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2013年5月

【お知らせ】リトルプレス「funkin'for HONGKONG@zine」始めました。

 blogを始めて今年で9年、HP開設から数えたら11年になります。
この間に書いた記事は1000本を越え、かなりの数に上ります。一時期、blogの書籍化が流行ったけど、自分の文章の拙さは自覚しているし、文章量も多いのでページ数も増えてお金がかかるよなー、自費出版って手を出したら絶対破産するよなー、香港行けなくなるよなー、などと考えて手を出せなかったのでした。
 だけど、いつか本のような、なんらかの形にしてみたいなということは漠然と考えていました。

 その一方で、学生時代から細々と同人誌活動をしていました。創作小説やドラマや映画や本の感想をイラスト付きでまとめ、センスがないことを自覚しつつも、いっぱしの同人作家面してました(そのわりに一番大きな即売会にサークル参加したことはないんですけどね)。4年前から書いているこの小説も、その延長だったりします。

 そしてここ数年気になっているのが、リトルプレス、またはZINEと呼ばれる小冊子形式の本。一応このような定義はあるようですが、ほぼ同じものだと思ってます。地元のブックイベントでZINEがフィーチャーされるようになったことで(詳細はここに書きました)、同人誌という枠ではなく、もっと広い範囲で好きな香港映画について、ネット以外にも読み物としてまとめて紹介することができるのかもしれないかな、と思うようになりました。

 そんなわけで、昨年からblog記事とは別に、香港をテーマにしたzine「funkin'for HONGKONG@zine」を作っています。まだ始めたばかりなので、小部数からのスタートにしました。
 損得は考えず、香港初心者からコアな方まで楽しんでいただけるようなものを作りたいと思いますが、本づくりも初心者でもあるので、簡単なところから始めています。いずれはblog記事を書き改めた映画エッセイ集も作りたいと考えております。
 拙いところは多々ありますが、blogと共になんとか続けていきたいです。
詳しい紹介はページを作りましたので、ご興味がありましたらご覧ください。

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恋はあせらず(1994/香港)

 今回の上京で、この『恋はあせらず』を含むレスリー作品3本を観て改めて思ったことがある。レスリーって、決して女子にとっての理想である「王子様」ではない役どころが意外と少ないんだよなあってことに気付いたのだ。
 それではっきり気づいたよ、ワタシが「レスリー様」という一部で使われる敬称が苦手な理由がね(笑)。

↑じぇじぇ、画像がないじぇ。なんとももったいないじぇ。

 日本のドラマや映画で登場する女性にとっての「王子様」って、まさに文字通り「そんなヤツいねーよ!」って輩ばかり。ここ十数年観ていると、確かに「イケメン」と呼ばれるカッコええ俳優は増えたけど、顔がいいだけじゃこっちは惚れない。味のある顔立ちだったり、癖のある演技をしてくれる男優には好印象を抱く。てゆーかむしろイケメンじゃない方が惚れる。
 で、今さら言うのもなんだけど、それを考えれば香港や台湾はまさにそういう俳優の宝庫なんだよね。だからこそ、ワタシは香港映画を好み、ファンを続けられるのかもしれない。

 閑話休題。レスリーの演じる役どころが決して王子様ではない問題(ただし某合作の彼は完全に王子様扱いだったのは言うまでもない。これを一番言いたかったんだよ)だが、『ルージュ』にしても『色情男女』にしても、前者は美しいけど実は結構な弱腰男、後者は行き詰ってる一応リア充の映画バカという役どころなので、カッコよさってものは全然ない。そして弱点ばかりがやたらと目立つので、現実にいたらホントにしょうもない輩である。それでも憎めないし、むしろかわいいと感じてしまうのが、レスリーという個性がなせる技なのかな、と今になって思うのである。

 調子に乗ってしでかしたことが原因で保険会社を首になった小狡いお調子者のウィン(レスリー)。学生時代の親友で、老人介護施設でアルバイトしながら現代中国音楽家としての成功を夢見るファイ(カーファイ)と2人の友人(マイケル・ウォン、黄子華)の助けを借りようとしては失敗し、彼らを巻き込んで、不幸にしていく。三人とも彼を疎ましく思い、縁を切りたいと思っているのだが、自分の妹が彼に好意を寄せているサンはそれでもついつい彼に付き合ってしまう。
 ある日、ウィンとファイはカフェでバリバリのキャリアウーマンであるウィニー(ロザムンド)に出会い、ファイは彼女に一目ぼれ。一方ウィンは彼女の携帯電話をすり替えて社長(ケネス・ツァン)に取り入り彼女の働く不動産会社に入社し、彼女の仕事の邪魔をしながらみるみるうちに出世街道を突っ走る。しかし、社長の次の目的が、ファイの勤めるホームであることがわかり…。

 どうしようもなくわがままでお調子者でムカつくのに、どういうわけか憎めない。この映画のウィンはまさにそういうキャラ。こういうキャラが演じられるのはレスリー本人のキャラクターによるところも大きいだろう。逆に日本の俳優では王子様は演じられても、こんなキャラは演じられないでしょ?香港の映画人はそのへんわかってるよなーというように思う。そして大陸の監督が、彼に耽美的な役どころを要求するのも同時にわかる気がしたよ。

 レスリーのことばかり言ってないで、他の俳優のことなども書かなきゃな。
同じ年に公開された『楽園の瑕』と同じコンビなのに、この違いや緊張感のなさはいったいなんなの?といいたくなるのが家輝さん。芸術家肌のフリーターという役どころはアクセント(なのか?)にはなっているけど、とことんお人好しで終始ウィンに振り回される。考えりゃ家輝さんの代表作って、おそらく一般的には『ラ・マン/愛人』(どうでもいい個人情報だが、偶然にも今この原作2部作を読進中)なんだろうけど、これまでいろんな映画で彼の演技を見てきたら、アレは家輝さんのキャリアの中でも数少ない例外じゃないかって気がしてきた(*意見には個人差があります)。
 マイケルは相変わらずの安定感で、いつの間にか英語しゃべってる勇敢な警察官だし、ジーワーも小商いで稼いで思いっきり損をする小市民役がよく似合う。そして一応ヒロインのロザムン。この方もしっかり者のお嬢さんだけど、どうも恋愛沙汰までは進行しにくいキャラってのはお約束だよなー、といった具合の安定感のよさ。まあこれは決してつまらないものではないし、90年代初頭の、ローカルな香港映画がまだまだ元気だったころの懐かしさも呼ぶもんなんだろうな。

 そうそう、時代のことについても書かねば。自分的には実はここが一番の注目どころだったんだよ。1994年といえば、日本(特に東京近郊)じゃバブル崩壊の影響がじわじわと出てきて、20年に及ぶ不況の始まりの年でもあったんだけど、香港では3年後の返還を控え、大きな変化を迎えようとしていた頃のはず。ワンチャイ三部作を観ていてもわかるのだが、90年代初頭から返還直前に作られた香港映画はほぼすべてと言っていいほど、作品の背景に返還が影響しているように感じている。この映画の登場人物たちもそれぞれの人生を生きながら、ラストの展開で大きな転換を迎える。「世の中は金だ」といわんばかりに調子よく世間を渡り歩くウィンも、夢を追いながら目の前にある安定感に心が揺らぐファイも、みんな人生が変わっていくが、それでも友情は変わらない。日本では70年代に一世を風靡した中村雅俊のドラマ『男たちの旅(香港題・前程錦繍)』の主題歌を熱唱する4人の男たちは、どんなに友情が薄れてしまったり、世の中の変化で自分の運命がガラッと変わってしまっても、それでも長く付き合っていくんだろうなあ。
 そして20年後の彼らの姿を観たい、と思っても…もう再結集できないという悲しさよ。それを思うと、楽しく笑える映画も途端に切なくなってしまうので、このへんで締めよう。

予告編が見つからなかったので、『俺たちの旅』つながりで、オリジナルの雅俊さんとアーロンが共演した2年前のチャリティコンサートの動画を。これもまた胸をギュッと掴むのである…。

 最後に大きな疑問。ところでこの映画のどこが、「恋はあせらず」なの?
恋にあせっていたのは、むしろウィンよりファイじゃないの?

原題&英題:錦繍前程
監督&脚本:ゴードン・チャン 製作:チャールズ・ヒョン ウォン・ジン 脚本:チャン・ヒンカイ
出演:レスリー・チャン レオン・カーファイ ロザムンド・クワン マイケル・ウォン ウォン・ジーワー

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『グランド・マスター』日本公開まで、あと2週間。

 大変御無沙汰しております。
レスリーメモリアルの残り1本と、ライジング・ドラゴンの感想をなかなか書けぬまま、気がつけば連休も終わり、カンヌ映画祭までも始まってしまいました。今年はカリーナ主演作が「ある視点」部門に出品されたということで、旦那さん(笑)は彼女に随行するそうですよ。
その後帰国して、来日するという喜ばしい知らせもあってなにより。

 そう、あと2週間待てば、やっと日本で観られるのですよ、《一代宗師》こと『グランド・マスター(と、あえて「・」付きの邦題で書く)』が!ああ、思い起こせば半年前の去年11月、香港&大陸では年末公開決定との報を聞いて喜びまくり、無理を押してクリスマスの香港行きをブッキングしたというのに、12月に入っても完成の知らせを聞かず、結局プレミアが年を越し、滞在時に観ることができないと分かったときはすっごく悔しかったよ…(詳細はここに)。その後、香港電影仲間の皆様が次々に渡港して鑑賞し、SNS上にアップされた鑑賞報告を観るたびに、ちくそーあーもー早く観たいよ一代宗師!とやさぐれてたものの、2月中旬から劇場で予告が流れ出したのを観ては、待ち遠しくてしょうがなかったもの。


 でもねー、この連休明けから始まったプロモーションには、はっきり言ってガッカリしましたよ。ワイドショー放映狙いで芸人を呼んだイベントに、主としてTVCM用に流される、いわゆる「イメージソング」。なんだよ、まったく新味がないどころか、全員がアーティストや芸人のファンではない映画ファンにとってはこういうプロモは全然愛も感じないし、逆にオマエそんなに売りたくないのか?って思っちゃうじゃないかよ!!!その問題のPVも貼るぞ。

 良くも悪くもネットで話題にしてもらうことでプロモにしようとかいう考えがあるのかもしれないけど、王家衛作品ってやっぱりプロモが難しいと思うんだ。今回こそネタがカンフーではあるけど、それはあくまでもネタであって、中身は通常進行であるってことは観てなくても重々承知なんだから、あまり変な方向にやらず、かといってカンフー推しでも恋愛押しでもなくて、一般の皆様に観てもらいたいという興味を持たせるのが理想なんだけどな。まあ、それは、我々ファンやbloggerが地道にフォローしていかねばならないってことなんだろうか?とか言いつつ、今頃動くなよって怒られそうですみません、なんですが(笑)。

 まあ、一応twitterでは「非公式サポーター」を名乗っているので、非公式は非公式なりにアクションは起こします。そんなわけでまずはリアルにこの映画と王家衛を布教すべく、ある計画を進行中。それはまた後ほど紹介します。

 それでも、この夏に東京&大阪で行われる王家衛フェスティバルは喜ばしいですねー。ソフト再発売のタイミングなので遅くなったのはしょうがないけど、『グランド・マスター』を観た若い世代が王家衛という監督と、彼のほかの作品にも興味を示してくれて、足を運んでもらえたらとっても嬉しいもんですよ。 

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