監督の最新作がTIFF初登場。『証人』以来コンビを組んでいるニック・チョンと、台湾出身でこのところ『恋人のディスクール』太極二部作など香港映画にも進出しているエディ・ポンを迎え、クライムサスペンスではなくなんと総合格闘技MMAをテーマにした、香港では珍しいタイプの格闘技映画だ。


 20年以上前にボクシングのチャンピオンとして名声を挙げた程輝(ニック)は八百長試合に手を出したことから自滅して現役を引退し、借金取りに追われる香港を後にして、マカオで旧友が経営するジムで下働きをする。輝は君(メイ・ティン)と小丹(クリスタル・リー)親子の部屋を間借りして住むが、君は夫の浮気により情緒不安定になり、それがもとで息子を溺死させたという過去があった。
 北京の富豪の息子林思斎(エディ)は父の財産には手をつけなかったものの、30歳になるまで中国各地を旅して歩く悠々自適な生活を送ってきたが、父(高捷)が破産したことで人生が変わる。父はマカオのカジノで身を持ち崩し、思斎は工事現場で働きながら父の面倒を見ていた。カジノのバーで総合格闘技MMAのマッチ「ゴールデンランブル」の出場者募集告知を見かけ、賞金を獲得して父親のために使いたいと思った彼は、輝が働いているジムに通うようになる。輝が往年のチャンピオンであることを知った思斎は、彼に指導を仰ぐ。思斎の適性を見抜いた輝は、彼に適切な指導をつけていく。ゴールデンランブルに出場した思斎は大方の予想を覆して初戦を突破。新たなマッチマスターとして次なる戦いに臨んでいくが…。

 香港映画の格闘技ものと聞いて思い浮かぶのは、アーロンの『野獣の瞳』に、ダニエル・リー監督の『ファイターズ・ブルース』と『スター・ランナー』。後は何かあったかなあ…。
 格闘技ねえ…。一時期K-1やらPRIDEやらの総合格闘技が大流行し、大晦日の民放のTV番組が全て格闘技になってしまったことがあったけど、それってなんだかなーと思ったことがある。え、オマエはアクション好きじゃないのかって?なんで観てないのかって?いや別にいいでしょうが、つーか総合格闘技って動きが少なかったんだもの(苦笑)。
 そんなわけでよくわからない人間には、ただただ「うわーすげー、きゃー痛そう、あー延髄損傷したら動けなくなっちゃうじゃないのよー(>_<)」って状態で観てたのですが、いかがでしたか?格闘技に詳しい皆様的には。(丸投げかい!)

 とここで投げやりになってはあかんぞ自分。ちゃんと感想書け。

 これまで香港を舞台に壮絶なポリスバトルを展開してきたダンテさんだけど、モチーフの変化と共に舞台はマカオへ。MMAが賭けの対象になるから、香港よりは取り上げられやすいのかな?これまでもトーさんやパンちゃんの映画でお馴染みだが、先行作品とは全く違う場所を選んでいるのもよかった。これはロケ地巡りに行きたくなるねー。

 人生に挫折した男たちが、肉体を酷使して再生を図る筋書きは目新しいものではないけど、やはりグッと引きつけられてしまう。特にニックさんは40代半ばの元ボクシングチャンピオンという役どころのせいで、そのやさぐれっぷりが実にハマっていたよなー。そして9カ月の肉体改造の成果が出ていたボディにも当然驚いた。確かに痩せてるってイメージあったしねえ。北京のボンボンのエディは逆に清廉潔白っぽくてあまり魅かれなかったんだけど、ガタイがいいこともあってこっちもええカラダしてるじゃないかー。
 ニックさん演じる輝と、エディ演じる思斎(字幕では「スーチー」とあったけど、広東語読みの「シーチョイ」の方があってる気がする)がそれぞれマカオで経験する出来事もまた泣ける。父思いの思斎、君と小丹親子と輝とのふれあい。思斎たち同様、この親子も大陸出身なのかな。
 とりわけ、心を病んだ母を健気に支える小丹(クリスタルちゃんは『証人』等ダンテ作品の常連子役でマレーシア出身だとか)の存在にはホッとさせられた。生意気だけど君を守るのには精いっぱいで、だけど輝を嫌っているわけじゃなくてむしろ心強く思っているようでね。君には北京語、輝には広東語を使って会話するというスイッチの切り替えも興味深かった。今香港やマカオで育っている子供ってこんな感じでしゃべれる子が多いのだろうか?
 言葉といえば、北京語話者の思斎が輝に広東語で、広東語話者の輝が君親子にそれぞれ出会ったばかりの頃、片言の広東語や北京語で話しかけていたのも面白かった。しかし北京語と広東語の会話で、いったいどこまで意思が疎通できるかってのは、永遠の謎だなあ。
 中盤からクライマックスに至るまでの展開には驚かされ、さらに痛かったけど、格闘家として盛りを過ぎた輝がMMAのリングに立つくだりはええなあ。体力の衰えた中年がチャンピオンを相手に勝とうとするには、ああいう手段はホントに可能なの?と思ったけど、まあ、ああいう奇跡はあってほしいかなあ。(すいません、ネタばれを避けるためにわざと曖昧な書き方をしています)

 後は追記できたら何か書こうと思います。Q&Aはこちらが詳しいかな。
 ところで、「このところニック・チョンと組んでいますが、彼以外で撮ってみたい香港の俳優はいますか」という質問に、「次回作もニックと組む予定だが、実はトニーを使ってみたい。でもストーリーを考え付かないので実現できないんだ」とダンテさんは答えていたのに、それがなぜか「次回作はニックとトニー共演!」と伝わってたのはなんでだろう?さらにそれが先走ってSNSで「ダンテさんはドSだから、トニーがまたひどい目に逢うー」なんて心配まで目にしたんだが、いくらなんでもそれは杞憂で終わるのではないかねー?
 まあ、ワタシもダンテさんの撮るトニーの映画は観てみたい。でも、先行する作品のようにはならないんじゃないかね?って思ってるよ。
 ともかく、いつになってもいいから「トニー新作はダンテ・ラム監督作品!」という喜ばしい情報が出ることを期待したいもんだね。

原題:Unbeatable
監督&脚本:ダンテ・ラム   製作総指揮:ユー・ドン&ジェフリー・チャン 脚本:ジャック・ン&フォン・チーフォン 撮影:ケニー・ツェー    美術:チョン・シウホン    編集:アズラエル・チュン
出演:ニック・チョン エディ・ポン メイ・ティン    クリスタル・リー アンディ・オン ウィール・リュウ ジャック・カオ 

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» 「激戦」(東京国際映画祭2013) [ここなつ映画レビュー]
東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門。 感激のダンテ・ラム最新作!今年の東京国際映画祭では香港作品が少なくて、残念な思いをしつつ、でもこれが観られるなら帳消しとは言わないまでも、かなり満足。しかも、ダンテ・ラムの来日トークセッションがあって興奮マックスハイテンション(古い)の私でした。 で、作品も凄かった! 「格闘技物〜?」と敬遠なさる方がいらっしゃるならそれは断じて勿体無い!まあ、すごいよ、ドラマだよ。私が敬愛して止まない香港ドラマ。だからもちろん起承転結は踏襲している... [続きを読む]

受信: 2015.01.21 13:07

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