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2013年7月

モーターウェイ(2012/香港)

 へー、イニDの原作が完結か。イニDといえば映画しか思い浮かばないが、このニュースはやはりイニDが人気ある香港にも伝えられているんだろうな、と思う今日この頃。

 そのイニDで共演した、ジェイの父親こと秋生さんと、ジェイのライバルだったショーン。この二人が今度はコンビを組んだのが、この『モーターウェイ』。製作は銀河映像、監督は『アクシデント』のソイ・チェンさん。これなら観たい!という気になる作品。

 香港警察交通課に所属するショーン(阿翔/ショーン)は自らも天才的なドライビングテクニックを持っている。退職直前のベテラン、ロー(秋生さん)とコンビを組んで覆面パトカーで速度違反車を取り締まる任務に就いているが、血気盛んで先走りがちな性格が玉に瑕。
 ある日、速度違反の常習犯にして、警察に別件逮捕されていたジャン・シン(グオ・シャオドン)が脱獄し、大陸から来たウォン(リー・ハイタオ)たちの強盗を手助けする。指揮官(ジョシー)のもと、ショーンは二人を追う。別行動していたローもショーンをサポートしながら追うが、観塘の狭い路地で巻かれてしまう。
 過去の資料を調べていたショーンは、ローがかつて約20年前に逃走中のシンを追いつめたほどの超人的なドライバーテクニックを持っていることを知る。そこで彼に頼み込み、路地の追跡で失敗したスピンターンを教えてもらうのだが…。

 日本じゃ「若者の車離れが深刻」だそうだが、モータリゼーションが発達した田舎(我が街みたいなところ)では車はまだまだ必要だし、未だに国道ぎゅんぎゅん突っ走ってるヤツいるぞー(笑)。
 東京都の半分の面積しかない(でよかったっけ?)といわれ、市街地は常に渋滞している印象しかない香港だが、郊外の高架道路では結構びゅんびゅんと車が飛ばしているし、映画でも走り屋が登場する作品がいくつかある。かつてのトニーやレスリーやアンディの映画でもそういうのがあったよなあ。それゆえにイニDが香港で作れたんだろう。
 この作品は交通課を舞台にした、銀河映像お得意の警察映画(『PTU』『天使の眼、野獣の街』を例に挙げればわかりやすいか)であるのだけど、ショーンと秋生さんの豪快な走りっぷりには、そのイニDを彷彿とさせるのが楽しい。

 秋生さんとショーンの気の合った掛け合いに、夜を鋭く切り裂くカーチェイスが交錯する。人間によるライブアクションばかり見ていたので、カーチェイスもなかなかいいなー、しかも決死のチェイスなのに、どこかに静けさも感じるんだよな。
 チェイスの舞台も沙田から観塘の東九龍、新界方面とさまざまに転換し、クライマックスでは大胆にも深夜の中環で決死の追跡が繰り広げられる。90分足らずの短いランタイムにアクションもキャラクターもぎっちりと詰められていて、お得感がある。

 

   ただ、これをTVのモニターで観ると、どうしても迫力と魅力が半減する。
ワタシはこの映画のWOWOWのワールドプレミアという未公開映画をTVで初放映するプログラムで観たのだが、暗闇の場面とカーアクションが多いから、黒味がつぶれて観づらいと感じたのよね。どうも最初はDVDスルーだったらしく、WOWOWが共同購入に入っただか何だかで、日本初公開がテレビ放映になってしまったとのこと。その後にやはり劇場公開しようということになって、8月17日からシネマート六本木で上映されるとのことだけど、その経緯にちょっと首をひねりたくなるようなことも聞いたので。
 このところ地元で香港映画の上映がなくなってしまい、「あーあー東京いいわねー、いかない限り観られないし、話せないしなー」と不満に思うことが増えてきただけ、WOWOWであっても全国一斉に観られるのならそれはそれでむしろ喜ばしいんだけどね。こういう映画はやはり銀幕で観ることで興奮できると思うんだよ。

原題:車手
監督:ソイ・チェン 製作:ジョニー・トー 脚本:ジョーイ・オブライエン セト・カムユエン
出演:アンソニー・ウォン ショーン・ユー バーヴィー・スー グオ・シャオドン ラム・カートン ジョシー・ホー ミッシェル・イエ リー・ハイタオ

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ライジング・ドラゴン(2012/香港・中国)

 ああ、観てからもう3か月。レスリー祭りグランドマスター騒ぎを優先していてすっかり感想後回しにしてしまったよ。これを書かないと、夏の引きこもりアジアン映画祭に入れん(笑)。というわけで『ライジング・ドラゴン』の感想をやっと書けるわ。


 70年代後半に初めて作品が紹介され、たちまち人気になった成龍さん。80年代には同門のサモ・ハンとユン・ピョウと共にトリオを組んで大暴れしたり、警察故事(ポリスストーリー)シリーズで限界ぎりぎりまでのスタントに挑戦したりして、そのたびにファンを沸かせてきた。ワタシもその頃の作品はよく観てたし、実に楽しかった。
 それと同時に、ウーさんとユンファの挽歌シリーズや、徐克さんのチャイニーズ・ゴースト・ストーリーシリーズなどの、まさに黄金期を迎えていた香港映画が入ってきたわけで、リアルタイムで劇場で観ていた人にはなんとも幸せな時代だったんだろうな。その後、メインストリームとはまた違う王家衛が紹介されて、香港映画の多様性を映画ファンにもたらしてくれたんだけど、大衆メディア=つまりマスコミはそれでも「香港映画=成龍作品」と特別視し、映画をよく知らない人々に長年教え込んできた。つまりその行為に対する香港映画ファンの葛藤を「ジャッキー・チェン・ジレンマ」とワタシは長年呼んできた。そんな気持ちを抱えながらも「香港映画」だから彼の作品を見続けてきた。

この映画の原題は《十二生肖(十二支)》。英題は「CZ12(Chinese Zodiac)」。だけど邦題が『ライジング・ドラゴン』になったのは、成龍さんの芸名を英語に読み替え、彼の「最後のアクション作品」を祝おうではないかという意図があるというらしい。ふーん…。 久々に成龍さん自身がメガホンを取ったというこの映画、立ち位置的には『プロジェクト・イーグル』に連なる“アジアの鷹”シリーズ最新作になるらしいんだけど…ごめん、実はちゃんと観たことがないのよこのシリーズ。本当にごめんねー。だから感想に取り掛かるのもイマ(強制終了)。

 アヘン戦争の際に欧州列強によって奪い去られた清朝皇帝所蔵の十二支の像。それが各国のオークションにかけられ、コレクターに売り払われようとするのを阻止し、中国政府に返還しようとする財団は、腕利きの泥棒JC(成龍さん)にオークションの阻止と像の奪還を依頼。仲間たち(ウォン・サンウ他)と共に、JCは世界中を駆け回る…!

しょっぱなからローラーを仕込んだスーツを着て、追っ手から逃げるJC。そこから次々とアクションのつるべ打ちとなる124分。往年の作品で見せたようなコミカルな場面も多く、ストーリーを解説するのもめんどいなあ。とにかくその楽しさは説明するより観て!と言いたい。80年代から90年代の成龍さん全盛期のアクションが好きなら楽しめると思う。

だけど、往年のアクションが楽しめても、ストーリーラインまで往年のままってのはないんじゃないの?いくら笑って楽しめても、それが不満だった。もちろん80年代を否定するわけじゃないが、ワタシが好きな成龍作品は、ニューポリとかプロジェクトBBとか新宿事件のような、物語も比較的しっかりしてて、他の役者とのアンサンブルが楽しめる作品だし、今後はドラマ性の高い方向に進んでくれたらよかったのに。今回は相方が韓国のクォン・サンウ、チームの連中も中国のアクション方面の若手ばかりということで、申し訳ないのだがノレなかった。しかし近年は大陸寄りの政治的発言をしては自爆しているので、大陸を見据えた作品作りをしているのには気になったけど、韓国と組んだってのはかなりの転換なんじゃないのか?そのわりには韓流マダムに注目されてなかったようなのが気になるのだが。
実際この作品も、香港より大陸で大ウケだったようで、「最後のアクション大作」というコピーも次作にまた使われるのかなとなんてうっかり揶揄しちゃいそうなのだが、成龍ファンでもなくても、こういう方向性はちょっと残念な気がするのである。たとえ自分が先に述べたようなジャッキー・チェン・ジレンマを抱えていてもね。

そして、彼がまだまだアクション映画を撮り続ける限りは、「香港映画=成龍作品」という一般的な風潮は続くのだろう。それに違和感を覚えるのなら、ワタシは意地でも香港映画の多様性を紹介していき、少しでも視野を広げてもらえるように努力しなきゃなと思ったのであった。

原題(英題):十二生肖(CZ12)
監督&製作&出演:ジャッキー・チェン
出演:クォン・サンウ ダニエル・ウー スー・チー

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